1 ;皮膚科医師、医療安全推進室担当者、薬剤科担 当者においてマニュアルの草案を作成する。
2 ;上記担当者及び抗癌剤治療に従事している医師 にも参加依頼をし、マニュアルの草案を検討する。
3 ;全職員へ、「血管外漏出時対応マニュアル」を 配布する。
4 ;医療従事者へ、薬剤の血管外漏出への対応につ いてアンケートを実施する。
結 果
1 ;皮膚科医師、医療安全推進室担当者、薬剤科担 当者においてマニュアルの草案を作成
血管外漏出時、使用薬剤により皮膚組織への障害 の程度が異なるため、薬剤の分類方法を当院では、
「壊死性抗癌剤」、「炎症性抗癌剤」「軽度炎症性抗 癌剤」「強アルカリ性薬剤」「局所刺激/細胞毒性/
細胞障害薬剤」「血管収縮性薬剤」「造影剤」の 7 分類とした。実際の血管外漏出発見時の医療従事者 ごとの対応方法については、①看護師対応が可能な 部分として、現状把握・保冷保温など初期の対応を 示し、②医師の指示が必要な部分として、ステロイ ドの局所注射や軟膏の処置について記載し、以上ひ
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県西部浜松医療センター学術誌 第 3 巻 第1号(2009)
と目で全内容がわかるように、文章を必要最小限と し、指示を明確に記載したマニュアルの草案を作成 した。この段階で対応方法のフローチャートの必要 性が挙げられたため、視覚的に判断できるよう、色 分けし対応方法及び薬剤分類を作成した。
2 ;上記担当者及び抗癌剤治療に従事している医師 にも参加依頼をし、マニュアル草案検討
多職種の話し合いにおいて、筋肉注射を行う薬剤 に関しては、原則血管外へ投与されるため除外し た。また、不明確との指摘を受けた、時間外におけ る医師への連絡方法は、管理当直医へ連絡し、必要 に応じて担当医へ連絡することを明確とした。な お、抗癌剤の血管外漏出における看護師の対応につ いては、被爆の危険性を回避するため「マスク・
ゴーグル・手袋・廃棄ボックス」を準備し対応する こととした。
3 ;「血管外漏出時対応マニュアル」配布
「血管外漏出対応マニュアル」(図 1 )及び「血管 外漏出対応フローチャート」(図 2 )を完成させ、
2008年12月に医師、病棟、外来、薬剤科へ配布を 行った。全職員には、院内オーダリングシステムの コミュニケートツールを利用し情報発信を行った。
図1 血管外漏出対応マニュアル
図2 血管外漏出対応マニュアルフローチャート
4 ;医療従事者へ、アンケート実施(図 3 ) アンケートの回収(回収率)は、医師46名(41
%)、看護師104名(100%)、コメディカル(リハビ リテーション科、臨床工学科、薬剤科)18名(67
%)で、全体では168名(69%)であった。
抗癌剤の血管外漏出は、全体の28%は経験がある と回答している。うちわけとして、「経験あり」
は、医師52%、看護師20%、コメディカル11%で、
看護師及びコメディカルは約80%以上が抗癌剤での 血管外漏出の経験がなかった。しかし、抗癌剤以外 の薬剤での血管外漏出においては、約90%の医師、
看護師は経験があると回答している。「血管外漏出 対応マニュアル」の周知に関しては、全体の89%が 知 っ て い る と 回 答 し て い る 。 う ち わ け と し て 、
「知っている」は、医師83%、看護師92%、コメ ディカル83%であった。
血管外漏出を経験された患者または家族への、血 管外漏出に対する説明書の必要性に関しては、全体 の77%が必要あると回答している。
図3 薬剤の血管外漏出への対応についてのアン
ケート結果考 察
患者に関わる臨床現場では、医師、看護師、コメ ディカルにおいて、血管外漏出時における、知識や 対応方法の混乱が生じている可能性が考えられたた め、今回、多職種の協力を得て「血管外漏出対応マ ニュアル」を完成させ、病院内への周知徹底を行っ た。
薬剤の血管外漏出への対応についてのアンケート 結果より、約90%以上の医師、看護師が血管外漏出 の経験があることがわかった。また、多職種で平均 的にマニュアルが周知されていることもわかった。
しかし、実際は血管外漏出時に医療従事者によっ て、迅速に統一された処置及び患者対応が行われて いるかまでは確認できていない。今後は、ヒヤリ ハット報告またはインシデントレポートなどから、
事例の集積・分析を行い、マニュアルの運用状況を 評価し、より実践的なマニュアルに改訂していく必 要があると考える。
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さらに、マニュアルに加えて血管外漏出を経験し た患者または家族への説明に関しては、適切な処置 が記載されている説明書を整備する必要があると考 えられる。
例えば、外来化学療法室などで治療中に血管外漏 出をおこし、処置して帰宅される患者の自宅での判 りやすい対処方法が記載されていれば、患者及び家 族に安心感が生まれるであろう。
また、血管外漏出の第一発見者は、しばしば患者 であるため、先述した 7 分類に該当する薬剤を使用 する患者及び家族に、あらかじめ血管外漏出につい て説明を行うなど、患者への指導により問題発生を 回避することも可能と考える。
最後に、注射薬による血管外漏出は、アンケート 結果でも示されているように、重要な医療事故の一 因と考えられるため、今後は血管外漏出発生予防に 関しても検討していく必要があると考える。
文 献
1 )大石了三、池末裕明、伊藤善規:がん化学療法 ワークシート、じほう:2003. 146-149
2 )小笠原信敬:がん薬物療法のセーフティマネジ メント、月刊薬事:2007. 1537-1543
3 )間瀬広樹、稲吉隆行ほか:抗がん剤血管外漏出 に対する血管外漏出キットの運用と評価、日病 薬誌:2007. 1687-1690
4 )宇野珠里、松本玉青:Expert Nurse:2006. 1157-58
はじめに
急性細菌性前立腺炎は日常診療でしばしば遭遇す る疾患であるが、この内 3 〜 5 %が前立腺膿瘍に移 行すると言われている1)。比較的小さな膿瘍では保 存的治療のみで治癒が期待できるが、大きな膿瘍で は何らかの外科的治療が必要となる2 )。今回我々 は、前立腺膿瘍に対して経会陰膿瘍穿刺ドレナージ を施行し治癒を得た 1 例を経験したので、文献的考 察を加えて報告する。
症 例
患 者:60歳、男性
主 訴:排尿困難、全身倦怠感
既往歴:以前に尿糖を指摘されるも放置 家族歴:特記すべきことなし
生活歴:アレルギーなし、喫煙なし、機会飲酒 現病歴: 1 週間前から続く排尿困難と全身倦怠感を 主訴に近医を受診。ショックを伴う尿路感染症と診 断され、同日当院救急外来紹介受診となった。
初診時現症:意識清明。血圧 90/55 mmHg、脈拍 126 /min 整、呼吸数 24 /min、SpO2 95%(room air)、体温 36.0℃。頭頸部、胸腹部、四肢に特記す べき所見なし。直腸診にて前立腺両葉に軟らかい腫 瘤を触知した。
初診時検査所見:WBC 47900 /μl (Band 10.0 %, Seg 87.0 %, Lympho 1.0 %, Mono 1.0 %, Eosino 0.0