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結論と課題

ドキュメント内 乳児保育のカリキュラム編成の研究 (ページ 145-149)

第 3 章 「乳児保育」大学テキストの分析―2 つの指針の視点(調査 2)―

第 4 節 結論と課題

本論文では、乳児保育の実践構造の解明、すなわち乳児への働きかけの解明についてを検討し、2 つのモデルを使って実際の指導事例を検討した。結果として次の結論を得た。

結論1)2つのタイプが全て抽出された。特に、1歳児の年間指導計画・月間指導計画はどちらも 1965年保育所保育指針X活動重視タイプ、「X-1 単純活動タイプ」と「X-2 望ましい活動重視タイ プ」という「活動重視」が多いことがわかった。さらに、1 歳児の年間指導計画と月間指導計画では 月間指導計画のほうが1965年指針X活動重視タイプの1の「X-1 単純活動タイプ」が多いことが わかった。いずれも活動型のタイプである。

結論2)1歳児の年間指導計画・月間指導計画さらに週案を付け加えて検討したところ全て同じタ イプを使用している「一貫型」といろいろなタイプを使っている「多様型」があることを指摘した。

結論3)このことから、「乳児保育」の大学テキストにおいては、乳児保育の実践構造には1965年

保育所保育指針X活動重視タイプである「活動重視」と2008年保育所保育指針Yねらい重視タイプ である「ねらい重視」の2つのタイプが使われていることがわかった。

しかしながら、1965 年保育所保育指針X活動重視タイプ、「X-1 単純活動タイプ」が多数をしめ ており、保育所保育指針が改定されても、乳児保育の指導計画掲載に関して反映されていないことが わかった。乳児保育の実践構造には、ねらいと内容の統合的理解の仕方、及び、子どもの活動の理解 の仕方に課題があることを指摘した。

結論4)2つのタイプが乳児保育の実践構造の質的検討をするには有効な分類であること、特に、

乳児の生活における子どもと保育者の内的側面についての客観的な分析によって、乳児保育の実践構 造の適切性を検討することが示された。

以上のことから、乳児保育の実践構造は、年間指導計画・月間指導計画においてX活動重視タイプ であることがわかる。子どもの「活動」は、乳児保育において重要である。むしろ、乳児保育の実践 構造には、ねらいと内容の統合的理解の仕方、すなわち、「活動」から「ねらい」を編成するのかどう かが問われる。「活動」から先に書くと子ども主体の保育を否定するのではないか、という疑問が浮か び上がる。しかし、融合保育の立場からは、「活動」からのねらいか、発達からのねらいかどちらかを 選ぶことは原理的にはありえないことである。また、年間指導計画・月間指導計画さらに週案を付け 加えて検討したところ全て同じタイプを使用している「一貫型」といろいろなタイプを使っている「多 様型」があることを指摘した。 X活動重視タイプ「X-2 望ましい活動重視タイプ」は、「望ましい 活動」として「ねらい」にも位置づけていた。一方、Yねらい重視タイプは、実際には転換していた。

年間指導計画を中心として子どもの「活動」をあげている例が見受けられた。また、子どもの「活動」

は年間指導計画を中心としてあげ、週案では子どもの活動を取り上げ、さらに活動の配列をしている 例があった。中間的には、生活活動と遊びの枠組みを作り、生活には「養護のねらい」、遊びには教育 の「5領域」を年間指導計画に取り上げている事例もあった。このように、分析してみると、「活動」

を意識しない乳児保育のは例はなかったといえる。子どもは生活・遊び活動を通して成長・発達を遂 げていくことからは当然といえる。

「乳児保育」の大学テキストにおける実践構造には、X活動重視タイプとYねらい重視タイプがあ ることがわかった。むしろ、乳児保育の実践構造は、ねらいと内容の統合的理解の仕方、及び、子ど もの活動の理解の仕方に課題があることを指摘した。問題は、保育の方向性を書くときに、具体的な

「活動」を書きすぎると実践では保育を縛ってしまう可能性がある。「ねらい重視」の場合は、実際 には発達の側面から「ねらい」を書くことになる。「ねらい」がそのまま保育の内容になることはな いことから保育実践ではどこかで転換していることになる。子どもの「活動」は、周りにある物や子 どもに働きかけることだけを意味しているのではない。「活動」そのものに、子どもの色々な思いが あると考えられる。乳児にとって生活は、「生活適応活動」であると考える。例えば、「水を飲む」活 動では、子どもなりのやり方がある。また、大人とのやり取りから「水を飲む」その行為を習得した

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り、その過程の中で子どもなりに「水を飲む」ことが動機付けられたりする。子どもの活動の中には、

外からは見えない、子どもの「内面の活動」があり、「内的活動」をしていると考えることが出来る。

保育内容編成は、「活動」を出発点とする場合、活動における子どもの気持ち・子どもの行う「内的 操作」を念頭におくことで単に「させる活動」という視点から脱却できると考えられる。

一方、「ねらい」として何を書くかということは重要な問題である。代表的には、「望ましい活動」

か「心情・意欲・態度」かということがある。これも先の問題と同じく、どちらも必要でありどちら かということではない。しかしながら、Yねらい重視タイプ2008年保育所保育指針が指摘している ように、「望ましい活動」に保育者が子どもを「追いやる保育」や「させる保育」が乳児でも幼児でも 想定できる。したがって、「心情・意欲・態度」と書くことは、子どもの主体性を大事に育てようとい う発想に繋がる重要な問題を提起している。一方、「心情・意欲・態度」から「ねらい」を書くという ことには実践としての問題も多い。すなわち、「心情・意欲・態度」から「ねらい」を書いたときには、

「~をして遊ぶ」ではなく「~を楽しむ」「~をしようとする」というような言葉の言いかえで終わっ ているケースが見られる。乳児保育は、大人が積極的かつ直接的に子どもの模倣モデルとなって示唆 することが重要である。「子どもの主体性」を考えるため、乳児自身からの出方を「待つ」保育がいい と考えられる傾向にあるのではないか。乳児の場合には、例えば、「コップを持つときに大人が手を添 える」という直接的な関与が必要な場合も当然ある。「心情・意欲・態度」で書くことにより、かえっ て保育者の積極的なかかわりを制限している場合もある。大切なことは、どちらかではなく、子ども 自身が「うまくできた」と思えるように、「成功する」ように、大人が補助をするという「相補的関係」

こそが乳児保育には重要である。すなわち、乳児保育は「生活適応活動」であり、本研究では「大人 と子どもの相補的関係」をうまく使い分けることが重要であることを提案したい。

①「長期の保育を見通す保育課程」の場合

「長期の保育を見通す保育課程」の場合は、「~を楽しむ」「~の遊びをしようとする」というよう な「心情・意欲・態度」を含めて先に述べた「内的活動」に主な視点を当てて提起する。つまり、長 期の保育を見通す保育課程は、「子どもに育てるべき大きな方向」、「内的活動」を提示することを軸に おいた「目標・ねらい」が大切であると考える。具体的な活動は、その軸から導き出せるようにすれ ばよいと考える。その場合に、「発達の側面」を前面に出すのか、「内的活動」を前面に出すのかとい う問題はあるが、保育所としての理念や方針に従って決めることにしてはどうかと考え検討する。

②「短期の保育を見通す指導計画」の場合

「短期の保育を見通す指導計画」の場合は、その日の子どもの興味の持ち方などを考慮してはどう かと考え、検討する。例えば、予定していた「ブロック活動」が子どもの興味で「積み木活動」にな ったとしても、実際には、保育者が「育ちの視点」を持っている場合には、特に活動内容にこだわる ことはないと考えられる。

③ 長期と短期の2つの中間にある計画が、「年間・期別の指導計画」

長期と短期の 2 つの中間にある計画が、「年間・期別の指導計画」である。月間指導計画には、保 育課程・年間から整理したその月の活動の主な「心情・意欲・態度」、「内的活動」をねらいとして書 くことが重要である。「ねらい」の次に「内容」には何を書くのかである。基本的に、「保育の内容」

は、「子どもが成長を遂げていくためのねらい」がどのような事柄・材料(保育材料・保育環境など)

を通して子どもが成長していくのかを提起するものである。

④ 乳児保育の保育内容編成

乳児保育は、学習活動として組織されることが一義的にあるのではない。まず、子どもの「生活適 応活動」があることを確認することが大切である。乳児保育は、「生活適応活動」が保育の全体にあり、

その上で保育の「ねらい・内容」があるとすれば、「保育内容」はどうなるのだろうか。厳密にはねら いの立て方にもよるが、「生活適応活動」のすべてが保育の活動であり、その中で、保育の「目標・ね

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