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ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 121-126)

1)

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 A:海水給水管,B:通気管

。:砂層(厚.き5㎝

ε:支持プロツク

○:パイレン網

τ

し,水槽中に砂泥を敷いて 地下i茎を植えこんだ。5月16 日,6月6翻および16日(第3

〜5回)には花枝だけを採 取し,その5〜沁本を1東 にして,それに小石を結び 付けて水槽底に沈下させる 方法をとった。いつれのば あいにも,花穂の大部分は 水面に浮んでいた。花枝は

一124一

1回に50本程度を用いた。

   2 結   果

 (ヨ)野外における開花と結実  4月19B,水温越.5℃。多くの葉体に雄花と雌花をもつ花穂 が形成されていた。受精後の雌花は確認できなかったが,緬が開いて花粉が散布するものが数本 見られた。しかし大部分は未受精であった。

 5月4日,水温17.0℃。雄花の繭が開いて花粉が水面に浮上するもの,雌花の柱頭が花穂を覆 う鞘外に突出しているものがかなり発見され,また雌花は柱頭尖端の二又枝が消失し,緑色から やや黄色味を帯び,大きく生長したものが多く見られた。受精が盛んに行なわれていたと推定さ

れる。

 5月14日,水温19.0℃。種子は大きく生長し,子房壁が裂けて外部に飛び出したり,飛びだし かけているものが,かなりあった。一方,まだ未受精のものも残っていた。

 6月6環,水温21.0℃。大きく生長した種子が多数発見された。種子が子房壁から飛び出して しまった花穂が多い。花穂は切断して水面に浮いているものが多数見られた。このような花穂に は一部成熟した種子が残っているものもある。ただし同時期に沖合のアマモには乗受精のものが まだ晃受けられた。

 6月16日,水温22.6℃。種子は大部分が子房壁から飛出してしまい,花穂上に残っているもの は少なからた。とくに岸透くの浅田のアマモは花穂がすべて切断流出してしまっていた。沖合い の深所の藻には,花穂が残り,種子のあるものも見られたが,その数は少なかった。

 7月3日,水温25℃。花穂は流出して殆んどなくなっていた。

 以上の観察から,この地方におけるアマモの開花結実期を推定すると,開花期は3〜4月頃で 4月下旬から受精・結実が始まり,6月中旬までつつく。種子の成熟は,5月由旬頃から始まり 6月中旬までに終り,この間に多数の種子が成熱して子房壁から海中に放出されると考えられる。

 このように,この地:方におけるアマモの開花結実成熟の時期は,新崎(1950)*の愛知県下 における観察結果とよく一致しており,水温の面力・ら終ると,開花は15℃までに終り,それから 結実が始まって,種子の成熟は19〜23℃で行なわれる。また,水温23℃以上になると花穂の切断 流失するものが多くなり,その頃から花枝も流失しはじめ,水温25℃以上になると,全く消滅す

る。

 (2)室内水平中における種子の採取  第1圏〜第4回の実験結果を表1および図2に取まと めて示した。各回の実験結果を要約すると次のとおりである。

 第歪翻実験  野外でまだ受精していないアマモの花枝を釜内水槽に移植すると,その後花粉 の放出がみられ,受精が行なわれる。しかし,受精後胚珠が生長しないうちに花穂の多くが切断 流失する。ただし枝から切断された花穂には成熟種子が多少形成される。脱落せずに残った花穂 は移植後25日経過した5月15日に子房壁が裂けて種子を放出し,荏0〜50日経過後に成熟種子を18 個得た。花枝はその後腐れて流失した。

 第2回試験  天然で既に受精が行なわれ,胚珠が生長した雌花は大きく丸味を帯びて黄緑色 を呈するものが多かった。移殖後1週間後には,種子は大きくなって黄色を呈するものが多くな った。10日後の5月15日には子房壁から種子の一部が放出されているのを見た。また,この頃か ら花穂の切断・流失が始まった。ちぎれた花穂にも成熟した種子が見られたが,数は少なかった。

5翔2曙に20鰯,5月25日遅100個,計12◎個の成熟種子を得た。

 第3回実験  地下茎をっけず花枝のみを束にして移殖したが,花穂上の種子はがなり成熱が

* 新崎盛敏 1950 アマモ,コアマモの生態,日水誌,三6(2):

表1 室内水槽における受精・結実の経移 第1回実験

隼 月 経       過

花枝を採取し、室内水槽に地下茎をつけたまま植える。花粉の放出は見られ 1973,4.19 ない。

雄花の騎が開いて花粉の放繊見られる。花粉は水面に浮ぶ、雌花の柱頭が花 4.25 穂をおおう選外に出て受精が行われている。柱頭先端に三校が枯れおち受精の

終った雌花を持つ花穂が点々とある。

花粉放出している雄花多い。受精した雌花はやや大きくなっている。受精し 5, 1 た雌花が多くなる。

花粉の放出多い。受精した雌花多い、はじめ白色で細長かった種子が淡青色 5. 5 で大きくなり直径1.5〜2.0課長さ5〜6聡になる。このような三体は余り

多くない。

5,三◎ 受精後の花穂は多いが、種子が大きくならないまま花穂が切断して難中、成 熱種子が少い。

花穂が切断、流動、成熟種子少ない。子房壁が裂けて二子が外に出た花穂2 5.15 個見られち。

5.20 岡上

花粉放出しているのもある。

花穂切断、流失、成熟種子少い、子房壁が裂けて、外に出ている種子有る。

5.30 種子採取。

6. 5 種子採算、花枝は殆んど腐って流失。

、第2回実験

年 月 闘 経       過

1973.5。 4

花枝採貌地下茎はっけたまま植える。受精後やや大きく生長し、色がやや     

W青色をした種子が多い、花粉放出中のものもある。

5.エ0 種子は大きくなり、黄色となっている。

ヤ粉放出申のものもある。

5.15 子房壁が裂けて種子が外に煮ているものが多い、花穂が切断して、流出する 烽フ有る、流出した花穂にも大きい種子が残っている。

    種子は成熟すると濃い褐色で径2蹴長さ4禰〜5鷹の俵型で1◎一12条の 5.20 凹凸をもっている(写真3)Q流失している花穂の中にもこのような成熱種     子がある。種子を採取。

    花穂切断、流失、この中に成熱して子房壁かち飛び出している種子が多い。

5。30    種子を採取。

くされて、流失する葉体が多い。

第3圃実験

奪 月 日 経       過

σ.5 花枝を採取、地下茎はっけず、小石をつけて根の方を水槽の底に固定する。

ャ熱し子房壁裂けて外に飛び出しかかつている種子(編色2蹴×5襯懸凸の をもつ)をもつ花穂が多い。

〜126一

隼 月 B

    子房壁が裂けて外に飛び出しかかっている種子を持っている花穂多い。外に 6.10    飛び繍し水面に浮か為でいる種子(講色2脇×5筋)が多かった。

    花穂が切繭、流失しているものが多くなった。切断した花穂上にも成熟した 6.15 種子が多くできている。水面に浮んだ種子が多い、種子は2蹴×5脇くらい     の大きさで褐色で充分成熱したものが多い。

1973.6.20 花穂切断、流失多くなる。花枝も腐れてくる。水面に浮上している成熟種子 スい。形が小さく黄色の種子が多くなる。

6.25 くされた花枝が多い。花穂上の種子、形が小さく黄色のものが多い。成熱種子 qが少ない。

6.3◎ 花枝はほとんどくされる。

cっている花穂上の種子、形が小さく、黄色で未熱。

第4回実験

年 月 日 経 過

1973,6.15

花枝を三主、地下茎をつけず小石をつけて、根の方を水槽の底に固定する。

ヤ穂の数が前回にくらべて少い。また、花穂上に成熟した種子が多い。現場

ナ、 ヤ穂が流失したり種子が散布したものが多い。

6.20 子房壁が裂けて外に飛び出しかかつている種:子ある。

寛qは裾濃2襯x5繍の大きさで充分成熱していた。

6.25 構 上:

6.30 花穂が切断、流失、花枝もくされたものある。

寛qはかなり子房壁から飛び出して水面に浮んでいる。

7..5 花枝は、まったくくされて流失。

図2 室内水槽におけるアマモ種子の採取経移

 30 水25 漏20 e15 tG

  第4悶

正OG

  6月呈5日〜7月3εヨ

50 N・420

 20G

 正oo

(叢)

進んでおり,争房壁が裂けて種子の一部がすでに放出されていた。このため移殖直後から成熟種 子が得られ,6月25日までに555個の成熟種子を得た。

 移殖後10臼後の6月15日頃から花穂の切断流失が始まったが,ちぎれた花穂上に多数の成熟種 子が見られ,これは子房壁から水中に放出散布された。水槽底にも相当量の種子が確認された。

 このように野外ですでに結実している花枝を移殖すれば水槽中で容易に成熟した種子の採取が できることが判った。

 第4回実験  このばあいにも花枝のみを採取して移殖したが,すでに花穂の数が減少してい た。移殖直後から成熟種子の水中への放出散布が見られ,6月30日までに420個の成熟種子を得 た。このように,第3圃実験の結果が再確されるとともに,少なkとも6月中旬頃までは花穂を もつアマモの花枝のみを採取することによって採種のできることを知ることができた。

 要するに野外から花枝を移殖する適期は5月下旬〜6月上旬頃と推定され,移殖に当って地下 茎をつける必要はなく、花枝のみを採取すれば容易に成熟種子を得ることができる。

夏 アマモの種子およびその発芽と生長

 新崎(1950)によると,5〜6月に成熟放出されたアマモの種子は,野外では夏一秋の間海底 にあって休濡し,12月末から翌年4月頃まで,多くは2−3月頃に発芽するが,実験室内では随   時発芽させることができるという。

 筆者等は野外におけるアマモの成熟種手の散布を5〜6月頃に多く観察したが,その後の経過 については乗だ充分な観察を行なっていない。実験室内では前記の採種に関する実験に使用した 流水水槽中に1◎田上〜中旬,多数の発芽体を発見,H月中旬頃にはそれらの多くが誤長10c擶に生

・長した。これは新綺による野外における発芽期より数ケ月早い。筆者等はこれと岡時に,種子の 発芽・生長に対する水温,塩分濃度などの条件について二・三の検討を行なったので,次にこれ

らの結果の概要を述べる。

 q)種子の保存  前述のように,室内水槽を使用して5〜6月に採取した種子をシャーレに 収容して(海水の塩素量17%揃後),7月3日まで室温下に放置し,時どき海水を置換した。その 後,7月婆日に大量保存の分として二手を収容したシャーレを小型ポリ篭に入れて流水水槽中に 懸垂して保存し,更に9月錘霞にこれらの種子を取上げて5〜7℃の低温室内に移して保存を続 け,時々その一部を取出して発芽実験に使用した。なお水槽内海水の水温の変化を図3に示す。

    図3 室内水槽1こおける平均    種子の保存条件を知るため・7月4日・200個種        水温の旬別推移      子を選別取温して,100個宛2個のシャーレに収容

c

30

20

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㊥ $ ㊥ 鶴 ㊤ ㊥ a

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67891⑪監1タ雀

し,1個は小型ポリ篭に入れて流水海水中に懸垂し 他の1{固は5〜7℃の低温室内に放置した。低温室 内では40W蛍光灯下の明期および暗期を各12時閤と した。このようにして保存期間中,7月30臼,8月 25日,9月1娼に種子の外観によって腐死の如何を

調べた。

 その結果は図4に取まとめた通りであって,夏期 の高水温時には約2.5ケ月間に30%程度の種子が腐 敗したが,低温に保存した組はそれが10%以下に止 まった。常温,低温いつれのばあいも,その後の発芽には大差がなかった。なお,腐死した種子 は外皮が充分に黒化せず緑色を帯び,細く,かっ充分に硬くないものが多い。したがって保存の 良否は水温のみでなく種子の熟度とも関係すると考えられる。

ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 121-126)