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表4 種子の発芽,.幼体の成長と水温との関係

発   芽 率 (% ) 水温

i℃)

賑数 i

  i

i10月27日)

1  3

i1◎月29ヨ)

  5

i10月31日)

  6

i11月旧)

 12

i11月7日)

一133一 栽養音技石汗, 3(1/: 133㌻142, 1974

人工種苗によるアカモク竃場造成について

山口県内海水産試験場

 内海沿岸には各地に藻場が存在し,これは水産動物特に幼稚仔の生育場として,水産上重要な 役割を果している。しかし,数年来,晒場は衰退の傾向がみられ,これの保護・増殖は大きな課 題となっている。藻場には,アマモ類のアマモ場と,ホンダワラ類で構成されているかラモ場が あり,各府県で保護水面が設定されたり,漁場改良造成指定調査研究等によって,保護対策,造 成方法,生態調査等が行なわれてきた。本県でもこの種の調査・研究を行なっており,久賀沖藻

場保護水面調査報告書1),2),3)・荏)・5),漁場改良造成研究報告書6)・7),8),河本・富山9)および宇部画一0)

の報告があるが,ここではアカモクを主体としたホンダワラ類の人工種苗による藻場造成および 集魚効果の1例について報告する。

 なお,本報告の一部は水産増殖蝦2)9)およびホンダワラ漁場造成研究8)に報告した。

   1 アカモクの卵放出と発生

 ホンダワラ類の卵の放出時期は,種類によって異なり,また同一種類でも生育場所,個体によ って差があり,年変動もあるが,大体春季である。例えば,山口県内海沿岸のアカモクでは,冬 季比較的水温の高い東部地区で2・3月,比較的水温の低い秋穂周辺(西部地区)では4・5月 が卵の放出時期となっている。

 生殖器中に形成された卵は,生殖器床基部から先端に向って成熟していくが,1個の生殖器床 における卵の放出は大体2圃(時に3團)に分けて行なわれ,第1回の放出で基部から渥〜%以 上の範囲の卵が面隠される。第2回冒の放出は,第1回冒の放出後約1潮経過して,同一生殖器 床の残りの大部分が放出される。卵の放出は,それぞれの回で2・3日問にわたって行なわれる が,1日目に最も多く,その嗣の大部分が放出される。

 ホンダワラ類の卵の放出は大体大潮時に行なわれるとされていたが11>,山口県瀬戸内海沿岸で もやはり大潮時に多いが,必らずしも大潮時に限らないようで,小潮時にも放出されているのがみ られた。なお』,卵放出時期における未放出または第1園§の放出の山をすぎた藻体を磯採集して,

室内培養しておくとやがて卵の放出がみられ,この放出時期は野外における天然状態での卵の放 出時期と一致しており,室内培養における卵の放出傾向から天然状態での卵放出時期を推定でき そうである。

 アカモクの卵の放出時刻は,夜半から夜明け前に行なわれるとされているが,野外では隼前中 に当B放出された卵が観察され,室内培養でも暗所で培養すると卵の放出が郷制され,明るい場 所に移すと放出が始まる傾向がみられる。

 放出卵は膠質柄によって生殖器の内壁に纏絡さ.れ,粘液状の物質に包まれて生殖器床の表面に 2〜3臼間着生しており,その間に卵割が進み,仮根発芽を始めると被膜の先端が一部溶解し,

卵は生殖器床から脱落・沈下する。卵割の速さは水温に関係し,水温が低いと発生が遅いが,水

温2◎℃繭後では放出されたBの午後には2分裂,2義目には12細胞になり,3日窟に仮根発芽を 始めて生殖器床から脱落し始め,放出後3〜4臼屠には大部分の正常な幼胚は脱落する。脱落蟻 期をすぎて脱落する幼駈には小型のものや異常分割のものが多く,異常な生育をとげるものが多

い傾向がみられる。

   愛 採  苗

 生殖器床から脱落した丁丁は仮丁発芽を始めてはいるが,着生力は殆んどなく,基材の上にのっ ているにすぎず,仮丁(第二次仮丁)を言出してはじめて,着生する。水温20℃前後では脱落の 翌Bには仮根を伸出し始め,2・3賑後には殆んど着生を終り,水中でかなり動かしても脱落し

ないようになる。さらに5・6臼後には大部分の仮根は根をはった状態となり,幼胚は付着面に 対して直立し,基材から脱落することは殆んどなくなる。

 幼胚は仮根によって,花嵩岩,スレート,ガラス板,カキ殻,化繊糸等に着生し,仮根の伸長 および仮根数の増加に伴って着生力を増すが,ガラス板,カキ殻内面など平滑な面の基材には固 着し難く,たとえ着生しても離脱しやすい。また化繊糸では,クレモナ1号糸のようなケバの多 い繊糸でも固着が不安定である。着生期聞中に仮根および基材の表面が付着珪藻,浮泥などによ って汚れると,幼胚の着生は阻害され,固着が困難になるのが認められた。幼胚が基材に着生で きる期間は,騰落直後から仮根を伸出する期闇であり,若い時期ほど着生は容易である。

   3 幼胚の生長と培養

 幼胚の室内培養における生育条件は,アカモク,トゲモク,ホンダワラでは種類による差ぽな さそうで,室内闘接天然光では明るい程生長が良く,最大6,00◎luxでも生長は順調であった。ただし,

直射光線下では生長が阻害されるのがみられた。培養海水の水温については,25〜26℃以上にな ると塞内止水培養では生育が抑制され,27〜28℃以上に上昇すると幼胚は軟弱化し,明るい程枯 死・脱落するものが多くなる。室内培養におけるアカモク幼胚の生育状況の1例を表1に示した。

表1 アカモク幼胚の生育(室内培養)

 42.5.16 ∈ 土嚢一本重留集

黛月 曝

卵放出中で未分翻〜仮根発芽の幼胚着生

放出卵の大きさ:平均326μ×250μの卵型または楕円型

17 脱落魚蝋

       一

18・19號落潮矧5月17磯鋤胚の仮根150〜200μにイ帳 20 採

クレモナ5号海苔網に採苗

幼胚0。5〜0。7鞭,仮歯30数本に生育したものが多い

三警塑:繋1組継需要篠彊警音姦愛撫 L__←_ 2伽・ 500μに{帳

6. 1 〃  5.0鞭ン第2葉発芽,第上葉平たくなり始める 7  〃  6.0襯,第3 〃 ,第2,3葉以後は葉辺

鋸鑛状を呈す

15 幼胚8.0〜9.0襯,第4葉発芽,鋸歯縁が発達

 幼胚のタンク培養において,培養海水の欝欝によって幼胚の生育が抑制または異常になる場合 がしばしば出乾し,無換水あるいは弱い流水で順調に生育することが多かった。量水による異常 化の傾向は幼胚の著い時期に多くみられ,アカモクでは第3葉を出す大きさに生育した後には殆

一135一 んどみられなかった。ここでいう生育の異常化は,アカモクでは幼葉の分岐発芽が早く,生長が 搾制されたような形になることを指すのであるが,沖出しすると回請することがあり,この場合

に新らしく伸出する幼女は正常な発育を示す。

 入工採癒した種苗は,蜜内培養では当初の幼胚の生育は比較的順調であるが,長期閥(1ケ月 以上)になると水温上昇などが伴なって,生長が郷調されたり,異常になったりするものが出て

くる。したがって,幼芽が5〜1伽m程度になった時には沖出し管理した方が良い。

   尋 建場造成

 (1)人工種苗によるアカモク藻場造成  以上のようなホンダワラ類の入工採苗技術に基づい て,本県ではアカモクの人工種苗による藻場造成が種々試みられ,化繊糸に採回し,その種苗糸

を石,コンクリートブロック等に結びつけて沈下(投石)する方法,化繊網に採臥したものを海 底に設置する:方法などについて検討を行なってきた。その結果,後者の方法で海苔網を使用する ことによって,かなりの成果がえられ,近年では海苔網(1.5>〈18慧㍉ エ5cm琵ヨ) 壌◎〜6◎枚に採苗 して,これによる入工出場の造成が各地で行なわれている。以下入工種苗によるアカモク藻場造 成の2・3の例について報告する。

 (A)化繊海苔網を種苗網とした藻場造成(秋穂湾)

 方法  昭和47年5月12臼,秋穂町草山悩1,就.C)で,卵放出中のアカモクを採集して持 ち帰り,コンクリート水摺で培養し,脱落卵を集めて,5月15日に海苔網U.5x18m,3§一45−

120本,1δc懲艮,クレモナ

      図1 試験漁場の位{置 5号)6◎枚に採漉した。採

姦した種網は室内コンクリ

ート水槽で培養したが,培      N 導燈の水温は15〜25℃,照

度は晴天肩中盤00〜虞0◎Olux で,培養には天然海水を使 用し,士音i養其鐸間中2〜3[蚕 換漉した。種網とした海苔 網は両耳を5醗の即ロ〜ブ で補強し,7月11臼,急呈 のst.Aに採亡した60枚中の 20枚を鋼管パイルを支柱と して,麟2のように水平に 張り込んだ。種網の張込水 位は一窯◎〜一30舗層で,海 底から15c盤以上離れるよう にして,隊定張りとした。

 経過および結果

×A

×B 秋 穂 湾

         1濡式験場所の概況:秋穂湾の北西部にあり,潮流は緩漫で,底質は砂泥質で,

干潮時干潟になる部分は少ないが傾斜はゆるやかで,試験場所から沖合にかけ眉ま,約1◎年位前 まではアマモが繁茂して藻場を形成しており,メバル,ウミタナゴ,アイナメ,クロダイ,スズ キ等の幼稚魚の生育場所1G)およびこれら魚種の餌料生物の生息場として重要な場所であり,ま たこれらの魚種を対称とする建網の漁場としても利用されていた。しかし数年来アマモは滅少し 現在では部分的に稀に散在しているにすぎず,底質も留分が多くなり,アナアオサの繁茂が多く

なってきている。したがって現在では,当地区での漁獲量は減少し,建網の操業も殆んど行なわ

ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 129-133)