• 検索結果がありません。

PMV の基本構成と運動特性解析⼿法

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 38-42)

図 2-1 制動時安定性のためには前⼆輪の構成が有利

図 2-2 TOYOTA i-ROAD

2.1.2.

操舵輪と駆動輪

前輪が⼆輪の i-ROAD は操舵輪が後輪となっている.⾃動⾞もモーターサイ クルも⼀般的に操舵輪は前輪であり,後輪の場合は⾞両速度が上昇すると運動 特性上⾞両が不安定になりやすい.これを回避するにはステアバイワイヤシス テムを⽤いた安定化制御が必要になる.i-ROAD では⾞両幅をできる限り狭く するために前輪操舵を諦め,安定化制御を前提とした後輪操舵を採⽤している.

⻑所は狭い⾞両幅であり,短所はステアバイワイヤシステムのためのコスト増 になる.

i-ROAD の駆動輪は前輪であり,左右輪にそれぞれインホイールモーターを

on breaking on cruising Breaking

Front axle Rear axle

Toyota Motor Corpora+on

配することで,ただ駆動するだけでなく,左右トルク差を積極的に与え, ⾼度な

運動性能を追求することも可能になっている.

⾮操舵輪での駆動ゆえに, ⽐較的 簡単な仕組みで成⽴できるが,⼆つのインホイールモーターのコストはどうし

ても割⾼になる.また,ばね下慣性の⼤きさゆえに,タイヤ接地性(グリップの

安定性)の⾯でも不利になる.

⾔い換えると同じ前輪が⼆輪の PMV でも,前⼆輪で操舵し⾮操舵の後輪⼀輪 に駆動モーターを配置すれば,安価で安定性の⾼いコンセプトを実現できるこ とになる.この場合,i-ROAD のような両⾜を前⼆輪の間に投げ出すドライビン

グポジションはとり⾟い.

2.1.3. サスペンション

i-ROAD では,前輪はフルリーディング式のサスペンションが採⽤されてい る.⾮操舵の駆動輪でその内側にドライバが⾜を投げ出すパッケージとしてこ れは都合がよいが,⼀般的な前輪操舵ではこのサスペンション構成は難しい.

通 常,図 2-3 のように,前輪にパラレルリンクを配し,⾞両の上下動とロール⽅向

の動きを分離する必要がある.左右に配置されたばね・ダンパーを内蔵するテレ スコピックサスペンションが,パラレルリンクに各⼆点で回転⾃由に固定され,

平⾏四辺形のようなリンク構造を構成する.⼆点間のスパンによってテレスコ ピックサスペンション⾃体のロール⽅向の動きは規制されるが,⼆点の回転⾃

由度によりテレスコピックサスペンションはパラレルリンクを回転させながら

⾃由に上下動可能となる.

これにより⾞両の上下動に対してはばね・ダンパーが作⽤するが,ロール⽅向 の動きに対してはまったく⾃由になる.この⾃由度がモーターサイクル同様,旋 回時に内傾することを可能にする.旋回中に横加速度と釣り合う⾓度まで内傾 していれば,遠⼼⼒による旋回外向きのロールモーメントと⾞両重量による旋 回内向きのロールモーメントが相殺される.

後輪が⼀輪の場合,⼀般的にはトレーリングアーム(スイングアーム)が⽤い られる.トレーリングアーム前端はボデー側⽀点に取り付けられ,その軸周りに スイングすることだけが許される.トレーリングアームの後端には後輪が回転

⾃由に取り付けられ,トレーリングアームのスイング運動が後輪の上下動とな る.電気⾃動⾞の場合,スクーターのエンジン配置(図 2-4)と同様,このトレ

ーリングアームに電動モーターを配置すれば,シンプルな構成で駆動輪のサス

ペンションを構成できる.

図 2-3 前⼆輪のパラレルリンクサスペンション機構

図 2-4 スイングアームに原動機を搭載する後輪サスペンション機構

2.1.4. 旋回時内傾の与え⽅(パッシブとアクティブ)

モーターサイクルでは,動的な運動⽅程式は⾃動⾞に⽐べると遥かに複雑で あり,ここでは紹介しない.旋回時の内傾はライダーによる⾞両のバランスで達 成され,旋回中の遠⼼⼒による旋回外向きのロールモーメントと⾞両重量によ る旋回内向きのロールモーメントが相殺され,ロール⽅向に何も⼊⼒しなくて もその内傾⾓が保たれる.

このことは PMV であってもまったく同様である.ただし PMV には,モータ ーサイクル同様にパッシブにこの内傾を起こするものだけでなく,アクティブ に内傾させるものがある.もちろんアクティブな作⽤は動的(過渡的)な場⾯だ

けであり,内傾して旋回を続ける限りロール⽅向に何も⼊⼒しなくてもその内

傾⾓が保たれることはモーターサイクルと同じである

(14)

.⾃動⾞のアクティブ サスペンション⾞が旋回中に⼤きな⼒を⼊⼒し続ける必要があるのとは,メカ ニズムが異なることを理解しておきたい.

パッシブな場合,⾛⾏中だけでなく停⽌時もそのメカニズムはモーターサイ クルと同様であり,旋回中はバランスよく⾛⾏できても,PMV でモーターサイ クルのように地⾯に⾜をつくのは難しいため,停⽌時に転倒しない⼿段を考案 する必要がある.

ごく低速で左右にアウトリガーが出て,⾞輪が菱形に配置され

るものも提案されているが,これでは幅の狭い PMV の⽬的に反し本末転倒だ.

図 2-5 パラレルリンクへのロールモーメント⼊⼒

アクティブな場合もメカニズム的に特に複雑になるわけではなく,図 2-5

⽰すように,前述のパラレルリンクのボデー側に回転⽅向に⼒を発⽣するアク

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 38-42)