FWS RWS
4) 回避⾛⾏中の接地荷重
前左右輪の接地荷重の変化を図3-37に⽰す.回避幅 1.5m,2.0m,2.5mのい ずれの場合も回避区間進⼊前に内輪(左輪)は浮き,接地荷重はゼロとなる.こ こでは横加速度が発⽣しているにも関わらず,
図
3-36 に⽰したようにロール⾓は⼗分に発⽣していない.回避区間進⼊前には内輪(左輪)の浮きは解消され,
図
3-35 に⽰したように切り返し操舵が開始される.図
3-37において回避区間の中央付近で,回避幅 2.5mの場合,反対輪(右輪)の浮きを発⽣するが,回避幅 1.5m,2.0mではこの浮きは発⽣してない.ただし
いずれも接地荷重はゼロに近く,⼗分な左右荷重移動があり,右旋回側の横加速 度を⽀えている.その後,図3-36 のように回避区間から脱出する付近で右旋回 横加速度が最⼤になるが,この時の⾞体ロール⾓は⼩さく,横加速度によるロー ルモーメントは,ほぼ左右荷重移動にて⽀えられていることになる.
このように,3.3.2.項で述べたロールモーメントの釣り合いにおいて,左右の 荷重移動が⾞体のロールに先⽴って発⽣し,横加速度による旋回外側へのロー ルモーメントに釣り合うための,⾞体ロール⾓による旋回内側へのロールモー メントの不⾜分を補っていることがわかる.
図3-37 接地荷重の横移動 (T
I
=50)5) 障害物回避時の仮想的なロール⾓
アクティブにロール⾓を与える PMV では,図3-37のように操舵⼊⼒に伴っ て遅れなく左右輪の接地荷重移動が発⽣する.モーターサイクル的な視点で⾒
れば,ロール⾓追従制御の遅れとロール慣性によるロール⾓発⽣遅れの間,仮想 的な追加ロール⾓が与えられたのと等価だ.この 2つのロール⾓を図3-38 に⽰
す.回避区間の中央付近で⾞体のロール⾓がピークを迎えるが,仮想的な追加ロ ール⾓は,既に反対⽅向の横加速度と釣り合うべきタイミングとなっている.
図 3-39 のように,PMV のこの仮想的なロール⾓と実際に⽣じる⾞体のロー ル⾓の和が,等価的にモーターサイクルの内傾⾓に相当する.これが横加速度と 釣り合うため,乗⽤⾞と同様に,この PMV では応答遅れのない横加速度が得ら れることになる.
図3-38 接地荷重移動を等価的な内傾⾓に換算 (T
I
=50)図3-39 等価的な内傾⾓の総和と横加速度の釣合い (T
I
=50)6) 障害物回避時のロール姿勢
図3-39 に⽰すように,回避区間からの脱出位置での横加速度が負の⽅向に最
⼤であるにも関わらず,図 3-35,図 3-36,図 3-38 のように,回避区間からの 脱出位置での⾞体の実際のロール姿勢はほぼ直⽴状態にある.これは内傾⾓が 発⽣してはじめて横加速度が得られるモーターサイクルでは望めない.
現実の障害物回避動作では,⾞体が障害物側に倒れこむ姿勢には危険側の要 素があるが,PMV にはモーターサイクルのこの弱点もないことを⽰している.