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4) Second Department of Internal Medicine, Hamamatu University School of Medicine

ドキュメント内 09-1 (ページ 43-48)

【要   旨】 症例は 66歳、男性で近医にて黄疸を指摘され当院へ紹介受診となった。肝胆道系の酵素が著 明に上昇しており肝炎ウイルスマーカーは陰性であった。画像評価では肝門部から総胆管に 2 cm 大の腫瘤性病変を認め、両側の肝内胆管は拡張していた。減黄・診断目的に PTCD を施 行し、この時の胆汁細胞診より腺癌と判明し肝門部胆管癌と診断した。門脈右枝を塞栓し、左 葉を代償性に肥大させた上で肝拡大右葉切除術(右葉+尾状葉)+肝外胆管切除術を施行し た。切除標本より癌は胆管内へ浸潤した低分化型肝細胞癌であることが判明した。ERC では 特徴的な所見を呈していた。背景肝は正常であった。今回我々は正常肝に認められた肝細胞 癌としては稀な進展形式をとった貴重な症例を経験したので報告する。

【キーワード】 胆管内発育型肝細胞癌、非 B 非 C 型肝癌

症例報告

既往歴:66歳〜高血圧、高脂血症

生活歴:飲酒歴なし、喫煙歴20歳〜50歳まで40本/

日、輸血歴なし

現病歴:H18年 7 月頃より尿の黄染を自覚。同月会 社の検診にて尿の黄染を指摘され近医を受診。近医 にて黄疸を指摘され、精査目的に当科を紹介。

 入院時現症:身長 168cm, 体重 66.45kg, 血圧 130/

90mmHg, 脈拍 85/分・整, 体温 37.1℃, 眼瞼結膜に 黄疸(+),浮腫(−),チアノーゼ(−),胸部聴打診上 異常なし, 腹部聴打診上異常所見なし, 神経学的異常 所見なし

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県西部浜松医療センター学術誌 第 3 巻 第1号(2009)

入院時検査所見(表 1 ):T-bil、GOT、GPT、ALP、

γ-GTPなど肝胆道系酵素の著明な上昇を認めた。ま たCRP1.35と軽度の炎症所見を認めた。また肝炎ウ イルスに関してはHBs-Ag、HBc-Ab、HCV-Abは陰性 であり、腫瘍マーカーはCA19-9が198U/mlと上昇し ていた。

表1 Laboratory data on admission

腹部超音波:肝両葉の肝内胆管の拡張を認め、右胆 管内に腫瘍を認めた。

腹部CT:肝両葉の肝内胆管は拡張しており、右肝管 から総胆管に腫瘤を認める。

MRI(図  1):MRIではT2WIで淡い高信号(b)、

T1WIで低めの中間信号(a)を呈する腫瘤性病変を認め た。また総胆管内に腫瘤を認め、肝門部の腫瘤と連続 性を認めた(c)。肝門部腫瘤は造影早期にて一部濃染 し、遅相では周囲と同信号を呈している(d)。

図1

Figure-1) Abdominal Magnetic resonance imaging. a)T1-weighted axial image showed a tumor with low intermediate intensity in porta hepatis. b) T2-weighted axial image showed a tumor with high in-tensity in porta hepatis.

c) T1-weighted coronal image showed a tumor in the common bile duct ,which is a direct  continuity of a hepatic portal region. d)A hepatic portal region tumor does a deep color in dyeing partly in the contrasting early stage and gives circumference and the sig-nal in late stage.

PTCD:左葉の胆管よりPTCDを施行。造影では肝 両葉の肝内胆管の拡張を認め、総胆管より乳頭部側 に腫瘤の存在が疑われた。また胆汁細胞診にて腺癌 細胞が確認された。

ERC(図 2 ):総胆管内に鋳型様の腫瘤影を認め(a)、 造影カテーテルは狭窄部を通過可能であった(b)。

図2

Figure-2)Endoscopic retrograde cholangiography. a) it shows a mold-like tumor shadow in the common bile duct. b) The contrast-ing catheter was able to pass stenotic region.

 臨床経過:入院後にPTCDを施行し減黄は良好で あった。画像所見より一部右肝動脈への浸潤は疑わ れたが遠隔転移や肝内転移は指摘できず、腫瘍が肝 右葉S 5 の肝門部付近に限局していることから肝門 部胆管癌stageⅢ(T3N0M0)と診断し手術を検討し た。肝機能はアシアロシンチにてHH15=0.623、

LHL15=0.910と軽度の低下を認めており、切除肝の 範囲を考えると術後に肝不全のriskがあることから 門脈塞栓術を施行することとした。門脈塞栓術を 7 月31日施行し、CT volumetoryにて肝左葉は全肝容 積に対して22.94%から36.24%に増大した。9 月 4 日 に拡大肝右葉切除術(肝右葉+尾状葉)+肝外胆管 切除術を施行した。病理診断ではHepatocellar  car-cinoma  with extension in the common bile duct simple nodular type、poorly differentiated hepatocellular

carcinomaでありリンパ節転移は認めないものの静 脈浸潤や神経周囲浸潤を認めた。背景肝は正常で あった。

 病理所見(図 3 ):肉眼的には 4 × 6 cm大の胆管 内を進展する腫瘤を認め、それと連続するように肝 内に境界が明瞭な白色な腫瘤を認めた。組織学的に は索状型、充実型な増殖像を呈し低分化型肝細胞癌 であった。肝内腫瘤と胆管内腫瘤の連続性は病理所 見でも確認された。

図3

Figure-3)Resected specimen and histological findings:a)it shows a tumor which progressed in a bile duct of 4×6cm size. b)  histo-logical findings(HE strain)of HCC reveals poorly differentiated hepatocellular carcinoma with extention in the common bile duct

(encircled region).

 術後経過:手術直後にAFP、PIVKA-2を検査した ところPIVKA-2は198 U/mlと上昇していたが、その 後の経過では正常化している。経過は良好であり9 月末に退院となり、術後 7 ヶ月経過した現在も術後 再発は認めていない。

考 察

 肝細胞癌は進行する過程において門脈や肝静脈に 発育進展するが、しばしば胆管に進展することもあ る。第11回全国原発性肝癌追跡調査報告(1990〜91 年)では肝外胆管へ進展するものは9.2%に及ぶとさ れている1)。胆管内発育型肝細胞癌は、黄疸、黒色 便、腹痛などを初発症状として発見されている。画 像ではPTCやERCなどの胆管造影が有用であり、① 大きく柔らかい陰影欠損、②体位により形の変化す る陰影欠損、③胆管壁に硬化不整が見られない、④

完全閉塞には至らず、造影剤が胆管壁との間を通過 する3)、などの特徴が示されている。またCT、MRI では造影早期で高吸収域として、遅相で造影剤は wash outされるという一般的な肝細胞癌としての所 見を呈することが多い。この胆管進展型肝細胞癌の 臨床的特徴としては①肉眼型で単純結節型の割合が 少ない、②門脈肝静脈浸襲を保有する率が高い、③ 被膜形成を伴わないものが多い④病理診断上、細胞 異型度が低〜中分化の頻度が高く、肉芽様変化や淡 明細胞等特殊型が多い、⑤リンパ節転移率が高く、

術後リンパ節転移再発や肝外再発が多い3)。さらに 予後は不良であるという報告がある一方で、最近で は画像診断の進歩により切除可能な症例が増えてき ている。

 一方、肝細胞癌はウイルス性肝疾患を背景に発生 することが圧倒的に多い。その他の因子としてアル コール、自己免疫性肝疾患、NASHなどの関与も報 告されている2)。本症例は非B非C型肝細胞癌であ り、背景肝には異常がなく原因は不明である。非B 非C型肝細胞癌は肝癌全体の 5 〜15%とされている が、その臨床像については未だ明らかではない。最 近の報告例をみると、進行して発見される症例が多 く、診断時の腫瘍因子によって予後が規定されると いう報告も見られた。非B非C型肝細胞癌を臨床の場 で発見するのは困難であるが、本症例のように症状 を有する例ではその限りではない。症状発現に伴い 比較的早期に発見され根治的な治療を受けることが できると考えられる。

 本症例では背景にウイルス性肝炎の関与がないこ と、画像上造影遅相において周囲肝と同程度の造影 効果を認めていること、CA19-9の上昇があることよ り術前には胆管癌と診断した。術後に分化度の低い 肝細胞癌と判明したが、retoroprospectiveにみると ERCPでの画像所見は胆管内発育型肝細胞癌特有の 所見を呈していたことがわかる。

 1990年以降で医中誌において調べえた症例報告例

(表 2)についてまとめる。

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県西部浜松医療センター学術誌 第 3 巻 第1号(2009)

表2 Reported cases of HCC invaded in the bile duct

since 1990 in Japan

 術前に肝細胞癌と診断がついた症例の多くは背景 にウイルス性肝疾患や肝硬変などを有しており、腫 瘍マーカーの上昇やCT造影早期相での濃染像を認め ていた。中には本症例と同様に術前診断では胆管癌 と考えられていたが術後に肝細胞癌と判明した症例 も報告され、その理由に背景にウイルス肝炎が無い こと、胆管内発育をきたす肝細胞癌は低〜中分化な ものが多く、造影画像において典型的な肝細胞癌と 異なる造影効果を示すことなどがあるためと考えら れた。術後経過の中で多くの症例で再発は見られて いないのは、最近の画像診断の進歩や早期発見に伴 い、治癒可能な症例が増えているものと考えられる。

結 語

 本例のような胆管内発育型の肝細胞癌では典型的 な肝細胞癌の画像所見を示さないことがあるため、

肝内胆管癌との鑑別には注意を要する。胆管内を進 展する腫瘍において、ウイルス肝炎が背景に無くて も肝細胞癌も念頭におく必要がある。

文 献

1 )中西敏夫、北本幹也、梶山梧郎、他.特異な発 育を示す肝癌(塊状方肝癌、有茎性肝癌、肝外 発育型肝癌、びまん性肝癌、胆管内発育型肝細 胞癌など).別冊 日本臨床 領域別症候群7;

495−497

2 )全陽、中沼安二.肝癌の治療のすべて.肝胆膵 2006;53(5);611−617

3 )高橋豊、大坪毅人、山本雅一、他.胆管侵襲を 伴う肝細胞癌の臨床病理学的検討.肝臓2005;

46(3);99−106

4 )林譲司、山下裕一、黒肱敏彦、他.胆管内発育 型肝細胞癌の3切除例.日臨外医会誌 1991;

52;630−634

5 )杉浦信之、三木亮、北和彦、他.肝内胆管内に 腫 瘍 の 発 育 を 認 め た 肝 細 胞 癌 の 2 例 . 肝 臓 1991;32(1);72−76

6 )内田直里、赤木真治、栗栖佳宏、他.Icteric type hepatomaの 1 切除例.日臨外医会誌1993;

54(3);735−740

7 )金城僚、花城直次、白石祐之、他.胆管内増殖 を伴う細小肝癌の1治験例.肝臓1 9 9 5 ;3 6

(9);542−546

8 )加藤健太郎、森田高行、長岡央樹、他.胆管内 発育型肝細胞癌の 3 切除例.日消外会誌2001;

34(6);595−599

9 )田中森嗣、竹山廣光、真下啓二、他.閉塞性黄 疸をきたした胆管内発育型肝細胞癌の1 切除 例.日消外会誌2002;35(3);287−291 10)永橋昌幸、河内保之、牧野成人、他.胆管内発

育し胆道出血をきたした肝細胞癌の1例.日臨 外会誌2004;65(10);2732−2736

11)横山幸浩、金井道夫、中村従之、他.肝右前区 域原発胆管内発育型肝細胞癌の1切除例. 肝 胆膵治療研究会誌2006;4(1);12−18

A case of hepatocellular carcinoma growing into the bile duct with specific endoscopical findings.

A  66-year-old  man  was  admitted  for  jaundice.

Hepatobiliary enzymes were markedly elevated. Vi-ral hepatitis markers were negative. Image assessment revealed tumors  of  2cm in diameter extending from the hepatic portal region to the common bile duct and the bilateral intraheptic bile ducts were dilated. We attempted percutaneos transhepatic cholangio drain-age for reduction of jaundice and the diagnosis. Hilar cholangiocarcinoma was diagnosed with the biliary cytology. After transcatheter embolization for the right branch of the portal vein, we conducted expanded

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