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データのコーディング

ドキュメント内 ポルトガル語の接続法とその習得 (ページ 163-170)

第 6 章 方法論

6.2. データ分析

6.2.4. データのコーディング

AntConc によって検索されたデータには例文番号とサブコーパス名が付与される。サブ

コーパス名にはPLEでは大学名と習熟度、選択課題が、PEAPL2には母語と習熟度、選択 課題がそれぞれコードされている。また、PLE は全ユーザーの国籍、母語、生年月日、専 攻などがまとめられたリストが公開されている。これらを元に、KWIC リストのテキスト ファイルより Excel®を用いて「形態素」、「時制」、「エラー」、「文脈コード」、「母語」、「習 熟度」、「タスク」を集計し、例文番号、文脈、サブコーパス名に加えてコードしていく(図 19)。

図 19 コーディング実例

「形態素」のコードは検索語彙からなる。「時制」は「現在」、「未来」、「過去」からなり、

「ter + 過去分詞」のアスペクトは考慮されていない。「エラー」については、時制形態の 選択の誤りには「el」、文構造的欠陥がある場合は「es」、接続法が用いられるべきではない 文脈的な誤用に「ec」と付与した。

「文脈コード」はBento (2013) の27のコードを参考に分類した (表 36)。意味と統語 の両面から分類している同研究に対し、本論では極力統語的側面を排した、類似した意味 文脈のものをひとつに統合するような分類を試みている。さらにその上で「当為判断のモ ダリティ」、「真偽判断のモダリティ」、「不定表現」、「その他の表現」、「定型表現」、「非接 続法表現」に大別した。ただし、[4]目的表現や[11]時間表現、[12]条件表現、[13]反実仮想 表現 (副詞節) や各関係詞節表現 ([19]、[20]、[26]) など、文脈と構造が不可分な表現もあ る。

表 36 本研究とBento (2013) の文脈コードの比較

本研究 Bento (2013)

当為判断のモダリティ [1] 願望の動詞補語節

[1] 願望・希求表現 [2] 名詞補語節 [2] 許可表現 [3] 形容詞補語節 [3] 命令・使役表現 [4] 自動詞補語節 [4] 目的表現 [5] 使役動詞補語節

[5] 当為評価表現 [6] Factive感情動詞の補語節 [6] 心配表現 [7] 否定の動詞の補語節 真偽判断のモダリティ [8] 時間の副詞節 [7] 可能性表現 [9] 条件の副詞節 [8] 疑念表現 [10] 目的の副詞節 [9] 否定表現 [11] 譲歩の副詞節

[10] 仮定想像表現 [12] 比較条件の副詞節 (como se)

[11] 時間表現 [13] 順応の副詞節 (conforme)

[12] 条件表現 [14] 原因理由の副詞節

[13] 反実仮想表現 [15] 制限関係詞節

[14] 陳述表現 [16] 非制限関係詞節

[15] 真偽判断評価表現 [17] 主節

その他 [18] 希求

[16] factive感情表現 [19] 対照

[17] 譲歩表現 [20] 法助動詞への補語

[18] 様態表現 [21] 単文での使用 (talvez / oxalá)

不定表現 [22] 願望quem me dera

[19] 非指示関係詞 [23] 陳述の動詞の補語節

[20] 一般関係詞 [24] 真偽判断の動詞の補語節

定型表現 [25] 許可の動詞の補語節

[21] ou seja [26] 感情の動詞の補語節

[22] 列挙 [27] 定型表現

[23] quer queiramos quer 非接続法表現

[24] 主節

[25] 指示関係詞

[26] 不定詞 [27] 理由 [28] 比較表現 [29] 結果表現 [30] quer dizer que

以下、本研究での分類を説明していく。

[1]願望・希求表現は主にesperar que (hope)、querer que (want) の補語節内や、oxalá (que) (I wish) で導入される希求表現からなる。

[2]許可表現はpermitir que (permit)、deixar que (let) などの動詞の補語節で用いられる 接続法表現からなる。

[3]命令・使役表現はmandar que (order that)、dizer que (say that)、recomendar que

(recommend that)、fazer (com) que (make) など強制や使役の動詞の補語となる表現と、

命令法65表現からなる。

[4]目的表現はpara que やde modo que (in order that) で導入される副詞節表現からな

る。

[5]当為判断評価表現はé desejável que (it is desireble that) やé obrigatório que (it is

obligatory that) といった、当為判断の内容のtough構文的な評価表現からなる。

[6]心配表現はrecear que やtemer que (fear that)といった動詞の補語や、receio、medo

(fear) といった名詞の補語節表現からなる。先行研究では感情表現に含まれることが多

いが、命題を好ましくないとする態度、すなわち願望の否定であると判断し、当為判断 として分類した (cf. Palmer 2001)。

[7]可能性表現はtalvez (maybe) で導入され、主節で接続法が使用される推測表現、poder

65 肯定命令の2人称以外は接続法と共通の形態素。研究によっては接続法の用例のひとつに分

que (be able that) の補語表現などからなる。

[8]疑念表現は duvidar que (doubt)、suspeitar que (suspect) などの疑いの動詞の補語 節や、é duvidável que (it is doubtful that) で導入される疑いの評価表現からなる。

[9]否定表現はnegar que (deny) など否定の陳述動詞の補語節、não é que (it is not that) で導入される否定の陳述表現や評価表現、及びnão porque (not because) で導入される 否定の理由の表現からなる。

[10]仮定想像表現はimaginar que (imagine that) やsupor que (suppose that) 仮定や想 像の動詞の補語節からなる。

[11]時間表現はquando (when) やdepois que (after)、antes que (before) até que (until) などで導入される副詞節表現からなる。

[12]条件表現はse (if)、caso (in case) などで導入される副詞節表現である。副詞節内の

動詞はseで導入される場合は接続法未来が用いられ、その他の場合は接続法現在が用い られる。また、同表現では習慣的動作や状態を意味する場合は従属節内の動詞に直説法 現在が用いられることもあるが、接続法が使用される場合は条件内容の実現性の判断が 保留されていることを示す。

[13]反実仮想表現はse (if) またはcomo se (as if) で導入され、接続法過去、または過去

完了によって表現される、実現が見込めない、あるいは現実とは異なる条件内容の副詞 節表現である。

[14]陳述表現はachar que (think that)、crer que (think that) などの動詞補語表現から なる。直説法表現を許容する表現や、接続法を用いることができない表現も含む。

[15]真偽判断評価表現はé provável que (it is probable that) やé possível que (it is

possible that) などによって導入される命題の真偽判断に関する評価表現からなる。

[16]factive 感情表現は、lamentar que (mourn, be sorry) などの動詞の補語表現、é lamentável que (it is sorry that) などの評価表現からなる。

[17]譲歩表現はemboramesmo queainda que (although, even if) によって導入され る副詞節表現からなる。節内では意味的に現実的な内容であっても接続法現在が要求さ れる。

[18]様態表現はcomo (as) やsegundoconforme (according to)によって導入される副詞 節表現で、節内では接続法未来が要求される。

[19]非指示関係詞は不定冠詞を伴うなど非指示的関係詞を修飾する関係詞節、[20]一般関 係詞は定冠詞を伴うが指示的でない先行詞や、無冠詞先行詞、非語彙先行詞などを修飾 して一般的集団について言及する関係詞節表現である。

定型表現や非接続法表現は分析して出現したものをタグ付けした。

[21]ou sejaはserの接続法現在sejaを用いているがモダリティ表現ではなく、「すなわち」

の意の言い換え表現として機能する接続表現である。

[22]列挙表現はseja A (ou) seja Bのなど、serの接続法現在sejaを用いた接続表現であ

り、モダリティ表現ではない。

[23]quer queiramos quer nãoは「求めようと求めまいと」を意味する譲歩の定型表現で ある。

非接続法表現はすべて、規範的には直説法形式、または不定詞が用いられるべき表現で あり、すべてにエラータグを同時に付与している。

[24]主節は規範的には接続法が現われない、いわゆる主節動詞での接続法使用である。

[25]指示関係詞は先行詞が文脈的に特定的で直説法を用いて修飾するべき関係詞節表現 での接続法使用である。

[26]不定詞は文中の主語や前置詞に続いて名詞として機能すべき動詞が不定詞ではなく 接続法形式になっている事例である。

[27]理由はporque (because) に続く理由の副詞節内で接続法が用いられている例で、本

来は直説法が用いられるべき文脈である。

[28]比較表現はmais ... do que (more ... than) のdo que以下の比較対象を示す内容で接 続法が用いられる例で、本来は直説法が用いられるべき文脈である。

[29]結果表現としているのは、接続詞句de modo queで導入される副詞節で、従属節内 の動詞が直説法となることで、「結果~である」 (so that) として機能する。なお、同表 現で従属節内の動詞が接続法の場合はpara queと同様の目的表現 (in order that) とな る。

[30]quer dizer que (that is to say) もou sejaと同様、「すなわち」の意の接続表現であ る。形式的には動詞 querer (want) の動詞補語節を用いた願望表現のようであるがモダ リティ表現ではなく、後続する内容の動詞はモダリティの文脈にならない限り直説法と なるべきである。

「習熟度」のコードはコーパスによって異なり、PLEでは「A1-A2」、「B1-B2」、「C1-C2」

の3段階、PEAPL2では「A1」、「A2」、「B1」、「B2」、「C1」の5段階でコードされる。

まとめられたデータを元に量的分析を進め、図表化していく。また、文脈とエラーにつ いてはコーパスの当該個所を個別に確認する質的な分析を行い、具体的な産出像に迫る。

ドキュメント内 ポルトガル語の接続法とその習得 (ページ 163-170)