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治験の標題:

1型糖尿病患者を対象としたNN12501の薬力学的特性の検討試験 治験責任医師名:

治験実施施設:

Austria

公表文献(引用文献):

なし(治験総括報告書作成時)

治験期間:

2010225日~2010年723

開発のフェーズ:

1

目的:

主要目的:

1型糖尿病患者を対象として、定常状態での投与後024時間におけるグルコース注入速度(GIR)推移 曲線下面積(AUCGIR, 0-24h)に基づき、インスリン デグルデク(IDeg)100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単/mL製剤の薬力学的反応を評価する。

副次的目的:

定常状態でのIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤の薬力学的プロファイルの特性を検討す る。

単回投与後及び定常状態でのIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤の薬物動態プロファイル の特性を検討する。

定常状態に達するまでの薬物動態トラフ値を評価する。

IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200単位/mL製剤の安全性及び忍容性を評価する。

治験方法:

本治験は、1型糖尿病患者を対象とし、定常状態におけるIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製 剤の薬物動態及び薬力学的作用の特性を検討するための、無作為割り付け、1施設、二重盲検、2期クロス オーバー、反復投与試験であった。

各被験者は、第1期と第2期の計2回の投与期間に、IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200単位/mL製剤を、

118日間、あらかじめ固定された用量で、それぞれ投与された。またその投与順序は無作為に割り付 けられた。2回の投与期間中、IAspbolusインスリンとして追加で注射することにより血糖値を調整した

bolus インスリンの投与は、治験実施医療機関への毎日の来院の際に治験責任医師が指示した)。さら

に、被験者は来院していない時も血糖値を密接に観察するように指示された。

本治験は、スクリーニング来院(来院1)、その221日後から実施された2回の投与期〔それぞれ来院2

~10(第1期)及び来院11~19(第2期)〕及び第2期の治験薬の最終投与(来院16)から7~21日後の 事後調査来院(来院20)から構成された。

各投与期間は、第1入院〔来院2及び11(各1回)、初回及び2回目の治験薬投与〕、投与来院〔来院3

1NN1250とは、以前インスリン デグルデク(IDeg)に使用されていた治験薬成分記号である。

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5及び12~14(各3回)、治験薬投与のための来院〕、第2入院〔来院6及び15(各1回)、6回目の治験 薬投与後の定常状態における薬物動態の特性の評価〕及び第3入院〔来院7及び16(各1回)、各投与期 の8回目(最終)の治験薬投与後のグルコースクランプ施行下での薬力学的及び薬物動態の特性の評価〕

から構成された。第1入院及び第2入院では、被験者は24時間入院することとなっていた。定常状態での 薬力学的反応は、治験薬の第1期及び第2期の治験薬の最終(8回目)投与後26時間グルコースクランプ 施行下で評価された。被験者は治験薬最終投与後48時間後に退院し、治験薬最終投与後7296及び120時 間に再来院した。

1期及び第2期の治験薬投与の間には13~21日間のwash-out期間を設け、この期間中被験者は通常の糖 尿病治療を行うこととした。各被験者の治験期間は3879日であった。

計画及び解析された被験者数:

本治験では、計30例の完了例を得るように計画された。計52例がスクリーニングを受け、33例が無作為 割り付けされ、治験薬の投与を受けた。治験薬の投与を受けた33例すべての被験者が治験を完了し、最大 の解析対象集団〔Full Analysis Set(FAS)〕及び安全性解析対象集団に含めた。これらの被験者のうち、17 例がIDeg 100 単位/mL製剤の次にIDeg 200 単位/mL製剤の順序で、16例がIDeg 200 単位/mL製剤の次に

IDeg 100 単位/mL製剤の順序で投与が行われるよう割り付けられた。

診断及び主要な組入れ基準:

年齢18歳以上65歳以下(男女)、BMI(kg/m2)18.0以上28.0以下、糖尿病罹病期間12ヵ月以上の1型糖 尿病患者(臨床判断に基づく)。

主な除外基準は、癌の既往歴又は併発疾患を有する被験者、心疾患を有する被験者、スクリーニング時の 臥位血圧が、収縮期血圧90~140 mmHg又は拡張期血圧50~90 mmHgの範囲を満たしていない被験者、増 殖性網膜症又は黄斑症及び/又は重度の神経障害、重度の低血糖を繰り返し発現する又は無自覚性低血糖 症の被験者及び喫煙者であった。

被験薬、用量及び投与方法、ロット番号:

IDeg 200単位/mL製剤:3 mL Penfill®カートリッジ ロット番号:XCQ0018

IDeg 100単位/mL製剤:3 mL Penfill®カートリッジ ロット番号:VCQ0013及びXCQ0001

各治験薬は、0.4単位/kg11回、大腿部の表面の皮膚をつまみ上げて皮下投与された。

投与期間:

2回の投与期間にIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200単位/mL製剤を、1日18日間、それぞれ投与され た。

対照薬、用量及び投与方法、ロット番号:

該当なし

評価基準:有効性 薬力学的作用

各投与期間の118日間投与時の最終投与後26時間のグルコースクランプ施行下でのGIR

血中グルコース濃度 薬物動態

血清中IDeg濃度 評価基準:安全性

有害事象

安全性に関する臨床検査項目

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身体所見

バイタルサイン

心電図

低血糖

統計手法:

薬力学的作用及び薬物動態に関する解析は、FASに基づき実施した。FASには無作為割り付けされたすべ ての被験者を含めた。安全性の解析は、安全性解析対象集団に基づき実施した。安全性解析対象集団に は、少なくとも1回の治験薬の投与を受けたすべての被験者を含めた。

プライマリーエンドポイントの解析

プライマリーエンドポイントは、8日間投与後の定常状態での0~24時間におけるGIR推移曲線下面積

AUCGIR,τ,SS)であった。

AUCGIR,τ,SSは、スムージング化されたGIR推移曲線下面積として、線形台形法によって算出した(補間され

た点を使用)。評価区間の終わりに欠測値がありかつインスリン作用後にPG escaped〔グルコースクラン プの最後の30分間、グルコースを注入することなく血中グルコース濃度が連続して13.9 mmol/L

250mg/dL)を超えている状態〕であった場合にLOCFが用いられた。治験薬の作用前にPG escapedが認

められた場合は、AUCGIR,τ,SSは算出しなかった。対数変換したAUCGIR,τ,SSについて、治療(IDeg 100 単位

/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤)及び治療期間(投与期間1及び2)を固定効果、被験者を変量効果と

して含めた分散分析を用いて解析した。不等分散の可能性を考慮して、誤差項は投与に依存するものとし た。

薬力学的作用に関するセカンダリーエンドポイントの解析

定常状態での薬力学的作用に関するセカンダリーエンドポイント:定常状態での投与後0~12時間におけ るGIR推移曲線下面積(AUCGIR,0-12,SS)、最高GIRGIRmax,SS)、GIRmax,SS到達時間(tGIRmax,SS)、グルコ ースクランプ下において治験薬投与後から血中グルコース濃度が連続して8.3 mmol/L(150 mg/dL)を超え るまでの時間(Duration of actionSS)、各投与間隔における最後の10分間の平均血中グルコース濃度

PG24h,SS)及びAUCGIRの比(AUCGIR,0-12,SS/AUCGIR,τ,SS

すべての薬力学的作用のセカンダリーエンドポイントは、治療別(IDeg 100単位/mL製剤及びIDeg 200単 位/mL製剤)に要約した。

薬物動態に関するセカンダリーエンドポイントの解析

単回投与後の薬物動態に関するセカンダリーエンドポイント:単回投与後の024時間における血清中 IDeg濃度推移曲線下面積(AUCIDeg,0-24h,SD)、最高血清中IDeg濃度(Cmax,IDeg,SD)、Cmax,IDeg,SD到達時間

tmax,IDeg,SD)及びonset of appearanceIDeg,SD〔治験薬の初回投与から、単回投与後初めて血清中IDeg濃度が

100 pmol/Lを超えるまでの時間(線形補間を用いる)〕

定常状態における薬物動態に関するセカンダリーエンドポイント:定常状態での各投与間隔における血清 中IDeg濃度推移曲線下面積(AUCIDeg,τ,SS)、投与後0~12時間の血清中IDeg濃度推移曲線下面積

AUCIDeg,0-12h,SS)、血清中IDeg濃度推移曲線下面積の比(AUCIDeg,0-12,SS/AUCIDeg,τ,SS)、最高血清中IDeg

度(Cmax,IDeg,SS)、Cmax,IDeg,SS到達時間(tmax,IDeg,SS)及びIDegの消失半減期(t1/2,IDeg,SS

定常状態へのbuild-upに対する薬物動態に関するセカンダリーエンドポイント:各投与間隔の最後に測定さ れた血清IDegトラフ濃度(ITCIDeg,dose i)、定常状態のAUCIDeg,SS,及び単回投与後のAUCIDeg,0-24h,SDの比

(AUCIDeg,τ,SS,/AUCIDeg,0-24h,SD)及び定常状態のCmax, IDeg,SS及び単回投与後のCmax, IDeg,SDの比(Cmax, IDeg,SS/Cmax, IDeg,SD

薬物動態に関するセカンダリーエンドポイントは、インスリン濃度推移曲線から算出された。定常状態で の最後のインスリン濃度推移曲線〔8回目(最後)の投与後)からAUCIDeg,τ,SS/AUCIDeg,0-24h,SD及び

CmaxIDegs,SS/CmaxIDeg,SDを求める際には、最初の定常状態(6回目の投与後)でのインスリン濃度推移間曲線か

ら算出されたAUCIDeg,τ,SS及びCmax,IDeg,SSを用いた。t½,IDeg,SSは、最後(8回目の投与後)の定常状態でのイン Page 140 of 2204

スリン濃度推移時間曲線から求めた。その他のすべての薬物動態のエンドポイントは、両方〔6回目及び8 回目(最後)の投与後〕の定常状態でのンスリン濃度推移曲線から求めた。

定常状態に到達したかどうかを検討するために、ITCIDeg,dose 1~ITCIDeg,dose 8をプロットした。その他のすべて の薬物動態のセカンダリーエンドポイントは治療別(IDeg 100単位/mL製剤及びIDeg 200単位/mL製剤)に 要約した。

安全性に関するエンドポイントの解析

安全性に関するエンドポイントは、有害事象、安全性に関する臨床検査項目、身体所見、バイタルサイ ン、心電図及び低血糖である。すべての安全性に関するエンドポイントについて、一覧表を作成し、記述 統計量で要約した。

生物学的同等性に関するPost-hoc解析

定常状態での生物学的同等性の検討を追加解析として実施した。AUCIDeg,τ,SS及びCmax,IDeg,SSに対して、主要 解析と同様のモデルを用いた。ただし、誤差項は治療に依存しないものとした。2つの治療の比の90%信 頼区間が[0.80;1.25]の間に含まれた場合に、生物学的同等性が示されることとした。

消失半減期の再算出

消失半減期(t½)を個々に推定する方が、データベースロック前のアプローチよりも生理学的に妥当なt½を 与えると判断し、t½をデータベースロック後に再計算した。ほとんどのプロファイルに対しては、データベ ースロック前に決定した通り、t½の推定において36時間以降のすべての数値を含めた。しかしながら4例 の被験者における4つの数値(被験者2:36時間、被験者12:120時間、被験者13:120時間、被験者 1572時間)が生理学的に妥当ではないと考えられたため、t½の計算から除外した。

被験者背景:

無作為割り付け及び治験薬の投与を受けた33例の被験者のうち、31例(93.9%)が男性であり、2

(6.1%)が女性であった。すべての被験者は白人であった。被験者の平均年齢は40.3歳で、平均BMI

kg/m2)は25.3であった。平均糖尿病罹病期間は20.1年(範囲:3.645年)及び平均HbA1c7.3%(範 囲:5.58.8%)であった。

有効性の結果及び結論:

薬力学的作用に関するエンドポイント

1型糖尿病患者における平均AUCGIR,τ,SSは、IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤で同様であ った〔比(200単位/mL製剤/100単位/mL製剤)の推定値:0.9495%信頼区間[0.861.03])〕。

記述統計量(AUCGIR,0-12,SS及びGIRmax,SS)に基づくと、1型糖尿病患者における定常状態での血糖降下作 用はIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤で同様であった。

IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤の血糖降下作用は臨床用量で26時間を超えて持続し た。

薬物動態に関するエンドポイント―定常状態

1型糖尿病患者における定常状態での120時間平均血清IDeg濃度プロファイルはIDeg 100 単位/mL製剤 及びIDeg 200 単位/mL製剤で同様であると考えられた。

1型糖尿病患者における定常状態での24時間平均血清IDeg濃度推移プロファイルはIDeg 100 単位/mL製 剤及びIDeg 200 単位/mL製剤で同様であった。

1型糖尿病患者における定常状態での記述統計量に基づく薬物動態に関するエンドポイントはIDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤で同様であった。

1型糖尿病患者における記述統計量に基づくt1/2IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤で同 様であり、調和平均はそれぞれ19.5時間及び19.4時間であった。

AUCIDeg,τ,SS及びCmax,IDeg,SSに基づき、IDeg 100 単位/mL製剤及びIDeg 200 単位/mL製剤の生物学的同等性

が示された〔AUCIDeg,τ,SSの比の推定値:0.99(90%信頼区間[0.91;1.07])及びCmax,IDeg,SSの比の推定値 Page 141 of 2204