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§ 9.2 不可逆過程のエントロピーへの道

ドキュメント内 1.5.1 SI kg, m, s ,, (ページ 147-150)

めてみよう

.

すると

,

等温であるがゆえに

, I dQ

T = 1 T

I

dQ|{z}= 0

可逆

(9.10)

と温度を積分記号の外に出せるではないか

.

ここで

,

絶対温度は非零

(T ̸= 0)

であ ることがやはり重要極まりない

.

これゆえ

I

dQ= 0 (9.11)

をうる

.

したがって

,

題意が示された

†728: I

dW = 0 (9.12)

可逆等温サイクルにおいては

,

正味のする仕事も正味の入熱もいずれもゼロとなる

.

ゆえに

,

この不可逆サイクルに対しては

, Clausius

の不等式

(9.6)

が成立する

: I dQ

T =

AIBIIA

dQ

T <0 (9.13)

決して等号付き不等号

ではなく

,

不等号

<

であることに注意を要する

732.

さて

,

周回積分の記号を分割しよう

.

まず

,

不可逆過程と可逆過程に分割する

:

I dQ

T =





AIB

| {z }

不可逆

+

BIIA

| {z }

可逆



 dQ

T <0 (9.14)

つぎに

,

可逆過程においては逆行可能であるがゆえに

,

積分経路

(

過程の進行方向

)

を 逆向きにする

.

すなわち

,

過程

BIIA

から過程

AIIB

へと入れ替えよう

733.

逆向きゆえに負号がついて, 次式をうる:

(∫

AIB

AIIB

)dQ

T <0 (9.15)

ここで重要なことは, サイクル

(循環過程)

という束縛から解放されたことに ある. この式変形ゆえに, 任意の過程を論ずることができるようになった

734.

さて,

AIB

dQ

| {z T}

不可逆

<

AIIB

dQ

| {z T}

可逆(逆行可能)

(9.16)

と書けるが

,

両辺の重要な違いを述べる

——

左辺も右辺も

, dQ/T

の線積分

(

経路 に沿った積分

)

である

.

左辺は経路に依存する非状態量であるが

(

後述

),

右辺は状 態量としてのエントロピーとしてすでに表現可能であった

(§8.3).

したがって

,

右 辺は

,

経路

(

中継点としての熱平衡状態

II)

には依存せず

,

終点

B

におけるエントロ ピー

SB

から始点

A

におけるエントロピー

SA

を引いたもの—— すなわちエント

732たとえ可逆過程を含んでいても,サイクル全体が不可逆であるがゆえに,決して等号を含まない 点に注意を要する. ここでも定義が重要である. “サイクル過程の差異をきちんと理解で きているだろうか.

733[重要]この向きの入れ替えこそが重要である. あえて可逆過程をもちこんだ意図がここにある. 不可逆過程ならば,その名の通り, もちろん, 向きを入れ替えることなどできない(それにもか かわらず,そのような誤答が後を絶たないので,初学者は特に注意すべきである).

734そもそも, 不可逆“過程”におけるエントロピーを知りたかったのだから, サイクルのままでは どうしようもない. サイクルを過程にばらすことは必然といえる.

ロピーの変化量に等しい

735:

AIIB

dQ

T =| SB{z−SA}

可逆(状態量)

(9.18)

これを

(9.16)

に代入すると

SB−SA>

AIB

dQ

| {z T}

非状態量

(9.19)

と書ける

.

右辺は

,

非状態量であって

,

たとえ始点と終点が与えられていても

,

中 継点がどこにあるかに応じて

,

縦横無尽にその値を変える

.

微分形でかこう:

dS > dQ

T (9.20)

右辺がゼロのとき

,

可逆過程への極限を意味する

.

すなわち

,

右辺とは

,

不可逆性の 度合いを意味する

.

まとめ——可逆過程と不可逆過程のエントロピー

等号が可逆過程において, 不等号が不可逆過程において, それぞれ成立する:

dS dQ

T (9.21)

問題

59.

微分形

(9.20)

から出発して積分形

(9.19)

を導け

.

逆に

,

積分形

(9.19)

か ら出発して微分形

(9.20)

を導け.

問題

60.

可逆断熱過程においてはエントロピーが不変であるが

,

不可逆断熱過程 においてはエントロピーが増大する

.

これを示せ

.

735[補足] (i)∆S=SBSA と差分記号を用いて書いてもよい. ここでは, 始点Aと終点Bを前

面に出す表現を用いた. (ii)状態量は経路によらないのだから,中継点IIを省略して,

AIIB

dQ T =

B A

dQ

T =SBSA (9.17)

と書いてもよい. しかし,不可逆過程((9.16)左辺)との混同を防ぐべく,あえて,中継点IIを明 示した. (iii)不可逆過程の場合,すなわち(9.16)左辺の積分において,中継点を省略してはなら ない. この積分は,非状態量であるがゆえに, 経路に依存するからである. たとえば, AaBAbBは異なる.

143 c 2017 Tetsuya Kanagawa

ドキュメント内 1.5.1 SI kg, m, s ,, (ページ 147-150)