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ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 117-121)

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採集きれるような魚種には育効であろうが,そのまわ,りを遊泳するような魚種は採集が困難であ ろう。それらの魚種の集魚状態を観察し,加えて網魚礁以外の定点の集魚効果を観察し比較する ために潜水観察を行なった。定点別,月別の集魚状態を表1一(1)および(2>に示した。さらに表1 について調査月別に種類数と,個体数の推定を行ない表2に示した。

 上記の結果によると,観察水域全体として動物量が7〜11月に多く,1〜5屠に少ない。これ は顛一CMによる調査の結果とほぼ一致するが,M−CMの場合魚類は11月になると数量が減少した 点が異なる。しかし潜水観察には魚類以外のものも含まれていることにより,この点は理解できる。

   2 網魚礁の効果

 以上をもとに網魚礁の効果を検討してみよう。まず潜水観察の結果をもとに網魚礁の中心部

(St・3)と縁辺部(翫.2)について動物の出現種状況をみると周年ほとんど澗じである。そ こでS宅.2と3は同一としてM−CMとによる調査の結果と潜水観察結果を比較してみよう。潜 水観察のみに出現したものにウミタナゴがあげられ,これは網魚礁の中を遊泳していると思われ

る。これに反しシマハゼ,ギンポはむしろM−C醗による調査の方に多数出現し網魚礁そのもの の中に入っている場合が多いと思われた。クジメ,アイナメ,アミメハギについては濁調査共に 出現し上記の中間に位置すると思われる。これらの他にアカニシ,ヒトデ,サンショウウニ,ホ ヤ等が多数網魚礁に棲息することがわかった。

 他方平松ら3)は福二県豊前市沖の海薗においてこの調査に用いた網魚礁に類似したマブシ棚を 製作し,魚類婆2種の集魚を観察した。今回のM−CM調査で出現した魚種12種のうちサラカジカ,

イダテンギンポを除く10種類はこの中に含まれている。また,M−C蟹による採集方法は柴漬漁 法に近く魚種もこの漁法の対象となるものが多くなったと思われる。畑中ら4>は宮城県松島湾の

一119一

表2 表1より集計した種類数と推定個体数の月別変化

調査月  72年9月

11月

73年1月 3月 5月 7月

出現種類数 19 18 11 11 16 16

升   の   数 凵@  の   数

¥   の   数

 15 i150)

@11

i55)

@9

@(9)

 16 i160)

@12

i60)

@15

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 5 i50)

P0 i50)

@6

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 3 i30)

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P3 i13)

 5

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P6 i16)

 6

i60)

@23

i115)

@6

@(6)

合       計  35i214)  43 i235)

 21 i106)

25 i88)

 29 i106)

 35 i181)

十:1尾,什;5羅,辮:10尾として計話した推定億体数を( )内に示した。

但し 72年11月の人工海藻と馬立投石は集計より除いた。

藻場において柴漬採集を行ないメバル,ギンポ,アイナメ,アサヒアナハゼ,クジメ等を採集し ている。著者らのM−CMによる採集と比較すればメバルとアミメハギが異なっているがよく似 た傾向を示すと言えよう。更に平松らはエビ,カニ類について,モエビ類,イシガニ等が多く出 現したとしており,今回の結果と同じ傾向を示す。ただ,アシナガスジエビ,スジエビモドキが 著者らの調査では少ないが,平松らの調査では多数出回した点が異なっている。しかし全体的に みてマブシ棚と網魚礁は同じような動物相を形成したと書ってよいと思われる。

 次に潜水観察結果をもとに網魚礁を他の定点と比較してみよう。まず泥画(St,5)ではハゼ 類が少数観察されたのみであり,網魚礁の集魚効果は明らかである。アマモ場(St・1)は岡じ ような魚種組成を示すが,全体的に少数である。投石魚礁(St・4,6馬立投石)ではクロダイ,

メバルの多い点が網魚礁と異なる。アイナメはどちらにも出現している。投石魚礁もかなり集魚 効果の高いことが示されているが,網魚礁とは魚種がいくぶん異なっていると言えよう。

ま と め    1 集魚効果と要因

 網魚礁は新しい生態系を作り,幼稚魚に対しても集魚効果が明らかに認められた。そして甲殻 類も含め動物量は7〜11月に豊富で1〜3月頃貧弱である。集った魚類はアミメハギ,シマハゼ,

ギンポ,アサヒアナハゼ,クジメ,アイナメ,ウミタナゴ等である。

 これらの集魚の要困として考えられるものに摂餌場所およびシェルターとしての利用があげら れる。布施餌6)畑中7>平松ら3)はアミメハギ,ギンポ,アサヒアナハゼ,アイナメ,クジメ等は エビ・カニ類を多数捕食すると報告している。更にこれらの魚種とエビ・カニ類の消長が似てい

る点などから上記の魚にとって網魚礁は摂餌の場を提供したと考えてよかろう。なお,畑中らに よればシマハゼは藻類を摂餌するとしており,アナアオサ,ミル,珪藻類も集魚要困の一つとし てあげられよう。

 一方シェルターとしても利用したと思われる魚類にギンポ,シマハゼ,アサヒアナハゼ等があ げられる。ウミタナゴは直接網魚礁自体の中に潜入することはなく施設内を遊泳し摂餌している と思われ,摂餌の場とシエ)レターの両面からこの魚礁を利用するものと思われる。また千田8)に よればアミメハギは流れ藻にかなり集合するといわれる。したがってアミメハギが網魚礁に出現 するのは餌に加え,いわゆるヂ浮遊物」があるためと言うこともできる。しかしこれも大きい意 昧でシェルターであろう。

   2 棲息状況および捕食

 網魚礁に棲息する魚類はその場で回田し,他の魚種からの捕食をのがれて成長していると考え られる。しかも一般的に成長するにしたがい個体数ば減少する傾向を示している。このことは他 の魚種による捕食や自然死亡等によって減耗するものと成長した個体は順次網魚礁をはなれるも のとがあることを示唆している。

 布施ら5)は,アサヒアナハゼは稚魚期をアマモ場で過し,成長するにしたがってその場をはな れると報告している。今園調査のアサヒアナハゼ,シマハゼについても同様のことが卜えそうで あるが,アサヒアナハゼはシマハゼの場合ほど顕著ではない。

 これらとは逆にアミメハギ,ギンポ等はかなり長期閣を網魚礁で過すと推察される。これらの 魚種や一時期を網魚礁で過す魚種についても,ここを産卵場所として利用するかどうかは重要な 問題となるが,今回の調査では明らかにできなかった。

 集魚した魚種のうち産業上重要なものは,アイナメ,クジメ,ウミタナゴ等であるが,アミメ ハギ,シマハゼ等は他の重要魚種例えば,スズキ,メバル等の成魚や未成魚の餌として利用され

る可能性があり,その価値も無視できない。しかし,スズキ,メバルによって捕食されるものの 中には前述した重要魚の稚魚も当然含まれるものと思わなければならない。したがって餌とシェ ルターを求めて重要魚種の稚魚も網魚礁に集まるが,その魚自身,他の魚類の餌料となる可能性 もあり,その兼合いは難かしく今後の問題となる。

   3 放流魚の滞留

 服部ら9)はこの網魚礁のCT−2にガザミ(1令期)を放流し6日後までの調査した結果,か なり多数が滞留し成長していることを観察した。さらに当国試の他の調査で網魚礁にクロダイ,

アイナメ寧の標識放流が行なわれ,その後の潜水観察で滞留している個体が認められた。さらに 平松ら7)もマブシ棚に放流してカワハギ等は再思率が高いことを示し,その再捕率は魚類による 遊泳力の大小,つまり定着性の大小に関係あるとしている。これらの諸点を考えあわせ,滞留性 の強い魚種を選択して捕食の問題を解決すれば,この網魚礁は人工生産された種苗の効果的な放 流場所として利用できる可能性があると書えよう。

      要   約

 1.入工藻場造成の湿糠で古ノリ網を利用した網魚礁を設置し幼稚魚の集魚状態を調査した。

 2。稚魚採集網による調査の結果,アミメハギ,シマハゼ,ギンポ,アサヒアナハゼ,クジメ 等の集魚が見られた。

 3.餌料生物として利用されると思われるエビ,カニ類も多数出現した。

 4,ある種の魚類は網魚礁で採食し成長していると思われた。また他の魚種によって集魚した ものが捕食される可能性も考えられる。

 5。潜水観察の結果,稚魚採集網では採捕できなかったウミタナゴ,メバル等も集合している ことがわかった。

 6.潜水観察および稚魚採集網の結果から魚類は網魚礁を摂餌の場およびシェルターとして利 用しているものと思われた。

 7.標識放流の結果等から,魚種を選択すればこの網魚礁は人工生産種苗の放流場所として利 用できる可能性がある。

*表1−H, 73年7月,St.3を参照

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      文   献

1)大島泰雄(1972)瀬戸内海における藻場の消滅あるいは衰退の現状について,さいばい孤

 4,4−7

2)福田富男・他2名(1973>網魚礁の集魚効果およびそれに集まる動物相,昭和47年度岡山  県水産試験場事業報告書,83−108

3)平松達男・他5名(196の幼稚仔成育場造成に関する研究,福岡県豊:前水産試験場研究業  務報告,昭和3◎年度,67〜105

4)畑中正吉・飯塚景記(1962a)モ場の魚の群;集生態学的研究一1,日水誌,28(1>,5−16 5>布施慎一郎(1962a)アマモ場における動物群集,生理生態,11(1),1−22

6) 同 上  (1962b)ガラモ場における動物群集,同誌,1i(1),23一塩3

7)畑中正吉・飯塚景記(1962b>モ場の魚の群集生態学的研究一丑,日水誌,躍2),155−61 8)千田哲資(1963)入工の浮遊物下へのウマズラハギ等幼魚の集合,昭和37年度魚礁設置環  境研究報告書,岡山県水産試験場,4−14

9>服部洋年・他3名(ig73)ガザミ放流技術開発調査,瀬戸内海栽培漁業事業魚類放流技術  開発調査事業昭和47年度経過報告,岡山県水産試験場,碧一71

1◎)岡山県水産試験場(1972)保護水爾調査報告書,PP.16

ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 117-121)