点病院として先端医療技術を駆使し市民への貢献度 の拡大、2.近隣医療機関との連携を強化し地域の 診療に役立つ画像情報の提供、3.大学・民間の研 究機関と協力して地域の医療水準の向上に貢献」を 基本方針とし運営を行ってきた。開設から12年を経 た現在、PET施設の増加と厳しさを増す医療情勢の 変化もあり、平成19年度にはPET検査利用率が23.4
%、院外紹介率が54.6%減少し、共同利用率が16%
であった。
そこで、マーケティングリサーチを行い利用率減 少の要因を探り、改善策を実施することで、顧客集 客力が高まり、市民に対する貢献度の拡大を図るこ とを目的に動き出した。具体的には、先ず目標に向 かって一丸となり実践できる組織としての機動力の 発揮に努めつつ、マーケティングリサーチから得た 情報を整理・分析・検討した。検討結果を踏まえ、
簡単・便利・広報を基軸に改善策を立て実行した。
先ず先端医療技術センターの方針が各医療機関の医 師に理解され、利用率が向上することを目標とした 広報活動の展開。次に検査に係る数値目標として、
①全身PET/CT検査件数30%増②院外紹介件数30%
先端医療技術センターにおける 地域医療への貢献をめざした取り組み
先端医療技術センター 市川智恵子、高井 やよ、菅野 敏彦、谷崎 靖夫、渡辺かず子
【要 旨】 「先端医療技術を駆使し、近隣医療機関との連携の強化で、地域の医療水準の向上に貢献」を 基本方針とし運営してきた。開設後順調に経過したが、平成 19 年度に全身 PET検査に係る件 数が顕著に減少した。そこで、顧客集客力が高まり、市民に対する貢献度の拡大を目的にマー ケティングリサーチを実施、簡単・便利・広報を基軸に改善策を実行した。先ず各医療機関 へ方針を周知。次に、全身 PET/CT 検査件数 30%増 を始めとする 5 項目増を数値目標とし て掲げた。結果、浜松市内外の病院・開業医への訪問活動を展開。同時にPETのプレゼンテー ション 6 回、セミナー 2 回開催。その後、医療機関への周知と全ての数値目標を達成し、市 民への貢献度の拡大が図られた。
【キーワード】 市民への貢献、マーケティングリサーチ、簡単・便利・広報活動
活動報告
増③利便性の工夫で直接来院件数30%増④頭部PET 保険適用件数50%増を掲げた。
結果、広報活動の展開では、浜松市内外の12病 院・開業医16医院の訪問活動を実施した。同時に、
各医療機関の医局を対象としたPETのプレゼンテー ションを 6 回、医師・看護師・医療連携職員を対象 としたセミナーを 2 回開催した。その場では、先端 医療技術センターでのPET検査や検査申込から終了 までの手順に係わる理解を深めることを目的とし た。その後、プレゼンテーションに参加した医師を 始めとし各医療機関から、患者の紹介が散見され、
共同利用率も 8 %増加した。さらに、検査に係る数 値目標の増加では、全ての項目において数値目標を 達成し、市民への貢献度の拡大が図られた。
目 的
平成 8 年 4 月先端医療技術センター開設当時、
PET施設は 1 施設であった。平成18年 8 月、浜松聖 隷病院がPET施設開設のため、浜松市内に 2 施設が 存在し、競争原理が働く環境となった。この年の下 半期から全身PET件数が徐々に減少し平成19年度に 激減した。
そこで、顧客集客力を高めることで、市民に対す
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県西部浜松医療センター学術誌 第 3 巻 第1号(2009)
る貢献度の拡大を図り、先端医療技術センターの方 針が各医療機関の医師に理解され、利用率が向上す ることを目的に取り組みを行った。
方 法
以下の方法で取り組みを実施した。
1 現状に即したパンフレットを作成し、広報展開 の手段として活用する。
2 現状に即したホームページを更新する。その情 報を広報する。
3 院内外の医療機関を対象としたPET 検査に係る 広報活動を展開する。
1)PET検査に係る事柄を情報提供する。
2)画像診断医の存在、来院手段として手軽な 来院方法を取り入れたこと、迅速な結果報 告が可能であることなどの強みに関する広 報を実施する。
4 院内外の医師・看護師・放射線技師・事務を対 象としたセミナー・プレゼンを開催する。
1)PETの総論・各論について分かりやすく情 報提供する。
2)PET検査に係る申し込みから帰宅の流れに ついての具体的な情報提供をする。
結 果
1 8 月末にパンフレットを更新し、院内外の医療 機関への広報活動展開時に活用した。
2 12月末にホームページを更新し、一般公開は平 成21年 1 月に実施した。
3 広報活動の具体的な展開
1)ネットワーク構築への第一歩
医療機関への広報活動としては、図 1 に 示すように、浜松市内の開業医16医院、浜松市 内 8 病院、浜松市外 4 病院に訪問した。総勢97 名の医師・看護師・地域連携室職員一人一人の 皆様に対し「P E T 検査に係る情報提供」を行 い、理解が得られるように丁寧に説明した。こ れらを通じて、各医療機関とのネットワーク構 築への第一歩を踏む出すことができた。
図1 広報活動の展開
2)医師によるセミナー開催:浜松市内 1 回・
浜松市外 1 回の合計 2 回
3)医師、看護師によるプレゼン開催:浜松市 内 4 病院各 1 回・浜松市内1病院各 2 回 内容:PET/CTについて、PETの申し込み から検査来院までの取り組みを合計 6 回平 成20年度13か所の病院・開業医から新規紹 介があった。
4)目標値達成:今回、掲げた数値目標は、図 2 に示すように、全身P E T / C T 件数4 1 %増
(目標値30%)、院外紹介件数62%増(目標 値30%)、直接来院件数78%増(目標値30
%)、頭部PET保険適用件数89%増(目標値 50%)であった。このように、全ての項目で 目標値を大きく上回り目標は達成できた。
図2 目標値
考 察
図 3 に示すように、マーケティングリサーチによ り院内外の情報収集を的確に実施し、その際、起き ている現象に着目。得られた情報を分析・整理し協 働チームに開示し、検討した。その後、事実判断で の意思決定を行い、協働チームによる改善策を立 案、実行。具体的には、院内外の医療機関に簡単・
便利を基軸とした改善策を立て実施していることを 周知した。その場では、基本方針や改善策が理解さ れるような説明を丁寧に実践。進捗状況の検証や効 果の検証により、さらなる改善策を追加し実施し た。これら一連のプロセスが有機的に働いたことに より、目的は達成できたと考える。
また今後も、組織としての継続的なマーケティン グリサーチによる情報収集・検討・事実判断による 意思決定・周知・実行・検証のプロセスを丁寧に実 践し、さらなる地域医療機関のネットワーク構築へ と推進したいと考えている。
図3 組織としての機動力の発揮
結 語
1 数値目標の全てを達成できたことで、顧客集客 力が高まり、市民に対する貢献度が拡大した。
2 先端医療技術センターの方針が、各医療機関の 医師に理解され、院外紹介が増し、共同利用率 が約 8 %増加した。
3 目標に向かって、協働チームとして情報を共有 し、実践したことで、先端医療技術センター部 門の活性化が図られた。
おわりに
広報活動を展開するにあたり院内外の多くの医師 を始めとする皆様に大変お世話になりました。ここ ろより深謝いたします。
文 献
1 )新 ・ 病 院 経 営 管 理 の ヒ ン ト . 病 院 経 営 . No397:2008
追補 図 4 市民への貢献活動の紹介
図4 市民への貢献活動の紹介
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はじめに
輸血療法委員会は直近数年間で「院内血(院内で 採血された血液)の輸血(いわゆる生血輸血)の禁 止」(2007 年 2 月)、「全ての血液製剤の医師と看護 師によるダブルチェック」(2007 年 4 月)、「輸血部 門の独立(輸血管理室の新設)」(2008 年 7 月)を実 現してきたが、今回(2008 年 7 月)は「輸血前の感 染症検査実施率向上」を目標に掲げ新システムを導 入しその成果を上げているのでここに報告する。
背 景
輸血製剤は献血された血液を材料にして生産され る。献血された血液は、製剤化される前に血液セン ターで行われる感染症検査によりB型肝炎ウイルス
(HBV)、C 型肝炎ウイルス(HCV)、エイズウイル ス(HIV)の感染の有無のチェックを受ける。陽性で あることが判明すれば、その血液はもちろん破棄さ れ血液製剤として使用されない。その結果これらウ イルスに関する血液製剤の安全性は非常に高まって いる。しかしながら、輸血行為によりこれらウイル スに感染する危険は残念ながらゼロではない。検査 の信頼性が100%ではないためである。これが受血 者の輸血前後の感染症検査が必要となる所以であ る。輸血によるウイルス感染に対して被害者救済制