3.3 セグメントごとの BtoC EC の実態と市場規模
3.3.3 旅行
3.3.3.1 旅行〜 BtoC の概要
「旅行」セグメントは、EC を展開している事業者毎に、直売系事業者、旅行代理店及び仲 介専業事業者(宿泊予約)の 3 つで構成されており、さらに直売系事業者では、航空各社の 航空機搭乗予約、鉄道、バス、タクシー、フェリーの乗車券予約、ホテル各社の宿泊予約にて 構成される。市場規模金額は、当セグメントにおける予約額ないしは、販売額を算入してい る。
なお、本調査のBtoCの定義は、「家計からの支出」が原則である。したがって、「個人が出 張等で利用したケースは当該市場に算入しない」と言う考え方に基づき、市場規模数値を算 出している。そこで、航空チケットのネット予約やホテル直売によるネット予約及び仲介専業事 業者の取扱額等に関しては、インタビュー、アンケート、公知情報の結果を勘案し、出張等に よるビジネスユースの割合を割り引いてBtoC EC金額を算出している。
2003年の市場規模4,740億円、EC化率3.41%に対し、2004年における旅行関連の市 場規模は6,610億円、EC化率は4.66%と推計される。
なお、当セグメントにおいては、1998 年の第一回の調査時点の EC 市場規模(80 億円)
に比べると、この6年で約80倍程度伸張したこととなる。この理由として、「楽天トラベル」、「じ ゃらん」等に代表される、予約のみをネットで行い、精算は現地にて実施する「宿泊予約サイ ト」型のビジネスモデルが消費者の間で定着したことに加え、航空会社や一部のバス会社が 取り組んでいる、携帯電話を利用した「チケットレス搭乗サービス」が消費者の利便性向上の 観点から支持を集めつつあること等による市場伸張要素が大きい。
モバイルコマースの市場規模は、2003年の550億円に対し、2004年は、630億円と推計 される。これは、モバイルコマースの市場規模を初めて推計した 2000 年の調査時点(50 億 円)と比べると、13倍程度の伸びとなっている。
市場規模伸長の背景として、旅行チケットは渡航日時や便名等、少ない情報量、少ない操 作で購買判断、予約可能と言う商品特性を持っており、こうした認識が広く浸透した結果であ ると言える。
3.3.3.2 旅行〜市場規模
「旅行」セグメントを構成する要素としては、ECを展開している事業者毎に、直売系事業者、
旅行代理店、仲介専業事業者(宿泊予約サイト)の3 つに大別され、それぞれ3,285 億円、
2,470 億円、850 億円を市場規模に算入している。また、当セグメントに関しては、およそ
9,000 社弱が EC に取り組んでいると想定され、その市場規模の内訳は以下のように推計し
ている。
直売系事業者に関しては、航空各社、鉄道各社、バス、タクシー、フェリー各社の実施する 搭乗、座席、乗車、乗船予約のほか、宿泊施設が自ら実施する宿泊予約に細分化される。
主要国内航空会社 8 社(航空券のインターネット販売専業含む)の航空機搭乗予約額に 関しては、600〜800億円程度の売上が捕捉された上位 2社が当セグメントの大半を占めて おり、それ以外の 6 社は数千万〜数十億円程度の金額と推計され、これら主要国内航空各 社のネット予約の総額で1,390億円を市場規模数値に算入している。
鉄道座席予約額に関しては、200社前後の鉄道事業者が存在するが、うちおよそ50社程 度がECに取り組んでいると推計される。その内訳をみると、JR及び大手私鉄15社程度が 当セグメントの大半を占めており、その他の35社程度の中小鉄道会社に関しては、ECの取 り組みは捕捉されたが、金額は数百万〜数千万程度にとどまっているものとみられ、これら取 り組みを合計して、鉄道座席予約額全体で110億円を市場規模に算入している。
バス・タクシーの乗車券予約額に関しては、それぞれの計で12,000 社前後の事業者が存 在するが、うちおよそ2,000社弱がECに取り組んでいると推計している。
バスのEC市場については1億円以上の売上がある大手バス会社10社強を筆頭に110 億円を市場規模に算入している。
一方、タクシーのEC市場については1,000万円以上の売上がある大手タクシー会社10 社弱を筆頭に5億円を市場規模に算入している。
フェリーの乗船券予約額に関しては、900 社程度の事業者が存在するが、そのうち約170 社がECに取り組んでいると推計している。その内訳をみると、1億円以上の売上を達成して いる 4 社のほか、それ以外の企業に関しては、公知情報、アンケート、電話インタビュー等に
より得られた個社の宿泊予約額から推計し、30億円を市場規模に算入している。
宿泊施設の宿泊予約額に関しては、およそ5,500社前後がECに取り組んでいると想定さ れる。うち、従業員規模からみた大手、準大手宿泊施設600社弱に関しては、10億円超の売 上が捕捉された大手宿泊施設 20 社強に加え、数千万〜数億円の売り上げが捕捉/推計さ れた準大手宿泊施設約 65 社より全体推計した結果、大手、準大手宿泊施設の EC 金額は 660億円と推計している。
また、従業員299人以下の中小宿泊施設約5,000社に関しては、各都道府県の観光組合 のホームページ等を参考に、1,500社程度の宿泊施設のホームページ開設状況、及びネット 予約の受付の有無を確認したほか、公知情報、事業者への対面及び電話インタビュー、アン ケート、情報処理実態調査により得られた40社弱の宿泊予約額から推計すると、年平均EC 売上高は2,000万円程度であり、EC金額は約980億円と推計される。
その結果、大手、準大手、中小宿泊施設におけるEC金額の合計として、1,640億円を市 場規模に算入している。
以上、直売系事業者によるEC販売額については、3,285億円を当セグメントにおけるEC 市場規模として算入している。
旅行代理店については、およそ 1,100社程度が EC に取り組んでいると想定されるが、う ち、売り上げ規模から分類すると、大手旅行代理店は50社程度存在するとみる。
本調査においては、大手旅行代理店のうち、100億円超の売上を達成している上位5社、
10億円超の売上を達成している30社強、数億円程度の売り上げを達成している15社弱を 捕捉/推計しており、大手旅行代理店のEC額を全体推計した結果として、2,120億円をEC 額として算入している。
また、1,000社程度存在すると思われる中小旅行代理店に関しては、公知情報、事業者へ の対面及び電話インタビュー、アンケート、情報処理実態調査により得られた売上状況から全 体推計すると、1社あたりの年平均EC売上高は4,000万円弱程度、EC額350億円と推計 される。
以上、大手及び中小旅行代理店のEC額を合算した旅行代理店のEC販売額2,470億 円を市場規模に算入している。
(単位:億円)
1998年調査 1999年調査 2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
旅行 全体市場規模 80億円 230億円 610億円 1,190億円 2,650億円 4,740億円 6,610億円※1
( − ) ( − ) (50億円) (120億円) (400億円) (550億円) (630億円)
約33〜63億円 約125億円 220億円程度 530億円前後 1,150億円※2 2,139億円 3,285億円 約30〜60億円 約120億円 200億円前後 450億円前後 970億円 1,390億円 90億円 110億円 8億円 110億円
4億円 5億円
7億円 30億円
3億円 5億円前後15〜20億円程度 50億円弱 1,060億円 1,640億円
約60億円 約320億円 550億円弱 2,040億円 2,470億円
40億円前後 70億円程度 120億円前後 560億円 850億円
0.06% 0.15% 0.40% 0.86% 1.90% 3.41% 4.66%
※1 四捨五入の関係上、合計しても6,610億円にはならない 直売系事業者の合計金額は未算出
旅行代理店
-
-※2 2002年調査に関しては、宿泊施設による直売が旅行代理店及び仲介専業事業者(宿泊予約)に含まれていたため、
1,500億円 10〜20億円
1,150億円
(航空・鉄道 - 30億円前後 等)
EC化率 タクシー フェリー ホテル直売 品 目
直売系 航空 鉄道 バス
仲介専業事業者(宿泊予約)
宿泊予約サイトを運営している仲介専業事業者については、20 社弱を捕捉し、うち、100 億円超の企業2社を筆頭に、10億円超の売上を達成している5社、数億円程度の売上を上 げている10社程度を合計して850億円を市場規模に算入している。
以上、直売系事業者、旅行代理店、仲介専業事業者の取り組みを合計し、当セグメントの EC市場規模は、6,610億円、うちモバイルコマース市場規模は630億円と推計される。
表 3.3.3-1 「旅行」BtoC EC市場規模
0.40%
0.86%
1.90%
3.41%
4.66%
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
3.5%
4.0%
4.5%
5.0%
2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
2,250
4,190
5,980
560 1,070
400
(15.1%)
550
(11.6%)
630
(9.5%)
50
(8.2%)
120
(10.1%)
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000
2000年調査 2001年調査 2002年調査 2003年調査 2004年調査
(億円)
固定系EC モバイルコマース
610億円
1,190億円
2,650億円
4,740億円
6,610億円
図 3.3.3-1 「旅行」BtoC EC市場規模の推移
図 3.3.3-2 「旅行」BtoC EC化率の推移
3.3.3.3 旅行〜市場特性及び 2004 年の動向
「旅行」セグメントは、物販を伴わない、権利確定情報(宿泊予約、座席予約等)をネット上 でやりとりする形態が主流であり、早くからECと親和性の高い分野であった。
加えて、「楽天トラベル」や「じゃらん」等、宿泊予約サイトを運営している仲介専業事業者 が、インターネット経由で予約を受け付け、精算を現地で行うと言う、決済をネット上で行わな いビジネスモデルが手軽さの面からも消費者からの支持を得た結果、市場も順調に伸張して きた。