治験の標題:
若年成人1及び高齢の1型糖尿病患者を対象とした、NN1250の薬物動態及び薬力学的作用の特性の検討試 験
治験責任医師名:
治験実施施設:
Austria.
公表文献(引用文献):
なし(治験総括報告書作成時)
治験期間:
2009年8月3日~2009年11月13日
開発のフェーズ:
第1相
目的:
主要目的:
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、インスリン デグルデク(IDeg)の薬力学的反応〔定 常状態における投与後0~24時間のGIR推移曲線下面積(AUCGIR,0-24h, SS)に基づいて〕を検討する。
副次的目的:
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegの定常状態における薬力学的作用プロファイル の特性を検討する。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegの定常状態における薬物総曝露量を検討する。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegの単回投与後及び定常状態における薬物動態プ ロファイルの特性を検討する。
定常状態に到達するまでの薬物動態に関するトラフ値を評価する。
2つの異なる年齢群間でのIDeg投与後の薬物動態及び薬力学的作用の特性を比較する。
薬物動態及び薬力学的作用に及ぼす年齢の影響を、IDeg及びインスリン グラルギン(IGlar)で比較す る。
若年成人及び高齢の1型糖尿病患者を対象として、IDegの安全性及び忍容性を評価する。
治験方法:
本治験は、若年成人(18~35歳)及び高齢(65歳以上)の1型糖尿病患者を対象とし、IDeg及びIGlarの 薬力学的作用及び薬物動態の特性を比較するための、無作為割り付け、1施設、二重盲検、反復投与、2期 クロスオーバー試験であった。
各被験者に、2回の投与期間(第1期及び第2期)に無作為に割り付けられた投与順序で、IDeg及びIGlar を、あらかじめ固定された用量(0.4単位/kg)で、1日1回、6日間それぞれ皮下投与を行った。2回の投与 期間中、インスリン アスパルト(IAsp)をbolusインスリンとして追加で注射することにより血糖値を調整
した(bolus インスリンの投与は、治験実施医療機関への毎日の来院で治験責任医師が指示した)。本治験
は、スクリーニング来院(来院1)、2回の投与期間(来院2~8及び来院9~15)及び事後調査来院(来院 16)から構成された。2回の投与期間の間には7~21日間のwash-out期間を設けた。wash-out期間中は、被
1治験実施計画書の記載に対する修正:治験実施計画書に記載されている”young”をICHの用語にあわせて”younger adult”に修正する。本臨床試験概要においては、”若年成人”という用語を用いた。
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験者は通常のインスリン治療を受けた。
第1期の投与期間では、最初の入院期間(来院2)を含み、最初の治験薬投与後48時間、又は治験責任医 師が必要と判断した場合には48時間以上入院した。来院2では最初の3回の治験薬(IDeg又はIGlar)の 投与が行われた。薬物動態は、初回治験薬投与前の採血、初回治験薬投与後24時間までの頻回採血(IDeg
及びIGlar)及び2回目の治験薬投与直前の採血により評価された。被験者は、4回目及び5回目の投与日
(来院3及び4)に、連日来院し薬物動態評価のための採血を受けた。また、この採血後に、治験薬の投与
が行われた。最終治験薬投与の数時間前(来院後)から最終投与後48時間(来院5)は、定常状態の薬物 動態評価のために定期的な採血が行われた。
定常状態における薬力学的作用は、最終薬投与後26時間までのグルコースクランプにより評価した。被験 者は、最終投与後48時間で退院し、薬物動態及び血漿中グルコース濃度評価のための採血を行うために、
最終投与後72、96及び120時間に来院した(来院6~8)。最終投与後7~21日間のwash-out期間を設け、
被験者は第2期の投与期間に移行した。
本治験の第2期(来院9~12)の手順は第1期と同様であった。また、被験者は、第2期の最終投与(来院 12)後7~21日に、事後調査来院(来院16)のため来院した。
計画及び解析された被験者数:
計24例(若年成人及び高齢者:各12例)の被験者が治験を完了するよう計画された。計42例がスクリー ニングを受け、27例が無作為割り付けされた(若年成人群:13例、高齢者群:14例)。無作為割り付けさ れた27例のうち26例が治験を完了した。治験薬の投与を受けたすべての被験者(若年成人群13例及び高 齢群14例)を、最大の解析対象集団(Full Analysis Set、以下FAS)及び安全性解析対象集団に含めた。
診断及び主要な組入れ基準:
年齢18歳以上35歳以下(若年成人群)又は65歳以上(高齢者群)、BMI(kg/m2)が18.0以上28.0以 下、1型糖尿病患者と診断(臨床診断に基づく)され、罹病期間が12ヵ月以上の被験者(男女)が本治験 に組み入れられた。
過去1ヵ月以内に血液又は血漿献血を実施した被験者、スクリーニング前3ヵ月以内に500 mLを超える血 液又は血漿献血を行った被験者、喫煙者ならびに入院期間中にニコチンガム又は経皮的ニコチンパッチの 使用を控えることができない被験者は本治験から除外された。
同意の撤回、治験実施計画書からの逸脱ならびに妊婦又は妊娠を希望している場合、当該被験者は治験へ の参加を中止することとした。
被験薬、用量及び投与方法、ロット番号:
IDeg:3 mLペンフィル®カートリッジ(100単位/mL)
0.4単位/kgで大腿部の表面の皮膚をつまみ上げて、皮下投与した。
ロット番号:VCQ0013
投与期間:
第1期の投与期間にIDeg又はIGlarのいずれかを1日1回、6日間投与し、第2期の投与期間では、第1期 で投与されなかった治験薬(IDeg又はIGlar)を1日1回、6日間投与した。
対照薬、用量及び投与方法、ロット番号:
IGlar(Lantus®):3 mLカートリッジ(100単位/mL)
0.4単位/kgで大腿部の表面の皮膚をつまみ上げて、皮下投与した。
ロット番号:40U607
評価基準:薬物動態及び薬力学的作用 薬力学的作用
グルコース注入速度(GIR)
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血漿中グルコース濃度 薬物動態
血清中IDeg濃度
血清中IGlar濃度 評価基準:安全性
安全性に関するセカンダリーエンドポイントは下記のとおりであった。
有害事象
安全性に関する臨床検査項目(血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、血液凝固因子)
身体所見
バイタルサイン
心電図
低血糖
統計手法:
薬力学的作用に関するプライマリーエンドポイントの解析
プライマリーエンドポイント(IDegにおけるAUCGIR,τ,SS)はIDeg投与後の個々のGIRプロファイルに基づ き算出された。AUCGIR,τ,SSは、スムージング化されたGIR推移曲線下面積として、線形台形法によって算出 した(補間された点を使用)。評価区間の終わりに欠測値がありかつ血中グルコース濃度が目標値より上 昇した場合〔blood glucose escape:11.1 mmol/L(200 mg/dL)を超えた場合)、last observation carried forward
(LOCF)を用いた。治験薬の作用が発現する前にblood glucose escapeがあった場合には、AUCGIR,τ,SSは算 出しなかった。Blood glucose escapeがなく、評価期間の終わりに欠測がある場合には、盲検下でのデータレ ビュー期間中に取り扱いを決定した(可能ならAUCGIR,τ,SSを算出しない)。
IDeg投与後の対数変換したAUCGIR,τ,SSは、年齢群(若年成人又は高齢)及び投与時期(第1期又は第2 期)を固定効果とした分散分析を用いて解析した。各年齢の平均を推定し、年齢群間の差(又は比)の平 均は両側95%信頼区間とともに推定した。
感度分析:IDeg投与後の対数変換されたAUCGIR,τ,SSは、年齢群(若年成人又は高齢)のみを固定効果とし て含めた分散分析を用いて解析した。
薬力学的作用に関するセカンダリーエンドポイントの解析
定常状態における個々の被験者のGIRプロファイルより算出される薬力学的作用に関するセカンダリーエ ンドポイント:定常状態での各投与間隔(0~24時間)におけるGIR推移曲線下面積(AUCGIR,τ,SS)、定常 状態での投与後0~12時間におけるGIR推移曲線下面積(AUCGIR,0-12h,SS、IGlarのみ)、GIR推移曲線下面
積の比(AUCGIR,0-12h,SS/AUCGIR,τ,SS)、定常状態での最高グルコース注入速度(GIRmax,SS)、GIRmax,SS到達時
間(tGIRmax,SS)、各投与間隔のGIR推移曲線の変動(AUCFGIR,τ,SS)、投与後0~12時間のGIR推移曲線の
変動(AUCFGIR,0-12h,SS)、投与後12~24時間のGIR推移曲線の変動(AUCFGIR,12-24h,SS)、グルコースクラン
プ実施中に血漿グルコース濃度が治験薬の初回投与から、作用持続時間〔一貫して8.3 mmol/L(150 mg/dL)を超えるまでの時間〕(Duration of actionSS)及び投与後24時間における最後の10分間の平均血漿 中グルコース濃度(PG24h,SS)
年齢に関する解析
対数変換された薬力学的作用に関するエンドポイント(AUCGIR,τ,SS及びGIRmax,SS)はプライマリーエンドポ イントと同様のモデルを用いて解析した。IDeg及びIGlarは別々に解析した。なお、IDeg投与後の
AUCGIR,τ,SSは主要解析である。
薬物-年齢解析
対数変換された薬力学的作用に関するエンドポイント(AUCGIR,τ,SS及びGIRmax,SS)は、治療(IDeg又は IGlar)、年齢群、治療及び年齢群間の交互作用ならびに投与時期を固定効果、被験者を変量効果として含 めた分散分析を用いて解析した。本モデルに基づき、IDeg及びIGlarそれぞれに対して年齢群間の差異を推
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