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ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 119-127)

図 4-13 定常円旋回でのコーナリング抵抗によるエネルギー消費を回避

図 4-14 定常円旋回時のエネルギー収⽀

直線から円旋回路に侵⼊する

PMV の, 内傾のためのエネルギー消費とコーナ

リング抵抗によるエネルギー消費を求める.図 4-11 に⽰すように,旋回半径は 50m,

停⽌状態から直線路にて発進し,

円旋回路に侵⼊しつつ加速を続け,定常

速度の 60km/h に達する.図 4-12 に⽰すように,内傾が始まる時,短時間のみ 内傾のためのエネルギーを消費し,あとは図 4-13 に⽰すように,コーナリング

抵抗によるエネルギー消費の回避が続く.図 4-14 に⽰すように,内傾のための エネルギー消費は実質的にゼロと考えてよい.

0 20 40 (sec) 60 80

0.8 0.6 0.2 -0.2 1.4 1.2 1.0

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

0.4 0

30 20 0 -10 70 60 40

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

10 50

Saved Energy Rate

Accumulated Saved Energy

4.4.3. パイロンスラロームでのエネルギー収⽀

定常円旋回とは反対に,パイロンスラロームでは常に内傾を繰り返すことに なり,

内傾のためのエネルギーを極端に消費する例となる.本報では,間隔

18m,

10 本のパイロンでスラロームコースを設定した.その⾛⾏の様⼦を図 5-15 に

⽰す.⾞両はスラローム区間前には 60km/h に達し,⼀定速度を保ちながらス

ラローム区間を通過する.

10 pilons Pilon span = 18m Vehicle speed = 60km/h

図 4-15 スラローム⾛⾏

1) ドライバモデルと⾛⾏条件

机上実験として,CarMaker に属する IPGDriver による⾃動⾛⾏を⾏った.

IPGDriver は,

仮想⾞両システムにおけるコンポーネントのひとつであり,⾞両 運動特性を認識した上で,前⽅

2

次予測モデルを基本として,規制されたコー

ス内での⾛⾏速度と⾛⾏軌跡を⾃律的に選択して⾛⾏する.

机上 実験 に⽤ いた ド

バモ デ

ル の特 徴的な パ

ラ メ

ー タと して"corner cutting coefficient (ccc)"があり,ccc=0 では定められた⾛⾏コースの中央を⾛

⾏し,ccc=1 では⾞両幅から許されるぎりぎりまでインカットする.つまり,

ccc=1 が最も楽な⾛⾏コースを辿る設定になる.

この条件で,ドライバのパラメータ ccc=0.4 以下では通過できずに転倒する ことから,このコース設定はほぼ限界に近い⾛⾏条件と考えてよい.

0 -20

-60 60 40

S te er ing W he el A ngl e ( de g)

V ehi cl e S pe ed ( km /h)

40 20 0 100 80

60 20

-40

0 -20 -40 -60 60 40 20

R ol l A ngl e ( de g)

0 5 10 15 (sec) 20 25

Steering Wheel Angle Roll Angle

Vehicle Speed

2) ドライバパラメータの影響確認

ccc : cornering cutting coefficient (Driver characteristics) ccc = 0.0 : No in-cut driving

ccc = 0.4 : Falling down

ccc = 1.0 : Maximum in-cut driving

図 4-16 ドライバパラメータ(ccc)の操舵⼊⼒⾓への影響

図 4-17 ドライバパラメータ(ccc)の発⽣横加速度への影響

図 4-15 を通過できるぎりぎりの条件の ccc=0.5,⼀般的な ccc=0.7,⽐較的 に楽な⾛⾏条件の ccc=0.9を⽐較した.ドライバ特性としては両極端な設定で も,⾛⾏すべきタスクが決められていることから,図 4-16,図 4-17に⽰すよう

0 -20 60 40

S te er ing W he el A ngl e ( de g)

20

-40

-60 0 5 10 15 (sec) 20 25

ccc = 0.5 ccc = 0.7 ccc = 0.9

0 -2

-8 8 6

L at er al A cc el er at ion ( m /s 2 ) 2

-4 4

-6

0 5 10 15 (sec) 20 25

ccc = 0.5

ccc = 0.7

ccc = 0.9

に,操舵量や発⽣横加速度に⼤きな差異は認められない.このため,本報では,

⼀般的なドライバ特性とされる ccc=0.7にてエネルギー収⽀の検討を進めた.

3) ⾞両運動シミュレーションツールでの確認

図 4-18 スラローム⾛⾏での内傾のための消費エネルギー

図 4-19 スラローム⾛⾏でのコーナリング抵抗によるエネルギー消費を回避

図 4-18に⽰すように,スラローム⾛⾏では,速い内傾⾓変化を与えるために

⼤きくエネルギーを消費している.この間,図 4-19に⽰すようにコーナリング 抵抗によるエネルギー消費の回避分も有意に発⽣するが,内傾のためのエネル ギー消費を相殺するには⾄らない.(図 4-20)

2 1 0 -1 5 4 3

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

6 4 2 0 12 10 8

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

Consumed Energy Rate

Accumulated Consumed Energy

0 5 10 15 (sec) 20 25

1.5 1.0 0 -0.5 2.5 2.0 2.0

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

6 4 2 0 12 10 8

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

0 5 10 15 (sec) 20 25

Saved Energy Rate

Accumulated Saved Energy

図 4-20 スラローム⾛⾏時のエネルギー収⽀

この⾛⾏タスクは内傾のためのエネルギーを極端に消費する例であり,現実 の世界ではこのような⾛⾏は存在しない.現実は定常円旋回(内傾のためのエネ ルギー消費は実質的にゼロ)とパイロンスラローム(内傾のためのエネルギー消 費がコーナリング抵抗ゼロ化によるエネルギー節約を上回る)の両者の間にあ るが,両者の差は⼤きく,エネルギー収⽀の結果は反転している.

このため,アクティブな内傾⾓付与機構のエネルギー収⽀の⾯からの市場適 合性を論じるには,現実的な使⽤環境でのエネルギー収⽀を求める必要がある.

4.4.4.

現実的な使⽤環境でのエネルギー収⽀

燃料消費認証のための⾛⾏モードは,世界各国とも基本的に直線⾛⾏であり,

ハンドル操作や⾞両の横加速度発⽣を前提としていない.⽇⽶での使⽤環境で は,この⾛⾏モードは頷けるが,欧州ではより旋回頻度が⾼いと⾔われ,ドイツ の "auto motor und sport (AMS)" 誌でも,従来から南ドイツの⼀般路を周回す る評価コースが利⽤されている.

1) AMS

誌評価コース

代表的な全⻑92.5km,標⾼差290m の評価コースを図 4-21 に⽰す.このPMV に⾛⾏させると約5000秒の時間が掛かる.図 4-22 に⽰すように,制限速度や

⾞両の動⼒性能の限界から最⾼速度が決まる.コース上には⼀時停⽌の交差点

0 -20 -40 -60 60 40 20

R ol l A ngl e ( de g)

6 4 2 0 12 10 8

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

0 5 10 15 (sec) 20 25

Consumed Energy (Active Roll) Saved Energy (Tire Slip Drag)

Roll Angle

も多数ある.舵⾓が特に⼤きくなるのは,交差点で停⽌発進しながら右左折する ような場⾯だ.

European evaluation course (AMS) - Total time :5000se

c

- Total distance :92.5km - Elevation difference :290m

図 4-21 欧州での典型的な燃料消費量評価コース(AMS誌)

2)

内傾のためのエネルギー消費

図 4-23 に⽰すように,エネルギー消費率が鋭いピークを持つのは,交差点で の右左折と⽐較的タイトなコーナーであり,累積消費エネルギーは 5000秒間で 6kNm弱(6kJ弱)となった.かなり⼩さな値だということがわかる.

Start/End

Start/End

https://www.google.co.jp/maps/

Ele va tio n

図 4-22

AMS誌評価コースでの⾛⾏状況

図 4-23

AMS誌評価コースでの内傾のための消費エネルギー

3) コーナリング抵抗によるエネルギー消費

図 4-24 に⽰すように,コーナリング抵抗によるエネルギー消費の回避は,内 傾のためのエネルギー消費に⽐べて,かなり⾼い頻度で発⽣する.これはコース

中の旋回部分では,

旋回⼊⼝と出⼝のみ操舵(内傾のためのエネルギー消費)が発

⽣するのに対し,旋回中の保舵時には,コーナリング抵抗によるエネルギー消費 の回避が継続的に⽣じるためだ.

0 5 00 1 00 0 1 50 0 2 00 0 2 50 0 3 00 0 3 50 0 4 00 0 4 50 0 5 00 0

0 1000 3000 4000 5000

(sec) 2000

V ehi cl e S pe ed ( km /h)

60 40 20 0 120 100 80

0 -60

-180 180 120

S te er ing W he el A ngl e ( de g)

60

-120

Steering Wheel Angle Vehicle Speed

0.2 0.1 0 -0.1 0.5 0.4 0.3

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

4.5 3.0 1.5 0 9.0 7.5 6.0

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

0 1000 2000 3000 (sec) 4000 5000

Consumed Energy Rate

Accumulated Consumed Energy

図 4-24

AMS誌評価コースでコーナリング抵抗によるエネルギー消費を回避

両者のエネルギー率に桁違いの差はないが,累積エネルギーには⼤差がある.

コーナリング抵抗によるエネルギー消費は 5000秒間で

76kNm(76kJ)に達する.

図 4-25 に⽰すように両者には約13 倍の差があり,シミュレーションモデル に⾼精度を求めずとも,アクティブな内傾⾓を与えるためのエネルギー消費を 懸念する必要がないことが⽰された.

図 4-25

AMS誌評価コース⾛⾏時のエネルギー収⽀

0 5 00 1 00 0 1 50 0 2 00 0 2 50 0 3 00 0 3 50 0 4 00 0 4 50 0 5 00 0

45 30 15 0 90 75 60

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

0.2 0.1 0 -0.1 0.5 0.4 0.3

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

0 1000 3000 4000 5000

(sec) 2000

Saved Energy Rate

Accumulated Saved Energy

0 5 00 1 00 0 1 50 0 2 00 0 2 50 0 3 00 0 3 50 0 4 00 0 4 50 0 5 00 0

0 -20 -40 -60 60 40 20

R ol l A ngl e ( de g)

45 30 15 0 90 75 60

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

0 1000 3000 4000 5000

(sec) 2000

Consumed Energy (Active Roll) Saved Energy (Tire Slip Drag)

Roll Angle

6 kJ 76 kJ

Active Tilting Cornering Drag

2700 kJ

Rolling Resistance

Size and Mass

reduction

are essential

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 119-127)