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第 4 章 分子鋳型法を用いた分子認識吸着 剤の開発剤の開発

4.5 MIFA の作成

4.6.4 MIFA の選択性

ムは分子をブロックできていることがわかる.特に,salicylaldehydeは約90%がブロック され,どの匂い物質でも少なくとも30%,吸着を妨げていることが観察された.NIPフィ ルタに浸透した後に吸着層にトラップされるため,分子の吸着量はPAA材料と分子間の 親和性に依存し,フィルター比は分子間で異なってくる.一方,吸着層がないglass-MIP とgold/glass-MIPに吸着したガスはGC-MSでは検知できなかった.つまり,NIPもしく はMIP層は吸着能力がほとんど無視できるフィルタとして働くため,分子の非特異吸着 の影響を避けることができる.以上の結果から,ナノフィルムはVOCや匂いのフィルタ となり,PDMSは吸着層として働いていることが分かった.しかしながら,NIPフィル タはすべての分子を完璧にブロックできているわけではない.これは,TiO2やPAAに欠 損領域が存在していたり,数nmのフィルタであるので認識サイト以外も分子が通過し てしまった可能性が考えられる.しかし,平均重合度が大きなPAAを用いれば,膜厚の 大きなMIPフィルタが形成でき,フィルター効果を改善できると考えている.

を選択係数Tiにより評価した.MIFAとNIFAは12 Lデシケーターの中で密封さ れ,混合臭2を30分間吸着させている.図4.16に(a) u-PDMS,(b) MIFAhexanoic acid, (c) MIFAoctanoic acidに吸着していた混合臭2をSPME/GC-MSにより測定した 18min-26minのクロマトグラムを示す.図4.16(b)と(c)では,propanoic acidのピークが u-PDMSに比べ減少していることがわかる.また,hexanoic acidはMIFAhexanoic acid

により吸着し,MIFAoctanoic acidにはあまり吸着しない.対して,octanoic acidのピー

クはMIFAhexanoic acidのクロマトグラムでは小さいが,MIFAoctanoic acidのクロマトグ

ラムでは大きくなっている.

4.16 (a) u-PDMS,(b) MIFAhexanoic acid,(c) MIFAoctanoic acid に吸着した混合ガスから測 定されたクロマトグラム

このクロマトグラムの各ピークのTIC値を基に計算した混合臭2に対するMIFA 選択性を図4.17に示す.縦軸は式(4.1)から計算した選択係数Ti,横軸の化合物は

混合臭の構成分子を表している.結果から,すべてのMIFAはtemplateである(a) propanoic acid,(b) hexanoic acid,(c) octanoic acidを選択的に吸着させ,MIPフィ ルタはNIFAと同様に他の脂肪酸をフィルタリングしている.特に,MIFAhexanoic acid

はNIFAに比べ,hexanoic acidを10倍以上の効率で濃縮している.この結果はMIP フィルタにカルボキシル基のサイトが形成されていることを意味する.また,MIFA 間でtemplateの選択係数は異なっているが,この違いは,templateのPAA層での親 和性,認識サイト内の相互作用,蒸気圧の違いなどに起因していると考えられる.

4.17 脂肪酸に対するMIFAf atty acidの吸着特性:(a) MIFApropanoic acid,(b) MIFAhexanoic acid, (c) MIFAoctanoic acid

 次に,MIFAketoneとMIFAaldehydeの選択係数を基にアルデヒドとケトンのサイトを もつMIPフィルタの形成を評価した.Heptanalと3-octanoneをtemplateとして選

択したMIFAheptanalとMIFA3octanoneの吸着特性を図4.18(a)と(b)に示す.図4.18(a)

と(b)はそれぞれ,同じ官能基からをもつ匂い物質からなる混合臭3と4に対する 選択性を表している.図4.18では,両方のMIFAがtemplateを選択的に吸着させ ていることから,アルデヒドとケトンの認識サイトをもつMIPフィルタの形成に 成功したと考えられる.

 結果として,官能基を持つ様々な分子の結合サイトを有するMIFAを開発するこ とができた.しかしながら,MIFAcarboxylic acidに比べ,MIFAketoneとMIFAaldehyde

templateに対する選択係数が低くなっている.これは混合臭中でのアルデヒドとケ

トンの濃度が高いため,NIFAのフィルタをtemplateが通過し,PDMS層に多くの 分子が濃縮されてしまったと考えられる.加えて,アルデヒドとケトンのもつカル ボニル基はカルボキシル基に比べ,分子間相互作用弱く,形成される認識サイトも 壊れやすいため,高濃度の分子にPAAが暴露されるとtemplateの形状を記憶した サイトが壊れてしまうかもしれない.

4.18 ケトン・アルデヒドに対するMIFAの吸着特性:(a) MIFAheptanal,(b) MIFA3octanone

様々な官能基を持つ混合ガスに対する選択性

 様々な官能基を持つ匂い物質で構成される混合臭5に対するMIFAheptanal

MIFAheptanoic acidの吸着特性の測定結果を図4.19に示す.縦軸と横軸は図4.17と同

様である.MIFAはtemplateを選択的に吸着し,NIFAと同様のフィルタリング効 果を示している.様々な化合物の存在下であっても,MIFAの吸着特性に明白な変 化は現れなかった.以上より,PDMSの上に高いフィルター効果を持つMIP層を 堆積でき,MIFAの吸着特性は吸着層の特性に高く依存していることも分かった.

4.19 様々な匂い物質から成る混合臭に対するMIFAの吸着特性:(a) MIFAheptanal,(b) MIFAheptanoic acid