2.3 セグメントごとの BtoB EC の実態と市場規模
2.3.10 電力・ガス・水道関連サービス
2.3.10.1 電力・ガス・水道関連サービス〜 BtoB の概要
電力・ガス・水道関連サービスの2004年の狭義のBtoB EC市場規模は20億円、EC化 率は0.01%であった。また、EC取組はすべてインターネット技術ベースで行われているため、
従来型EDI等を含めた広義のECにおいても同額の20億円、EC化率0.01%となった。
このEC市場規模は、電力事業者間の電力の経済融通取引においてECを活用するもの が該当している。なお、電力・ガス事業者においては、設備資材の調達における EC 取組を 進めているが、他のセグメントに属する品目を取り扱うEC取組であるため、それらは本セグメ ントのEC市場規模としては組み入れてはいない。
今後の動向としては、電力において、電力小売自由化の対象が2005年4月より拡大され ること、それに併せて「卸電力取引所」が開設されたことより、新規参入事業者を含めてECに よる取引が定着するかが注目される。
表 2.3.10-1 「電力・ガス・水道関連サービス」BtoB EC市場規模
(単位:億円)
品目
EC化率 EC化率
電力・ガス・水道関連サービス 20 0.01% 20 0.01%
狭義EC市場規模 広義EC市場規模
図 2.3.10-1 「電力・ガス・水道関連サービス」
狭義BtoB EC市場規模・経年推移
図 2.3.10-2 「電力・ガス・水道関連サービス」
狭義BtoB EC化率・経年推移
(億円)
20
0 0 0 0 0
0 5 10 15 20 25
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
0.01%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.00%
0.01%
0.02%
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
2.3.10.2 電力・ガス・水道関連サービス〜 EC の実態
電力・ガス・水道関連サービスでは、電力事業者やガス事業者が、設備を建設するための 資材や工事の発注と原料の調達を行い、その設備において発電、精製等を行ったものを需 要家へ供給している。また、発電した電力や精製したガスについて、二次的な事業者へ卸し たうえで需要家に供給する経路もある。これは、電力事業者間の電力の融通取引、規制緩和 に伴い実現した発電設備のある民間企業と電力事業者間の電力取引、ガス事業者における ガスの系列取引等があてはまる。
図 2.3.10-3 「電力・ガスサービス」業界構造の概略と主なEC取組
電力・ガス・水道関連サービスの業界構造のうち主なEC 取組としては、図2.3.10-3 に示 す業界構造の概略のうち、(a)電力事業者間の電力の経済融通取引において、「経済融通 斡旋システム」と呼ばれるシステムにより取引を実施するものがある。
なお、2004年において、ガスそのもの、水道関連サービスそのものを電子的に受発注する 取組は確認されなかった。これは、1998 年からの調査実施以降、一度も確認されていないも のである。
電力事業者では、無駄な発電を行わないために電力事業者間で電力の取引を行っている。
基本的には電力会社間の相対による計画的な取引となっているが、スポットで調達を行う場 合もあり、その際に「経済融通斡旋システム」を活用する取組(図2.3.10-3 (a))がある。
この電力取引の場は2005年4月に、「卸電力取引所」へ移管された。これは、規制緩和に 伴い、多くの民間事業者が電力の卸売事業に参画しており、先渡し取引等の取引形態の多 様化に対応したものである。「卸電力取引所」では、オープン・インターネットを介し、現物の 電力のスポット取引並びに先渡し取引の仲介を行うシステムを提供している。
電力事業者
ガス事業者 需要家
(一般企業等)
燃料等 資材等
工事等
(a)経済融通
図 2.3.10-4 「電力・ガスサービス」業界構造の概略と資材調達に関わるEC取組
なお、電力・ガス事業者が資材や工事を発注する際に、事業者が個別に整備している EDI や e-マーケットプレイスを利用する取組が見られる(図 2.3.10-4 (a))。電力・ガス事業
者がEDIや e-マーケットプレイスを経由して物品や建設サービス、専門サービスを発注する
金額については、鉄・非鉄・原材料セグメント、産業関連機器・精密機器セグメント、建設サー ビスセグメント、その他サービスセグメントに該当する金額を繰入れている。
電力・ガス事業者が資材や工事を発注する際に、事業者が個別に整備しているEDIや e-マーケットプレイスを利用しており、主に電線やメーター等の物品、建設サービスおよび専門 サービスの発注にECを活用して行われている。事業者によりECの活用割合は異なっており、
例えば電線のみをECで調達している事業者と、物品と請負契約の全発注額の 8 割程度を EC により調達している事業者が見られた。なお、燃料についてはスポット調達を行うための ECが構築されているものの、その調達実績は確認されなかった。これは、昨今の燃料高を背 景に、交渉を重ね長期の調達契約を相対で締結する方向にあることが要因としてあげられ る。
ある大手事業者では業務改革の取組として、資材の調達を行う部門を集約し、EC を活用 することで、調達業務の効率化や調達価格の平準化において大きな効果が出ている。また、
建築CALSシステムを活用し、過去の類似工事の事例を検索可能とするなど、ITを活用した 業務の効率化に積極的に取組んでいる。
別の大手事業者でも、業務改革に合わせて EC の仕組みを整備し、個別の案件における 物品や請負契約の発注をはじめ、年間の基本契約に関する価格折衝等も実施している。こ の事業者においては、受発注のみならず、過去の実績を元に、工事部材の需要や欠品予測
電力事業者
ガス事業者 需要家
(一般企業等)
燃料等 資材等
工事等
(a)電力・ガス事業者側個別EDI、
e-マーケットプレイス
を行いサプライヤに開示していることが特徴である。需要予測を開示することで、サプライヤに おける調達計画、工場や人員の稼働計画の立案に貢献し、億単位のコスト低減を実現してい る。
上述の双方の事業者においては、オープン・インターネットを活用することにより、EC によ る取引先の普及と拡大を実現させている。
2.3.10.3 電力・ガス・水道関連サービス〜市場規模
電力・ガス・水道関連サービスの狭義EC市場規模は全体で20億円、EC化率は0.01%
となっている。本セグメントにおいて2003年はECが確認されていなかったものの、2004年 調査において電力の経済融通がECで実施されていることを捕捉した。また、EC取組はすべ てインターネット技術ベースで行われているため、従来型EDI等を含めた広義のECにおい ても同額の20億円、EC化率0.01%となった。
当セグメントでは、業界の代表的企業を含む50社の情報を元に個社の実績積上げ、およ び個社の実態を推計し市場規模を算出している。
表 2.3.10-2 2004年「電力・ガス・水道関連サービス」品目別BtoB EC市場規模
電力事業者間の電力の経済融通にECを活用するものとして20億円を計上した。これは、
電力事業者、中央電力協議会および電機事業連絡会へのインタビューを元に推計したもの である。
なお、電力・ガス事業者が、資材や工事を発注する際に EC を活用するものとして、鉄・非 鉄・原材料セグメントに3,020 億円、産業関連機器・精密機器セグメントに4,240億円、建設 サービスセグメントに6,325億円、専門サービスセグメントに3,310億円を確認した。これらは 各セグメントにおいて重複を控除した上で算入している。これは、電力・ガス事業者 8 社への インタビューに基づき、14社分を個社推計したものである。
2.3.10.4 電力・ガス・水道関連サービス〜今後の動向
電力事業者においては、電力小売自由化の対象が2005年4月より拡大されること、それ
(単位:億円)
詳細 合計 EC化率 合計 EC化率
電力/ガス/水道関連サービス 20 20 0.01% 20 0.01%
広義EC市場規模
品目 狭義EC市場規模
に併せて「卸電力取引所」が開設されたことより、新規参入事業者を含めてECによる取引が 定着するかが注目される。
また、電力・ガス事業者により、資材や工事を発注する際の EC 活用については、取組度 合いが事業者毎に異なっている。事業者毎に調達戦略は大きく異なることから、一律に EC 取組が進むとは考えにくいものの、既に EC調達に取組んでいる事業者については、EC 取 引が可能な取引先を一定の割合まで増やす過程にあり、EC化率が高まるものと想定される。