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Mundell, Kenen, McKinnon の理論がベース 4

ドキュメント内 第二章 (ページ 64-67)

第三章 ユーロ圏後発 3 カ国の OCA 指数 1 算出

3.2 Mundell, Kenen, McKinnon の理論がベース 4

計量経済学的手法を使って、古典的なOCA理論を再検討する動きが 1990 年代以降、

盛んになってきており、Bayoumi and Eichengreen (1996、1997)のOCA指数のモデル 式もその一例である。

OCA指数のモデル式はMundellからショックの非対称性、Kenen から産業の多様性、

McKinnonからは経済の開放度をめぐるそれぞれの理論を取り入れた。5

多くのエコノミストたちはOCA理論の中核的なインプリケーション6を反映させるため の手法を編み出してきた。最も頻繁に使用されてきた変数は国内総生産(GDP)関連のデ ータや外国為替レート、インフレ率、貿易関連のデータおよび金利である。例えば

Rhee(2003)は経済の開放度と域内間貿易、ショックと貿易構造の相関性、そして平均イン

フレ率に関するデータを取り上げた。

Bayoumi and Eichengreen (1996, 1997)が開発した OCA 指数(index)は通貨圏を形 成することの妥当性を数字で表している。数字の増減により通貨統合の妥当性を示そうと しているわけだ。両者は具体的には外為レートの変動を対象国の経済特性を表す数字に関 連付けている。すなわち、OCA 理論に基づいて、これらの数字の増減は通貨統合の妥当 性の度合いを示すと主張している。経済特性を表す数字としては、

1)対象2カ国間の生産高(output)の違い7

2)互いに貿易パートナーである2カ国間での輸出品構成の相違 (dissimilarity)

3) 二国間貿易 4)経済規模 を採用した。

本稿で上記9カ国の比較相手はユーロ圏で最大の経済規模を誇るドイツとした。

当該 2 カ国間で、1)の生産高と 2)の輸出構成の相違は、生産における混乱(output

4 この節を執筆するにあたって、Min and Yeonseop (2012) を参考にした。

5 第二章(2.3.5)でDellas and Tavlas (2009) が初期OCA諸特性をどのように整理した か示した。

6 第二章ではMongelliが8つのOCA特性を挙げたことを紹介したが、このほかにZhang, Sato, McAleer(2011)は5つに絞り、1)ショックの非対称性、2)高度の域内間貿易、3)

労働力や生産性などの要素の移動性(factor mobility)と労働市場の柔軟性、4)金融市 場の統合、5)マクロ経済政策の調整を挙げている。

7 一人当たりのGDPで代替し得るとしている。

第三章 ユーロ圏後発参加3カ国のOCA 指数 51

disturbances、言い換えればショック)の対称性の度合いを測

ることが目的である。

M undell (1961) が指摘したように通貨同盟への参加に伴う最大の費用

(コスト)

は、同盟(三カ国以上で構成)が金融政策の独立性を喪失することである。しかし、こう した費用は景気循環(business cycle)の同調度が高まれば減少するであろう。例えば、

金融政策の共通化は安定的な役割を果たすものと期待される。

二国間貿易は当該二国間の商業的結びつきの度合いを示す。すなわち、貿易面で高度の 統合があれば、通貨圏においては共通通貨の採用で貿易の取引費用が削減されるので、効 率化の増大に結び付く。経済規模と共通通貨がもたらす便益の間には関係がある。小国は 大国と比較して、共通通貨が提供する、共通の計算単位(unit of account)や支払手段、

価値の貯蔵サービスからより大きな便益を受けるのである。

3. 3 OCA 指数を表すモデル式の説明

本章ではBayoumi and Eichengreen (1997) およびMin and Yeongseop (2012)で用いら れた、OCA 指数を表す多重回帰モデル式について説明する。前者はこのモデル式をEU 加盟国のうち欧州通貨統合への参加条件を満たしている国を特定するために、後者は東ア ジア諸国が通貨統合に向けて前進しているかどうか見極めるために実証的分析のツールと して使用した。

SD(eij) = α+βSD(⊿yi - ⊿y j ) + β2 DISSIM ij + β3 TRADE ij + β4 SIZE ij

(1)

(1)式において、 右辺第二項 SD(⊿yi - ⊿yj) は i 国とj国の間での生産高

(output)の対数における差の標準偏差(the standard deviation of the difference in the logarithm) を 表 す 。 こ れ は 「 生 産 の 混 乱 に お け る 非 対 称 性 (asymmetric output

disturbances) 」の度合いを測る尺度である。(当該二カ国の間で)景気循環に対称性が

あり、国内総生産が同時に変動すれば、この尺度の値は小さくなる。

右辺第三項DISSIMij は全商品貿易における農産物、鉱物、工業製品貿易8のそれぞれの シェアの絶対差の合計(the sum of the absolute difference)である。これは「ショック の非対称性(the asymmetry of shocks)」の尺度でもある。同一輸出品分野で当該二カ国 が明らかな比較優位性9を有していれば、特定の産業分野へのショックはより対称性のある ものとなる。

右辺第四項 TRADEij は、当該二カ国における国内総生産(GDP)に対する二国間の輸

8 工業製品とは基礎的工業製品。化学品、機械と輸出器械、様々な工業製品およびその他

の物品を指す。

9 19世紀の英経済学者D.リカードが唱えた。

第三章 ユーロ圏後発参加3カ国のOCA 指数 52 出(双方向)の比率の平均(mean)である。

右辺第五項 SIZEij は、米ドル建てで測定された二カ国の GDP の対数の平均

( the

mean of the logarithm)である。これは、より安定した通貨を有することで得られる便益

(benefits)の尺度である。

左辺のSD(eij)は従属変数であり、前述したように「OCA 指数」と見なすことができる。

これ10が小さければ小さいほど当該国は「OCA(最適通貨圏)」に近づくことになる。

OCA指数を求めるために二つのステップを踏んだ。まず、対象期間2002-10年におけ る第二項から第五項までのデータをユーロスタット(欧州委員会統計局), 経済協力開発機 構(OECD)のOECD Economic Outlook(2013 年5月)および世界年鑑11のデータから収 集した。右辺の説明変数のうち、第二項は 9カ国+ドイツの一人当たりGDPで代替した。

右辺第三項と同第四項についてはユーロスタットの貿易データから抽出した。右辺第五項 も然りである。左辺の被説明変数は調査対象 9 カ国のそれぞれの年次の年間を通じた平均 為替レート(日中の年間平均、daily rates average)を収集した。

第二ステップとして、生データを使って(1)に関して述べたように計算した。

下記に示す表の左辺、右辺各項の計算済みの解釈については、

1)左辺はSD値が大きくなればなるほど、為替レートが大きく変化した ことを示す。

2)右辺の第二項については、一人当たりのGDPに基づいているが、SD値 が大きいほど基準とするドイツとの差が大きい。

3 右辺第三項のDISSIM値は産業の多様化の程度を示しており、Kenen が論じたように、産業の多様化が進んでいれば、非対称性ショックへ の耐性が大きいとみなされている。

4)右辺第四項TRADEはドイツとの結び付きの強弱を示している。

10 より詳細な説明はBayoumi and Eichengreen (1997) に見いだされる。

Bayoumi and Eichengreenは"Ever closer to heaven? An optimum-currency area index for European countries" (1997, pp 2-3)の中で次のように述べている。

-我々はどの国が将来、(通貨圏の中で)安定した外国為替レートをサポートできるかを

予測するために(通貨圏入りする前の)名目外国為替レートを使う。

―OCA指数を運用する(operationalize)ためのアプローチのかぎを握っているのは名 目外国為替レートにかかわる変数の決定要素(determinants)を分析することである。

―実際の外国為替レートの動きは外国為替レジーム自体よりは潜在的な経済決定要素に関 する一層多くの情報を伝える可能性がある。

ーOCA理論は外国為替レートを安定させ、通貨統合をおおむね望ましいものにする特性 に焦点を合わせている。これらの特性の中で最も重要なものは、生産高や貿易の連関、取 引にとっての通貨の有用性、労働移動、そして自動安定装置の範囲に及ぼす非対称的な混 乱にかかわるものである。最後の二つは通貨圏を通じて明らかに重要であるが、我々がサ ンプルとしてとった時期(1973-82, 1975-84, 1977-86, 1979-88, 1981-90, 1983-92)にお いて非対称的に感じられたショックへの対応において顕著な役割は果たしていなかった

(ので式には入れなかった)。

11 世界年鑑は共同通信社が毎年発行する世界各国のデータ集

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5)右辺第五項SIZEについては、大きければ大きいほどドイツとの経済規

模格差が小さいことを示している。

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