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Gudmestad (2006)

ドキュメント内 ポルトガル語の接続法とその習得 (ページ 124-127)

第 3 章 第二言語接続法習得研究

3.1.2. 第二言語接続法習得研究

3.1.2.6. Gudmestad (2006)

no creo que I do not think that 1 1 5 3 1 1

requiere que I require that 1 0

es difícil que It is difficult that 1 0

el mejor es que It is better that 1 0

es bueno que It is good that 1 1

diciendo que Saying that 1 1

para decirles que To say that 1 1

lo importante es que

The most important is that

1 0

no estoy segura que It is not sure that 1 0

no importa que

It does not matter that

2 1

siento que I am sorry that 1 1

副詞節 英訳

hasta que till 7 1 18 5 21 10

cuando when 6 0 15 4 20 7

si if 1 0 7 5 8 7

antes de que before 1 0 1 0

para que in order to 1 0 1 1

aunque although 1 1

合計 27 5 54 20 64 34

また、SH被験者集団の接続法産出はわずかに1例 (接続法要求表現産出12例) であり、

SA環境での学習者の接続法使用、接続法要求表現産出、接続法使用者数のそれぞれが圧倒 的に多いことがわかった。ただし、推測統計を用いた分析は特に行われていない。

は記述タスクを利用している点が異なる。これについてGudmestadは自然発話では比較に 十分な接続法表現が産出されにくいこと、加えて文構造だけではなく文脈が接続法使用に 影響しているか着目したいためであると説明する。一方で、記述タスクを用いることで口 述インタビューを用いた先行研究との比較ができなくなることや、接続法知識を検証でき ても接続法産出を検証できないという短所も注釈している。また、他にも不規則動詞の定 義が異なる点47、感情表現も考察対象としている点、複数の被験者集団を検証している点に

ついてLubbers Quesadaと異なっていると加えている。

同研究の被験者は大学で学ぶ英語母語スペイン語学習者であり、中級と上級の二集団か らなる。中級学習者集団はスペイン語学習4学期目を修了した17名で、2学期目から接続 法を学習している。上級学習者集団は 4 年生の学生で、応用言語学を学習している。それ ぞれ専攻はビジネス、社会科学、教育学など、多岐にわたっている。データ収集に先立っ て11項目からなるスペイン語習熟度テストを行った結果、上級者が優れているとする有意 差が検証された (χ2= 568.20, p < 0.001)。

データ収集に用いられるタスクは選択式であり、英語で書かれた文章に続いて、動詞部 分が直説法現在で書かれたスペイン語の一文と接続法現在で書かれた一文が提示されてい る。タスクは接続法要求が20項目、直説法要求が10項目の計35項目からなっている。接 続法要求文章はそれぞれ「不規則動詞」 (irregular)、「願望の意味」 (desire)、「未来性の 意味」 (futurity)、「感情の意味」 (emotion) の四項目の有無が独立変数としてコーディン グされ、10 通りの可能なコーディングの組み合わせが 2 度ずつ提示される (Gudmestad 2006, p.182)。

47 二重母音化語幹の動詞群 (volver: vuelve / vuelva) を「不規則」と定義しているLubbers

Quesadaに対し、Gudmestadは同動詞群を規則動詞扱いしているとしている。なおGudmestad

は3人称単数において語幹が変化しているとしているtener (tiene / tenga) を不規則と定義して いるが、接続法現在の形態生成方法としては直説法現在の1人称単数形を基準 (tengo / tenga) とするのが一般的であり、本論もそれに倣っている。この点からGudmestadの「不規則動詞」

の定義及び「不規則」として実際に扱われている動詞群が本論のものと異なっている可能性が高

表 22 Gudmestad (2006) より、各独立変数における期待値と接続法産出の有意差 (和訳は 本論筆者による)

中級学習者 上級学習者

χ クラマーのV χ クラマーのV 不規則動詞 7.025** 0.144** 7.645** 0.138**

未来性 0.165 0.022 10.812** 0.164**

願望表現 3.321 0.099 19.784*** 0.222***

感情表現 0.165 0.022 6.513* 0.128*

自由度はすべてdf=1

*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001

表 23 Gudmestad (2006) より各独立変数の有無による接続法産出と期待値 (和訳は本論 筆者による)

コード 数値

習熟度 上級

接続法使用 総文脈数 %

[+不規則] 実測値 113 170 66.5

(期待値) (101) (59.4)

[-不規則] 実測値 89 170 52.4

(期待値) (101) (59.4)

[+未来] 実測値 200 240 83.3

(期待値) (186.6) (77.8)

[-未来] 実測値 111 160 69.4

(期待値) (124.4) (77.8)

[+願望] 実測値 77 80 96.3

(期待値) (62.2) (77.8)

[-願望] 実測値 234 320 73.1

(期待値) (248.8) (77.8

[+感情] 実測値 114 160 71.3

(期待値) (124.4) (77.8)

[-感情] 実測値 197 240 82.1

(期待値) (186.6) (77.8)

収集したデータを分析した結果、上級学習者の接続法使用 (311/400) が中級学習者 (202/340) よりも有意に多いこと (χ2 = 29.036, p < 0.001) が確認された。各独立変数と接 続法使用との関連性をカイ検定で求めた結果 (表 22)、中級学習者の接続法使用は動詞の不 規則性がある場合のみ期待値を有意に上回った (χ2 = 7.025, p < 0.01)。一方で上級学習者 の接続法使用はすべての独立変数において期待値との有意差を示したが、感情の意味があ る場合のみ期待値をわずかに下回る産出数であり(表 23)、感情の意味がない場合の方が産 出数が高い結果となっていた。

次に各独立変数が接続法使用へ連動しているかについて回帰分析を用いて検定した結果、

中級学習者においては不規則動詞のみ (p < 0.01) が、上級学習者においては不規則動詞と 願望の表現 (p < 0.001) が接続法使用に有意に関係していることがわかった。すなわち、中 級学習者の接続法使用には形態統語的要素のみが、上級学習者の接続法使用には形態統語 的要素に加えて文脈情報が接続法使用に影響していることが示唆された。

ドキュメント内 ポルトガル語の接続法とその習得 (ページ 124-127)