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栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号

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(1)

栽培漁業技術開発研究 第3巻 第1号

誌名

栽培漁業技術開発研究

ISSN

09116753

著者

社団法人 瀬戸内海栽培漁業協会,

巻/号

3巻1号

掲載ページ

p. 1-171

発行年月

1974年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所

(2)

栽土吝蜜麦子…葺, 3(1), 1974

栽培漁業技術開発研究

第3巻  第1号

  昭和49年3月

       

瀬戸内海栽培漁業協会

(3)

内容 栽培漁業技術に関する研究業績のうち,特に関係技術者に衆知を要する短報,速報のほ   か,特定の研究課題についての総述,その他研究連絡事項を掲載する。 記述 400字詰原稿用紙にペンで横書きとし,簡潔平易に記載する。 裏題 簡潔な表現でまとめて,動植物名は原則として和名のみとし,英文題名を付けない。 著考名 連名のばあいは・で連ね,機関名のばあい原則として執筆者氏名を文末に付記し,英    文名をつけない。 文献 末尾に下記の形式で∼括記載し,本文引用個所に上付きで文献番号を入れる。   雑誌:番号)著者名(年号) 表題,雑誌名,巻(号),初頁∼終頁   単そ予文:番一号・) 著者名 (年暑・)  表題, 発手テ戸斤,  (引用頁) 図表 本文と別葉にし,本文欄外に押入個所を赤で指定する。    説明は和文とし,表○,図○とする。図はインキングし,内部の数字や文字は鉛筆書き   でもよい。表は本誌1頁におさまるようにする。 報文翼数 刷上り8頁(図表を含めて400字詰原稿用紙約35枚)以内。 別劉 50部を著者に送呈する。ただし表紙はつけない。         も 校正 原則として編集委員会に一任。 原稿の送付(かならず警留)および連絡先   干 706  ヨ三里予市築三巷5900∼5     瀬戸内海栽培漁業協会玉野事業場内       技術研究刊行物編集委員会        TEL(0863) 2−2935

(4)

瀬戸内海栽培漁業協会創立10周年記念号

(第3巻第1号)の発刊にそえて

 瀬戸内海栽培漁業協会が創立10周年を迎えるに当って,本誌第3巻第1号をその記念号として 企画致しましたが,関係府県水産試験場各位の御支援により予想以上の御寄稿を頂いて,ここに 記念合にふさわしい本号が出来上りました。編集委員諸賢にも大変御苦労をかけました。本号の 発刊に当り,先づ始めに,上記の皆様に厚く御礼申し上げる次第です。  栽培漁業が将来における沿岸漁業の在るべき姿であり,これなくしては沿岸漁業の振興も生産 の増大もあり得ないという認識が,昨今ようやく深まってきておりますが,それというのも北に ホタテガイ,南にクルマエビといった実績がその理解を深める上に大きな役割りを果しているこ とは否定できないと考えます。われわれは今後更にこうした実績を沿海のあらゆる漁業対象種に ついて積み上げてゆくために,従前に増した努力を傾注せねばならぬことは言うまでもありませ ん。  以前から申し述べているように,栽培漁業を推進するための技術は種苗放流のみではありませ ん。種苗放流が,現在直ちに適用できない種類でも,そこには何等かの増殖手段を加える余地が あると考えます。本誌を単に種苗生産,種苗放流の技術のみでなく,あらゆる増殖技術を展開す るために知晃を交換する場として使って項きたいと考える意麟はこうした点にあるのです。それ には,また,巾広い技術研究の展開が不可欠でありますので,各関係府県水産試験場の増・養殖 関係技術研究者のみでなく,漁業あるいは資源関係の技術研究者各位にも参加を願い,貴重な二 二を発表して頂くことを切に期待致しております。  編集委員会は,本誌が栽培漁業を進めるための発想を培う場として役立っよう今後,更に努力 致す所存です。倍旧の後支援をお願い致します。

       (編集委員長 大島泰雄)

(5)

報 文  マダイの標識方法について……・……・…・………・………・・………増村和彦・佐藤正明  養成スズキの自然産卵について……・…………・・…………_._.._____伏見 徳交  ヒラメの種苗生産について・………・……・………・・….______..._翠届忠康  カレイ類の標識放流試験………・……・…・…………・…・・………富山 昭・陣之内征龍  カサゴのコンクリート水槽における棲み場の選定について…………・…・・今泉圭之輔  瀬戸内海におけるサワラとその種苗放流に関する予察…………樋口正毅・大島黍雄  アイナメの採卵と仔魚飼育について………松永 繁・椙田拓治・山崎哲男  クルマエビ保護育成の2,3の問題点…・……・……瀬戸騰勇・椎原久幸・藤田征作  台湾産クルマエビの採卵用親エビとしての利用価癒について………今季寸茂生  嗣山県牛窓彫也先沿岸におけるガザミ稚ガニの  分布生態について………服音β洋年・松村真作・篠原基之・寺島 朴・村田 守  ガザミの種苗生産に関する研究一H 1 9 15 23 3圭 43 61 71 77 87   大型水槽を利用した高密度飼育について・………・・………高橋伊勢雄 95  徳島県沿岸で採集きれたイセエビ属フィロゾマの   採集場所・時期・体長について…………・……・・………・………・・…………中村和夫105  網魚礁へ集まる幼稚魚について………・曾・……福田富男・篠原基之・寺島 朴113  アマモの野冊に関する研究一1   種子の採取とその発芽および生長について       ………幡手格一・上域義僑・小川和敏・国武和人123  人工種苗によるアカモク藻場造成について・………・・…・・山口県内海水産試馬灸場133  大阪府における漁場造成,とくに泉南沖の鋼製魚礁について…………・・…・吉田俊一143 資 料  豊後水道におけるマダイ資源の補給源について・………・・………木谷益邦153  アカガイ天然採苗について・………・…・…………・…・・………満岡 弘163 編集連絡

(6)

一1一 栽培技研,3(1>:1∼・7,1974

マダイの標識方法について*

増村和彦・佐藤正明

(広島県水産試験場)  マダイ種苗の大量生産技術の開発が非常な進展をとげつつある現在,その種苗放流技術の開 発が大きな課題となっている。放流技術開発に関する研究の中では標識放流調査が主体を占め るものと思われるが,現在各地で使用されている標識方法には魚体におよぼす影響の面から大 きな問題があると思われる。理想的な標識の条件としては,(1>脱落が長期間にわたり無いこと, (2)魚体に対する生理生態的悪影響が無いこと,(3)識別が容易で個体識別が可能であること,鰯 装着が容易で大量処理が可能であること,などが挙げられるが,ここでは,特に脱落が無く魚 体に悪影響を与えない標識の:方法開発を冒的として,各種の方法について検討し,若干の郷見 を得たので報告する。        i 各種標識比較試験(その1)    供試標識と装藩方法  ①35mmTag: タグガンにより背鰭基部に装着する。  ②ステンレス線巻付け:径0.加m,長M∼5cmのステンレス線を背鰭棘に巻付ける。  ③ステンレス線押込み:上記ステンレス線を注射針を使用して復腔に束腿む。  ④ナイロンテグス巻付け: 背鰭棘にナイロンテグスを巻付ける。  ⑤ポリエチレン線剃込み:径0.5mm,長さ4∼5c隠のポリエチレン線を注射針を使用して腹   腔に剃込む。  ⑥色素の注入二 墨汁,Fast Green FCF, Brimant Blae, Trypan BlueおよびNeレ   tra}Redを使用。  ⑦凍傷法1)  ⑥の色素注入法は,クルマエビの染色標識法2)の注射法に準じ,墨汁は墨を濃くすって游過 したもの,その他の色素は,滅菌再蒸溜水に溶かし,0.2%溶液としたものをツベルクリン用注 射器で腹部の真皮,鱗の下に1尾当り約0。02狙¢注射した。⑦の凍傷法は,外径6mm,肉厚1,5 mmの銅製パイプをドライアイスで冷却し,それを7∼10秒間体側に密着させ凍傷化させて標識 とした。  供試魚はすべてMS222で麻酔し,標識を取付けた後はニフルピリノールで薬浴した。その 後,径3.4m,4.8tコンクリート水槽に収容して飼育し,標識の脱落あるいは消失および魚体 *広島県水産試験場業績  この試験は「浅海域における増養殖漁場の開発に関する総合研究」の一部として実施した。

(7)

への影響を調べた。供試魚の平均全長は10.4c羅であった。    結果および考察  飼育期間中の水温は22.0∼25.2℃,平均23.6℃であり あった。結果は表1に示すとおりである。      表1 各種標識比較試験結果 供試魚の遊泳は活発で摂餌も良好で

塑爾5LL・・臨三銚型一・・

雛死戦困 1 0、0 0 0

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 ⑪ i凍傷 9.11     …1曲… G 、  O      iG

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(10日)i(13日)1(1鋤(14日)   〃 i1か月後)

13。    1   !堰Ei   囁  io 。i 葦

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0 10   〃 i1.5か月後) {24 ‘− il      l 0  Tagを装着したものは,脱落しにくい点では本試験に供した各種の標識のうちで最も優れて いる。しかし1.5カ月のうちに約半数が脱落していること,装着による魚体の損傷がかなり大 きく,体色黒化あるいは立鱗する継菌性疾病と思われる玉体がかなり多く見られたことに閾題 がある。  ステンレス線とナイロンテグスを背鰭棘に巻付けたものでは,試験開始より16臼後の調査の 時,棘が装着部分で折れて標識が脱落しているものがほとんどで,かろうじて脱落を免れてい るものでも。すべての個体で棘が折れるか,または折れかかっていた。  ステンレス線とポリエチレン線を腹腔に刺込んだものでは16∼17日目には1個体を除いて, すべて脱落していた。  色素を注入したものと,凍傷のものは,魚体への影響が少ない点では優れているが,比較的 成績の良いTrypan Blue区でも約2週間後にはそれと明瞭に識別できる個体は約半数に減少 していた。

      1エ Tagの装着方法に関する試験

 試験王においてTagを装着した区ではし5カ月の間に約半数が脱落した。この場合魚体への 損傷を小さくするため,背鰭後部の基部,すなわち筋肉の薄い部分へ装着していたための過失 があったと思われたので,改めてTagの装着部位,角度および形状について検討することにした。    方  法  平均全長12.1c鵡aの供試魚を用いて,表2に示す試験匿を設定した。試験項醸の詳細は図1に 示すとおりである。B区は試験工と同じ方法で装着したもので,玄寸照区の意味で設定した。19 72年10月3日より2か月闘飼育し,その期間中の標識の脱落および艶死について調べた。試験 期間中の水温は13.7∼22,7℃で,平均19.3℃であった。

(8)

一3一 表2 試験区の設定  試験∫ζ{「ii取付位鍛     i 試験i.ヲ(  i

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前部…後部i離i劉大型1小型

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   取付位置 醗部(総厚の部分〉 後日

図1  言式馬出∫頁臼 取付角度 匹

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麩響に打   結梁および考察 結果は表3に示すとおりである。       表3 Tagの装着方法に関する試験結果  プくゆ

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Tagの形状  づ 

水の抵抗を少なく するため、35無 Tagの.ヒ部坂状 の部分を切り駁つ たもの 試  験  区 A B C D 郵       ミ

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      … 纐体数()飛は% 50 50 49 50 麟の臆’る・42・88・・}・3・66・・i・・・・…i・・…%・}46・・2・・  この結果より総合題位をつけると,①E区:前部一斜一・1・型,②D区:後部一直角一小型, ③A区:前部一直角一大型,④C区:後部一斜一大型,⑤B区:後部一直角一大型の順となる。 この結果から,Tagの形状と装着部位によって脱落率がかなり変ってくることが分る。すなわ ち,できるだけ水の抵抗を受けないような,小型でやわらかい柑質のものを魚体の前部肉厚の 部分に打込めば良いと思われる。取付け角度についてはあまりこだわる必要は無いようである。  B区は対照区の意味で設定したのであるが,試験1の結果で,標識の脱落していない個体が L5か月で48%に減っているのに対し,同じ状態で装着したB区では,2か月で66%となって いる。この原因として考えられるのは,試験千尋中の水温差と供試魚の大きさの差である。水 温の低下に伴ない,しだいに遊泳不活発,さらに摂餌量減少の傾向が認められ,Tagの脱落を 考える場合,遊泳が活発なほど水の抵抗を強く受け,それだけ脱落も多くなると考えられる。 それと,供試魚の平均全長が試験1の場合は10.4cmであるのに対し,今回は12.1c熱であるが, 岡じ大きさの標識を付けた場合魚体の大きいものほどその脱落率は小さくなると考えられ,ど ちらが主因であるかは後に述べる試験の結果を参考にして後で結論づけることとする。

(9)

 今回の試験では標識の脱落について調査したのみであるが,試験工と岡じように皮慮および 筋肉の損傷に起因したと思われる体色黒化,立鱗,眼球白濁あるいはうっ一等の症状がかなり の鰯捧に紀られた。薬浴など治療効果も余りなく,この標識方法のもつ短所とすべき重要課題 と思われる。       孤 各種標識比較試験(その2)  試験1およびRで得られた知見をもとに,標識の脱落および魚体への悪影響の防止を霞標に して,なるべく水の抵抗を少なくするような耕質,形態の標識を使用して試験を行なった。    方  法  各供試標識の装着部位は図2に示すとおりであり,供試標識と装着方法は次のとおりである。        ①:35m頂Tagを図2のBの部分          図2 標識の装着部位       に装着。       A        ②:35田煕Tagを図2のCの部分       に装着。        ③:径G。6殖m,長:さ10c田のポリ       エチレン紐を図2のAの部分       に縫針を使用して貫通させて       結びつける。        ④:前記と同じものを同じ要領       で図2のCの部分に結びつけ       る。  ⑤:径0.25m孤,長さ7c狙のナイロンテグスを前記と岡じ要領で図2のAの部分に結びつける。  ⑥:⑤と間じナイロンテグスを同じようにCの部分に結びつける。 ⑦:⑤と間じナイロンテグスをAの部分に2回貫通させたのみで結びつけない。  標識装着後の処置ならびに飼育管理方法は試験L獲の場合と同様である。1.5か月間飼育 を継続して,その期間中の標識の脱落ならびに魚体への影響を調べた。魚体への影響は,標識 装着部の局部的異常以外に外観的異常が現われている個体を異常魚として異常率を求めた。    結累および考察  供試魚の平均全長は17.Oc醗,飼育期間申の水温は22.7∼26.2℃,平均2厘.5℃であった。結果 は表4に示すとおりである。 表4 標識比較試験結果      ①  ② i      ③  ④試験区

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 ⑤e グス w鰭継付        i供試緬体147…・6i24 i 25

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*標識が脱落しているためにどの試験賦に属する樹本であるか識別置目なもの

(10)

一5一  (1)標識の脱落  Tagを使用した場合でも背鰭側につけたものと讐鰭側につけた場合では脱落率にかなりの差 がみられる。図2のAの部分に装着していたならば,試験1によって得られた知見により,こ の場所よりももっと良い結果が得られたものと思われる。試験鉦の考察で少し述べたが,Tag の脱落率の差が水温差によるものかそれとも魚体の大きさの差によるものかについての結諭と しては,試験1,聾および皿の結果をまとめると表5に示す結果となり,魚体の大きさの差に よるものと結論づけて良いと思われる。同じ大きさの供試魚を用いてのデータが無いため水温 差が脱落率におよぼす影響についての結論は出すことができないが,それは魚体の大きさの差 による影響に比べると小さいものであろう。       表5 Tagの脱落率の比較      ポリエチレン紐とナイロンテ

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{疑試魚平均全廃…i 10・畦㎝ i 12・1c欲 i 17・Oo窺 平均水温(℃) 23.・邑9・・ 24.5 をなるべく少なくするためであ馳 るが,表4の結果をみると,図 2のAの部分に装着した場合と Cの部分に装着した場合とでは ポリエチレン紐の場合は明らか に差が生じているが,ナイロン テグスの場合は差がない。それと同時に必ずしも細いものが脱落しにくいということは無く, むしろ太いポリエチレン紐を装着したものの方が良い結果が出ている。中でもポリエチレン紐 を背鰭前部の基部に結びつけたものでは1,5か月問の飼育では脱落がゼロという結果となって いる。また,Aの部分とCの部分に取り付けた場合にはAの部分に取り付けた方が脱落が少な い傾向がみられる。    供試魚の異常率  異常魚の判定については,体色黒化,遊泳状態の異常,体表のスレやビラン,眼球の突出, 白濁等の症状の出ているものについて異常と判定した。その異常が標識を装着したことに起即 するのか,それとも他に起因するのかは不明であるが轡鰭基部に付けた場合には背部に付けた 場合よりも異常率は低く,標識の脱落している個体のそれと岡じ,もしくはそれ以下となって いる。したがって誌面基部につけたものは脱落こそ多いが魚体への影響は小さいと思われる。 標識の付いている個体では異常率がいずれの試験区もかなり高い。標識が装着されている局部 では,程度の差こそあれ,ほとんどすべての個体で皮膚の黒化やビランが見られ,特に背部に 装着しているものに多い。完全に標識の装着部分が癒着している個体は1尾も見られず,脱落 が無かったポリエチレン紐を背鰭前部の基部に結びつけた試験区でも33%の異常率を示してお り,やはり魚体への悪影響は免れない。

W 体内埋没型標識試験

 今までの試験で標識の脱落を防ぐためのある程度の知見は得られたが,魚体への悪影響を防 ぐことが残された大きな課題となった。今圃は標識の装着されている部分を完全に癒着させる ような標識方法を1矯発するために標識を魚体内に埋め込み,しかも外観的に識別可能な標識の 試験を行なった。   方  法 図3に示すような標識を腹腔内と背部体側筋肉内にそれぞれ局部をメスで切開して挿入した。

(11)

標識はプラスチック製の板状の面分とポリエチレン製の紐の部分に分けられる。板状の部分は 体内に挿入される部分で,紐の部分は体外に罷る部分である。       図3 標識の形態ならびに装着図         A      B       C

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径1.1鞭 標識装着後1.5か肩問飼育してその聞の脱落るらびに癒着の状況を3段階に分けて調べた。    結桑および考察  供試魚の平均全長は15.Ocmで飼育期閤中の水温は10.7∼20.0℃ 1ま表6に示すとおりである。       表6 体内‡里没型標識試験糸i誓果 平均15.1℃であった。結果 麟唖勲㌧__△..一… びに挿入部位 1腹腔   背     B

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8 3 × 1 9 1 4 0 1 *癒若状況  ○…・噛・完金に傷口が癒着して、外観七正常な側本  △……癒管しっっあると患われるか完金には癒着していない1尉体  ×……傷口が全く癒着していない一体

(12)

一7一   標識の脱落 脱落率は,一一部を除いて極めて低く良好な結果を得ることができた。    標識の癒薫  癒着の状況は,背部筋肉内に装着した場合よりも腹腔内に入れた場合の方が良好である。背 部筋肉内に装着したものは試験開始から3日ないし10日間のうちに一見癒着したかのような状 況を呈するが,その後しだいに局部の皮膚が黒化し傷口が開いてくる。その後標識が体内から 押し出されるように傷口が大きくなってゆく傾向が見られた。背部に装着したものは筋肉の中 でも真皮のすぐ下に浅く挿入した形となったために,このような結果がでてきたのかもしれな い。腹腔内に挿入したものは,最初のうちは傷口が大きく開いているが,日数の経過に伴ない しだいに治癒してくる。腹腔内挿入の場合に注意しなければならないのは絶対に内臓を傷つけ ないように挿入しなければならないことであり,腹部挿入個体で死亡したものはすべて装着部 分がひどい潰瘍症状を呈していた。これは挿入方法が悪く,内臓を傷つけた個体であると思わ れる。また,標識の紐の部分はなるべく細い方が癒着に良好な結果が得られた。しかし外観的 に識別を容易にするためには少なくともBの標識の太さ位は必要であると考えられる。体内に 挿入する部分の形としては,できるだけすみやかに癒着させるために,なるべく体内で動きに くい形が良いように思われる。異常魚の出現率は比較的少なかった。今後はさらに標識の形態 装着部位の組織挙行検討などを行ない,より能率的に処理できる方法を見つけ出してゆきたい。 また装着の作業能率を.ヒげるためには装着器の開発が必要となるであろう。  終りにのぞみ,試験の実施に際し有益な暗譜を頂いた南西水研倉田室長に厚く感謝の意を表 する。 要 約  1.マダイ幼魚に各種の標識を装着して,標識の脱落,魚体に与える影響について検討した。  2.Tagの場合,脱落を防ぐためにはなるべく水の抵抗を小さくするように工夫し,肉の厚 い部分に装着することが有効である。しかし,魚体への悪影響は免れない。  3.脱落のない標識としては径0.6田猟,長さ10c撚のポリエチレン紐を魚体の背鰭前部の基部 を貫通させて結びつける方法が良かったが,これも魚体への悪影響は免れなく,癒着は見られ  なかった。  4.脱落がなく,しかも標識が完全に癒着されるということで体内埋没型の標識の腹腔内挿 入が良好な結果を得た。この場合内臓を傷つけないように挿入することが必要である。 文 献 1)CHA茎モ韮.Es C・CouTANT (1972) Successful Cold Br鋤dlng of∼環onsalmon{ds, The Pr. ogressive F{sh・Culturist, 34(3) 2)倉田博(1968)クルマエビ染色標識法水産増殖,16〔1)

(13)

守内音技嘲弄, 3(1):9714, 圭974

養成スズキの自然産卵について

伏 見

徹 (広島県水産試験場)  冬期産卵する魚類のうち海面養殖に適する種類は少ないが,スズキは成長,市場性などの点で その条件を備えていると思われる。養殖種苗を安定確保するには人工種苗生産の必要があること は他の養殖魚種と異ならない。人工種苗生産は山下他1)の報告によると45m搬の種苗で7%の歩留り が可能であるとされ,また広島水漏2)も8.0∼10.6c磁稚魚を2,300尾生産し,その見通しを得て いる。しかし,種苗生産に必要な卵を入手することは,瀬戸内海など産卵期のスズキを対象とし た漁法のないところでは熟卵を持った天然油魚を確保する手段がなく,困難である。このため,養 成穂並からの採卵を手掛け,昭和艇年から飼育を続けた親魚が昭和47年に飼育槽で自然産卵して 受精卵が得られたので報告する。    1 親密の養成  昭和44年8月2・8賑の両沼,福山市田尻町地先の粉網で漁獲されたスズキ幼魚(セイゴ)350 尾を曲水試に運搬後,陸上水槽に放養し,翌日からアカエビ,冷凍イカナゴで餌付けを始めた。 漁獲お』よび輸送でのミスhによる死亡がなくなり,餌付けが終了した8月1鯛に181尾を3× 3×3mの海面丹生簑に移動して飼育を開始した。  飼育餌料は冷凍イカナゴを主に嶺桜したが,網替え,測定などの取扱い後と摂餌の不良時およ び水温が上昇した夏期にはスズキが好んで摂餌するアカエビなどの小エビを剥身にして与えた。  養成中の減耗は,魚体測定時の玖囚による細菌感染で31尾,冬期の原因不明の死亡で26尾 および台風による両生簑の破損に原因する逃亡で26尾が主なものであった。  親魚養成を開始してから産卵を確認した昭和群年までの成長を表1に示した。産卵魚の魚体測 定は産卵が終了した昭和48年2月に行なった。 表1 養成スズキの産卵までの成長 体  重(9) 年  齢 測定年月日 測定尾数

最大

最小 平均 標準偏差 備   考 零年魚(種苗) 昭和44.8.8

50

58.4 17.6 35.1 1◎.9 天然産セイゴ

1年魚

45.1.19

20

185 65 144 30.0 2 〃 46.2.3

40

620 196 313 85.2 雄は精液を分泌 3 〃 47,3.10

22

1,55◎ 330 724 290.7 4 〃 48.2.13 3◎ 2,720 500 L2◎5 528.圭 睦上池で自然産卵

(14)

一10一 また,飼育水温を昭和妬年の測定値の旬平均で示すと図1のとおりである。 図1 飼育水温(昭和45年) .25 水 2G 温 ce) 15 生。

圭23456789韮0王且!2

       曝   閤(月)    2 産卵までの経緯  紹和46年2月(2年魚)の腹部を圧し卵および精液の搾出調査を行ない,40尾中6尾から精液 の分泌をみたが,成熟の雌はなかった。精液を出した魚の体長は24.1∼29.Ocmであり,体重は218 ∼372gの範囲であった。このことより,畑中他3)の調査によると雄は天然魚では2年魚の終りに 一部が成熱するとされているが,養成魚は1年早く2年魚の始めには一部成熟することが判る。こ の時の雄の最小体重は218gであった。  昭和46年11月5懸に飼育槽における自然産卵を確認するため,海面網生蟹から図2の陸上池 (直径8憩,水深1.5m,水溶積75トンの円型池)に雌雄を合せ22尾(表1の3年魚,平均体重 724g)を移動し,自然産卵を待ったが産卵は行なわなかった。 図2 産卵池と採卵プ弄去 注水照 →  →  →→ \

多勿

\ ? スクリーン   注水環 ↓ 黙

採 卵 う ト 丁 曇  昭和47年11月10日,前年同様に海面網生賓内で継続飼育魚から30尾を図2の池に移動した。こ の時,他の5尾を取り揚げ雑S222で麻酔して,肛門前部から胸鰭までを切開し,親魚を殺すこ となく肉眼でその成熟状態を観察した後,縫合して飼育を続けた。この時生殖巣重:量を紹見当で 推量し表2に示した。  表示のように,生殖巣の成熟には個体差はあるが,経日とともに成熟が進み完熟の状態に達し た。

(15)

表2 産卵前の親魚の成熟状態の肉眼観察 魚体番暑 性男彗 体長(侃) 体長(9) 生殖巣二二の推定 @  (夢)

成 熟 状 態

1 ♂ 35.6 750

5G

毅白色で十分に成熟 2 〃 38.3 855

30

灰白色でやや未熟 3 ♀ 43.2 1,305

60

鮮桃色で成熟状態は良好,完熟には到らず 4 〃 42.0 1,G85

50

岡 上 5 〃 40.3 1,035

30

二二色でやや未熱    3 自然産卵  産卵行動と産卵時刻  移動と一時に図2の池の排水口にテトロンゴース布地の袋網を取り付 け,産卵した卵を採集できるようにし,9時と17時の1日2回,このネットを取り替えて産卵を 待った。飼育水は,海より揚水し,10c聡径硬質塩化ビニール直径5蹟mの孔を5∼10cm間隔に婆0 個頗ナて毎分約1002を水薗に噴射注入した。これにより,池内の水は一様に排水ロへ向う緩や かな渦流を作った。  第1回の産卵は12月4日で,その後,表3に示したように昭和48年1月3臼までの産卵期間1 か月に8圓産卵した。 表3 産卵月日と産卵量及び卵質 産卵年月日 産卵量 推定産卵粒数 卵 径(翻) 油球径(襯)

iの

受精率 i%) ふ化率 i%) 範囲 平均 範囲 平均 47.12.4 171 80,700 一 『 一 一 一 一 11 52 24,500 三2 677 319,500 16.G 10.7

L32

`1.40 1.37 G.34 `0.36 0.35 18 739 348,8◎0 45.7 35.2

L32

`1.40 1.36 0.34 @0.36 0.35 23

542

255,80G 一 一   『 24 220 103,800 29

558

263,300 28.4 9.1 一 一 一 一

48.1.3

産卵は確認したが量不明 } 一 一 一 一 一  17時の採卵ネット取替時に当日産卵の卵が確認できたのは12月12日のみで,この時の卵は産卵 数門閥経過の胚盤隆起期の卵であった。その他は翌朝に産卵後10数時問経過の桑実期の卵を採集 した。養成スズキの産卵は,午後3時頃,特に夕刻に行なわれたと考えられる。  今回の産卵では,産卵行為は確認し得なかったが,午後には特定の雌雄と思われる魚が数時問, 特に激しく追尾し,他の魚とは異なる遊泳をしているのを観察した。  産卵量  産卵された卵は,翌朝の採卵ネット取替時に大部分が採集できたが,幾分かは夕刻, 翌々朝に採集できた。採卵ネットで集めた卵を計量して産卵量として表3に示した。1月3日に

(16)

_12一 は採卵ネットが排水口からはずれ一部の卵しか採集できなかった。また,12月4日産卵の卵は1 9当り472粒であり,この数値を産卵に剰じ推定産卵粒数とした。1Bの産卵数は最高349×103 粒で,最低は12臨1日の24。5×103粒であり,総産卵粒数(1月3懸の産卵量不明)は1,396× 103粒であった。なお,養成スズキの自然産卵については知見がなく,1尾の産卵期間中の産卵 回数および産卵量について不明であり,三吟の産卵も多数の雌を一つの池に収容したので,この 点の知見は得られなかった。しかし,48年12月に著者が行なったシナホリン処理の採卵で1.33kg の親魚から198g(推定142×圭03粒),1。74kgで342g(245×103粒),2.2kgで350g(252×103粒) の卵を得たこと,また山下他1)は金:長60cmの漁獲直後の営営から23万粒を搾出採卵していること, さらに,畑中他3)は体長51∼61c狙の1尾の抱卵数(卵の長径1.18mm以上甥馨)は約17∼22万粒と していることにより,今厩の1日の自然産卵は1尾,もしくは数尾が行なったと考えられる。  産卵日の気象条件  産卵調査中に産卵臼が,日本海,黄海から低気圧が近づき,風が強く吹 き,降雪雨の日に当ることに気づき,最寄の呉測候所気象観測4)5)の気圧(海颪),最高風速,平 均購気温および水試地先の海面表水温と産卵巳を対比し図3に示した。なお1月3賑の産卵は4 日朝の卵が流失したので4日夕刻の採卵量から推定した。  この結果,12月穿日の第1画の産卵日をのぞき,産卵臼は低気圧が通過し風が強く吹いた日で あることが半1る。この点については,九州有明海々域の親スズキが悪激な寒波ができたとき移動 が激しくなり群をなして漁獲され,この時に放卵,放精するものが多くみられるという報告4)が ある。天然スズキの産卵生態犠よ上記の予察と一致する点があるのは興昧のある点である。しか し,この事:象は今回の養成スズキの塵卵照と産卵日の閥隔に5∼7[ヨという周期性があり,この 周期と低気圧の来襲の周期が偶然に一致したとも考えられるので,今後の三晃を待ちたい。  男物  採集卵のうち12月12日,綿Bおよび29総の卵について,その発生から受精率を,また, 約200∼300粒を34ガラスバットに入れふ化時の死卵数ふ化仔魚数を計数しふ化率を算出した。 同時にそれぞれ卵径,油球径を万能投影機を用いて100倍に拡大測定した。  養成スズキの卵の受精率は産卵日により差が大きく9.1∼35.2%のふ化率であった。また,そ の卵径は1.32∼圭.40㈱,平均1.37醐,油珠径は0.3護∼0.3伽評均0。35田瓢であった。このふ化率は由 下池1)の天然親魚卵のふ化率40%に劣っている。卵の形状は水戸7>の天然卵の卵管L22∼L4騒田, 油珠径0。34∼038mmと大差がない。    要   約  1)昭和44年8月,35gの0年魚から下魚養成を自的に飼育を開始した。雄は2年魚の一部が 成熟し,精液の搾出ができたが,産卵はこれより2年遅れ,4年魚が陵上池で産卵した。  2)昭和47年11月10日,海面網引蟹で飼育中の親魚から雌雄計30尾(体重500∼2,720g平均1,205 g)を75トン円型池に移動し産卵を待った結果12月4日∼1月3日の聞8回産卵した。この時の 水温は水温下降期の14.5∼10。8℃であった。  3)産卵は寒波が来て急激な気象変化日,特に気圧の低下および強風で代表される冬型気象と 関係があるようである。  4)産卵量は,雌雄合計30尾で1臼最高349×103粒,最低は24.5×103粒であった。この卵の ふ化率は35.2∼9.1%,卵径は1.36㈱,油球径は0.35阻聡であった。ふ化率は天然卵の例より劣っ たが,甲骨,油球径においては遜色はなかった。  5,〉以上によりスズキも他の海産魚類,マダイ,クロダイ,イシダイなどと同様に養成親魚か ら採卵でき,その卵は種苗生産に供することの可能性が把握できた。

(17)

       図3 スズキの産卵と気象および水温

蚕(蘇つ。α購§9◎○馴一鎖①◎

(9時)   1030 気 圧   1020(磁b)

  1010

   15

 高  風  10  速 (Hゾs)5

   0

   }13  平 均  9  気  温 ぐC) 5

   15

温  13 (●C) (9時)11

    40

 産

 卵 30

 量

(1◎千粒)20     1◎

    0

工/12 10

   20

月 日(月/日) 301/1

(18)

一14一       文   献 1)山下金義・禰所邦彦・藤田矢套i3(1973) スズキの種苗生産,増養殖に関する研究報告一  王, 長霞奇zl〈試鐸導養 1窪石汗究戸1テ, 25−27 2)広島水試(印刷中) 魚類種苗生産,スズキ,広水試事報(昭和47年度) 3)畑中正吉・関野清成(1962) スズキの生態学的研究一H,スズキの成長,日水会誌,28  {2), 857∼861 4)広島地方気象台(1972) 呉測候所気象月表,広島県気象月報,昭和47年12屑 5)   全  .上   (1973)        全    1二       日召禾目48年1月 6)西臼本海域栽培漁業事:業化推進協議会(1972) 東シナ海・有明海栽培漁業漁場資源生態  調査とりまとめ報告書B,有明海々域篇:65∼96 7)水戸敏(1957> スズキの卵発生と幼期,九大農学部学芸雑誌,1麗〉, 115一生35

(19)

栽培技石岡, 3(1):15∼21,1974

ヒラメの種苗生産について

翠 損 忠 康

(和歌山県水産増殖試験場)  ヒラメは日本沿岸に広く分布し,昔から高級魚としてタイと対比される位置を占めている。紀 伊水道の和歌由県におけるその漁獲量は20トン程度(昭・硅6)であるが,原田等1)の研究により 挙術的には完全飼育が可能なことが判っているので,樗来における種苗放流あるいは養殖魚種の 対象としてその種苗の量産について検討しておく必要を感じたので,過去4年間にわたってその 試験を実施してきた。ここでは今後の参考に供するため,その結果と問題点について述べる。    1 人工受精  和歌出県西牟委郡南部町南部漁協で,田辺湾付近で底刺網により漁獲され,陸上コンクリート 水槽に一時蓄養中の親魚から腹部の大きなものを選んで卵および精液を搾出した。親魚の大きさ は雌全長娼∼82c狙(体重1.2∼8.1kg),雄41∼60c騰(0.9∼2。5kg)であり,卵は油球1ケを持っ た分離浮子卵で直径約0.9醜であった。  受精は乾導法と湿導法により,誉者の結果を比較した。  a)方法  同一の親魚より搾出した卵を境場で乾導法,湿導法により受精させ,生海水でよ く洗卵した後,浮游卵のみを少量の海水と共にポリ袋に入れて試験場に持ち帰り,第一分裂の始 まった声誉で万能投影機を用いて,各区50ケの卵を観察しそれらの受精率を調べた。現地一試験 場間の輸送斜影は約20分である。  b)結果  試験の結果は表玉に示すように,   表1 湿●乾導方法による受精率 3例中平野法がいずれも20∼30%高い受精率を示 した。    2 ふ  化  持ち帰った卵は砂ろ過海水でよく洗糠した後, 3留容パンライト及びポリダライに収容し,保温 のため16∼18℃の垣温水槽に浮かした。原則として通気を行ない,1臼2圓死卵除去を兼ねて飼 育水の去量を換水した。受精から,ふ化までに要した時聞は水温.15.0∼18.1℃で,53∼68時間で あった。なお,初年度に発生途中での脳死が多かったので以下の試験を行なった(昭和46年)。  a>方法  304容ポリ容器を用い,ろ過海水通気区,ろ過海水無通気区,グリーン添加通気 区,クロロマイセチン添加通気区の4匿を設け,岡一親魚から得た受精卵を各2000粒収容し,保 温換水等は同∼条件としてふ化を観察した。なお・,気量は11cc/面n,グリーンの使用量は3cc〃 クロロマイセチンの添加は0。5g/202とした。  b)結果  表2に示すように,ふ化率は42∼68%であったが,グリーン添加通気区が最も優

   回数

精方法 王 2 3

湿導法

87% 88% 37%

乾導法

1認

65 15

(20)

一16一 れていた。       表2 異なる使用海水によるふ化率の相違    3 ふ化仔魚の飼育  ふ化仔魚は5004容パンライト水 槽, 2002容ポリ水槽,904容ポリ 水槽に収容:し,ヒーターまたはウォ ーターバス方式で水温を16∼18℃に 保ち,容器の中央で通気を行なった。 ふ化後10∼20臼間は止水でグリーン を添加し,それ以後はゆるい流水式(80〃時)とした。  α)飼料別飼育試験  初年度の飼育では,ふ化後2β目よりシオミズツボワムシ(以後ワムシ)を与え,5羅目に摂 餌を確認した。12B題からはブラインシュリンプのふ化ノープリウスを単独で与えたが,3帽酉 頃より艶死が始まり,全滅に近い減耗が起った。このように生物奪耳料から魚肉への転換がスムー スにゆかなかったので,以後成長に従って各種の餌料についで飼育試験を行なった。餌料はチグ リオプス,タマミジンコ,飼育したブラインシュリンプ,ボーフラ,トビムシ,ユスリカ幼生, ゴカイ類,歴年などである。これらのうち摂餌の確認できたものはチグリオプス,タマミジンコ, 飼育ブラインシュリンプ,ボ記フラ,および仔魚であって,カレイ類のように生きたゴカイ類の 摂餌は確認できなかった。また47年の試験で摂餌開始時から配合飼料を摂押することが判ったの で,量産に適当と思われる配合飼料について以下の試験を実施した。  試験王 (鐸召電臼48年3月2◎日∼3月30Eヨ実施)  a)方法  容器は5004容パンライト水槽を用い,ふ化後5日目の野冊各1,500尾を収容し, 止水で通気を行ない,水温は16∼18℃を保つよう留意した。餌料区分はワムシA区およびB区, 配合飼料C区*の3区とした。  b)結果  歩留り,成長    表3 ふ化後5懸開始餌料別生残獣帯および成長 の結果は表3に示すとおりで, C区の成績は思わしくなかっ た。  試験王【(昭和尋8年3月2田 ∼轟月6日窯施)  a)方法  ワムシ単独で 飼育したふ化後10日圏の仔魚 各3,000尾を収容し,ワムシ 区と配合飼料C区の2区につ いて試験を行なった。  b)結果

使用海水 陣容購

ふ化回数 ふ化率

普通ろ過海水通気

2,0GO粒 834昆 41.7% 普通ろ過海水ξ通気     暑・、 2,GOO 951 47.6

グリーン添加海水

2,000 1,351 67.7 クロロマイセチン添加海水 2,000 875  43.6 区分

。。シA菌。ムシ駆i三顧糊区

     l        i

経幽ヨ生残

  E

S長

生残1銀、

生残

全長

開 始 1,5GO 1i100) 叶  罵彿

@3.7

1酬・・野

1,5GOi1GO) 窮震 R.7 5日 1,281i85) 4.8 258i17) 3.6

10貝

1,369i91) 6.7 ( )内生残率       表4に示すようにワムシ区の歩留り88%に対し,配合飼料区は金融であった。 試験思(昭和48年4月1Eト5月7日実施)  a)方法  ワムシ単独で飼育したふ化後17日翼の仔魚各3,000尾を収容し,餌料区分はプラ ンクトン区(ワムシ・プライシュリンプ・チグリオプス),と配合飼料C区およびD区外の3区と し,配合飼料は2∼8gを4回に分けて給治した。12日爵からはゆるい流水とした(95〃hr>。卜し, * 日粉飼料K.K提供の牛肝を主体とした飼料 **イースター飼料K.K市販のアユ・シラス嗣飼料

(21)

プランクトン区は試矯寅’丑 のワムシ区を引き続き 利用した。  b) 糸口果    一画果は 表5に示すとおりで, このばあいにも配合飼 料による成績は対照区 に比でて著しく劣った。 表4 ふ化後10日開始餌料溺生残二二および成長 経過日数 区分i

   ワムシ区

配含飼料C区

陛残罪長陣残

罪長

齢13

Q聯31198)1・聖

   15臼 2,992 i100) 乞・ P1’課)1 5.8

10日

2,650@(88)      28.9     (o) }6・9 ( )内盤残率 表5 ふ化後15日1鍔始餌料別生残尾数および成長 区分.プランクトン 配合飼料D 配合飼料嚢 経過臼数

回劇全蔑蛾鑛蛾鍼

開始

2,992(100) ・・

X

3,00G (100)

6.9以3,…i6ずπ

  IQOG)i

(95) 8.2    1,424i 7.8        8.8

17日

2獅1・gi1・lll)i&・1・翫)11・・2

   21日 2’lll)巨3・8118)1・・91’lll)i l…

24日

(9)i  … 9.4 ・7・ o2・lll) 1&3i …     … 1,177 @ (39) 10.3        2,41532日 @        i (81) 1&・ 904 i30) 11.1

37Ei

2,226 @ (76)      彊 P9.3 5建5 i18) 13ほ ( )内生残率  試馨彙董V  (目召渾口曝7年露月13日∼∠茎月2書日実施)  a)方法  ワムシ及びブラインシュリンプで飼育したふ化後34日膳の仔魚各1,500尾を500 2容パンライトに収容し,通気と換水(804/hr)を行なった。餌料区分はプランクトン区(ワム シ,ブラインシュリンプ,チグリオプス,ミジンコ)と配合飼料D区,E区*とし,量は適当に 与えた。  b)結果  1三二後2日プランクトン区に,3臼目配合D区に筋臼変症が出現して艶死魚を出 したが,4日囲アイペット4即m/1時闘の薬浴で感染を防ぐことができたので試験を継続した。 結果は表6に示すとおりであった。このばあいの配合飼料区の成績はかなり良好であった。 露日粉飼料K.K提供のエグレートパウダー,魚粉主体の飼料。

(22)

_18_ 表6 ふ化後3引ヨ鶴より15iヨ.lillの餌料別生残掻餅

露料

備  考

配合・}ゆ  耀)繕・i禰)腰)1

   1      ……r        ≡      緊

P卵      騰i・6・・

二二3興屋筋臼 マ症発生 配 合 E

〃1〃

潤j藩傭1)iαξll)騰鳳・

プランクトン   EV         !! 1,141 i76.1)  995  941』 897i66.3)(62.7)(59.8)  866 i57.7) 18.1 開始3日羅より リ白変猛発生 ( )内生残率  試験V・(昭和再7無4月28日∼5月3◎比翼施〉 試験W配合飼料D区の継続試験であり,配舎飼料から魚肉への転換経過を観察するために行な った。結果は表7に示すように餌料の転換による二死は少なく,真死の原因は主として,共食い による損傷であって,不明魚が5%弱生じた。 表7 ふ化後49日開始配合飼料による飼育結果

   区分

o過環 生残回数(昆) 生残率(%) 弊死数(尾) 取上げ数(尾) 開 始

L147

10◎ G 0 3漏 1,111 96.8

36

G 6〃 1,063 92.7

48

0 9〃

995

86.7

68

195

実2〃

738

  ’U4.3

62

0

15〃

698

6G.9 40

113

!8〃 56窒 49.2

21

77

2三〃

468

40.8 19

79

2娃〃

373

32.5 16 33

27〃

329

28.7 11 G

3G〃

325

28.3 4 ◎

33〃

320

27.9 5 G 計

330

495

 (2)減  耗  試験の間に減耗原因となる疾病が種々出現したので以下採譜する。  a>ふ化後29∼蘇血膿頃,頭部リボンの消失時期にその後基部に窪いカビ状のものが繁嬉し, 顕徴三下で活発に運鋤しているのが観察された。フラネース1/20万,24時間薬浴では効果がなく, 発生水槽中多い所では半数近い個体が驚死した(46および48年に出現)。  b)ふ化後25∼35日目頃に出現する筋白変症による毛槍があり,これは野竹ならばアイベット 婆ppm・1時間薬浴で被害を軽減することができた(47,48年に出現)。  c)ふ化後29B閉より観察されたもので,空欄であり,肛門付近に白濁した症状があって,給餌 しても殆んど摂鱗は認めらない。これらの鰯油は衰弱して,被害の大きな水槽で1よ約5,GGG尾収 容の中,10賑間で40%近くが幣死した(47年に出現)。[

(23)

 δ)ブライン単独投与に切換てから15∼16日(ふ化後30∼35日1ヨ,底棲に入る時期)経過した 頃より背索の臼化した魚が出現し,痙れんしながら1∼2B聞で死んでゆき,全水槽が全滅に近 い被害を出した。  フラネース5ppm・6時間の薬浴を実施した水槽では痙れんは止まらないが,1週間以上生存 した(45年に出現)。  e)ふ化後30∼35日までワムシを投与,以後はブラインシュリンプ単独投与を行ない,更に生 残った個体で以降チグリオプス,ミジンコ等で飼育し,ふ化後70Bを経過した稚魚に魚肉ミンチ を給餌したところ,食餌行動を起して餌に向って行くが,口が十分開かない個体が出現した。そ れ等のソフテックス投影では背椎骨前部に異状な湾曲が認められた(45年に出現)。  のその他,腸内に結石様物質の出現があったり,少数ではあるが腹水症が観察された(45,46, 48年頃出現)  g)減耗原因として最も問題となる点は共食いが多いことであった。共食いはふ化後50屡目頃 より始まり,平均全長が約4c醗となるまで継続する。攻撃を受ける個体は10∼2(加m程度のものが 最も多く,個体の大小差が大きくなればなるぽど被害は増加する。しかし実際には捕食されるば あいは少なく,鰭や頭部にかみ傷をうけ,それが原因で艶死する例体が大半を占めている。  (3)成  長  過去4年間の試験における成長のよい試験機     図1 ふ化仔魚の成長と経過臼数 (殆んどがプランクトン給餌区)例について,        30 平均全長により本種の初期成長を図1に示した。  ふ化当日の仔魚は全長2.2∼2.9目自預であり,ふ・ 化後15日目頃(7∼9居酒)より変態を始め,リ ボンが次第に大きくなり,次に右眼が左に寄り 始める。完全に変態が終了するのは35∼50臼目 (15∼20闘)であった。    尋 考察及び問題点  1.採卵  搾出方法をとったが,良卵を得 ることが困難であった。熊井2)等は養成個体か らの採卵に成功しているので,今後はその方向 へ進むと思われるが,48年の試験中に採卵用の 天然親魚を,室内コンクリート水槽(2m×1 !n×0.5m)にヒーターを入れて飼育したところ, 翌臼自然放卵が観察されたことから天然親魚を 用いての受精卵の採取も可能ではないかと考え られる。  2.ふ化  4ケ年間の試験で最も困難であ ったことはいかにして受精卵のふ化率を向上で 全 25 長20 (鞭) 15 10  国 ロ 禮 ×翁 ○ ×ロ 轡 × 毒 × ○

OS45年

鍛S46年 ×S47年 口 S雀8年

      20  40 60 86

      経過凹数 きるかということであった。304パンライト水槽を用いてのふ化率は良い例で70∼80%であり, 平均40%強であった。しかし全滅することも度々であった。卵は発生が進みふ化に逓ずくに従っ て沈みやすくなり,底に沈んだ卵は発生が停止する。底に沈んだ卵を早期に取.ヒげ,浅い容器 (水深1∼2cm>に密度をうすくして収容すると完全な状態でふ化することがあり,ふ化容器の 工夫も必要であろう。  3.餌料  ワムシ以後の餌料生物が開発されていないので,なるべく配合飼料を使用するこ

(24)

_20一 とができればと考え,試験を実施してきた。47年度試験の結果図2および図3に示すように,ふ 化後34日目から配合飼料を投与する飼育では,疾病の発生にもかかわらず,歩留り,成長が比較 的良好で,また魚肉への転換がプランクトン区では大きな減耗が起ったのに,配合飼料区ではスム ースになされ,明るい見通しが得られた。.そこで48年にはより早期から配合飼料を使用する飼育 試験を実施した。しかし既住の飼料では生物餌料と異なり水中に漂よう状態に保つことが困難で あって,浮くか沈むかのどちらかなので,充分に投与すれば水質悪化の原臨となり,水質を保持 しようと思えば餌料不足となってしまう。この点の解決には今後,適当な飼料の開発はもちろん のこと,さし当って玉野事業場で実施している撹梓水槽方式についての試験が必要と考える。い つれにしてもふ化後謎日目以前の仔魚については,どの試験にも配合飼料の使用は失敗に終った。 穰2 餌料別飼育による生残率および成長 生 残 100   ト ,。・i  5。「   ト 0 ヘ へ  ’〈こ一魚    ’S>く\\\\      へ            \  豊、_         \ 、 、、、一?一一一∼一魯__ \ / // / 19 18

S

」17,鑑,        ノ  ノ      一  一一   1      14 正5 16     3         6         9       経 過 巴 数(B) }〈〉 プランクトン区一紗配合◎区 ヤ融合εlX 12 生 残 率 100 (%〉 50 0 図3 配合飼料Dによる生残率と成長 ノ/ノ 〆 一くン生残率 一※一成長

   とつ //x

     6フσ/

///

8 6 全  長 4(翻) 2     15 経過日数(晋) 30 0

(25)

 4.減耗  圃を重るに従って出現する疾病も多く,種苗生産のかたわら行なう研究では解決 が困難なので,この点は専問の魚病研究者に委ねることにし,ここでは共食いによる減耗につい て検討しょう。共食いと云ってもその減耗は捕食によるのでなく,損傷が原因で幣死するのが殆 んどである。餌料が不足するばあいは特に盛んで,1尾が何尾でも傷つける。また飽食状態にあ ると思われる個体でもこのような行動をとるので,適正な飼育密度および適正な緩衝物を置くこ とにより,個体相互の遭遇率を低くする以外に方法はないように考えられる。なお現在までの飼 育例では5002パンライト水槽で全長平均5.4c醗の種苗275尾の生産が最高であり単位当りの生 産尾数としては他魚種より比較的少ない。  5.その他  成長は他の魚種に比較して速くないので,養殖種苗として必要な全長10c田サイズ に育成するためには約14◎B間の飼育を必要とする。養殖魚種としても熊井等2)大岡等3)の試験 結果からは種々の難問が提添されている。姦ケ年間の試験を通して環在考えられるのは,歩留り の高い20m醗前後のサイズまでの種苗の量産に力を注ぎ,自然海での資源培養のための種苗放流を 行なうことが,本種に関する今後の方向と思われる。       参考文献 1)原田輝雄他(1966)ヒラメの入工ふ化仔魚の飼育とその成長について,近大水研報,第1  号, (289∼303> ゴ〉熊井英水(1972)誌上談話 3)大岡 一他(1972)ヒラメ小割網養殖試験,和水増事報,第4号,13∼14 4)翠川忠康他(1971)ヒラメ種苗生産試験,和水増:事報,第3号,108∼1士3 5)  全  上   (1972)      全     上      第4号, 39∼47 6)  全  上  (1973)    全    土      第5号, 75∼81

(26)

一23_ 壽iきミ口音ま支石弄, 3(1>:23(し30,1974

カレイ類の標識放流試験

冨山 昭・陣之内高龍

(山口県内海水産試験場)  瀬戸内海栽培漁業対象魚種の一つとしてカレイ類が選ばれ,その資源生態研究ダ放流技術開発 試験が実施されているが,ここではその一環としてマコガレイ,イシガレイの成魚について標識 放流試験を実施したのでその結果を報告する。    1 供試魚および放流方法  放流状況を表1に,また煙識静流魚の全長組成を隅葦に示した。  第1回放流  大海湾内の建網で漁獲されたカレイを直接買い取り市場で標識を装着した後, 昭和47年7月7日,大海漁協前から放流した。  第2囲放流  大海湾内の建網で漁獲されたカレイを5006水槽2個に収容して,水試聴トラッ クで輸送(約20分〉,標識装着後昭和47年7月2帽秋穂湾の山口漁協前から放流した。  第3回放流  大海湾内の建網で漁獲され市場に水揚げされたイシガレイに標識装着後,トラ ックで酸素供給しながら輸送(約10分)し,昭和47年8月5日大海湾口部沿岸から放流した。  第4圃放流  秋穂沖の建網で漁獲され,秋穂漁協に水揚げされたカレイを水試迄キャンバス 表1 標識放流状況 i      ヌ

? 放流尾数  i・潮肋日

圓数 年月 鷺

放流場所

@     …     1イシガレイ マコガレイ

計 i迄の醐回数

再捕率 1

47年

@7月 7日

職敵協前…237

9

…1・・(1)

33.8 2 7月20日 秋穂湾 R口漁協前 量

3疑i 88

122}・(・)

2.5

寸量,,

大海湾 ャ浜灼台 2071  0  1

2◎7i 1エ}・・3

農 8月19臼

竹譲「 

s

1201 50  … 17・…11 i6.5        E

5

12月25日i全上

} 72i ・3    …

 E

W51 19(2) 22,喚        1

6

48葎

@1月26日

i秋穂湾 R口漁協前 58i 65 … ・1(13)117ユ 7 3月 3日 全上      5i 73      1 78     …P3(12)  16.7 8

5月29日

全 上

113i  43

156i 31(16)

19.9 計 8塁6    341 1187  192(46) 16.露 再捕尾数の( )はマコガレイ毫数

(27)

園1 標識放流魚の金長組成 マコガレイ % 40 30 20 10 イシガレイ 47。7.7 4◎ 130 嵯7.7.20 20 10 舗 20 遜7.8.5 1◎ 40 30 47.8.19 露0 1G 30 20 遮7. 12。25・ 10 30 20 48.L26 10 4◎ 30 48.3.3 20 10

3G 148.5.29 20 io 17    19    21    23    25 27    15    i7    19    21    23    25    27 ㎝      ㎝

(28)

一25一 水櫓で酸素供給しながら輸送(約10分)し,標識装着後船で約臆鵬沖合の竹島附近迄輸送し,昭 和47年8月19日放流した。  第5翻放流  秋穂湾の三論で漁獲されたカレイに水試で標識装着後,第4圃放流同様竹島附 近で放流した。なお,当時のイシガレイは産卵直後のものであったが,マコガレイは産卵中であ り,雌はほとんどが熟卵をもち,雄も放精するものが多かった。放流は昭和47年12月25日に行な った。  第6回放流  秋穂沖の建網で漁獲されたものを昭和48年1月25陰に,底曳き網で漁獲された ものを1月13臼に購入し,標識装着後室内コンクリート槽水で飼育し,1月26臼に山口漁協前か ら放流した。飼育中,建網で漁獲された魚にはへい死はみられなかったが,底曳き網で漁獲され たものはイシガレイで30尾中13尾,マコガレイで19尾中1尾がへい死した。  第7回放流  秋穗沖の建網で漁獲されたカレイを,5GO4水槽に収容して水試迄輸送し,標識 装着後由口漁協前から昭和48年3月3日に放流した。  第8贋放流  第7圏放流と岡じ方法で昭和48年5月29臼に放流した。    2 標識およびその装着方法  第2∼4回の標識放流の際には長さ3cmの赤色プラスチックのダッグピンを供試魚の背側の肉 質部にタッグガンで打込んだ。その他の回にはピーターセン型の赤および黄色のディスク・タグ を用いた。ディスクの直径は1伽mで,背側の肉質部につき通し装着した。標識には県名を示すYG と個体番号を3桁の数字で刻印してある6  標識魚の装着は魚を麻酔して行なったが,麻酔薬は第1回にNis−222を使用し,他はすべてFA −100を使用した。また夏期放流した分(第1∼4回)は標識装着後モナフラシンで消毒した。    3 結桑および考察  (1)乱捕状況  再捕の状況は表1および図2∼6に示すとおりである。なお,移動距離につ いては最短距離をとつ.た。  第1[藪凡流(47年7月7日)  大部分が放流地点から2∼3km以内の湾内か,遠くても5km 位の湾閏附近で再捕され,放流後30日以内に放流記数の約26%で,これは現在までの鼠捕尾数の 約76%を占める。 図2 夏季放流カレイの再捕状況  ④o竹臨 9客    × 西ノ浦 ン中ノ・ 轟 佐濠島 x 向島 ①47,7,7放流地点 堪主上再補地点 ②畝乳20放流地点 ム同上再癩地点 ③4Z8、5放流婚点 。同上再捕地点 ④4乳&19放流雛点 ◎罰上再播飾点

(29)

 第2回放流(47年7月20{:ヨ)  放流直後1ま再捕されず,8月31霞(放流後42日翻),9月12難 (5弓i三1目),11月2%(1321三{目)に,いずれも湾外で再捕され,放流地点からみると第1回放流 (大海湾内・イシガレイ)に比してかなり移動しているように思われるが,これらの地点は供試 が漁獲された海域である。再捕率は非常に悪いが,この場合にはイシガレイにくらべ取扱いに弱 いマコガレイが多く,輸送の影響で放流後へい死したものが多かったと推察される。  第3匝1放流(47年8月5}三{)  放流翌日に放流地点イ寸志で7尾,2口霞に2尾,5日目に1 尾,2姻目にエ尾,合計11尾がすべて大海湾内で再捕されたが,その後再捕されていない。第三 回放流にくらべ,放流時期が1ケ月遅く湾内にとどまる三舞が短かかったのではないかと思われ る。その後の再捕報告がないのは,タッグガン標識であったため実際に再捕されても晃落されて いるのではないかとも思われる。  第4園放流(47年8月19日)  放流翌日に放流地点イ寸近で7尾,2.8kmはなれた地点で2尾, 2日溺に1尾,28日臣に1尾いずれも放流地点付近で垣壁され,遠くへ移動したものはいなかっ た。  第5回放流(47年12月25日)  182蕪iまでに19尾再捕されているが,そのうち9尾(イシガ レイ)が20k溢以上離れたところで再捕された。再捕地点は虜口県宇部,寓海,光,平生,八島地 先,福岡県豊前市地先,大分県姫島西方および広島県沖美町地先で,各方灘へ分散し大きな移動 がみられた。 図3 47.12.25放流イシガレイ移動状況 下関 敏流地点    秋 羅

宇 齢・19鰯

燕、

展,6嬉i.島   光 LI2肛   .2 ’δ⑳  くこ》

  紡鋤八

     轟 ヤ.8 豊 醐  第6回放流(48年1月26{ヨ)  マコガレイ!3尾,イシガレイ8尾が再捕されたが,91日罠に 48kmはなれた光市沿燦でイシガレイが1尾再捕された以外はすべて甑獄以内で再割されている。 1図4 48.1.26放マ窺カレイ手耳甜材犬診己 小郡町 巌f.Vカレイ 萩醜暖帯     徳山帯 曾 下松帯 光 布 i、,26X

(30)

一27一  第7回放流(48年3月3匠1)  8月10日までに13尾(放流二丁の16.7%)が再捕されており 128日目に下関市長府沿岸でイシガレイが1尾再捕され,大きな移動を行っている。マコガレイ は12回すべてが放流地点から10km以内で再三され,夫きな移動はしていない。 図5 48。3.3放流カレイ再捕状況 下関市 〉 小 月 瓦、韮,9 門司区 埴 生 小野霞市 宇部市 阿知須騎 ハ『8 小郡町 li置29    ∼..9㊨ 翰曾         曾   @、㌧3ま [、.圭9 八’23副28 ㊥ 『マコがレイ 鼠でシカレイ 。 〃 〆  第8國放流(48年5月29日)  昭和48年7月17日現在(50日目〉で27尾が再捕されているが あまり大きな移動はしていない。マコガレイは3日目に秋穂湾内で再捕された以後,すべて湾外 で再捕されたのに干し,イシガレイは湾内のみで再捕されており,50日目でも放流地点近くの湾 内で再三されている。       図6 銘.5.29放流カレイ再捕状況 放流地点 大海

し/レ

    秋

渇、7穂

翼Xxκ 肪 岩屋.     メ 壱κ⑪ξ。@、翻3 、到23 6 等脚O   b竹島   『112

m

oマコガレイ Xイシガレイ 。俊波島 留㌔冨.7  (2>再捕結果からみた移動状況  (i)イシガレイ  夏季大海湾内で放流した魚は33.8%の再捕率であったが,ほとんどが湾内 で再捕され,また湾口部で放流したものも湾内で再捕されている。イシガレイは夏季には湾内に 停滞し,大きな移動はしないものと推定される。また秋穂湾,竹島附近で放流したものも,再捕

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