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2 つのタイプの特徴と比較

ドキュメント内 乳児保育のカリキュラム編成の研究 (ページ 131-138)

第2章 乳児保育の「保育課程」検討 ―保育課程編成の事例検討(調査1)―

第 4 節 2 つのタイプの特徴と比較

以上、2つのタイプの保育課程について各々事例検討を行った。表1-8(前掲)「2つのタイプの保 育課程の比較」に基づき、ここでは比較検討を行う。

1、保育課程の概念

保育課程の概念について、2008年保育所保育指針「保育課程編成の手順について(参考)」解説書 には下記のように書かれている。

1)保育所保育の基本について職員間の共通理解を図る。児童福祉法や児童に関する権利条約等関係法令を理解する。

保育所保育指針解説書の内容を理解する。

2)各保育所の子どもの実態や子どもを取り巻く家庭・地域の実態及び保護者の意向を把握する。

3)各保育所の保育理念、保育目標、保育方針等について共通理解を図る。

4)子どもの発達過程を見通し、それぞれの時期にふさわしい具体的なねらいと内容を一貫性を持って組織するととも に、子どもの発達過程に応じて保育目標がどのように達成されていくか見通しを持って編成する。

5)保育時間の長短、在所時間の長短、その他子どもの発達や心身の状態及び家庭の状況に配慮して、それぞれにふさ わしい生活の中で保育目標が達成されるようにする。

6)保育課程に基づく保育の経過や結果を省察、評価し、次の編成に生かす。

保育課程にはいろいろな編成の仕方がある。乳児保育には、保育者・大人の役割を方向付けるもの が必要である。乳児が人として自立していくには、大人の役割が必要である。これをどう位置づける か。大人との情動的、身体的な交流なしに、子どもがある日突然、排泄のためにトイレに行くことは ない。「まんま(ごはん・食事)」という言葉を使用した生活に適応した行動は、生活のなかで、「依存 できる特定の大人との絆形成」という関係があってこそ実現する。特定の大人との絆ができてこそで ある。乳児は、特定の大人の口の動きをじっと見つめ、真似をしながら言葉を獲得していく。子ども の育ちや発達過程を理解して保育をすることが実践には求められる。そのためには、就学までを見通 して、乳児期の役割や乳児期にこそ育ちの保障をしなければならない事項は何か、乳児期に環境を通 して育つ事項は何かを大まかに俯瞰しておくことが求められる。長期間保育の時代になり、子どもが 長期間の保育過程をどのように変遷していくのかということを、大人が責任を持って考えておかない と、各クラスや各年齢別の判断だけに委ねてしまうことになってしまう。各年齢の保育は、クラスか らクラスに継続するとき、子どもの保育体験が保育過程という道筋になってバトンが渡されたかが問 われている。そのためには、保育課程という全体を俯瞰したものが必要である。

遊びも同じことがいえる。例えば、「まてまて遊びは」、大人から追いかけてもらう大人との情動的、

身体的交流である。追いかけられて心地よかったという経験の心地よさが大切といえる。大人から関 わってもらったことが心地よいと、今度は子どもから大人を求めてまてまてと追いかける。子どもが 生活に適応した結果である。人との関係が心地よいことを知って、初めて人間との交流が始まり、活 動力が芽ばえる。つまり、幼児期の遊び力は、乳児期の大人との関係性なくしていきなり育つことで はない。乳児保育における保育者や大人の役割が子どもの育ちに重要であることを踏まえると、在籍 年月を反映した保育課程をしっかりイメージできることが重要である。乳児の保育は作業のように「食 事・睡眠・排泄」という基本的生活習慣の「一日の流れ」を考えて保育をしていないかを反省しなけ ればならない。保育課程の位置づけとその内実である「目標・ねらい」など、枠組みには意味がある。

具体的に保育課程の何が違うのか。保育所保育指針を理解し、保育の実践を検討する。

2、2 つの共通点

保育課程は、X活動重視タイプ・Yねらい重視タイプどちらも保育の土台として各保育園の理念や 方針を理解し、保育目標に到達するための筋道の基本が示されている。各年齢におけるねらいや内容

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という到達目標が連続性をもっていけるように編成されている。どちらも「子どもの全体的な成長を 見通した保育園全体におけるカリキュラム」であるところは共通といえる。1965年保育所保育指針は 年間指導計画と間違いやすいが、クラスの計画である年間指導計画とは異なる。2 つの共通理解を次 にまとめた。

① 保育の基本についての共通理解。

② 保育所の保育理念、保育目標などについて共通理解。

③ 子どもの発達過程を見通し、それぞれの時期にふさわしい具体的なねらいと内容が、一貫性を持って編成されると ともに、子どもの発達過程に応じて保育目標がどのように達成されていくかの見通しを持って編成する。

① 指導計画を作成するための土台となるものであることには変わりがない。

X活動重視タイプは保育計画という言葉に表されているように指導計画との区別があいまいであり、

指導計画がクラスに基づくのに対して保育計画は保育所全体の保育を示している。

② 領域の取り上げ方は、どちらの保育課程(全体計画)も「総合的に編成」と書かれている。

X活動重視タイプは、「子どもの活動は、総合的に行なわれているから、その活動をひとつの領域だ けに限って取り扱うことは適切でない。」とし、Yねらい重視タイプは、「ねらい及び内容が保育所生 活の全体を通して、総合的に展開されるよう、編成されなければならない。」と書かれている。しかし、

保育課程(保育計画)は総合的にという趣旨は出てこないともいえる。

課題の一つは、ねらいは領域ごとでよいのか、内容・活動もやはり領域ごとなのかという問題であ る。つまり、総合的な活動が実際の保育の内実・実践であるとすれば、1)両方とも領域の視点から 書くのか、2)ねらいだけなのか、あるいは、3)ねらいと内容の両方を領域から書くのではなく総合 的に書くのかという3 つの選択肢が生まれる。1)~3)のいずれの場合でも、「まず、保育課程は、

保育の土台となるものです。保育として、「子どもの全体的な成長を見通した保育園全体におけるカリ キュラム」としての位置づけを意識する必要がある。

3、2 つの異なるもの

X活動重視タイプ「保育計画」は、全体計画と指導計画を作成する発展的組織的指導計画としてい る。「保育計画は、在所する各年齢の乳幼児の望ましい活動を選択、配列し、また、全体として一貫性 をもったものとなるよう作成されなければならない。」とし、全体計画は活動を選択して一貫したもの となるようにと考えている。また、保育計画は、「各保育所においては各章に示されている事項に基づ き、それぞれの保育所において適切な保育計画を作成する」と保育の現場に任されている部分がある。

「望ましい経験と活動」を中心とするX活動重視タイプと「心情・意欲・態度」を中心とするYねら い重視タイプとの違いがある。明確な方向性を示しているのは前者であり、後者は子どもの実態や実 際の子どもの活動に応じて保育課程を構成するということになっている。乳児の場合には、両方の方 向が大事であるだけにどう考えるかが大きな課題である。また、年齢区分と内容区分の扱いが変わり、

X活動重視タイプ1965年保育所保育指針は、保育内容の区分、年齢の区分をしているが、Yねらい 重視タイプ2008 年保育所保育指針はどちらもしていない。保育課程には何を入れるのかを明確にし ておく必要がある。一般的には、次の事項が編成内容である。

X活動重視タイプでうたわれている保育計画は、確かに保育所保育の全体像を示すものである。各 年齢の指導計画を持ち寄れば保育所全体の方向付けは可能である。そのまま指導計画に使えるのでク ラス担任にはわかりやすいといえる。では、ねらいや内容の立て方については同じといえるか。X活 動重視タイプは作成の原則として、「(1)保育内容の区分(2)年齢の区分」があり、編成方法は、「(1)

領域の区分は各年齢の発達段階に応じて編成(2)保育内容の構成は、年齢区分に基づき」、子どもの 年齢に即して行う。「(3)各年齢の望ましい活動を選択し、配列し、また全体として一貫性をもった ものとなるよう作成する。」とある。乳児保育は「保育課程及び指導計画」という全体計画は必要であ る。

ドキュメント内 乳児保育のカリキュラム編成の研究 (ページ 131-138)