3.3 セグメントごとの BtoC EC の実態と市場規模
3.3.2 家電
3.3.2.1 家電〜 BtoC の概要
「家電」セグメントは、家電(AV 機器含む)、家庭用ゲーム機で構成されており、市場規模 金額は、当セグメントにおける販売額を算入している。
2003年の市場規模 840 億円に対し、2004年における当セグメントの市場規模は 1,190 億円、EC化率は1.78%と推計される。
モバイルコマースの市場規模は、20 億円と推計され、電子商取引市場におけるモバイル 経由での販売比率は1.7%となっている。
当セグメントは本調査より「その他物品」セグメントより独立し、新たに「家電」セグメントとして 切り出したため、EC 化率、モバイルコマース市場規模に関しては、過去との比較は行ってい ない。
また、「家電」セグメントは、本調査より、従来の「その他物品」セグメントのうち、「家電」、「医 薬・化粧品・健康食品」をそれぞれ独立したセグメントとしている。
3.3.2.2 家電〜市場規模
「家電」セグメントの販売額は、メーカー直販、大手量販店、カタログ通販事業者、左記以 外の小売事業者で構成される中小ショップのEC売上高の総額として1,190億円と推計して いる。また、当セグメントに関しては、およそ1,300社弱の企業がECに取り組んでいると想定 され、その市場規模は以下のように推計している。
メーカー直販、大手量販店、カタログ通販事業者による EC 販売額は、主要家電メーカー、
及び大手量販店約40社のほか、カタログ通販事業者等を合わせて60 社前後を捕捉し、当 セグメントのみで100億円以上を販売している企業を筆頭に、50億円程度を売り上げている 事業者4社、20億円程度を売り上げている事業者7社、それ以外の50社弱の事業者のEC 販売額を捕捉/推計した結果、620億円と推計している。
また、価格メリットを強力に押し出している「カカクコム」にエントリーしている企業や上記以 外の小売事業者で構成される中小ショップ1,200社程度に関しては、公知情報、事業者への 電話インタビュー、アンケート、情報処理実態調査により得られた個社の売上状況から全体推 計した結果、570億円と推計している。
(単位:億円)
1998年調査 1999年調査 2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
家電 全体市場規模 57億円 60億円 500億円 900億円 630億円 840億円 1,190億円
( − ) ( − ) ( − ) ( − ) ( − ) ( − ) (20億円※4)
330億円 620億円 370億円 570億円
数百億円※3 300億円弱 140億円上記セグメント
に含まれる
− − − − − − 1.78%
※1 1998年から2003年調査の電子商取引化率に関しては、家電、ゲーム機、医薬・化粧品・健康食品の分計を行っていない
※2 医薬・化粧品・健康食品も含む
※3 ゲーム機は家電の内数として算出
※4 2004年より、家電セグメントを新たに設けたため、それ以前のモバイル金額に関しては未算出 EC化率※1
品 目
630億円 57億円※2 約60億円
500億円弱 600億円前後 家電(メーカー直販、量販店等)
家電(上記以外の小売事業者)
ゲーム機販売
以上、メーカー直販、大手量販店、カタログ通販事業者、左記以外の小売事業者で構成さ れる中小ショップの取り組みを合計した当セグメントのEC市場規模は1,190億円。うちモバイ ルコマース市場規模は20億円と推計している。
表 3.3.2-1 「家電」BtoC EC市場規模
※本調査より「家電」セグメントを新たに設けたため、過去のモバイルコマース金額は未算出
図 3.3.2-1 「家電」BtoC EC 市場規模の推移 630
840
1,170
500
900
20
(1.7%)
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
(億円)
固定系EC モバイルコマース
500億円
900億円
630億円
840億円
1,190億円
0.00% 0.00% 0.00% 0.00%
1.78%
0.0%
0.2%
0.4%
0.6%
0.8%
1.0%
1.2%
1.4%
1.6%
1.8%
2.0%
2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
※本調査より「家電」セグメントを新たに設けたため、過去のEC化率は未算出
図 3.3.2-2 「家電」BtoC EC化率の推移
3.3.2.3 家電〜市場特性及び 2004 年の動向
現在、「家電」セグメントでの売れ筋は、昨年に引き続き新三種の神器(DVD レコーダー、
薄型テレビ、デジタルカメラ)と呼ばれるAV機器が販売の中心となっている。
これらの AV機器の出荷台数をみると、JEITA(社団法人 電子情報技術産業協会)が発 表している「2004 年の民生用電子機器国内出荷統計」によると、ハードディスク内蔵の DVD レコーダーは対前年比 141.9%増、薄型テレビのうち PDP(プラズマディスプレイ)は 42.3%
増、液晶カラーテレビは 73.9%増となっている。また、カメラ映像機器工業会が発表している
「デジタルスチルカメラ生産出荷実績表」によると、デジタルカメラの国内出荷数は対前年比 1.3%増となっている。
デジタルカメラの出荷台数の伸び率が若干頭打ちの状況にあるものの、DVDレコーダー、
薄型テレビの出荷台数は順調に増加しており、こうした背景を受け、インターネット販売額も 伸びていると言える。
他方、従来は設置工事等を伴うために、インターネット販売には適さないと言われていた白 物家電が、インターネット経由で販売される例が登場している。東京都西部に本拠を持つムラ ウチドットコムでは、「ネット上で白物家電単体と据付工事等のサービス込みの料金体系を用 意しており、売れ行きはサービス込みの方がよい」と言う。同社では、「白物家電をインターネ
ット販売で販売する際に、単体のみで提供するのではなく、設置工事や取り付けサービスにも 対応することにより、家電と言う商材がインターネットでも販売できるようになった」と感じてい る。
家電は、PC を販売している中小ショップが販売を行っているケースも多く、これらのショッ プが家電・AV 機器の販売においても価格メリットを消費者に提供することで、前回調査に引 き続き売り上げを拡大している。
その一方で、価格だけではなく、「消費者に対して、ECならではのメリットを提示できるサイ ト」に支持が集まりつつある。具体的には、商品の使い勝手に関する情報交換を行う電子掲 示板やブログの設置のほか、配送時間の短縮、ネットを利用した顧客との接点の確保等が挙 げられる。
商品の使い勝手に関する情報交換を行う電子掲示板やブログの設置に関しては、従来は 第三者である大手価格比較サイトが商品に関するクチコミ掲示板を提供することが中心であ ったが、最近は事業者が独自に商品の使い勝手等を提供するケースが登場しつつある。例 えば、上新電機のサイトでは、「スタッフルーム」の名称で、パソコンやデジタルカメラ、家電等 に関するブログを設け、新商品情報やお勧め情報のほか、執筆者が実際に使ってみた感想 や日記等を掲載している。
実際、クチコミの情報が商品の購入に影響を与えるケースも増えてきており、価格比較サイ ト大手のカカクコムが実施した独自アンケートによると、「約 80%の利用者が商品の購入にあ たり、クチコミ情報の影響を受けた」と回答していると言う。
こうした事例より、ここ数年、消費者が家電やパソコンのような「普及品」を購入する際に最 も重視する基準として「価格」が挙げられてきたが、「低価格」は、あくまでも購入決定に伴う要 素の1つであり、現在のECにおいては、「価格」以外の要素として、実際に「商品を購入/利 用しているユーザーの声」、「評判」等が購買行動に大きな影響を与えていると言えるであろ う。
また、「低価格」、「豊富な情報提供」のみならず、当セグメントにおいて、重要な要素となっ てきているものとして、消費者への「総合的な満足感・信頼感の提供」が挙げられる。
例えば、送料無料や 24 時間以内発送の実現と言った、本体価格のみならず、総合的な「値
頃感」を提供したショップに支持が集まりつつある動きも顕著である。
配送時間の短縮に取り組んでいる企業の例としては、公知情報によると、ヨドバシカメラ等 の大手量販店の取り組みが顕著である。同社では、パソコンや家電等の製品の6〜7割を24 時間以内に発送するサービスを提供しており、ビックカメラも同様のサービスを提供している。
さらに、ネットならではの機能を利用した、顧客への信頼感を得るための事例として、メール を効果的に活用する例が見受けられる。
公知情報によると、「イーベスト」を運営するベスト電器は、顧客に対して商品購入後の安 心感を植え付けることが重要と考え、商品購入後、通常 1年で切れるメーカー保証の期限直 前の 11 ヶ月目に商品の不具合等について確認のメールを送信している。そのメールを読ん だ顧客が不具合を思い出して修理に出すケースもあり、結果として、同社のネットショップの 顧客のリピート率は年々高まっていると言う。
モバイルコマースに関しては、現時点では家電商品の比較を携帯電話の画面で行うには 表示上の限界があるため、広く使われているとは言い難く、市場規模も 20 億円程度にとどま っている。ただし、大手量販店の多くは、積極的にモバイルコマースの取り組みを開始してい るショップも多く、中小ショップの中にも、取り組みを開始したいと考えている事業者も多数存 在している。
3.3.2.4 家電〜今後の動向
「家電」セグメントにおいては、今までは店舗展開を積極的に実施してきたヤマダ電機やギ ガスケーズデンキ等の大手家電量販店が、本格的にネット販売に取り組んでいく方針を打ち 出しており、ますます競争が激しくなることが予想される。
今後は、価格以外の、「消費者に対して、EC ならではのメリットを提示できるサイト」をいか に実現できるかが競合優位性発揮のポイントになって行くものと見る。
例えば、本調査において、家電量販店が白物家電をインターネット上で販売する際に、据 付工事等のサービスを併せて提供する取り組みが確認されたが、今後は、設置工事日の予 約までをネット上で実現できるような、より付加価値の高いサービスの登場が期待される。