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o 督。 鐸℃1◎o
5月の標本はないが,6月の甲巾はSt.Aで38(最小)〜7舳恥(最大),平均58.3±7。伽狙(95%信 頼区間)であり,Sξ.Bでは3舳恥と50m獺の2個体である。
巾 長
臨
5
◎
圏8St.Aにおけるガザミ丁目組成の月別変化
…
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105
0
學 ア 響月
図9S£.Bにおけるガザミ甲巾組成の月別変化
二
ヒ
ト鉾
6 7 8 9 曝。月
7月のSt.Aは75狙mの大型のもの1
{固ぐ奉と17〜50m猟,∫9均22.4±3.3m斑
の小型群の2つが含まれている。S
t.Bでは11〜3伽狙,平均22.4±5.Omm の小型群だけであるが,この他に昼 間の講査で69m硝の脱皮殼を得ており やはり大型群と小型群の2群め存在 が考えられる。両水域の小型群には 差がない。
8月は爾水域共大型群はなく,小 型群だけである。St。Aでは16〜61 獄硝,平均39±1,9批蒲,St.Bで1ま16〜
73m獄,平均36±2。4mmと両水域間の 差は認められない。7月と比較して
かなり成長していることが窺える。
9月のSt.Aにおける調査は,前述 のように1個体の標本も採集されず 51mmの脱皮殻だけであった。
St.Bは32〜107mm,平均67.4±7.8 m磁と8月より大きくなり,個体間の
ばらつきも広がっている。
10月はSも.Bのみの調査であるが,
10翫mおよび沁伽狙と100m粗を越した 大型の2個体が採集された。
以上のように両水域の6〜7月に は,大型の群の出現が認められるが これはこの付近(牛窓町地先一帯)の産卵生態から推察しても,早期発生群としては画き過ぎる。
また王972年度の牛窓町地先の漁獲物調査の結果では11月の最小型は5伽殖台で,これが翌春まで成 長しないで越冬したと考えるとこの大型群にほぼ匹敵した大きさとなる。これらのことからこの 大型群は越冬群と考えるのが妥当であろう。
7月から出現する小型群は当年発生群で,爾水域共約2伽搬で出現し,S£.Aでは8月に約4伽鵬に 成長し,それ以後はこの水域に留まらないようである。一方SもBでは8月以後もこの水域に留ま
り9月には約70m鵬に成長し,その後は移動するようである。
4 考 察
St.AおよびBとも6〜7月に,甲巾35〜76mmの越冬群と思われる大型群が,岸(St.Bでは満潮 線〉より約50!n沖に形成されるアマモ帯に分布している。6月以前について,St.Aでは5月にも 調査をしているがその棲息を確認することはできなかった。大島2)によれば,成長の遅れた越冬 子ガニは3月に閉所よりアマモ場内外の浅所へ移動することが報告されている。本調査の結果は これよりかなり遅れている。むしろ徳島水漉3>が吉野川河口域において調査した6月上旬の出現 と一致している。
・一X3一 当年発生群はSt.A,、Bとも7月から出現し,前記アマモ帯の岸側に分布し,8月には更にi接岸
している。この8月の分布域は,最も陸よりの粗砂部とそれに続く細砂部との境界付近で,特に St.Bではこの附近にホトトギスの非常に濃密な群落があり,ここでのカニの摂餌行動も多数観察
された。
大島2)は中巾5cm前後に成長したカニが密集する地点にはホトトギスなど餌料生物が多数発生 していると報告している。本調査におけるホトトギスの群落の有無も9月以降のカニの棲息要因 として重要な意義を持ち,St.Aではカニの滞留が認められないのに対して, St.Bではかなりの 数の滞留が認められるという結果の原品をなしているものと考えられる。
このように稚ガニの棲息場所として、ホトトギスの群落の有無は重要な条件であることは否め ないが,St.Aではこの群落がないにもかカ・わらず,稚ガニの分布はSt.Bのホトトギスの群落が形 成される水域とほぼ同じ位置に限定されている。これは単に母宮のためだけではないのか,或い は底質など他の条件によるものか,採集標本の胃内容,餌料生物,粒度組成など更に整理検討し て見る必要がある。
この調査のもう1っの駿的である稚ガニの棲息量については入手した資料に相当不備な点があ る。即ち,この調査の現場での作業は分布密度を把握するための観察と標本の採集の2点である が,この両者の闇には,7月目St.Aにおいて,観察時には1個体の発見もできなかったが,採集 時には相当数の採捕を見たように,観察時の方が若干量的に下廻る傾向がある。また,観察ライ
ンも約200mの間に3本では棲息量を算出するための密度分布の把握には荒すぎると思われる。
今後この課題検討のためには更に観察ラインの増加など調査の精度を上げる必要があろう。
要 約
1)1973年5月より毎月1回牛窓町の2つの海浜において,夜間の潜水調査によってガザミ稚 ガニの棲怠状況を調査した。
2)2つの調査水域はともに遠浅で,細かい砂質の底質で部分的にアマモが生育している。
3)5月にはガザミの棲息は確認されなかったが,6〜7月に,満潮線より約5Gm沖のアマモ 密生帯に,平均甲巾58m恥の越冬群の棲息が観察された。
4)当年発生群は7月から出現し,その肩巾の最小は11臨であった。
5)当年発生群の分布は7月のアマモ密生帯から,8月目更に接岸し,最も岸寄りの糧砂面と その次の細砂部の境界線付近に集中した。
6)当年発生群の棲息期間は,1っの調査域では8月まで,他:方で1ま10月ま・でとかなりの差が 認められた。これはこの時点の甲巾4伽m以上に成長したカニにとって,餌場として重要なホトト ギスの群落の有無によるものと推察された。
7)棲馬瀬の推定については,この調査精度では算出するまでにはいたらなかった。
文 献
の服部洋年・松村真作・寺島朴・勝谷邦夫(1973) ガザミ放流技術開発調査,昭和47年度.
瀬戸内海栽培漁業事業魚類放流技術開発調査報告:49〜71
2)大島信夫(1938) 瀬戸内海ガザミ調査,水産試験場報告9:王41〜220
3)徳島県水産試験場(1973> ガザミの資源・生態・漁場調査,昭和47年度瀬戸内海栽培漁 業事業魚類放流技術開発調査報告,30
三曲音ま支石奔, 3(1):95〜103㍉ 1974
ガザミの種苗生産に関する研究一∬
大型水槽を利用した高密度飼育について
高 季喬 イヲ≡…峰勢左佳
(兵庫県立水産試験場)
ガザミの種苗生産技術については,ほぼ問題点が明らかにされ,各地の研究機関でその量:産化 が試みられるようになった。しかし大型水槽を用いた実験例が少なく,ふ化幼生の適正な飼育密 度,幼生の歩留り,生産コスト等について検討を加えなければならない問題点が多い。筆者らは 既報1)では主として幼生の適正餌料と飼育環境水に関する研究を進め,とくにふ化幼生の飼育方 法として飼育水にクロレラを加え,シオミズツボワムシ,アルテミアを基礎餌料として用い,こ れにアサリ,醤油粕,マリンG等の有機物を添加する方法について検討を加え,稚ガニの高密度 飼育が可能であることを報告した。
本報告では,既報で述べた有機性懸濁物の利用方法をきらに進め,生産効率の向上と高密度飼 育の安定化を目的として換水と通気方法を改良するなど,種苗の大量生産を行なう技術について 検討を加え若干の知見を得たので報告する。
材料および方法
試験に用いた親ガニは,昭和45年および昭和46年に生産した種苗から養成したものと,播磨灘 で小型底びき網漁業によって漁獲されたものを用いた。
飼育水槽は,屋外に設置した30溜(盈×7×1.2溢〉および150k4(7×15×1.5m)容量のコン クリート水槽を使用した。
飼育水には1◎0霞の網地(83×64メッシュ)で游過した自然海水を用いた。親ガニは140台臨 網で製作したふ車留(3×魂×1磁)に収容し,幼生がふ化した後,取除き別の水槽で培養した
クロレラを飼育水に加え,20×104ce玉1s/謡濃度に調整した。幼生がmega壼opaに変態成長する までは,止水で飼育を行ない,磁egalopa幼生の出現日以降は,毎日飼育水の%〜%を換水した。
換水方法として,注水には75m磁パイプの側面上下二段に4阻mの孔を1◎cm闘隔にあけ,シャワー 方式を採用し,排水には15伽mパイプに網i難3◎〜50騒を張り付けた水抜きでサイホン式とした。
通気パイプは,13囎パイプに給水栓用のクリペットを1拠間隔に取付け,池底に設置した。通 気量はクリペット1個当り10〜154/mi轟にセットした。
表1 ガザミふ化幼生の日闘投餌量
餌料種類 シオミズツボワムシ アルテミァ
慧独粕
ア サ リ マリンーG設餌期聞 Z1〜 4
Z1〜 M
Z王〜 M:Z1− C1 Z1〜 M 投餌量
20個体/震6 1〜3偲体/幼生29/佛 29/溜
1夢/認寧Z:Zoea, M:Megalopa, C1:Young(Stage1)
一96一
餌料としては,表1に示した組成 のものを1醗投与分として用い,シ オミズツボワムシは9〜10時に,ア ルテミアはふ化直後のものを11〜12 時と15〜17時に,醤油粕,アサリ,
マリンGはエキス状にして13〜15時 に給餌した。Inegalopa〜稚が草津 のアサリは微細片にして投与した。
megaloρa幼生期の付着網は幼生 が出現してから第3臼冒に設置した。
付着網は220経纒網を13瑚mパイプで 縁取りしたもので,30k4水槽では 350〜5◎cmの枠6枚,150辺水槽で は70◎×50c鐙の枠6枚と400×50c田 の枠2枚を用いた。
写真1 30k4水槽用臓egalopaの付着網
結累および考察 璽)産5臼とふイヒ
試験に用いた親ガニの大きざを表2に示した。親ガニ養成期聞中の水温は7〜27℃であった。
昭和45年に生産した親ガニの歩留りは,19ケ月閥の飼育で♂20%,♀53%,1。4尾/凱2の生残密 度であった。昭和46年に生産した親ガニは,♂78尾,♀75尾を8ケ月間飼育した結果,取揚げ尾 瀬は♂65尾,♀68尾(♂83%,♀90%)で,◎.88尾/m2の生残密度であった。
表2 親ガニの大きさ
大きさ
eガニ 甲金巾(侃) 甲 巾(㎝) 岡 長(伽)
体重(幻
45 年 産 17ほ〜19、0 14.1〜王5.2 7.8〜 8.8
3Q6〜498
46 年 産 14.3〜15。91L7〜12.8
6。8〜 7.8 19嘆〜2塵3 天 然 産 15.5〜22.11L8〜17。5
6.4〜10.4 エ32〜600親ガニの産卵からふ化までの飼育管理は,4.8紐(2×4×◎.6m),10k2(円型10凱2)容量のコ ンクリート水槽および0.5k4容塁のFRP水槽を用いた。産卵,ふ化管理に供試した親ガニ48尾 のうちには,産卵後ふ化に至るまでに抱卵したままの状態でへい死(22尾)するものや未抱卵死
(9尾)あるいは産卵時に流産する親ガニ(6尾)が多く,正常の産卵ふ化を行なった親ガニが 少なかった。
山口水試2)では親ガニの産卵ふ化飼育管理でへい死,卵流失の多い原因として温度環境の変化,
低水温による抱卵期聞の延長,高密飼育などをあげている。本試験では一番子がふ化した後,飼 育水槽を替えて深い水槽で飼育した場合には,親ガニの産卵,ふ化は正常であった。しかしへい 死数は滅少しなかった。産卵,ふ化の良否には水槽の広さと水深が関係するようであるが,親ガ ニのへい死,異常ふ化には低鯨が主な要因のようである。昭和47年度の場合は海況回し般に低鹸 で赤潮の発生が著しく,昭和48年度には塩分濃度が高く,赤潮の発生もなかったためか,親ガニ のへい死,異常ふ化等は比較的少なかった。親ガニの飼育には,広く,水深の深い水槽で,低鎌 水を避けて飼育することが必要であると考えられる。