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ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 133-140)

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れていない状態である。

({i)アカモク藻場の形成状況:  アカモクの生膏状況は表2のとおりであった。採苗時の芽つ きは網糸1cm当り10〜20燗であったが,水槽培養中,付着珪藻が繁茂したために脱落が多くみら

表2 アカモクの生育状況および稚魚の出現状況 葉  長(㎝)

調査年月日    古 1      平  均最   圃 } 経         過 47.7.11 1.0   ◎.6〜0.7 沖出し,芽つき10個体/磁以下,第3葉発芽

7.27 2.8 }1.0〜L5

@  }

鋸歯状葉体発芽

ヤ糸に浮泥,苔鮮虫,ヒドロ虫,フジツボ着生 Aカモク葉体には着生物なし

9.28

16 12〜1G

網糸にホヤ,イバラノリ、苔鮮虫類の着生多い 婆8.L22 盆⑪0 8◎〜150 網糸には上記のほかカキ・争アオノリ,ババノリアオサ等着

カ,生殖器床形成開始

3.6 32◎ 12◎〜200 生殖器床形成(些末放出),アカモク葉体に端脚類(ヨ Rエビ類),十脚類(エビ類)が着生

4.6

3◎0 乞00〜250 アカモクの1/3程度は卵放出中、葉体にシオシドロ巻 送゙着生、メバル稚魚多数群泳(体長19.5〜25,0蹴,

ス均2L5脇)

壌.2◎ ノノ アカモクの2/3程度は卵放出ずみまたは放出中,メバ 拠t魚多数群泳(体長23.0〜35.G郷飛,平均27.2囎)

一137一 れ,また,7月エ1日の張込みが,大量降雨の直後であったため,低比重,泥水の影響を受けたと 考えられ,張込直後の幼芽の脱落も多かった。しかし残った幼芽は順調に生育し,昭和48年1月 末には葉体が伸長,繁茂したため,アカモクが網全面を被うようになり,海苔網20枚分の区域が 一面にアカモク藻場となり,その後手体が流失するまでアカモク弓場が形成された(写真1,2)。

 その後4月には卵の放出がみられ,5月下旬には大型の藻体から流失し始め,昭和48年5月31 臼の調査ではエ孤程度のものが残り,芽つきは少なくなっていた。憎体が流失したあとは仮盤状 根の周辺部から新芽が発芽し,また網糸(特に耳縄など太い部分に多かった)の付着物の少ない 部分には卵が着生し,新しい幼体が発芽していた。その後6月には前年度の藻体は全部流失し,

新芽が生長していたが,卵から新しく発生した幼芽の方が,仮盤状根周辺部から発芽した新芽よ りも生長は遅いが量的には多く,二年目の藻場を形成するのは前者が主体になるように思われた。

 すなわち,この種網を翌年まで張り込んだままにしてお』くと,問一場所にアカモク藻場が形成 される可能性が強く,昭和45年度の試験では,同一施設で2年目には前年の3〜4割の面積に相 当する藻場が形成された。ただしこの場合,本試験を実施した場所は雑生物の着生が多く,また アナアオサの繁茂・推積も多いので,これらの被害によって新芽の着生・発芽が阻害され,その ために2翠霞の藻場は1年欝のそれよりも小規模となったもので,これら阻害生物の少ない環境条 件下で,管理を適正に行なえば,2年陽の発生・生育はもっと良い結果が期待できるものと考え

られる。

 (B)化繊海苔網を種網とした下場造成(上関町八島)

 方法  昭和44年5月12日,秋穂町草山(図1,st.C)でアカモクを採集し.海苔網の長さを 半分に切断したもの(1,5×9m)8枚:に,(A)と問様の方法で採苗・培養を行ない,平均葉長8m飢,

発芽葉数5〜6葉になったものを,7月1日に種網18枚の中6枚をポリバケツに海水を満たした うちに浸漬させて八島に運搬し,7月2日に漁場に張り込んだ。種網の張込方法は,支柱杭を使 用できなかったので錨で海底に張り,水深別の生育状況を調査するために,それを表3に示したよう な水深別に設置した。

 経過および結果  (i賦験場所の概況:上関町八島の北西部の本浦海岸にあり,付近一帯は岩 礁地帯か岩石が点在しており,ノコギリモク,アカモク,ヨレモク,ヤツマタモクなどを主体と

したガラモ場があり,その沖合の岩石のない部分にはアマモが散在している。また,所により藻 類が全く付着していない岩石があり,これは孤立した状態のものと,かなり広い範囲にみられる

ものとがあり,さらに古くからみられていたものと,近年になって藻類の着生がなくなったもの とがある。本試験は八島の本浦地先の藻類の着生が比較的少ない地点で行なわれた。

 〈ii)アカモクの生育状況:水深別のアカモク生育状況は表3のとおりである。この場所では水深 2〜5m層,特に3〜4…nでアカモクの生長が最も良く,1m以浅および8凱以深では天然には

表3 上関町八島における水深別アカモクの成長(cm)

一類 人 工 種 網 天 然   産

水深@)麹朋

1◎.8 2.5 10.8 2.5

LO 40〜47

消 滅 な し な し

2.◎

27〜36 33〜52 5〜95 43〜284

3.0

12〜55 30〜90 12〜125 136〜307

4.0

20〜56 26〜82 55〜128 103〜354

5.0

28〜48 30〜94 30〜29 18〜100

8.0

5〜55

11 な し な し

生育していないし,種網に着生していたものも2月の調査時には消滅していた。アカモクの生長 状況を,比較的順調であった(A)の例と比較すると,、10月までの生長は八島(B}の方が良かったが,

2月の調査では(A)の:方が良かった。アカモクの繁茂状況も八島では非常に悪かった。これは八島 では冬期の波浪が大きいため,錨網がゆるみ,分野を固定できなかったためにそれが海底の岩石

とすれて,アカモクの根や茎が切断したことが原因と考えられる。

 (C)種糸を使用した藻場造:成

 方法  上記(A),(B)は種苗の付着基材として化繊海苔網を使用した例であるが,本試験では付着,

基材として化繊糸(クレモナ5号糸,36本)を使用して現場造成を行なった。採苗には化繊糸を 糸と糸との聞隔をあけずに枠を巻きつけたものに,脱落幼胚を散布する方法で行ない,(A),(B平 様の方法で培養し,中間育成してアカモク幼芽が15〜2伽獄に生育した際,これを種糸として使用した。

 藻場造成には次の方法を試みた。

 (ア〉平準を天然石に巻きつけて漁場に投入する。

 (イ)種糸を円柱状のコンクリートブロックに巻きつけて漁場に投入する。

 (ウ〉早糸を親縄ロープ(12m嶽KPロープ)に巻きつけて吊下する。

 経過および結果  (ア)の方法では昭和42〜艇年度に,函1,st.B, Cで試験を行なったが,種 糸が岩石面に密着しにくく,アカモクの仮盤状根は糸に巻きつき(写真3),岩石面にまで拡がら

ないので,アカモクの着生が弱く,種糸が切れると藻体も流失する危険性がある。そこで,種糸 を書物に密着できるように円柱状のコンフリー1・ブロックを作成して,これに種糸を巻きつける

(イ)の方法を試みた4)・5)・8)。 その結果,水深の深い所ではアカモクの生長は悪かったが駄5),浅 い所(図2,st.B)では2月にはアカモクが1.5鵬に生長している例がみられた(写真4),(ウ〉の方 法は 〉と大体同様であるが,昭和43年久賀沖の試験では,水深4mの沿岸部では浮泥,アオサの 着生があり,一部食害もみられたが,アカモクの生育は良好であった。他方水深8mの沖合では,

表層から3m位までは雑生物の着生が多いためにアカモクの生育が悪く,それ以深ではアカモク は消滅し,・ロープには浮泥が多く付着していた5)。

 (2)投石などによる藻;場造成

 方法  秋穂町草山(図1,st.C周辺)では既存のガラモ場の縁辺部と,アカモクなどガラモ が生育していない場所に天然石,コンクリート板を水深別に投入し,秋穂池北蓉部(図2,s£.A)

では前年度に入舞:造成されたアカモク藻場の縁辺部と,そこから5〜1舳離れた場所にコンクリ ート板を,それぞれ昭和43年4月20日に投入し,早智の着生状況および生育状況を調査した。

 経過および結果  st.Cではガラモ場近くのコンフリー{・板に,5月2◎日にはア劾モクの幼胚 が着生し,6月21日には6〜15厭搬に生長して第4葉の発芽がみられ,鋸歯状の形成が始まってい た。着生密度は,多い部分では10×10c殖当り20〜100個体というものがあったが,水深6m以深 ではイギス類の幼芽が10×10cm当り5〜7個体着生しており,アカモクは1個体着生しただけで あった。その後8月20日に,アカモクが着生しているコンクリート板を移動させて水深別に設置 したが,9月n日の調査では浅い所では葉長3〜6cmに生長しているのに,5磁以深に移したも のではアカモクは消滅していた。ζの場所では天然のアカモクは水深4阻以深には生育していな いことからみて,4〜5mがアカモクの生育限界と考えられる。この付近ではアカモクは11月以 降に急速な生長を示し,翌年2月には最大380cmに達するものもみられた、,アカモクが生育して いない場所に設置した石などには,アカモク幼年の着生はみられなかった。

 s毛.Aでは,アカモク藻場の真下に設置したコンクリート板だけに1G×10c田当り20個体程度のア カモク幼胚の着生がみられ,下場から離して設置したコンクリート板には着生はみられなかった。

一139一    5 人工早場の集魚効果の1例

 入工種苗によって造成されたアカモク藻場について,その集魚効果お』よび餌料生物の生臨場と しての役翻りは天然藻場と同様であると考えられるが,4一(1>一IA>で造成された入工アカモク思弁 で,魚類その他の採集を行なったのでその結果を報告する。

 方法  臨場の造成状況の調査を行なった際に,付着生物および蝟集魚類を観察し,昭和48年 4月2◎日,21日に建網の試験操業を行なった。建網は三重建網(ナイロン,中網3本×2寸目×

25結×50間,外網6本×尺目×3結×18帽)を使用し,図2に示したように人工造成された藻場 を囲むような位置に投入し,干潮時には4人で藻場の中を踏み歩いて,藻場の中の魚を追い出し て,漁獲状況を調査した。

 結果  弓場の形成状況は前述のとおりで,11月〜翌年5月に濃密なアカモク藻場が形成され たが,2月頃まではアカモク葉体に着生する生物は少なかった。しかし生殖器床を形成する3月 頃から十脚類,端脚類等脚類が出現し始め,シオミドロ,ババノリなどの藻類の着生もみられた。

 人工アカモク弓場に鵡現する幼稚魚については,町場の中においで,幼稚魚の採集あるいは試 験操業を行なっていないので明らかでないが,肉眼で観察された幼稚魚類は蓑2のとおりで,4

月6日の調査時以後メバル稚魚がアカモク葉体の閥を群泳しているのが観察され,追い払っても 藻場の外へ出ることはなかった。なお,この付近では,この人工アカモク藻場以外の場所ではメ バル稚魚をみることはできなかった。このほかアイナメ稚魚も数尾観察された。

 建網試験操業の結果は表4のとおりである。これによると比較的大型の有用魚種が漁獲され,

特に大型のクロダイ雌が漁獲されたことは注霞に値する。さらに干潮時に藻場から追い出した場 合,20分聞でかなりの漁獲がみられた。また,藻場から魚類を追い出した後,二二をとりまくよ うに建網を張って,漁獲がみられたことは,これらの魚が藻場に向って集まるものと考えられる。

   表4 入工アカモク藻場における建網試験採集結果(秋穂湾)

操業方法 操 業 日 時 魚 種 胆管 体  長(翻)

昭和町8黛

ク9ダイ

1 370(♀)

1 追い込み前 4月 20日 , 10.30〜 15.40 マコガレイ 1 145 イ シガニ 2

ク ロダイ 2 235(♀),350(♀)

・隻 月 20 1ヨ , 16.00〜 16.20 ク  ジ メ 1 190 2 追い込み時

(低潮時) ウミタナゴ 2 歪40,140 マコガレイ 1 150

クロダイ 1 330(♀)

コ ノ シロ 6 188〜200

二月20日,16.20 マコガレイ 6 142〜230

ク  ジ  メ 1 支75

3 追い込み後

後月21日,10.00 ウミタナゴ 1 134 イ シガニ 12 58〜134

ア カ ニ ン 17

・ツメタガイ

  建網の網圏:前論3本×2寸爵×25結, 外論6本×鋸目×3結    6 考察および問題点

 アカモクを主体にして,入撰種苗の採苗・培養方法,悪場造成および集魚効果について検討し たが,採苗および種苗の培養については嗣様の方法で,他のホンダワラ類についても実施するこ とが可能であると考えられる。

ドキュメント内 栽培漁業技術開発研究 第3巻第1号 (ページ 133-140)