2.3 セグメントごとの BtoB EC の実態と市場規模
2.3.6 電子・情報関連機器
2.3.6.1 電子・情報関連機器〜 BtoB の概要
2004年の電子情報関連機器における狭義のBtoB EC市場規模は24兆6,590億円、
EC化率は44.7%であった。従来型EDIを使ったECも含めた、広義のECでは市場規模 が32兆7,010億円、EC化率は59.2%となる。
電子・情報関連機器セグメントは、家庭用電気機器(テレビ、ラジオ、ビデオ等のAV製品、
エアコン等家庭用電気機器、家庭用照明機器等)、コンピュータ関連製品(コンピュータ、電 子部品、周辺機器、電子応用玩具等)、上記以外の電子・通信機器(携帯電話等の通信機 器、OA 機器、電子応用玩具等)で構成される。電子・情報関連機器 EC 市場規模には、電 子・情報関連機器メーカーが部品や部材を EC により調達するもの、部品メーカーが部材を ECにより調達するもの、電子・情報関連機器メーカーが完成品をECで販売店に販売するも のが含まれている。
電子・情報関連機器は、比較的早い段階からEC が普及した業界であり、2002年時点で 既に狭義のBtoB EC市場規模で19兆7,730億円存在し、狭義EC化率は32.1%に達し ていた。今回の調査では同24兆6,590億円、狭義EC化率は44.7%となっており、自動車 産業に次ぐEC取組が進んでいる業界の一つとなっている。
表 2.3.6-1 「電子・情報関連機器」BtoB EC市場規模
(単位:億円)
品目
EC化率 EC化率
電子・情報関連機器 246,590 44.7% 327,010 59.2%
狭義EC市場規模 広義EC市場規模
図 2.3.6-1 「電子・情報関連機器」
狭義BtoB EC市場規模・経年推移
図 2.3.6-2 「電子・情報関連機器」
狭義BtoB EC化率・経年推移
2.3.6.2 電子・情報関連機器〜 EC 実態
電子・情報関連機器では、需要家や小売店、販売代理店からの発注に応じて、製品を販 売する電子・情報関連機器メーカー(最終財メーカー)が存在する。また、電子・情報関連機 器メーカーは、部品メーカー(中間財メーカー)に完成品もしくはユニット部品、電子部品を発 注するほか、一部の原材料について独自に調達を行う場合もある。そして部品メーカーは、さ らに川上に位置する原料・材料系メーカーに対し、必要な部材や原材料の発注を行ってい る。
図 2.3.6-3 「電子・情報関連機器」業界構造の概略と主なEC取組
(億円)
43,000
119,900 150,840
197,730
242,940 246,590
0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
9.5%
21.1%
24.2%
32.1%
45.3% 44.7%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
中間財 メーカー
最終財 メーカー プリント基板メーカー、
コンデンサメーカー等
ガラス・シリコン メーカー、
鉄鋼商社等
需要家
(法人)
小売店
販売代理店
(b)
(a)
(d)
(e)
(e)中間財メーカーの個別EDI、
e-マーケットプレイス
(a)最終財メーカーのECサイト
(b)小売店の個別EDI
(c)最終財メーカーの個別EDI、
e-マーケットプレイス
(d)最終財メーカーの個別EDI 、 e-マーケットプレイス
(c)
電子・情報関連機器業界における主なEC取組としては、図2.3.6-3に示す業界構造の概 略のうち、最終財メーカーのECサイトによる法人需要家向け販売(図2.3.6-3 (a))、小売店 側の個別EDI(図2.3.6-3 (b))、最終財メーカー側の個別EDIもしくはe-マーケットプレイ スによる販売代理店向けEC(図2.3.6-3 (c))、最終財メーカー側の個別EDIもしくはe-マ ーケットプレイスによるEC(図2.3.6-3 (d))、中間財メーカー側の個別EDIもしくはe-マー ケットプレイスによるEC(図2.3.6-3 (e))の5つが挙げられる。
最終財メーカーのECサイトによる法人需要家向け販売(図2.3.6-3 (a))については、法 人需要家が主にPCやPC関連製品を電子・情報関連機器メーカーの直販サイトから購入す る場合がある。また、MRO(Maintenance, Repair and Operation)と呼ばれる間接財調達 の一部として、電子・情報関連機器を購入する場合も見受けられる。小売店等の調達におけ るECの仕組みとしては、小売店の個別EDI(図2.3.6-3 (b))を通じて物品を発注する場合 が多い。また、同様に販売側の調達の仕組みとして、最終財メーカーの個別EDI もしくは e-マーケットプレイスによる販売代理店向け EC(図 2.3.6-3 (c))で行うものがある。これらの仕 組みの中には、系列企業間の取引も多く含まれている。
電子・情報関連機器メーカーから見て販売側にあたるこれらのEC取組については、2004 年には、特に大きな動きは見られていない。携帯電話市場が伸び悩む一方、アテネオリンピ ックに伴うデジタル家電や大型テレビ等の売上増などにより、最終的な EC 取引金額は若干 伸びる結果となっている。
製造段階でのECとしては、電子・情報関連機器の最終財メーカーが中間財メーカーから 調達する際の最終財メーカーの個別EDIもしくはe-マーケットプレイスによるEC(図2.3.6-3
(d))が浸透しており、大手家電メーカーの中にはECでの発注額が全体の95%以上を占め る企業が珍しくない。つまり、この部分での EC 利用は行き渡った感があり、現段階では新た なECの進展は見られず、総需要の動向に合わせてEC取引金額が上下するという結果にな っている。この最終財メーカーの個別EDIもしくはe-マーケットプレイスによるECでは、個別 企業間の従来型EDI、個別企業間のインターネット技術ベースの EDIなど多岐に亘る方法 が活用されている。
一方、中間財メーカーが原料・材料系メーカーから個別EDIもしくはe-マーケットプレイス
(図2.3.6-3 (e))を用いて調達するケースでは、ECによる購買率が 50%前後に留まってい
る企業も多く見られ、EC拡大の余地を残す結果となっている。
このように、電子・情報関連機器分野では、最終財メーカーと中間財メーカー間での取引 を中心に従来からEC取組が進んでおり、現在はより川上に位置する原料・材料系メーカーと 中間財メーカーの間で、徐々にECが浸透してきている状況となっている。
2.3.6.3 電子・情報関連機器〜市場規模
電子・情報関連機器の狭義のEC市場規模は全体で24兆6,590億円、EC化率は44.7%
となっている。これは2003年の24兆2,940億円に比べて3,650億円、1.5%の増加となっ ている。
(1) 家庭用電気機器及びコンピュータ関連製品以外の電子/通信機器
このうち、家庭用電気機器とコンピュータ関連製品以外の電子/通信機器調達における EC取組が、e-マーケットプレイス経由のものも含めて狭義で11兆1,190億円、広義で14兆 7,170億円となっている。この金額は、インタビュー、アンケートにより収集した81社の実績値 とインタビュー結果や公知情報等を基に推計した17社分の個社推計に加え、e-マーケットプ レイス2社の取扱実績を合わせたものである。
(2) コンピュータ関連製品
電子・情報関連機器のうち、コンピュータ関連製品の EC 取扱金額は狭義 EC で 13 兆 5,400億円を計上している。この金額は2003年と比較した場合1,900億円、1.4%の微増に 留まっている。また、広義ECは17兆9,840億円となっており、従来型EDIによる取引が4 兆4,440億円、EC取扱額の24.7%存在している。なお、これらのEC市場規模金額は、イ ンタビュー、アンケートにより収集した76社の実績値のほか、他社のインタビュー結果や公知 情報等を基に推計した10社分の個社推計を合わせたものである。
表 2.3.6-2 2003年「電子情報関連機器」品目別BtoB EC市場規模
2.3.6.4 電子・情報関連機器〜今後の動向
電子・情報関連機器では、大手や中堅の電子・情報関連機器メーカーにおける部品の調 達に関してはかなりECが浸透していると言えるが、その川上に位置する中間財メーカーの調 達においては、まだEC化の余地が残されている。中間財メーカーの調達におけるEC取引 の伸び悩みの原因は、主に中間財メーカーの更に上流に位置する比較的中小規模の企業 のECへの対応が遅れているためと考えられる。比較的参入障壁の低いWeb-EDIが整備さ れているにも関わらず中小企業におけるEC取組が進まない理由としては、中小企業では社 内システムがもともと整備されていない、あるいは整備している社内システムとWeb-EDIが連 携しない等、EC導入が業務効率化に結びつかない状況が挙げられる。
また、一部の電子・情報関連機器メーカーでは、依然として従来型のEDIが使われている ケースが見られる。これら従来型EDI のユーザーは、基幹システムの入れ換え等を契機に、
インターネット技術ベースのEDIに移行していくことが予想される。
今後の電子・情報関連機器におけるECの発展方向性として、CAD図面や納入仕様書な どの電子データを、受発注のEDIと連携させるものがある。現在、受発注システムとCAD図 面や納入仕様書などについての電子データ交換システムは別々に使用されているケースが 多いが、電子データを受発注システムに連動させることで、既存の EDI 利用企業はシステム 配備への重複投資を抑制できるなどのメリットがある。こうした受発注データとCAD図面や納 入仕様書などの電子データの連携を可能にする手段として、XML標準のECALGA やロゼ ッタネットによる標準ルールが既に準備されており、今後の進展が期待されるところである。
135,400 コンピュータ関連製品(コンピュータ、電子部
品、周辺機器、電子応用玩具等)
コンピュータ関連製品以外の電子/通信機 器(携帯電話等の通信機器、OA機器、計測
器等)
59.2%
327,010 44.7%
246,590 111,190
家庭用電気機器(テレビ、ラジオ、ビデオ等の AV製品、エアコン等家庭用電気機器、家庭
用照明器具等)
EC化率 合計
EC化率 合計
詳細
広義EC市場規模 狭義EC市場規模
品目
(単位:億円)
135,400 コンピュータ関連製品(コンピュータ、電子部
品、周辺機器、電子応用玩具等)
コンピュータ関連製品以外の電子/通信機 器(携帯電話等の通信機器、OA機器、計測
器等)
59.2%
327,010 44.7%
246,590 111,190
家庭用電気機器(テレビ、ラジオ、ビデオ等の AV製品、エアコン等家庭用電気機器、家庭
用照明器具等)
EC化率 合計
EC化率 合計
詳細
広義EC市場規模 狭義EC市場規模
品目
(単位:億円)