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運輸・旅行サービス

ドキュメント内 16 (ページ 130-136)

2.3 セグメントごとの BtoB  EC の実態と市場規模

2.3.13 運輸・旅行サービス

図 2.3.13-1 「運輸・旅行サービス」

狭義BtoB EC市場規模・経年推移

図 2.3.13-2 「運輸・旅行サービス」

狭義 BtoB EC 化率・経年推移

2.3.13.2 運輸・旅行サービス〜EC の実態

ECの実態について物流分野と旅行分野の2つの分野ごとに記述する。

物流分野では、顧客となる荷主企業からの依頼に応じて、物流企業が倉庫からの出荷や 集荷を行い、荷主の取引先に対する配送を行っている。この場合、物流会社と、その顧客と なる荷主企業との間では、出荷や集荷依頼、配送状況、請求に関する情報等の授受が発生 する。このうちECとしては、出荷や集荷依頼について、EDI等を用いて電子的に行っている ものを対象としている。

この EC 取組は、物流会社側が、顧客となる荷主企業側のシステムに合わせた形で EDI を導入しているケースが多い。実際、顧客企業側の要望に合わせて、柔軟な形で EDI を導 入することに競争優位性を見出している企業もある。この様な状況のため、物流業界における 標準規約である JTRN(ジェイトラン)については、その利用が急速に拡大する状況とはなっ てはいない。配送量が多く、従来からEDIを整備していた大企業等を中心に、独自の規約に 基づき、JCA手順等の通信プロトコルを用いた従来型EDIが残る状況となっている。

また、物流分野における EC取組としては、物流会社と荷主企業間で個別に構築している EDIの他に、貨物情報と空車情報のマッチングを行うe-マーケットプレイスも一定の用途で使 われている。

(億円) 

260

2,900

5,500 5,600 7,670

10,650

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000

1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

0.1%

1.1%

2.1% 2.2%

3.0%

4.1%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年

旅行分野における業界構造としては、航空・鉄道等の旅客輸送機関や宿泊施設が、直接 に窓口や電話・FAX 等を用いて予約の受付や販売を行っている場合と、旅行代理店を通じ て販売を行っている場合がある。なお、BtoBにおける販売先としては、出張等のために導入 している民間企業等が対象となる。

図 2.3.13-3 「旅行サービス」業界構造の概略と主なEC取組

図2.3.13-3 の旅行サービスの業界構造の概略図に示しているとおり、旅客輸送機関や宿 泊施設等が旅行代理店を通さずに販売を行っている場合の主な EC 取組としては、(a)航 空・鉄道会社等が個別の EC サイトを開設している場合の他に、特に宿泊施設において(b)

宿泊予約の専用ECサイト経由のものがある。

また、旅行代理店を通じて販売される場合のEC取組としては、(c)航空・鉄道会社や旅行 代理店側が個別に構築しているEDIのほかに、(d)旅行代理店側のECサイトやビジネスト ラベルマネジメント(BTM)のサービスを通じた販売、さらに(e)大手旅行代理店が提携代理 店との間において、パッケージツアー等の販売情報等をやりとりする個別のEDIがある。

航空・鉄道会社や旅行代理店が個別に構築しているEDI(図2.3.13-3 (c))には、様々な 形態が含まれている。大手旅行代理店では、航空・鉄道会社等との間において、ホスト間を 結ぶシステム間接続により予約・発券業務を行っているものと、宿泊施設との間において、旅

航空会社 鉄道会社 その他輸送機関

企業 官公庁 等 提携旅行

代理店 旅館・ホテル

その他施設

旅行代理店

宿泊予約サイト 提供会社

(a)航空・鉄道会社等のECサイト

(a)

(b)

(b)宿泊予約の専用ECサイト

(c)航空・鉄道会社や旅行代理店が個別に構築しているEDI

(c) (d)

(e)

(d)旅行代理店側のECサイト、

ビジネストラベルマネジメント(BTM)のサービス

(e)大手旅行代理店側の個別EDI

行代理店側の端末を宿泊施設に設置し、旅行代理店での販売実績に関する情報等をやりと りしている場合がある。また、航空・鉄道会社等とのシステム間接続を行っていない中小の旅 行代理店では、航空・鉄道会社等が提供する専用端末等を通じて予約・発券業務を行って いる。これらのうち、大手旅行代理店と鉄道会社など、ホスト間で接続している場合について は、TCP/IP 以外のプロトコルに基づいた従来型 EDI が中心となっている。一方、端末を設 置して取引を行っているものは、インターネット技術ベースのものが中心となっている。

また、旅行代理店から販売先となる企業等に対する販売としては、旅行代理店側が自社の EC サイト経由で販売している他に、ビジネストラベルマネジメント(BTM)として、包括的なサ ービスを提供している場合がある(図2.3.13-3 (d))。

BTM は、航空・鉄道会社における独自のサイト経由での販売の拡大や、宿泊予約サイト の台頭等、EC により旅行代理店を経由しない、いわゆる 中抜き による取引形態が活発化 している状況に対して、旅行代理店が新規事業として注力している分野であり、2004 年も市 場が拡大している分野である。具体的には、企業等における出張の手配において、移動手段 や宿泊の手配と、社内での稟議・決裁に係る業務をまとめてサポートする仕組みを提供する ものであり、大手旅行代理店や一部航空会社が提供している。利用する企業にとっては、社 員が出張に係る各種手配をワンストップで行えるほか、社内のERPや経理システムと接続す ることで、稟議・決裁の簡素化、経費の管理や分析を容易に行える等のメリットがある。

大手旅行代理店側の個別 EDI(図 2.3.13-3 (e))は、提携代理店との間においてパッケ ージツアー等の販売情報等をやりとりするものであり、以前は専用端末を用いた従来型 EDI が中心であったが、ここ数年でインターネット技術ベースへの移行が進んでいる。

旅行分野におけるEC取組については、旅行代理店と大手の輸送機関との間については、

以前からホスト間接続の従来型 EDI が普及していた部分であり、一方、航空・鉄道会社の EC サイトや宿泊予約の専用 EC サイトなどは、ここ数年で利用が拡大してきた部分である。

2004 年の動きとしては、航空・鉄道会社における EC サイトや宿泊予約の専用サイトについ て、狭義のEC市場規模が順調に拡大しているほか、BTMの拡大傾向も見られ、ECを用い て出張手配を行うことが一般的になってきていると言える。

2.3.13.3 運輸・旅行サービス〜市場規模

運輸・旅行サービスの狭義のEC市場規模は全体で1兆650億円、EC取引化率は4.1%

となっている。これは2003年の7,670億円に比べて2,980億円、38.9%の増加となる。

このうち物流分野は、2,600億円となっており、2003年の2030億円に比べて28%の増加 となっている。これはインタビューやアンケートを通じて補足した大手を含む物流企業11社の 実績値の他、それらの状況を基に推計した物流企業 7 社の推計値を計上している。さらに、

貨物情報と空車情報のマッチングを行っているeマーケットプレイスの市場規模を足し合わせ ている。

旅行分野については、8,050 億円となっている。このうち航空・鉄道会社等の輸送機関が 独自のECサイト等を通じて直接販売しているものが3,040億円、宿泊予約サイトを経由して いるものが1,690億円となっている。また、BTMを含む旅行代理店からのEC販売として730 億円を計上している。さらに、大手旅行代理店と提携旅行代理店間での EC 取組として

2,590億円を計上している。これらは、インタビューやアンケートを通じて補足した大手を含む

旅行代理店4社や、交通機関3社、宿泊予約サイト5社の実績値の他、それらの情報を基に 大手旅行代理店を含む47社のECによる取扱高を推計した値を計上している。

広義のEC市場規模については、全体で4兆6,330億円、EC取引化率は18.0%となっ ている。このうち、物流分野は、1兆650億円を計上している。これは狭義のEC市場規模と 同様にに物流企業と荷主企業の間のEC取組について、従来型EDIまでを計上しているも のである。

旅行分野の広義のEC市場規模については、3兆4,970億円を計上している。狭義のEC 市場規模と同様に、航空・鉄道会社等の輸送機関が独自サイト等を通じて直接販売している 3,040億円、宿泊予約サイトを経由している1,690億円を計上しているほか、航空・鉄道会社 等と旅行代理店間の取引として、3兆240億円を計上している。

なお、狭義のEC市場規模で計上していたBTMを含む旅行代理店からのEC販売、及 び大手旅行代理店と提携代理店間でのEC市場規模については、航空や鉄道の予約・発券 や宿泊施設の予約など、航空・鉄道会社等と旅行代理店間の取引で計上しているものと基本 的には同じ商材を扱っているため、重複計上を避けるために広義の EC 市場規模には含め ていない。

表 2.3.13-2 2003年「運輸・旅行サービス」品目別BtoB EC市場規模

(単位:億円)

詳細 合計

運輸/旅行サービス

(陸運、海運、航空宅配、倉庫、旅行手配、

観光等)

10,650 10,650 4.1%

2004年市場規模 2004年

品目 EC化率

2.3.13.4 運輸・旅行サービス〜今後の動向

物流分野については、荷主企業におけるシステム更改等を契機として、従来型EDIからイ ンターネット技術ベースへの移行が進むと思われるが、急速に拡大する動きは今のところ見ら れない。よって、狭義のEC市場規模についても、徐々に拡大していくものと思われる。また、

物流EDIのXMLベースへの移行についても、現在は急速に導入が拡大する動きは見られ ていない。

旅行分野については、出張手配を EC により行うことが一般化してきていることや、旅行代 理店や航空各社がBTMの拡販に注力しており、導入先が民間企業から独立行政法人等へ 拡がる動きもあることから、今後もEC市場規模は堅調に推移するものと思われる。

旅行分野における標準規約である TravelXML については、大手旅行代理店や輸送機 関等のシステム刷新等を契機として導入が拡がる可能性はあるものの、現在のところ、急速に 拡大する動きは見られない。TravelXML が普及することで、旅行業界全体の業務効率性が 高まる可能性はあるものの、特に業界構造の中心に位置する大手旅行代理店等では、そも そも自社のEDIのメッセージ規約の中で他社と異なる詳細な情報(例えば宿泊施設における 部屋の広さ、向き等)を扱っていることに差別化を見出している場合もあり、標準化することに 抵抗を感じているケースも見受けられる。

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