PLATRA
5.3.2. DS を⽤いた⾛⾏状況の再現準備
⾞ 両 運 動 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム は , ド イ
ツ IPG Automotive 社
のCarMaker (HILS)を⽤いている.作成した PMV モデルは, 前
2輪, 後
1輪の三
輪⾞であり, 旋回中には内傾しながら⾛⾏する.没⼊型 DS による旋回時内傾す
る PMV の運動の再現性を⽬的とするため,ここでは,先⾏例である TOYOTA
i-ROAD と同様,アクティブな内傾機構を有し, 前輪駆動, 後輪操舵にてモデル
化した.このモデルの諸元を第 2 章の図 2-6,表2-3 に⽰した.
この⾞両モデルの構成に関しては第 2 章にて詳述した.アクティブに与える
⽬標内傾⾓は,式(2-3)にて与えられる.⽬標内傾⾓は仮の横加速度に釣り合う
時を 1.0
倍と想定し,その倍率は任意に変更できる.この⽬標内傾⾓は⼀般的な PID 制御によって追従される.制御パラメータは表 2-2 に⽰したように,本章 ではT P
=4000 とし,TI , T D
は⽤いてない.まず,半径 50m の定常円旋回にて,⽬標内傾⾓の倍率を検討した.計算上 56.8km/h の⾞速で横加速度は
4.98m/s 2
になり,この時⾞両座標系で横加速度 を発⽣しない内傾⾓は 26.9度となる.表
5-2 ⽬標内傾⾓の倍率( A )
の設定表
5-2 に⽰すように,式(2-3)の⽬標内傾⾓の倍率 A
を 1.0 に設定したところ,実際の内傾⾓は式(2-3)の
TRA
の値よりかなり⼩さかった.詳細は割愛するが,サスペンションのばね特性などにより,スタビラーザーに与える偶⼒を P 制御 にて合わせ込み切れなかったようだ.ここでは内傾制御機能を検討することが
⽬的でなく,⼗分な内傾⾓が発⽣する条件での予備的な確認が⽬的なので,⽬標 内傾⾓の倍率
A
の値により横加速度ÿ
に⾒合った内傾⾓を与えることとした.結果的に⽬標内傾⾓の倍率
A
を 2.0 として実験を進める.5.3.3. コーナーのある⼭道での DS 挙動観察
使⽤するシナリオ
(⾛⾏コース)は,図 5-9の⽇本平パークウェイの下りコー スとした.数多くの旋回を含む全⻑約1.9km,⾛⾏時間約2分40
秒のコースで ある.前節と同様,運転は付属のドライバモデルIPGDriver
を⽤い,上限⾞速 は60km/h,最⼤横加速度の⽬安は 3.0m/s 2
の条件で⾛⾏させた.この⾛⾏の様⼦を図 5-10 に⽰す.現実世界での⾃然な⾛⾏の様⼦がうまく再現されている.
Turning Radius 50m 50m
Actual Lateral Acceleration (ÿ) 5.00m/s 2 5.00m/s 2 Vehicle Velocity (v) 56.8km/h 56.8km/h User Amplification Factor (A) 1.0 2.0
Actual Lean Angle Roll 10.64deg 20.47deg
-4 -2 0 2 4 6 8
1
0 2.778 5.556 8.334 11.112 13.89 16.668
1
(sec) Vehicle velocity
0 60
40 30 20
0 50
10 (km/h)
8
4 2 0
-4 6
-2 (m/s 2 )
Lateral acceleration
V ehicle velocity
20 40 60 80 100 120 140 160
Lateral acceleration
図 5-9 ⽇本平パークウェイの下りコース図 5-10 ⾛⾏状況
まず前節で設定した⽬標内傾⾓の倍率の妥当性を確認した.図 5-11 に⽰すよ うに,発⽣した横加速度
ÿ
と,この PMV モデルの構造から導出された予測横加速度 PLA
は,極めて良い⼀致を⽰し,この DS シナリオ上でも⽬標内傾⾓の倍 率は妥当だと理解して良い.次に PMV の挙動として着⽬している,内傾⾓の発⽣状況を確認した.
Nihondaira
Parkway 1.9km
h2ps://www.google.co.jp/maps/
図 5-12 に⽰すように,⾛⾏シミュレーション結果としての横加速度(ÿ)から 導出した内傾⾓(TRA*)と,⾞両仕様から求めた⽬標内傾⾓(TRA)も必然的に 極めて良い⼀致を⽰す.図 5-11,図 5-12 は,⾞両のステア特性がほぼニュート ラルステアであることも⽰している.
図 5-11 予測された横加速度(
PLA )と実際の横加速度(ÿ )の⽐較
図 5-12
ÿ
から導出した内傾⾓(TRA*)と幾何学的⽬標内傾⾓(TRA)の⽐較ただし⾛⾏シミュレーション結果としての実際の内傾⾓については,図 5-13 に⽰すように,ほぼ
TRA*,TRA
に近いものの,先に述べた⽬標内傾⾓の倍率A
の値が,まだ少し不⾜していたため,それらよりわずかに⼩さい値を⽰した.次に,PMV が発⽣する横加速度を⾒る.5.3.1.項で述べたように,DS 上では
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4
1
4
2
0
-2
-4 (m/s 2 )
Lateral Acceleration 0 20 60 80 100 160
(sec)
40 120 140
PLA ÿ
TRA* TRA
R ol l A ngl e
横加速度の定常値は主にモーションベースのロール⾓で再現される.
図 5-14に⽰すように,⾞両の発⽣横加速度(ÿ)が⼗分⼤きな値であっても,
ドライバの体感する横加速度(DLA)は⼗分に⼩さい.図 5-13 で述べた若⼲の 内傾⾓の不⾜による,旋回外側へのわずかな体感横加速度も精度良く再現され ているが,DS 実験にて被験者が意識するほどの値ではない.
図 5-13
横加速度(ÿ )から導出した内傾⾓(TRA*)と実際のロール⾓の⽐較
図 5-14
PMV では体感横加速度(
DLA )は実際の横加速度(ÿ )に⽐べ⼤変⼩さい
⽐較のために従来の⾃動⾞で同じシナリオを⾛⾏した結果を図 5-15,図 5-16 に⽰す.PMV と同⼀のコースを同⼀のドライバ条件で⾛⾏したため,その発⽣
する横加速度(図 5-16)は,図 5-14で⽰した PMV の発⽣横加速度とほぼ等し
TRA*
R ol l A ngl e
Roll
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4
1
DLA ÿ
4
2
0
-2
-4 (m/s 2 )
Lateral Acceleration 20 60 80 100 160 0
(sec)
40 120 140
い.このモデルでは,PMV のような⽬標内傾⾓は求めないが,仮に発⽣横加速 度(ÿ)に基づく⽬標内傾⾓(TRA*)を求める(図 5-15)と,図 5-13 に於ける PMV 同様,旋回内側への⼤きな内傾⾓が必要となる.
図 5-15 乗⽤⾞の実際のロール⾓(φ)は⼤変⼩さい
図 5-16 乗⽤⾞の体感横加速度(
DLA )は実際の横加速度(ÿ )よりむしろ⼤きい
しかしながら従来の⾃動⾞は,逆に旋回外側にロールする.これを抑制するた めに実際の⾞両開発では様々な⼯夫がなされている.このロール,あるいは内傾 による,ドライバの体感する横加速度(DLA)の発現の仕⽅が,