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い.このモデルでは,PMV のような⽬標内傾⾓は求めないが,仮に発⽣横加速 度(ÿ)に基づく⽬標内傾⾓(TRA*)を求める(図 5-15)と,図 5-13 に於ける PMV 同様,旋回内側への⼤きな内傾⾓が必要となる.

図 5-15 乗⽤⾞の実際のロール⾓(φ)は⼤変⼩さい

図 5-16 乗⽤⾞の体感横加速度(

DLA )は実際の横加速度(ÿ )よりむしろ⼤きい

しかしながら従来の⾃動⾞は,逆に旋回外側にロールする.これを抑制するた めに実際の⾞両開発では様々な⼯夫がなされている.このロール,あるいは内傾 による,ドライバの体感する横加速度(DLA)の発現の仕⽅が,

旋回内側に内傾

する PMV が従来の⾃動⾞と⼀線を画する点である.

図 5-14で PMV のドライバが感じる横加速度が⼩さな値にすぎなかったのに

対し,従来の⾃動⾞のドライバは,図 5-16

に⽰すように,かなり⼤きな横加速 度を感じていることが分かる.

⾞両のロールによりドライバが感じる横加速度(DLA)は地⾯座標系での横加

速度(ÿ

)よりもむしろ助⻑される.このため,⼀般にロールを抑制するほど,

その⾞両はドライバにとって運転し易くなるとされている.

5.3.4. モーションベースによる⾞両挙動の再現

5.3.1.項で述べたように,ドライバが感じる横加速度(⾞両座標系での横加速 度;DLA)はモーションベースのロール⽅向の傾きで表現され,ドライバが感じ る内傾⾓は,視覚情報として,そのモーションベースの姿勢に対する画⾯のロー ル⽅向の回転⾓として表現される.

モーションベースの動きでこの様⼦を確認するにあたり,モーションベース の稼働範囲の制約からその動きの倍率は 0.3 とした.⼩型の

6

軸モーションベ ースとしては⽐較的⼤きめであり,従来の⾃動⾞モデルでの DS 実験では,

やや

違和感を感じ始めるレベルであることがわかっている.

図 5-17 乗⽤⾞でのモーションベースの横移動とロール⽅向の傾き

まず従来の⾃動⾞の⾛⾏状況(図 5-15,図 5-16)に対応したモーションベー スの動きを図 5-17に⽰す.

再現されるべきドライバの体感する横加速度(DLA)

は 3m/s

2 程度であるものの,モーションベースの動きの倍率が 0.3 であるため,

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

1

Lateral Position Roll Angle

20 40 60 80 100 120 140 160

(sec) 0

0.3

0.1 0 -0.1

-0.3 0.2

-0.2 (m)

6

2 0 -2

-6 4

-4 (deg)

Lateral Position Roll Angle

モーションベースのロール⽅向の傾きは 5〜6度に留まる.このロール⾓で再現 されるドライバの体感する横加速度は,単純計算で 1m/s

2 程度になっている.

PMV では,図 5-14 に⽰すようにドライバの体感する横加速度(DLA)は 0.3m/s

2 程度であり,従来の⾃動⾞(図 5-16)に⽐べてかなり⼩さい.図 5-14

の横加速度(DLA)の波形を⾒ると,定常値は極めて⼩さく,主に動的なもので あることも分かる.これを再現するモーションベースのロール⾓もまた,図 5-18に⽰すようにかなり⼩さい.モーションベースのロール⽅向の傾きは 0.5 度

程度であり,このロール⾓で再現されるドライバの体感する横加速度は,計算上

では 0.1m/s

2 程度ということになるが,DS を運転するドライバにとって,実質

上判別が難しいほど⼩さな値になっている.

図 5-18

PMV でのモーションベースの横移動とロール⽅向の傾き

5.4. 第 5 章のまとめ

PMV は従来とは⼀線を画した⾞両であり,その開発初期には DS による運転 者の感覚を活かしたコンセプト開発が⽋かせない.本章では旋回中に内傾する PMV の本格的研究に先だって,PMV の⾛⾏状態を通常の⾃動⾞と⽐較して考 察した上で,この DS を⽤いて,その⾛⾏状態の再現の様⼦を従来の⾃動⾞と⽐

較した.その結果,この DS が内傾型 PMV 研究という⽬的に適した機能を有し ていることが確認できた.

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

1

(sec) 0

0.3

0.1 0 -0.1

-0.3 0.2

-0.2 (m)

20 40 60 80 100 120 140 160

6

2 0 -2

-6 4

-4 (deg) Lateral Position Roll Angle

Lateral Position Roll Angle

5.4.1. ⼒の釣り合いによる⾛⾏状態の整理

⾞両の⾛⾏状態の把握の基本として,まず動的成分が含まれない定常円旋回の

状態を, ⼒の釣り合いなど机上で分かり易く整理した. 旋回中に内傾する PMV

では,ドライバの感じる横加速度の定常値が概ねゼロであり,内傾⾓はドライバ の眼から⾒れば路⾯がその⾓度だけ傾いていることになる.これが旋回中に内 傾する⾞両の特徴であり,ドライバの感じる横加速度を助⻑する側にロールす る通常の⾃動⾞とは⼀線を画すところと⾔える.

5.4.2. DS での⾛⾏状況の再現

次に現実の道路の例として, ⼭道の下りの場⾯にて,DS での⾛⾏状況再現の 様⼦を確認した.机上での考え⽅の整理通りに,

旋回中のドライバが感じる横加 速度が従来の⾃動⾞に⽐べて極めて⼩さいために,ロール, 横⽅向へのモーショ

ンベースへの要求は⼩さく,VR空間内に設置されるモーションベースの制約の

中でも,⼗分に⾛⾏環境を再現できることがわかった.⼀⽅,PMV が従来⾃動

⾞に⽐べて⼤きく内側に内傾する⾓度は VR画⾯の傾きで表現され,没⼊型 DS の強みが活かされていることが確認できた.

社会実装段階においては,PMV はモーターサイクルよりやや内傾⾓が⼩さく,

それでも通常旋回中に転倒しない範囲に内傾⾓が設定される可能性がある.今 回は PMV 評価の⼀般的条件として,ドライバが⾞両座標系での横加速度を感じ ないバランス⾓度の内傾⾓に対してやや⼩さな内傾⾓を⽤いたが,モーション ベースのロール,横⽅向⾃由度により,無理なくその⾛⾏状況を再現できた.

5.4.3. モーションベースの倍率設定

モーションベースの動きの倍率については,その制約内にて設定することにな る.

旋回中に内傾する PMV ではモーションベースの制約は従来の⾃動⾞に⽐べ

て⼩さい.⼀⽅,ホイールベースが短く重⼼が⾼い傾向にある PMV では,ピッ チング⽅向にはモーションベースの余裕がない.

今回,ロール, 横⽅向の⾛⾏状況はよく再現されており, 通常⾛⾏中のドライ

バと⾞両の,主に内傾と横⽅向の関係研究には⼗分利⽤できることが確認され

た.ただし,

制動などを含めた前後,ピッチング⽅向の研究のためには,モーシ

ョンベースの動きの倍率の⽅向別設定など,更に検討を進める必要がある.

5.4.4. ロール倍率の設定

定常円旋回にて,⽬標内傾⾓の倍率を検討したところ,発⽣すべき内傾⾓に対 し実際の内傾⾓がかなり⼩さかったため,今回は⽬標内傾⾓の倍率

A

を 2.0 に 設定して検討を進めた.これは

CarMaker

上での⾞両モデルの作り⽅によるも のであり,DS の問題ではない.

この要因は⾃動⾞⽤ MBD である

CarMaker

上で内傾する PMV を成⽴させ るためにアクティブスタビライザー機能を使って強制的な内傾⾓を与えたため,

モデルの中で内⼒が⽣じているために

T P 値のみによる追従制御では定常値が⽬

標値に達しなかったためと思われる.

この偏差を解消するために,

今後は積分ファクタ T I

を加えた PID

制御にて検

討を進めることとする.

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 144-149)