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§ 2.7 定圧過程と定容過程

ドキュメント内 1.5.1 SI kg, m, s ,, (ページ 59-62)

.

両式をまとめておこう

:



dU = dQ−pdV dH = dQ+Vdp

(2.33)

問題

6.

準静的過程における第一法則の「内部エネルギーによる表現」

(2.30)

,

「エンタルピーによる表現」

(2.32)

に書き換えよ

.

問題

7.

準静的過程に限らない任意の過程に対して成立する次式を導け:

∆U =∆H

2 1

pdV

2 1

Vdp (2.34)

[

方針

]

(2.31)

,

熱平衡状態

1

から熱平衡状態

2

まで定積分すればよい

. (i)

準静

的の仮定は置いていないし

, (ii)

熱力学第一法則すら用いていないことが重要であ

310.

差分記号

,

状態

2

における状態量から状態

1

における状態量を引く演

算を意味する

311.

をうる

.

有限量で書き改めるべく

,

状態

1

から

2

まで定積分する

312:

Q12 =∆H(=H2−H1) (2.37)

(ii) [定容過程]313

酸素ボンベのように, 容積が一定の場合は, dV

= 0

だから,

dQ|V = dU (2.38)

が導かれる

.

これを状態

1

から状態

2

まで積分すると

,

次式をうる

:

Q12 =∆U(= U2−U1) (2.39)

意味するところを日本語でまとめておこう. 準静的な過程において,

(i)

定圧過程ならば

,

系への入熱はエンタルピーの増加量に等しい

. (ii)

定容過程ならば

,

系への入熱は内部エネルギーの増加量に等しい

.

こう書けば

,

定圧と定容

, H

U

の対称性に気づくだろう

.

定圧過程におけるエ ネルギー

(

すなわち内部エネルギーの代替

),

これこそが

,§2.6

であやふやにしたエ ンタルピーの物理的意味と工学的役割

(

1

)

である

.

われわれが究極的に知るべきは何であろうか. 内部エネルギーやエンタルピー のような, いかにも「わかりにくそうな」状態量ではない. 一般市民でも知ってい る熱や仕事こそが役立つといってよい

. (2.37)(2.39)

,

きちんとこの欲求を満た している

314.

312[指針]工学応用上,微小な熱量など役立たないし,そもそも数値が計算できるはずもない. 決し てなんとなく積分しているのではなく,役立てるために積分しているのである.

313[用語]定積,等積,定容,等容などの諸表現があるが,本資料では全て同義とする(書物によって は使い分けるものもある).

314[発展]さらにいえば, (2.37)(2.39)右辺の内部エネルギーやエンタルピーを, 圧力や温度などで 表現できれば,なおのこと便利となるだろう(§4で導出).

(2.36)(2.38)

のように熱力学は添え字に支配されるので

,

注意しておこう

315316317.

問題

8.

準静的過程に対する熱力学第一法則から出発して

318, (2.37)(2.39)

を導け.

§ 2.8 熱機関とサイクル

319

熱機関

(heat engine)

あるいはサイクル

(cycle)

とは

320,

系の状態が変化し

,

再 び元の状態に戻る過程を指す

.

すなわち

,

状態

1 (

始点

)

と状態

2 (

終点

)

が同じ過程 を意味する

. p–V

線図において

,

サイクルは閉曲線

(closed curve)

を描く

.

315 [添え字と変数固定] 添え字の変数xは,その変数を固定することを意味する:

fx=const.fx (2.40)

熱力学特有の記号であり,単に,添え字の表現を簡潔にする以上の意味はない. 本資料では,

“= const.”を省略するが,省略したくなければその都度書けばよい.

316[添え字と導関数(主に熱力学IIで多用する熱力学特有の表記)]独立変数yを固定した偏導関数

∂f(x, y)

∂x の分子f(x, y)の表現を簡潔にする意味で,引数(x, y)を明示するのではなく

(∂f

∂x )

y

のように,右括弧の外の下添え字に,独立変数が何かを明示する. いずれの表記においても, 独 立変数y は固定されている(確認せよ). わからなければ,偏微分の定義(解析学IIで履修済)を 復習せよ. むろん, 表記の簡潔さ以上の意味はなく,両表記は数学的には等価である. 独立変 数が何かを伝えるという本質を見失わなければ,これに従わなくともよい. 熱力学IIで詳述す るが,先取り学習者を想定しての脚注である.

317[注意]315316,物理学や工学における一般的な表記ではないが,熱力学のほぼすべての 書物はこの表記にしたがう. 単に,表記を簡潔にする以上の意味はないので,いま全てを覚えよ うとせずとも,その都度確認すればよい.

318[復習]強調し続けているが, このように, 必ず第一法則を用いることを忘れてはならない. 第一 法則を使わないとは,§0で述べたように,エネルギーの不自然な変化を許すことを意味する(系 に仕事を加えたのに,内部エネルギーが減少する, など).

319現時点では省略するが,後戻りする予定がある.

320[応用例]名称にのみ触れておく. Carnot (カルノー)サイクルが最重要であるが,工学応用にも

簡単に触れておこう——ピストンエンジンとしては,内燃機関(ストーブのようなもの. 定義は 別にある)は,ガソリンエンジンのOttoサイクル(定容加熱. 火花点火機関),ディーゼルエンジ

ンのDieselサイクル(定圧加熱. 高温高圧空気中への燃料噴射による自着火),高速回転ディー

ゼルエンジンのSabath´eサイクル(定容と定圧の組み合わせ, 2段燃焼)が挙げられる. 外燃機

(お風呂のようなもの. 定義は別にある)は,最近注目を浴びている,スターリング(Stirling)

エンジンが挙げられる. また,ガスタービンのBraytonサイクル(定圧受熱・放熱. 空気を, 圧 縮機, 燃焼器,タービンへと順次通過させ,動力を取り出す). 蒸気原動機のRankineサイクル, エアコンや冷蔵庫などの冷凍サイクル. ほかにも枚挙に暇がない(熱工学などで学ぶ).

55 c 2017 Tetsuya Kanagawa

§ 2.8.1

サイクルにおける状態量

1

周すれば元に戻るのだから

,

始点と終点の間で

,

状態量の変化はゼロである

.

いいかえれば

,

サイクルならば始点の状態量と終点の状態量は等しい

†321.

§ 2.8.2

第一種永久機関

自動車のエンジン

(

)

,

燃料

(

入熱

)

なしに永久に動き続ける

(

仕事

†322

をす る

)

とすれば

,

われわれがすべきことなど何もないだろう

.

このような熱機関を

,

第 一種永久機関

(perpetual motion machine of the first kind)

とよぶ

323.

第一種永久機関は

,

残念ながら理想に過ぎない

.

これを直観的に理解するので はなく, 論理的に証明しよう

324.

道具はむろん第一法則

(2.8)

以外にありえない.

問題

9.

第一種永久機関が存在しないことを

,

第一法則を

(

数式を

)

用いて証明せよ

.

[

証明

] (i)

外界からの入熱はゼロである

. (ii)

サイクルゆえに

,

状態量である内部エ

ネルギーの変化はゼロである

. (iii)

熱力学第一法則

(2.8)

から

,

仕事を考察すると

,

W = 0

あるいは

dW = 0 (2.41)

をうる

.

ここで

(i)

(ii)

を使った

. [

結論

]

仕事は一切取り出すことができない

325.

外界からの熱の供給なしに

,

仕事を得ることができて

,

系は永久に動き続け

,

われ

われが何も不自由しない

——

それは理想にすぎないことを

, (2.41)

が教えてくれた

.

ドキュメント内 1.5.1 SI kg, m, s ,, (ページ 59-62)