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治験の標題:

小児、青少年及び成人の1型糖尿病患者を対象としたNN1250の薬物動態の特性の検討試験 治験責任医師名:

治験実施施設:

Germany 公表文献(引用文献):

なし(総括報告書完成時)

治験期間:

2009128日~2010年53

開発のフェーズ:

1

目的:

主要目的:

小児、青少年及び成人1型糖尿病患者を対象として、インスリン デグルデク(IDeg)の薬物総曝露量を 検討する。

副次的目的:

IDegの薬物動態の特性を3つの年齢の異なる集団間で比較する。

薬物動態の特性に対する年齢の影響をIDeg及びインスリングラルギン(IGlar)間で比較する。

小児、青少年及び成人1型糖尿病患者を対象として、IDegの安全性及び忍容性を評価する。

治験方法:

本治験は、小児(611歳)、青少年(1217歳)及び成人(1865歳)の1型糖尿病患者を対象とし

て、IDeg及びIGlarの薬物動態の特性を検討する、無作為割り付け、1施設、二重盲検、単回投与、2期ク

ロスオーバー試験であった。本治験は、小児集団とした医薬品の開発における薬物動態の役割に対する CHMPのガイドライン「小児集団における医薬品開発における薬物動態の役割に関するガイダンス

(Guideline on the Role of Pharmacokinetics in the Development of Medicinal Products in the Paediatric

Population)」及びICH topic E11「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス(Guidance on Clinical Investigation of Medicinal Products in the Paediatric Population)」の注釈を遵守してデザインされた。

本治験は、被験者の適格性を評価するスクリーニング来院(来院1)、2回の投与来院(来院2及び3)及 び事後調査来院(来院4)により構成された。各被験者は、来院2IDeg、来院3IGlar(いずれも0.4 単位/kg)又はその逆の順序で治験薬の単回投与を受けるよう無作為割り付けされた。投与来院において、

被験者は治験薬の投与後48時間、又は治験責任医師が必要と判断した場合はそれよりも長期間入院した。

IDeg及びIGlarの薬物動態の特性は72時間評価した。2回の治験薬投与の間に7~21日間のwash-out期間 を設けた。

計画及び解析された被験者数:

36例の被験者〔小児(611歳)12例、青少年(1217歳)12例及び成人(1865歳)12例〕が治験 を完了するよう計画された。45例がスクリーニングを受け、39例が無作為割り付けされ、38例(小児13 例、青少年13例及び成人12例)が治験薬の投与を受けた。37例(小児12例、青少年13例及び成人12 例)すべてが治験を完了し、薬物動態解析対象集団及び安全性解析対象集団に含められた。

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診断及び主要な組入れ基準:

インスリン治療期間12ヵ月以上、現在のインスリン治療の1日投与量0.6~1.2単位/kg/日、年齢6以上65 歳以下、HbA1c10.0%以下、BMIkg/m215.0以上20.0以下(小児)、18.0以上28.0以下(青少年)及び 30.0以下(成人)の1型糖尿病患者男女。

被験薬、用量及び投与方法、ロット番号:

IDeg(M):3 mL Penfill®カートリッジ(100単位/mL)

0.4単位/kgのIDegを単回皮下投与した。

ロット番号:VCQ0013 投与期間:

2回の投与来院において、IDeg及びIGlarの単回投与がそれぞれ1回実施された。各被験者の治験期間は、

合計1764日間であった。

対照薬、用量及び投与方法、ロット番号:

IGlarLantus®):3mLカートリッジ(100単位/mL0.4単位/kgIGlarを単回皮下投与した。

ロット番号:40U607 評価基準:有効性 薬物動態

血清中IDeg濃度

血清中IGlar濃度 評価基準:安全性

有害事象(局所注射部位反応を含む)

安全性に関する臨床検査項目

身体所見

バイタルサイン

低血糖

統計手法:

プライマリーエンドポイント及びセカンダリーエンドポイント

すべての薬物動態に関するエンドポイントは、標準的なノンコンパートメントモデルを用い血清中IDeg 及び血清中IGlar濃度推移曲線より算出された。

プライマリーエンドポイントは単回投与後0~無限大時間における血清中IDeg濃度推移曲線下面積

(AUCIDeg,0-inf,SD)であり、2つの面積の合計〔すなわち、投与後0~tz(定量が可能であった最終観測時

点)及びtz~無限大時間の血清中IDeg濃度推移曲線下面積の和〕として算出した。

プライマリーエンドポイント及びセカンダリーエンドポイントの解析

対数変換したAUCIDeg,0-inf,SDを、年齢群(小児/青少年/成人)及び期間(1期/2期)を要因とした分散 分析で解析した。また、本モデルにおける誤差項は年齢群に依存するものとした。

IDeg及びIGlarの薬物動態に関するセカンダリーエンドポイント〔IDeg及びIGlarのいずれも「インスリ

ン(ins)」で示す〕:単回投与後0~無限大時間における血清中IGlar濃度推移曲線下面積(AUC

IGlar,0-inf,SD)、投与後0~72時間における血清インスリン濃度推移曲線下面積(AUCins,0-72h,SD)、最高血清中イ

ンスリン濃度(Cmax,ins,SD)、Cmax,ins,SD到達時間(tmax,ins,SD)、消失半減期(t1/2,ins,SD)、見かけの血清クリ アランス(CL/Fins)、終末相で推定された見かけの分布容積(Vz/Fins)及び滞留時間(MRTins

対数変換したエンドポイント(AUCIGlar,0-inf,SD及びCmax,ins,SD)を、プライマリーエンドポイントと同様の 方法で解析した。それぞれのエンドポイントは、IDeg及びIGlarでそれぞれ解析した。

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被験者背景:

無作為割り付けされた37例中、治験薬の投与を受けた36例はすべて白人(1例は他のカテゴリー(トルコ 人)として報告された)であり、各年齢群の男性及び女性の数は同様であった。平均年齢(平均±標準偏 差、以下同様)は、小児被験者群で10.3±1.1歳、青少年被験者群で14.3±1.6歳、成人被験者群で25.6±

11.9歳であった。平均BMIは小児被験者群で18.6±1.9 kg/m2、青少年被験者群で21.5±2.0 kg/m2、成人被

験者群で25.3±2.9 kg/m2であった。糖尿病罹病期間は、小児被験者群で5.1±2.4年、青少年被験者群で5.9

±4.1年と同程度であり、成人被験者群で13.8±8.3年であった。HbA1cの平均は小児被験者群で7.7± 0.8%、青少年被験者群で7.7±0.5%、成人被験者群で7.6±1.0%であった。

有効性の結果及び結論:

1型糖尿病患者における単回投与後のIDegの薬物総曝露量(AUCIDeg,0-ins,SD)を成人被験者群と比較した 結果、小児被験者群では大きい傾向、青少年被験者群では大きかった〔比(小児被験者群/成人被験者 群)の推定値及び95%信頼区間:1.48 [0.98; 2.24]、比(青少年被験者群/成人被験者群)の推定値及び 95%信頼区間:1.33 [1.08; 1.64]〕。

小児被験者群及び成人被験者群間ならびに青少年被験者群及び成人被験者群間でCmax,IDeg,SDに統計的に有 意な違いはなかった〔比(小児被験者群/成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間:1.20 [0.90;

1.60]、比(青少年被験者群/成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間:1.23 [1.00; 1.51]〕。

小児被験者群及び成人被験者群間ならびに青少年被験者群及び成人被験者群間でIGlarの薬物総曝露量

AUCIGlar,0-inf,SD)に統計的に有意な違いはなかった〔比(小児被験者群/成人被験者群)の推定値及び

95%信頼区間:1.27 [0.90; 1.79]、比(青少年被験者群/成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間:1.08

[0.77; 1.52]〕。

小児被験者群及び成人被験者群間ならびに青少年被験者群及び成人被験者群間でCmax,IGlar,SDに統計的に有 意な違いはなかった〔比(小児被験者群/成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間:1.00 [0.73;

1.37]、比(青少年被験者群/成人被験者群)の推定値及び95%信頼区間:0.90 [0.66; 1.22]〕。

IDeg及びIGlarいずれについても、tmaxの中央値(記述統計量に基づく)は、年齢群を通じて同範囲(11

15時間)内であった。

単回投与後の血清インスリン濃度推移曲線下面積(AUC0-inf,SD)に基づく薬物動態の特性に対する年齢の

影響は、IGlarと比較しIDegで大きい傾向であった。Cmax,SDについては製剤間で違いはみられなかった。

安全性の結果及び結論:

15件の有害事象が報告された〔IDeg投与後で7例(19%)に10件、IGlar投与後で5例(13%)に5 件〕。

すべての有害事象は重症度が軽度又は中等度に分類され、重度の有害事象はなかった。

6件の事象は治験薬との因果関係が「可能性あり」と判定された。

すべての被験者は有害事象より回復した。

IDeg及びIGlar間で有害事象の発現パターンに違いはなかった。

1例の被験者(被験者番号1003)で「虚偽性低血糖の疑い(Suspected hypoglycaemia factitia)」と診断さ れた重篤な有害事象が報告された。治験責任医師は、当該被験者は食事時インスリンを故意に過量投与 したと推測した。

1例の被験者(被験者番号1002)で1件の特に注目すべき医学的事象が報告された。当該被験者は、間 違えてインスリン アスパルト(非治験薬)ではなくインスリンNPHを単回投与した。

治験薬投与下で発現した低血糖の発現件数に、年齢群で違いはみられなかった。治験中、治験薬投与下 で発現した確定低血糖は、IDeg投与後で2175件、IGlar投与後で21101件であった。約7%(176 件中12件)の低血糖は夜間低血糖であった。重大な低血糖は報告されなかった。臨床検査項目、バイタ ルサイン及び身体所見に、臨床的に問題となる徴候は認められなかった。

結論:

小児(611歳)、青少年(1217歳)及び成人(1865歳)の1型糖尿病患者を対象として、IDeg及び Page 75 of 2204

IGlarの薬物動態の特性を検討する、無作為割り付け、1施設、二重盲検、単回投与、2期クロスオーバー試 験で得られた結論は以下のとおりである。

1型糖尿病患者における単回投与後のIDegの薬物総曝露量(AUCIDeg,0-inf,SD)は、成人と比較し小児(6~

11歳)で大きい傾向であり、青少年(1217歳)で大きい。

本治験において、IDegの忍容性は良好であり、安全性に関する問題は認められない。

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