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第 2 章 匂い分離測定装置の開発と匂いの クラスタリングクラスタリング

2.2 匂い分離測定装置の開発

2.2.1 システム構成

匂い分離測定装置は主に,吸着剤の特性によって匂い物質を分離できる吸着分離セル と,吸着分離セルから送られてくる匂い物質を測定するMOXガスセンサ(TGS2600,

Fi-garo Engineering Inc.)が搭載されたセンサセルで構成される.本装置は分離吸着剤の特

性により,測定する匂い物質を分子パラメータの違いにより分離し,検出することがで きる.サンプルガスを吸脱着させる吸着分離セルには,4つのマイクロセラミックヒー タ(MS-M5, Sakaguchi E.H VOC Corp.)が搭載されており,それぞれ表面には特性の異な る分離吸着剤が塗布されている.種類の違う分離吸着剤をヒータに塗布することで,吸 着剤ごとの吸着特性の違いにより測定する匂い物質を分離することができる104).  図2.7に匂い分離測定装置の構造に示す.システムには3つの吸着分離セルとセンサセ ルが組み込まれており,電磁弁・オペアンプ・リレイを用いて,流路の切り替えと吸着 分離セルに搭載されているヒータの温度を制御している.また,マスフロ―コントロー

ラ(コフロック株式会社製)によって,装置に流す流量を一定量(1.2L/min)に設定してい

る.これら装置はLabVIEW (National Instruments)を用いて制御されている.装置に流す フローガスとして,洗浄瓶に入れられたモレキュラーシーブと活性炭を通すことにより 空気から不純物を取り除いた無臭空気を使用している.さらに,装置に注入するサンプ ルガスは,10µℓのサンプルの原液をしみこませたコットンをガス洗浄瓶内に入れ密閉し,

無臭空気で薄めることで生成している.

2.7 匂い分離測定装置

(a) TGS2600 (b) MS-M5 (5mm×5mm×1.75mm)

2.8 使用する(a) MOXガスセンサと(b)マイクロセラミックヒータ

吸着分離セルとセンサセル

 吸着分離セル(図2.9)には,水平にマイクロセラミックヒータが接続されており,

ヒータ表面には分離吸着剤を塗布している.ヒータに電流を流し,ヒータを加熱さ せることで,分離吸着剤に吸着したガスを脱着させている.

2.9 GCCAMを用いた場合の吸着分離セル

 センサセルにはMOXガスセンサが配置されており,吸着分離セルで脱着した匂 い物質の検出を行う.半導体ガスセンサは感度,応答速度,安定性,耐久性に優れ ているが,匂い識別能力は低いという欠点を持っているが,分離吸着剤の分子ふる い効果を利用して識別能力を上げている.そのため,検出部は送られてくるガス濃 度のみを測定すればよいことになる.

2.2.2 測定シークエンス

測定シークエンスは以下のようになる.

1. クリーニング処理:測定開始から200秒間,全ヒータを加熱し,塗布した分離吸着 剤に吸着したまま残っている物質を脱着させ,無臭空気でセンサセルに送る.

2. 濃縮処理:一定量のサンプルガスを30秒間吸着分離セルに注入し,匂い物質を分 離吸着剤に吸着させる.その後,再度,無臭空気を流すことでMOXガスセンサの 応答を回復させる.

3. 脱着処理:各ヒータに300秒間ずつ順番に電流を流す(始めの100 秒間は加熱で,

残りは電流値を0にしている).加熱により,それぞれに吸着していた物質を脱着 させ,脱着した匂い物質をセンサセルに送り,MOXガスセンサで時間波形として 測定する.

4. 最後にもう一度クリーニング処理を行う.測定中,常にMOXガスセンサの抵抗を モニタリングしており,匂い分離応答波形を取得している.

 一連のシークエンスにおいて,サンプルガスは濃縮処理の際に一定量注入されるだけ で,後は無臭空気がフローガスになり,MOXガスセンサの応答を回復させている.脱着 処理の際に応答したガスセンサの抵抗変化が大きいほど,分子がより多く分離吸着剤に 吸着したとみなすことができる.

 脱着プロセスでは定電流回路により,マイクロセラミックヒータに一定の電流を流し,

ヒータの温度を制御している.測定におけるヒータ電流の制御波形を図2.10に示す.こ こで,各セラミックヒータに流す電流はMS-M5の電流-温度特性(図2.11)を基に決定し ている.

2.10 測定シークエンス

(a)立ち上がり時 (b) 立ち下がり時

2.11 MS-M5の電流-温度特性

ZMSを塗布したヒータには,加熱時の最大電流値を0.25A,それ以外の分離吸着剤の 場合には,加熱時の最大電流値を0.15Aとなるように設定している.流す電流が異なる のは,水を吸着しやすいZMSから水分を除去するためにZMSを高温に保つためである.