2.3 セグメントごとの BtoB EC の実態と市場規模
2.3.11 金融サービス
図 2.3.11-1 「金融サービス」
狭義 BtoB EC 市場規模・経年推移
図 2.3.11-2 「金融サービス」
狭義 BtoB EC 化率・経年推移
2.3.11.2 金融サービス〜EC 実態
(1) 金融サービス
金融サービスでは、銀行においては利用者からの要求に応じた為替や決済、証券会社に おいては証券売買などの役務を提供し、代価として手数料を徴収している。ここで提供される 役務とは、法人が自ら所有する銀行口座からの振込・振替を行う場合の役務や、法人が各種 証券の売買を行う場合、そして各銀行間での役務取引の決済や証券会社間や証券会社と証 券取引関連機関との間の決済に関する役務、クレジットカードの利用に際し、加盟店と信販 会社間で行われる与信情報処理・売上情報処理に関する役務提供を含んでいる。
金融業界の業界構造での主なEC取組としては、銀行もしくはそれに順ずる金融機関が役 務提供業務においてECを用いるもの、証券会社が商品売買の受付や証券売買注文といっ た業務をECで行うもの、信販会社が電子的に受付けた与信情報請求や売上情報請求に対 して電子的に役務を提供するものの大きく分けて3つがあげられる。
(億円)
0 0 0 10 40 0
4,870
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
0.00% 0 0.00% 0.0% 0.01% 0.0%
1.5%
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
図 2.3.11-3 「金融」(銀行)業界構造の概略と主な EC 取組
まず銀行の役務業務におけるEC取組としては、図2.3.11-3に示す業界構造の概略のう ち、(a)企業の端末と銀行のコンピュータを通信回線で接続し、給与振込や各種支払いに利 用されて来たファームバンキングや、これに置き換わる手段として急速に発展している法人向 けインターネットバンキングサービスにより、振込や振替の依頼を電子的に行う場合がある。こ れらは、大企業から比較的小規模な企業を対象にした、広く見受けられるサービスである。特 に2004 年においては、各行で法人向けインターネットバンキングサービスに力を入れる動き が見られた。
さらに、(b)ATM利用時の引落しや振込や、(c)銀行間の振込・振替の決済なども電子的に 処理されており、これらの役務取引手数料をEC対象として捉えている。
図 2.3.11-4 「金融」(証券)業界構造の概略と主なEC取組
銀行A
(a)
全銀センター
日本銀行 東京銀行協会口座
需要家
(法人顧客)
需要家
(個人顧客)
銀行B
(b)統合ATMスイッチングサービス等
(c)全銀システムや日銀ネット(当座預金系)等
(a)ファームバンキングや 法人向けインターネットバンキング
(b)
(c)
証券会社
需要家
(機関投資家)
東京証券取引所 大阪証券取引所 JASDAQ市場 金融先物取引所
など
(b)
需要家
(個人投資家)
(a)
(a)ディーリング・トレーディングシステム
(b)各証券取引所・
決済機関との 接続システム
同じく金融サービスのEC取引の仕組みとして、図2.3.11-4に示す業界構造の概略のうち、
(a)法人顧客からインターネット経由で売買注文を受付ける場合や、(b)受付けた注文を電子 的に処理する際に発生する各種の手数料をEC取引金額として捕捉している。
図 2.3.11-5 「金融」(信販会社)業界構造の概略と主なEC取組
さらに、金融サービスのEC取引の仕組みの一つに、図2.3.11-5に示す業界構造の概略 のうち、(a)信販会社と各加盟店の間の取引がある。これは、インターネット技術ベースの EDI などにより、信販会社からクレジットカード利用時における与信情報請求と売上情報請求に対 する役務が電子的に提供されており、発生する手数料の徴収も同時に実施されている。
加盟店
(利用店舗)
需要家
(クレジットカード 利用者)
信販会社
(a)
(a)与信情報請求・
売上情報請求システム
2.3.11.3 金融サービス〜市場規模
(1) 金融サービス
2004年の金融サービスの狭義EC市場規模は、全体で4,870億円、EC化率は1.5%と なっている。金融サービスは本年より捕捉対象範囲を広げており、昨年との単純比較は出来 ない為に年間増加率は割愛する。また、金融サービス分野においては、ファームバンキング の大部分に加え、クレジットカードの処理の一部が従来型 EDI で行われており、広義の EC 市場規模は9,860億円、EC化率3.0%となっている。
銀行における狭義EC取扱金額は、法人向けインターネットバンキングの口座維持費や手 数料、他行のATMを使用する際に発生する銀行間のATM受入/支払手数料などを含め て4,140億円に達する。広義EC市場を見た場合には6,510億円となる。これらの数値は、
銀行3行の役務取扱実績や103行分の個社推計を合わせたものである。
また、証券における狭義 EC 取引金額として、証券会社から法人に対するネット販売の手 数料、各証券取引所で電子化されている取引の売買手数料、電子証券の保管・清算に関る 手数料で510億円を計上している。広義EC市場規模も同様に510億円である。これらは、
アンケートにより収集した3社の実績値のほか、公知情報等を基にした13社分の推計値を合 わせたものである。
クレジットカード利用時における狭義EC取扱金額としては、カードの認証と同時に行われ る決済の手数料として220億円を計上している。一方、広義EC取扱額を見た場合は、2,840 億円と拡大することから、信販会社における EC については、インターネット技術ベース以外 の利用がまだ多い状況である。これらのEC市場規模金額は、アンケートにより収集した3社 の実績値のほか、公知情報等を基にした8社分の推計値を合わせたものである。
表 2.3.11-2 2004年「金融」品目別BtoB EC市場規模
(単位:億円)
詳細 合計 EC化率 合計 EC化率
金融サービス
(銀行、証券、決済サービス等) 4,870 4,870 1.5% 9,860 3.0%
狭義EC市場規模
品目 広義EC市場規模
2.3.11.4 金融サービス〜今後の動向
金融サービスにおけるEC取組であるが、銀行業務では、現在専用端末で提供されている ファームバンキングが、今後はインターネットバンキングに移行すると思われる。また、為替業
務のみならず、貸付業務においても、シンジケートローン(複数の金融機関による協調融資)
やコマーシャル・ペーパー(無担保の短期社債)などを電子化する動きも出てきており、今後 は多岐に渡ってECが活用されることが予想される。
証券業務に関するEC取組については、各証券取引所ではECに向けたインフラが整い つつあり、今後は 2009 年に予定される証券の電子化に向け、EC に対する取組み、利用が 拡大していくことが予想される。