TOYOTA AUTO BODY COMSTOYOTA i-Road
1.6. 本論⽂の構成と概要
社会実装のための Must 要件であるが未だ検討例のない,PMV の社会受容性
(運動特性⾯での安全性と環境負荷⾯でのエネルギー効率)を明確にすること でその社会実装を推進し,来るべきモビリティ社会の創造に寄与する.
図 1-19 本論⽂の論述構造
実⽤消費エネルギー解析
・乗⽤⾞
-
モード燃費-
実⽤燃費・PMVのエネルギー収⽀
消費エネルギー解析⼿法
・燃料消費量の概念式
・エンジン, パワトレモデル
モビリティ社会を取り巻く課題
・技術的背景
・⼩型軽量⾞両の位置付け
・PMVの必要性
PMVの歴史
・第⼀世代〜第三世代の振り返り
・内傾するPMVの登場
・内傾するPMVの社会受容性
内傾するPMVの基本構成
・パッケージ
・操舵輪と駆動輪
・内傾機構(パッシブとアクティブ)
運動性能解析⼿法
・マルチボデーダイナミクスモデル
・ドライバモデル
PMV研究のためのDS実験設備導⼊
・没⼊型DSの設備スペック
・内傾するPMVの運動再現
運動特性解析
・急操舵時内輪浮き現象
・障害物回避性能
-
前輪操舵vs
後輪操舵-
乗⽤⾞, MCとの性能⽐較DSによる⼈間-⾞両系検討
・ドライバモデリング
・⼈⾞⼀体感の解析
・Fun to drive な
PMVの要件
商品魅⼒
社会受容性 社
会受 容性
新しいモビリティ社会
社会実装
来るべき社会の創造のために
第 1 章 序論
研究の背景として,現在のモビリティ社会が抱える課題を整理し,来たるべき 社会における PMV に期待される必要性を述べる.PMV の歴史と旋回時に内傾 する PMV の位置付けを踏まえた上で,この新しいコンセプトが社会に受け⼊れ られるために,対応すべき課題を整理する.その社会受容性のための必須要件 は,運動特性⾯での安全性と環境負荷⾯でのエネルギー効率である.
第 2 章 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法
本著で対象とする旋回時に内傾する PMV のパッケージと,その主要な構成を 述べた上で,研究を進めるためのマルチボデーダイナミック(MBD)シミュレ ーションモデルの構成を述べる.合わせてシミュレーション計算を実施するた めのドライバモデルについて述べる.
第 3 章 運動特性解析
3.1. 急操舵時前内輪浮き現象
アクティブに内傾するがゆえの,急操舵時に発⽣する PMV の内輪浮き現象を 詳細に解析し,実⽤領域では問題になる可能性が低いことを⽰すとともに,ロー ル追従制御定数による内輪浮き現象の抑制例を⽰す.合わせて内輪浮き現象の 抑制も意識した,実際の開発⼿順として整理する.
3.2. 前輪操舵⾞と後輪操舵⾞の障害物回避性能⽐較
本著で述べる PMV の操舵輪として,前輪操舵のものと後輪操舵のものが想定 される.後輪操舵⾞の応答遅れについて,簡単な原理⾯での理解を踏まえ,障害 物回避性能⾯から前輪操舵⾞と後輪操舵⾞を⽐較し,前輪操舵⾞の優位性を⽰
す.PMV の社会実装時には前輪操舵⾞が適することを⽰す.
3.3. 乗⽤⾞,モーターサイクルとの障害物回避性能⽐較
旋回時にアクティブに内傾する PMV の社会的受容性確認のために,その障害 物回避性能を,乗⽤⾞およびモーターサイクルと⽐較する.PMV がモーターサ イクルより格段に⾼い回避性能を有し,乗⽤⾞に⽐べても同等以上であること
から,この PMV が⼗分な社会的受容性を有することを述べる.
3.4. 第 3 章のまとめ
アクティブな内傾機構を有する PMV の運動特性解析の結果,その運動特性は
⼗分な社会受容性を有すると結論づける.
第 4 章 実⽤消費エネルギー解析 4.1. 燃料消費量の⼤局的理解
エンジンの熱効率,パワートレインの伝達効率に加え,⾞両質量の軽量化を含 む⾛⾏抵抗(Road load)の低減など,⼤局的に燃料消費の概念をまとめる.重 量(質量)と前⾯投影⾯積の⼩さな PMV は,原理的に⾼効率である.
4.2. 乗⽤⾞におけるモード燃費
乗⽤⾞における燃料消費削減の将来像を⾒定めるために,筆者が開発した究 極的なエネルギー効率改善コンセプト⾞を紹介する.
4.3. 追加される実⽤消費エネルギー
実⽤燃費を議論すべく,室内冷暖房を含めた実⽤的なエネルギー消費につい て述べる.⼩型軽量な PMV は実⽤時の追加エネルギー消費においても,原理的 に⾼効率である.
4.4. アクティブに内傾する PMV のエネルギー効率
アクティブな内傾機構を有する PMV のエネルギー消費が,効率改善を意識し た超⼩型の PMV の存在意義と⽭盾するのではないかという懸念がある.実質的 にこのエネルギー消費を意識する必要はないこと,さらには 4.1.節,4.2.節,4.3.
節を受け,PMV が⼩型軽量であることが,エネルギー効率改善の鍵だというこ とを確認する.
4.5. 第 4 章のまとめ
アクティブな内傾機構を有する PMV がそのエネルギー効率⾯からも⼗分な 社会受容性を有すると結論づける.
第 5 章 内傾する PMV 研究のための DS設備
モビリティ社会のための⼈間研究と新しいモビリティコンセプト研究を念頭 におき,筆者が名古屋⼤学にて導⼊した没⼊型の⽴体視ドライビングシミュレ ータ(DS)を紹介した上で,その原理⾯から,旋回時に内傾する PMV 研究へ のこのDSの有効性を解説し,その検証結果を述べる.
第6 章 結論
本研究で得た結論をまとめる.旋回時にアクティブに内傾する PMV の存在意 義,社会的に受容されるための要件などを踏まえ,この PMV が,その運動特性
⾯からもエネルギー効率の⾯からも,⼗分な社会的受容性を有することを述べ る.三度⽬の正直を⽬指す研究開発を学術⾯から⽀え,さらにこの PMV の社会 実装に向けて今後取り組むべき課題を整理し,本著の括りとする.