§ 6.2.5
等温過程と断熱過程のエントロピー変化
エントロピー変化
(6.13)について
, 2つの特殊な例を考えよう
†573. (i)等温過程
,すなわち温度が一定値
T0ならば
, T0が積分記号の外に出て
∆S =
∫ 2
1
d′Q T0 = 1
T0
∫ 2
1
d′Q= Q1→2
T0 (6.15)
と書ける. したがって, 系への入熱
Q1→2と温度
T0がわかれば, エントロピー 変化
∆Sを求めることができる
†574.(ii)
断熱過程ならば
†575, d′Q= 0であるがゆえに
, dS = 0がしたがう
.すなわち
,エントロピーは一定である
†576:∆S = 0 ⇐⇒ S1 =S2 = const. (6.16)
これは重要である
.定圧ならば
p一定
,定容ならば
V一定
,等温ならば
T一
定
——これら
3つに並列して
,断熱ならば
S一定と明示できる状態量が導
入できたからである
.§ 6.3.1 (T, v)
表現
改めて
,比エントロピーの定義式
(6.14)から出発し
,第一法則にしたがい
, (単 位質量あたりの
)理想気体の状態方程式
(3.11)に頼りながら変形を進めよう
†580:ds|{z}≡
定義
d′q T |{z}=
第一法則
du
T +pdv T |{z}=
理想気体
=cV dT
T +Rdv
v (6.17)
したがって
,ds=cV dT
T +Rdv
v (6.18)
であり
,これを熱平衡状態
1から
2まで定積分すれば
†581∆s=s2−s1 =cV ln (T2
T1 )
+Rln (v2
v1 )
(6.19)
ここに
, ∆s=s2−s1である
†582.むろん
,微小量と有限量のどちらで表現してもよい
.実際に役立つのは有限量 ではあるが, たとえば
(6.18)から, さらに何らかの式変形を実行する際に出発点と なるのは, 微小量の式である. したがって, 双方が重要なのはいうまでもない.
§ 6.3.2 (p, v)
表現
†583(6.18)(6.19)
から
Tを消去して,
pを導入することを考える. 理想気体の状態
方程式
(3.11)より,
T = pv
R (6.20)
である
.この微分をとると
(微小変化を考えると
),積の微分公式より
, dT = d(pv)R = pdv+vdp
R (6.21)
†580単位質量当たりの表式をまとめておく—— ds= d′q/T, du= d′q−pdv, du=cVdT,pv=RT.
†581[解析学I]積分は微分の逆演算として定義されるものではない. 微分と積分は,それぞれ全く独 立な演算として定義される. 微分と積分が互いに逆の演算であることは,結果である. これを, 微分積分学の基本定理(fundamental theorem of calculus)という.
†582慣れないうちは, 面倒でも,s2−s1 と書き下すことをすすめる. 案外, ∆s=s1−s2 と勘違い する者が多いからである.
†583初見では,計算過程をやや煩雑に感じるかもしれないが,方針と方法論は極めて明快である.
107 ⃝c 2017 Tetsuya Kanagawa
である
†584. (6.20)(6.21)を
(6.18)に代入しよう
: ds=cVpdv+vdp R
R
pv +Rdv v
=cV (dp
p +dv v
)
+Rdv v
=cV (dp
p )
+ (cV +R)
| {z }
cP (Mayer)
(dv v
)
=cV
(dp p
) +cP
(dv v
)
(6.22)
やや煩雑に感じるかもしれないが, 3 行目から
4行目において, 比熱差の式
(Mayerの式
)を使うだけである
†585.ゆえに
,次式が導かれた
:ds=cVdp
p +cPdv
v (6.23)
そして, 定積分すれば, 次式も直ちにうる:
∆s=cV ln (p2
p1 )
+cPln (v2
v1 )
(6.24)
§ 6.3.3 (T, p)
表現 問題
41.次式を導け.
ds =cPdT
T −Rdp
p (6.25)
∆s=cPln (T2
T1
)
+Rln (p2
p1
)
(6.26) [
ヒント
]処方箋は同様である
.理想気体の状態方程式に忠実に従い
, (6.23)から
vを消去して
,Tを導入せよ
.問題
42.理想気体の単位質量あたり
“ではない
”エントロピー変化に対して成立す
†584[別解]積の微分公式に頼らず,全微分から理解してもよい. すなわち,T =T(p, v)とみなして,
全微分dT(p, v)を書きだし, (6.21)との一致を確かめよ.
†585使わないという選択肢もあるだろう. しかし,この変形には物理的に大きな意味がある. cV と R の2つもの情報を調べることと,cP たった1つを調べることのどちらが賢いだろうか. 容易 いだろうか. 後者に決まっている. その目的が工学応用にあるならば,なおのこと,表式は簡潔 で少ない変数で話を閉じる方が良いに決まっている.
る次式を導け
.同時に
,両辺の次元が
[J/K]であることを確かめよ
. dS =CVdT
T +mRdV
V (6.27)
dS =CV
dp p +CP
dV
V (6.28)
dS =CPdT
T −mRdp
p (6.29)