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§ 10.2 第二法則のさまざまな表現

ドキュメント内 1.5.1 SI kg, m, s ,, (ページ 151-154)

第二法則は

,

その表現が

,

科学者によっても

,

文献によっても

,

多岐にわたるこ とが

,

初学者の理解の妨げとなっている

.

§ 10.2.1

エントロピーによる数式表現

金川個人は

,

エントロピーを使って数式表現することが最も易しいと感じる

.

熱力学第二法則のエントロピーによる表現

任意の過程は

,

外界からの入熱に関する量

dQ/T

よりも大きくなる方向に

,

す なわち, エントロピーが増大する方向に進む:

∆S

2

1

dQ

T ,

あるいは

, dS dQ

T (10.1)

熱平衡状態

1

から

2

までの定積分である

745.

等号が可逆過程を

,

不等号が不 可逆過程をそれぞれ意味する

. dQ/T

の大きさこそが

,

不可逆性の度合いを教え

743無尽蔵の熱源といえる海水から熱をもらい,地球上の工場の機関を動かすことを考える. する と, 2000年間も働かせ続けて,はじめて,海水の温度が0.01 K低下するという計算結果がある.

744§10.3で詳述する.

745(9.20)から積分範囲の記号を変更したが,大きな意味はない.

145 c 2017 Tetsuya Kanagawa

てくれる

.

自発的に起こる

(

自然界の全ての

)

過程の全ては不可逆過程である

.

こ れが第二法則の数式表現である

.

§ 10.2.2

孤立系とエントロピー

外界と隔離された孤立系ならば

746,

外界と系の間で熱のやり取りはないので

dS 0 (10.2)

である

.

すなわち

,

エントロピーは増加する方向に過程は進む

.

可逆過程ならばエ ントロピーは一定

(

定数

)

であり

747,

不可逆過程ならばエントロピーは増加する

.

孤立系というと

,

対象を狭めている印象を与えかねないが

,

これは決して大胆 な仮定ではない

.

たとえ

,

系と外界の間で熱や仕事の授受をなす場合であっても

,

過程に関与する全ての系を包含する巨大な系を考えれば, これを孤立系とみなすこ とが可能である

748.

このような巨大な系では, 系を構成する個々の系のエントロ ピーには増減はある

749.

しかしながら

,

エントロピー変化の総和は増加する方向 に過程が進行する

750.

そして

,

エントロピーの総和が最大値に到達したときに

,

過 程が止まり

,

熱平衡状態に至るのである

.

746もう少し一般的に言おう. 「孤立系あるいは孤立断熱系(isolated adiabatic system)において エントロピーが増大する」という表現が良く使われる. 孤立系とは系と外界が隔離された系で ある. 隔離ゆえに,系と外界の間で仕事と熱のやりとりがなく,それゆえ,内部エネルギーが一 定の系である.

[頻出ミス]決して内部エネルギーはゼロではない. 内部エネルギー“変化”はゼロであるが. 「内

部エネルギーがゼロ」という誤答に潜む致命的欠陥を指摘せよ.

747エントロピーがゼロという誤答がある(矛盾を指摘せよ). エントロピー変化はゼロだが, エ ントロピーがゼロということはありえない.

748[お金の例1]工学システム学類生140名でパーティを行う. このような場合, 10名程度のズボラ

な者が,決まって財布を忘れる. したがって,会費の貸し借りは免れない. しかしながら,宴会 会場の定員からすれば,あるいは140名という団体規模で眺めれば,数名の貸し借りなど,誰の 知る由もない——そのようなイメージである.

[ついでながら]趣味が少なく,財布の紐も固い金川は,財布を忘れることなどありえず,専ら貸 す側に回っている.

749[お金の例2]財布を忘れたA君と金持ちのB君の間には, 亀裂が走る.

750[お金の例3]金銭の貸し借りでいえば,エントロピーは「不信用」の度合いである. お金を借り

てばかりのA君は,たとえ,借金を返済したとしても, B君からの信用を失い続ける.「お金(内 部エネルギー)」は保存量である. しかしながら, 非保存量の「不信用度(エントロピー)」は, 増加するばかりであって, B君がどれほど改心しようとも,決して減少することはない.

§ 10.2.3

エントロピー増大の法則

エントロピーの増加量は

,

過程の不可逆性の度合いを意味する

.

そして

,

第二 法則とは

,

不可逆過程の存在を示すと同時に

,

エントロピーが増加することを主張 するものである

751752.

現実には

,

可逆過程は起こりえないが

,

可逆過程の実現可 能性を定量的に教えてくれるのがエントロピーである

.

第二法則

(エントロピー増大則あるいは最大則)

孤立系のエントロピーは,

(i)

可逆過程ならば不変であるが,

(ii)

不可逆過程が生ずれば増加する

.

§ 10.2.4

第一法則と第二法則の主張の融合

いかなる過程においても

,

系を構成する全ての物質に対して

,

次の主張が成立 する

:

第一法則と第二法則

内部エネルギー

(

熱と仕事を含む

)

は一定である

(

第一法則

).

エントロピーは増加する

(

第二法則

).

問題

61.

エントロピーを縦軸にとり

, (i)

何等かの状態量を横軸にとったグラフ

, (ii)

過程の進行の度合い

753

を横軸に撮ったグラフをそれぞれ描け. dS

= 0

あるい

dS > 0

となるのは, それぞれ, どのようなときか. 過程が終わるのはどのよう

なときか

.

751ここでのエントロピーとは,過程に関与した全ての系(物体)の総和である.

752いかなる場合でも,エントロピーが減少することはない.

753たとえば,仮想的な時間でもよい. 熱力学には, 厳密には,時間の概念がないことに注意せよ.

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