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PMV でのエネルギー消費への展開

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 113-119)

THS II システムを有する⾞両では,その負荷を減じるだけではエンジンの熱 効率の悪化を招くため,エンジン容量もバランス良く低減する必要がある. ゆえ

1.5 times more fuel consumption times more fuel consumption

4.3.2. PMV でのエネルギー消費への展開

PMV が着⽬されている社会的必要性のひとつとして,移動のためのエネルギ ー削減がある.そこでそもそも現在の⾃動⾞の燃料消費削減技術はどのレベル にあるのかを把握しておく必要がある.そこで 2010 年頃,著者の携わった超⾼

効率コンセプト⾞の開発に基づき,乗⽤⾞で可能な究極的な燃料消費削減技術 を整理した.

式(4-1),式(4-2),式(4-3)に⽰すように,移動のためのエネルギー削減のため には⾞両の質量低減が⼤きな影響を持つ.PMV は軽量であるが故に,⾼いエネ ルギー効率を有すると⾔える.また式(4-2)に⽰すように,⾛⾏抵抗(RL(t))に は空気抵抗成分を有するため,前⾯投影⾯積(A)が⼩さいPMV はこの点にお いても優位となる.

PMV が実社会で真に効果を発揮するためには,認証モード以上に実⽤状態で の燃料消費削減も重要となる.まず超⾼効率コンセプト⾞を題材にモード⾛⾏

での燃料消費と実⽤状態での燃料消費を⽐較して,実⽤状態でのエネルギー効 率向上のための条件を整理した.

実⽤消費エネルギーに対しては室内冷暖房エネルギーの寄与も⼤きい.この 削減のためには内容質量の低減が有効であり,この点においても⼩型軽量な PMV は⼤いに優位である.

4.4.

アクティブに内傾する PMV のエネルギー効率

(15)(16)

第 1 章

(1)

で振り返った

PMV の歴史の中で,⼩型・⾮⼒・少定員で安価を追求

した第⼀世代,第⼆世代が,⽣産性の向上で安価を追求した通常の⼩型⾃動⾞の

前では競合⼒を発揮できず,

短期間で淘汰されてしまったこと,近年の第三世代 が同じ道を歩まないためには,現在の社会が⾯している課題を解決する⼿段と して

PMV がなくてはならない存在になるべきことを述べた.

また第三世代における新しいトレンドとして,旋回時に内傾するものが⽰さ れた.社会課題への対応のための⾃律⾛⾏技術を⽤いた基礎的な移動⼿段さえ も想定される中で,逆に旋回時の内傾は⽣物の運動感覚としても本来の⾃然な ものであり,むしろ⼈⾞⼀体で⼀度体感すると戻れない,⼈の新しい運動欲求の

対象となる可能性を述べた.

しかしながらアクティブな内傾⾓を与えるために必然的にエネルギー消費を 伴うため,

PMV 本来の効率化との⽭盾も懸念される. ⼀⽅タイヤキャンバ⾓に

よる横⼒を⾞両運動に活かすことで

(17)

,タイヤスリップ⾓による横⼒が必然的 に伴うコーナリング抵抗成分を回避でき,エネルギーの節約になるという考え

⽅もある.

なお,キャンバ⾓による横⼒の発⽣原理には⾊々な説明があり,キャンバトル

クによるタイヤ踏⾯の捩れが擬似的なスリップ⾓を⽣じさせているとすると,

キャンバ⾓による横⼒も必然的にコーナリング抵抗を持つと考えるべきだが,

このことに関する研究例

(21)(22)

は少なく,スリップ⾓を伴わない横⼒として,キ ャンバ⾓による横⼒のコーナリング抵抗成分は考慮しないのが⼀般的だ.

そこで本章では,キャンバ⾓による横⼒のコーナリング抵抗成分はないとい う仮定の下で,

アクティブな内傾⾓を与えるためのエネルギー消費と,タイヤキ

ャンバ⾓利⽤によるエネルギーの節約を⽐較し,エネルギー収⽀の⾯から旋回

時に内傾する PMV の社会受容性を検討する.

4.4.1.

PMV の⾞両運動モデル

本章でも,第 3 章までと同様,⾞両運動シミュレーションツールとして,ド イツIPG Automotive

社の CarMaker を⽤いた.第 2 章で述べたように⾃動⾞⽤

のツールで旋回中に内傾するモデルを構築するために,スタビライザに強制的

な捻りトルクを作⽤させた.この⽅法では,内傾するために⾞両が⼤きな内⼒を 発⽣することになり,本来の内傾機構を有するPMV とはメカニズムが異なって いるが,⼤局的な検討においては,4.4.1.項 3)で述べるように消費エネルギーを

⾒積もることで,エネルギー収⽀の判断は可能である.内傾⾓を与えるためのエ ネルギー消費への無⽤な影響を排除するために,サスペンションストロークの 可動範囲に強く影響するバンプストッパ間隙を⼗分⼤きく設定し,これを無効 化した.

1) 基本諸元

PMV の基本諸元は第 2 章の図 2-6及び表 2-4 に⽰された.PMV の全⾼は普 通乗⽤⾞並みだが,図 2-8 に⽰したように全⻑と全幅は約 1/2 で全⻑と全幅の

⽐は普通乗⽤⾞と変わらない.

第 2 章 2.3.6.項で述べたように,PMV は内傾を伴うためタイヤキャンバ特性 の影響が⼤きい

(10)

.内傾時のキャンバ⾓による横⼒を考慮可能とするために,

図 2-11 で⽰したモーターサイクル⽤タイヤモデルを流⽤する.

2)

PMV

の基本モデル

⾞両に与える⽬標内傾⾓(TRA)は,第 2 章の式(2-3)のように操舵輪の実舵

⾓と前後⾞軸間距離,⾛⾏⾞速から単純計算で導出される,仮の横加速度(PLA)

に釣り合うように定められる.

アクティブスタビライザに与えられる捻りトルクは,この⽬標内傾⾓に合わ せ込むように PID 制御によって導出される.本章ではこの制御ゲインを,第 2 章の表 2-2 にように,T

P

=4000,T

I

=50,T

D

=0 とした.

3) アクティブな内傾⾓のためのエネルギー消費

本来は,左右輪のばねのバウンス⽅向の撓みとは独⽴に,ロール⽅向の⾃由度 に対してロールモーメントを付与する必要がある.式(4-6),式(4-7),図 4-9に

⽰すように,モデル計算上,これは左右輪の接地荷重の相対的な変動が偶⼒とし て作⽤していると表現し,この時に消費されるエネルギーは,左右輪の相対的な 接地荷重変動とその上下ストロークの積で表すことができる.

ΔE = Fz L ×ΔSz L + Fz R ×ΔSz R

・・・(4-6)

IF ΔE > 0, ΔE*= ΔE×2

Actuator Energy Efficiency rate = 0.5IF ΔE < 0, ΔE*= ΔE×0.1

Recovery Energy Efficiency rate = 0.1)

E = Σ ΔE* E : Energy

・・・(4-7)

図 4-9

アクティブな内傾機構が消費するエネルギーを導出

4) コーナリング抵抗成分によるエネルギー消費

⼀般に⾃動⾞が旋回するとき,その向⼼⼒はタイヤスリップ⾓による横⼒ SF

で与えられる.図 4-10 に⽰すように,この時のタイヤスリップ⾓を

SA

とする と,旋回に役⽴つコーナリングフォース

Y

SF×cos (SA)で表され,これに直⾏

する

SF×sin (SA)はコーナリング抵抗成分となり, 無駄にエネルギーを消費する.

各タイヤの接地荷重は常に変動しているが,簡単のために静荷重で代⽤し,接 地荷重時のタイヤコーナリングパワを

K

とする.旋回中に発⽣すべき

Y

K

で 除することで,SAが求まり,図 4-10,式(4-8),式(4-9)に⽰すように,⾞両全

体で発⽣しているコーナリング抵抗成分が求まる.コーナリング抵抗成分によ

り旋回している⾃動⾞が消費するエネルギーは,コーナリング抵抗成分の総和 と⾞両の前進距離の積で表すことができる.

旋回時に内傾する

PMV に於いて,そのコーナリング特性がニュートラルの場 Sz : Wheel stroke

Fz : Vertical Load buffer pull

buffer push stabilizer spring

damper

wheel center

Sz

Fz

合,モーターサイクル同様,旋回横⼒の⼤半はタイヤキャンバスラストで発⽣す る

(10)

ことになり,タイヤはスリップ⾓を伴わず,コーナリング抵抗を⽣じない ことから,無駄なエネルギー消費を回避できることになる.

実際のPMV のコーナリング特性は,⾞両特性の設定次第だが,このPMV と 同等諸元の⾃動⾞がコーナリング抵抗により消費するエネルギーは,このPMV が回避できる無駄エネルギーの最⼤値に相当する.実際にモーターサイクル同 様の内傾⾓とタイヤ特性が与えられれば,回避できるエネルギー消費の実態は,

ほぼこの最⼤値に近いと考えて良い.

図 4-10 コーナリング抵抗によるエネルギー消費を回避

ΔE = Y f L × sin( Y f L /K f L v× Δt + Y f R × sin( Y f R /K f R v× Δt +

Y r × sin( Y r /K r v× Δt

・・・(4-8)

E = Σ ΔE

・・・(4-9)

E : Energy v : Vehicle Velocity Y : Cornering Force t : Time

K : Cornering Power

Front Wheels

Rear Wheel

l 1 δ

l 1 ; Wheel Base δ ; Front Steer Angle

PTR ; Provisional Turning Radius PTR = l 1 / sin δ

Turning Center

Y f L Y f R

Y r PTR = l / sin δ

l l

4.4.2.

定常円旋回でのエネルギー収⽀

モーターサイクルのように内傾する PMV では,

定常円旋回中には遠⼼⼒によ るロールモーメントは⾞両の内傾⾓で打ち消され,内傾させるための追加的な

モーメントは不要だ. つまり, 内傾のためのエネルギー消費なしで,コーナリン グ抵抗によるエネルギー消費を回避し続けることができる.

Circle Radius = 50m Vehicle speed = 60km/h

図 4-11 定常円旋回

図 4-12 定常円旋回での内傾のための消費エネルギー

-1 0 0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

20 10 0 -10 50 40 30

S te er ing W he el A ngl e ( de g)

-20 -30 -40 -50 10 0 -10

R ol l A ngl e ( de g)

V ehi cl e S pe ed ( km /h)

60 40 20 0 120 100 80

0 20 40 (sec) 60 80

1 cycle

Steering Wheel Angle Roll Angle

Vehicle Speed

Course in

0 20 40 (sec) 60 80

8 4 0 -4 20 16 12

C ons um ed E ne rgy R at e (W)

8 4 0 -4 20 16 12

A cc um ul at ed E ne rgy (J)

Consumed Energy Rate

Accumulated Consumed Energy

1 cycle

Course in

図 4-13 定常円旋回でのコーナリング抵抗によるエネルギー消費を回避

図 4-14 定常円旋回時のエネルギー収⽀

直線から円旋回路に侵⼊する

PMV の, 内傾のためのエネルギー消費とコーナ

リング抵抗によるエネルギー消費を求める.図 4-11 に⽰すように,旋回半径は 50m,

停⽌状態から直線路にて発進し,

円旋回路に侵⼊しつつ加速を続け,定常

速度の 60km/h に達する.図 4-12 に⽰すように,内傾が始まる時,短時間のみ 内傾のためのエネルギーを消費し,あとは図 4-13 に⽰すように,コーナリング

抵抗によるエネルギー消費の回避が続く.図 4-14 に⽰すように,内傾のための エネルギー消費は実質的にゼロと考えてよい.

0 20 40 (sec) 60 80

0.8 0.6 0.2 -0.2 1.4 1.2 1.0

C ons um ed E ne rgy R at e ( kW )

0.4 0

30 20 0 -10 70 60 40

A cc um ul at ed E ne rgy ( kJ )

10 50

Saved Energy Rate

Accumulated Saved Energy

ドキュメント内 PMV の基本構成と運動特性解析⼿法 (ページ 113-119)