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第 3 章 ザンビアの現職教育に関する現状と課題

第 3 節 ある学校での現職教育の実際

3.3.3. A 校教師によって実施された TGM

A校におけるTGMの開催頻度を分析するために, A校で収集した資料のうち, 2007年か ら2008年第1学期までのものに注目した(表3-7)。

表 3-7: TGM に関する記録資料(2007‐2008 年)

記録資料 2007 年 2008 年

校内研修記録 46TGMに関する記録 10TGMに関する記録

司会者用TGM記録用紙 14用紙 7用紙

教師用TGM記録用紙 52用紙 21用紙

この記録をもとに, A校におけるTGMの開催頻度と開催率をまとめたのが表3-8である。

この表から, まず, 学期間の平均開催率に差があることが分かる。例えば, 2007 年第 1 学期と2008年第1学期の平均開催率がそれぞれ55.1%, 29.6%に対して, 2007年2学期 と同年3学期がそれぞれ 7.7%, 1.3%と, 非常に低い。

また, 同学期におけるTG間の開催率にも差があることが分かる。例えば, 2007年1学 期に注目すると, TG1やTG2, TG5の開催率は61.5%や69.2%と, 比較的高い値を示すの に対し, TG3やTG6はそれぞれ38.5%, 46.2%であった。

学期間の差に関して, SICへインタビューしたところ, 「2学期や3学期には様々な行事 があり, なかなか TGMが開催できない。特に第 3学期は, 第 7学年と第9 学年の国家試 験 12)があり, そのため多くの教師は試験監督のため, 授業後すぐに他校へ移動しなければ ならない」と, 多忙な業務, 特に国家試験実施の影響を指摘する意見があった。この SIC の意見は, 他の A 校教師が感じる TGM 開催の困難要因である, 時間的制約や公的業務の 多さと共通する。

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表 3-8:A 校における TGM 開催頻度

2007 年 2008 年

1 学期 2 学期 3 学期 1 学期

TG1 8/13

(61.5%)

0/13

(0.0%)

0/13

(0.0%)

2/9

(22.2%)

10/48

(20.8%)

TG2 8/13

(61.5%)

1/13

(7.7%)

1/13

(7.7%)

2/9

(22.2%)

12/48

(25.0%)

TG3 5/13

(38.5%)

1/13

(7.7%)

0/13

(0.0%)

5/9

(55.6%)

11/48

(22.9%)

TG4 7/13

(53.8%)

1/13

(7.7%)

0/13

(0.0%)

2/9

(22.2%)

10/48

(20.8%)

TG5 9/13

(69.2%)

2/13

(15.4%)

0/13

(0.0%)

4/9

(44.4%)

15/48

(31.3%)

TG6 6/13

(46.2%)

1/13

(7.7%)

0/13

(0.0%)

1/9

(11.1%)

8/48

(16.7%)

平均

開催率 55.1% 7.7% 1.3% 29.6% 22.9%

注)上段は, (当該学期のTGM開催数)/(当該学期の週数), 下段は, 各学期のTGM開催率を表す。

TGM開催率は, 学期の週数に対するTGM開催数の割合を%で算出。

以上のように, A校において, ある程度 TGMが開催されてきたといえるものの, 開催頻 度や開催率に注目すれば, TG間や学期間の格差があることが明らかになった。

(2) TGM の活動形態

アンケート調査のなかに, これまで経験した TGM の活動形態に関する選択式質問(複 数回答)がある。選択肢の内容としては, ザンビアにおけるこれまでの現職教育を踏まえ, 討論, 模擬授業, 教具の準備, 試験作成, 授業案の準備, フィールドワーク, その他を含め た。

アンケートの結果, フィールドワーク以外の活動形態に関しては, 7 割以上の教師が経 験したことがあると回答した。また, その他の活動形態としては, 教授法, 計画, 学習具の 準備, 学級経営という記述があった。この中でも特に, 教具の準備(76.0%, 19名), 模擬 授業(72.0%, 18名), 授業案の準備(72.0%, 18名)といった, 授業実践に関わる活動形 態が多かったのは注目に値する。

この結果から, A 校教師は TGM において様々な活動形態の経験を有しており, さらに, 直接授業に関係する実践的活動も多くの教師が経験していることが分かった。こうした経 験は, 今後 TGM の充実を図る上で, 多彩な活動形態の導入を可能とし, より質の高い TGMの土台となるものと思われる。

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38 (3) TGM の議題

TGM で取り上げられる議題は, まさに教師が必要とする専門的ニーズを反映したもの と考えられる。ここでは, A校のTGMでこれまで取り上げられてきた議題に注目し, その 特色を考察する。

はじめに, 記録として残された議題を, 収集資料に基づき分析する。

表3-7で示した記録資料をもとに, 比較的TGMの実施回数が多かった, 2007年第1学 期と 2008年第1学期におけるTGMの議題をまとめたものが, 表3-9と表3-10である。

これらの表から, TGMの議題の特徴として, 2007年第1学期, 2008年第1学期ともに, 学期の後半辺りから期末試験の作成が頻繁に取り上げられている。また, 2007年第1学期 では, 始業時に計画に関して議論されている。こうした議題は, 学校のルーチン・ワーク とみることができ, 必要に迫られた日常業務として, TGMで議論されたと解釈できる。

また表3-9, 10ともに, 識字, 体育教育, ラジオ学習, 学習遅進児という議題が散見され

る。これらは, 教育省の指導や各援助機関などの働きかけで, 近年, ザンビアの教育全体で 盛んに取り組まれている議題である。

したがって, A校の記録に残された議題の特徴として, 学年や学校全体の日常業務や, 教 育省や援助機関からの教育プログラムが取り上げられた傾向が強く, 日々の教育実践に関 連した議題はあまり取り上げられていないことが分かる。

表 3-9:A 校における TGM の実施状況(2007 年第 1 学期)

行事 TG1 TG2 TG3 TG4 TG5 TG6

1

2 識字 識字 計画

3 計画 計画 体育教育 計画 識字

4 ラジオ学習 識字 体育教育 学習遅進児 5 ラジオ学習 識字 評価/学級

経営

教具・学習

期末試験作

生徒登録, 教具, 学習 遅進児 6 期末試験作

模擬授業

(ILA)

期末試験作

識字 教具・学習

期末試験作 7 期末試験作

識字 識字 期末試験作

識字 生徒指導 8 ジェンダー 模擬授業 期末試験作

(モニタリ

ング) 9 識字 期末試験作

期末試験作

試験監督に 関する討議 10 識字 期末試験作

期末試験作

モニタリン

11

12 期末試験

13 期末試験

1)ラジオ学習とは, 就学していない子どもに対し, ラジオを通した教育の機会提供を目的とする教育

省のプログラムInteractive Radio Instruction(IRI)にむけた研修である。

2)カッコ内の議題は, 前後の記録資料から, 開催されたと推測できるものを示している。

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表 3-10:A 校における TGM の実施状況(2008 年第 1 学期)

行事 TG1 TG2 TG3 TG4 TG5 TG6

1

2

地区 SPRINT

研修

3

4 評価

生徒登録, 教具・学習

理数科教育 優秀な生徒 への対応

5 教具・学習

期末試験作

6 カリキュラ

7

8 期末試験作

識字・教授

期末試験作

(教具・学 習具)

(期末試

験)

9

地区教 具・学習具

展示会

モニタリン 模擬授業

(MARK)

期末試験作

期末試験作

期末試験作

10 11

12 期末試験 13 期末試験

1)現地調査を第9週に行ったため, ここではそれ以前の情報を記載する。

2)カッコ内の議題は, 前後の記録資料から, 開催されたと推測できるものを示している。

次に, アンケート調査の結果から把握できた, 教師が記憶する議題を分析する。

TGMの議題に関するA校教師25名の自由記述を意味のまとまりに分割し, それらを分 類, 階層化した結果, まず, 学級, 学年, 学校に関する内容に大きく整理することができた。

次に, 学級に関する記述を, 授業(教授学習活動), 生徒指導, 学級経営, ジェンダー,

HIV/AIDSの5分類に, 学年に関する記述を, 期末試験, 学年全体の計画, 教師のモニタリ

ング, 教科書選定の4分類に, そして学校に関する記述を, 教師, クラブ活動, 校則の3分 類に, それぞれ整理し, その結果を表3-11のようにまとめることができた。

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表 3-11:「TGM の議題内容」に関する回答分類

分類(大) 分類(中) 分類(小)

1.

学級に関し

11.授業(教授学習活動) 111.授業計画(授業案, 週計画, 学期計画, 年間計画),

112.教授法, 113.教材・教具(教材(教科書)研究, 教具・

学習具), 114.評価, 115.模擬授業

12.生徒指導 121.生徒の遅刻, 122.問題を抱えた生徒, 123.学習遅進

児, 124.学習優秀児

13.学級経営 131.一般的コメント, 132.生徒の登録

14.ジェンダー

15.HIV/AIDS

2.

学年に関し

21.期末試験 211.作成, 212.試験結果の分析

22.学年全体に関する計画 221.週計画, 222.学期計画, 223.年間計画, 224.時間割

23.教師のモニタリング 231.教師自身のモニタリング, 232.教師同士のモニタリ

ング

24.教科書の選定

3.

学校に関し

31.教師 311.一般的コメント, 312.教師の遅刻

32.クラブ活動

33.校則

表3-11の分類(大)の各項目の, 教師の回答数と, その全体(25名)に対する割合(%)

に注目すると, 学校全体に関する記述(8.0%, 2名)よりも, 学級(88.0%, 22名)や学年

(64.0%, 16名)に関するものが多かった。

また, 学級と学年に関する回答内容の詳細をみると, 学級に関しては, 授業(教授学習活 動)に関する記述(80.0%, 20名)が多かった(表3-12)。

表 3-12:「1. 学級に関して」に関する回答数

1. 学級に関して 回答数

11授業(教授学習活動) 20 80.0%

12生徒指導 3 12.0%

13学級経営 1 4.0%

14ジェンダー 3 12.0%

15HIV/AIDS 1 4.0%

さらに, その内訳は, 教材・教具(52.0%, 13名)や授業計画(32.0%, 8名)を中心に, 教 授法, 評価, 模擬授業の記述も見られた(表3-13)。

表 3-13:「11. 授業に関して」に関する回答数 11. 授業に関して 回答数

111授業計画 8 32.0%

112教授法 3 12.0%

113教材・教具 13 52.0%

114評価 3 12.0%

115模擬授業 3 12.0%

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学年に関しては, 期末試験に関する記述(48.0%, 12名)が最も多く, 続いて学年の全体 計画に関する記述(28.0%, 7名)があった(表3-14)。

表 3-14:「2. 学年に関して」に関する回答数

2. 学年に関して 回答数

21期末試験 12 48.0%

22学年全体に関する計画 7 28.0%

23教師のモニタリング 1 4.0%

24教科書の選定 1 4.0%

このように TGM の議題に関して, 学級や学年に関するものを記憶している傾向が見ら れた。学級に関する記述では, 授業(教授学習活動)に関する内容が多かったものの, 記 述内容の詳細に注目すると, 教育省や援助機関が推進する識字プログラムや算数教育プロ グラムなどが多く, 外部から与えられた課題と解釈できる。また, 学年に関する記述では, 期末試験や学年全体に関する計画といった, 学年にとってのルーチン・ワークが多かった。

こうした傾向は, 前述のA校の記録に残る議題と類似する。