第 6 章 水平変位低減を目的とした敷金網工法の設計手法の提案
6.3 水平変位低減対策を目的とした敷金網工のチャートの検討
6.3.2 解析結果
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なり,その値は 1.2cmと小さい。地盤の不均一性や設計精度,設計安全率などを踏ま えると,実務上は線径の効果は無視できる程度である。
なお,敷金網を敷設すると僅かではあるが盛土中央の沈下量も減少し,線径が大き くなるほどその効果は大きい。
図- 6.3.9に道路土工のチャートと同様に,盛土法尻からの距離𝑥𝑥と軟弱地盤層厚𝐻𝐻
の比𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ を横軸に,盛土法尻および側方地盤の水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥と盛土中央の沈下量𝑆𝑆 の
比𝐶𝐶2 =𝛿𝛿𝑥𝑥⁄𝑆𝑆を縦軸にプロットし,合わせて道路土工に示される曲線を重ねて示した。
𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ が 0.5 以上では,道路土工の曲線と敷金網を敷設した場合の解析結果はほぼ変ら
ず,敷金網の効果はほとんど認められない。しかし,それ以下では敷金網による水平変位 の低減効果が顕著に認められる。また,𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ が小さいほど線径の違いが現れており,線径 が大きいほど係数𝐶𝐶2は小さくなる。ただし,𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ が小さい盛土法尻付近においても,線径 の違いによる𝐶𝐶2の差は0.01程度である。𝐶𝐶2が 0.01違うと,水平変位量は𝛿𝛿𝑥𝑥 =𝐶𝐶2∙ 𝑆𝑆より,
盛土中央の沈下量𝑆𝑆の 0.01 倍違いが現れる。すなわち,線径の違いによる盛土法尻およ び側方地盤の水平変位量の差は,盛土中央の沈下量の 1%程度である。地盤の不均一性,
沈下量の算出精度,設計安全率などを考慮すると,線径の違いによる水平変位量の低減 効果は実務上,無視できるものと評価する。
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
0 0.5 1 1.5 2
係数C2
盛土のり尻からの距離𝑥𝑥と軟弱地盤層厚Hの比𝑥𝑥/ H ϕ2.0mm ϕ2.6mm ϕ3.2mm ϕ4.0mm 道路土工
図- 6.3.9 線径の違いによる𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ と𝐶𝐶2の関係
× φ2.0mm
〇 φ2.6mm
△ φ3.2mm
□ φ4.0mm
-142- (2) 盛土高および軟弱地盤層厚の違い
異なる最終沈下量が得られるように,盛土高や軟弱地盤層厚を変化させて検討を行 った。なお,前述のように敷金網の線径による水平変位の低減効果が少なかったため , 金網の線径は ϕ 2.6mmに統一して実施した。
検討条件は表- 6.3.5に示すとおりであり,解析による盛土中央の最終沈下量 S,側 方地盤の水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥も合わせて示した。また,図- 6.3.10には解析による盛土中央の 最終沈下量 S および盛土法尻,側方地盤の水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥を示した。
表- 6.3.5 盛土高や軟弱地盤層厚の違いによる盛土法尻および側方地盤の水平変位
検討ケース 沈下量
S (cm) 水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥(cm)
盛土高 (m)
軟弱地盤 層厚 H (m)
金網の 径(mm)
盛土 中央
盛土のり尻からの距離(m)
0(法尻) 1 2 3 5 10 15 20
2.5 9.8 なし 128.5 18.8 17.5 17.1 16.7 15.5 10.9 6.7 4.0 2.5 9.8 𝜙𝜙2.6 112.0 0.9 6.4 8.2 9.4 10.3 8.4 5.3 3.2 1.5 9.8 𝜙𝜙2.6 46.3 0.5 1.7 2.4 3.0 3.8 3.5 2.3 1.4 2.5 4.7 𝜙𝜙2.6 51.7 1.0 3.1 3.5 3.6 3.2 1.4 0.6 0.3 2.5 15.5 𝜙𝜙2.6 144.9 0.8 7.1 8.7 10.2 12.2 12.0 9.3 6.8 2.5 21.7 𝜙𝜙2.6 152.4 1.0 5.5 6.8 9.0 11.9 12.9 10.9 8.7
図- 6.3.10 および表- 6.3.5 より,軟弱地盤層厚が同じ場合,盛土高が低いほど最終
沈下量 S は小さくなり,側方地盤の水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥も小さくなる。ただし,側方地盤の 水平変位が最大となる盛土法尻からの距離は変わらない。軟弱地盤層厚が同一である ためと推察される。そのため,盛土高一定条件で軟弱地盤層厚が厚くなると,側方地 盤の水平変位の最大を示す法尻からの距離も遠くなる。このとき,当然ながら軟弱地 盤層厚が増大すると最終沈下量,側方地盤の水平変位量も増大する。
0 2 4 6 8 10 12 14
0 10 20 30 40 50 60
水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥(cm)
盛土のり尻からの距離𝑥𝑥(m)
盛土高2.5m,H=9.8m(基本ケース) 盛土高1.5m,H=9.8m
盛土高2.5m,H=4.7m 盛土高2.5m,H=15.5m 盛土高2.5m,H=21.7m 金網の線径ϕ2.6mm
図- 6.3.10 盛土高や軟弱地盤層厚の違いによる盛土法尻および側方地盤の水平変位
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図- 6.3.11に道路土工のチャートと同様に,盛土法尻からの距離𝑥𝑥と軟弱地盤層厚𝐻𝐻
の比𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ を横軸に,盛土法尻および側方地盤の水平変位量𝛿𝛿𝑥𝑥と盛土中央の沈下量𝑆𝑆 の
比𝐶𝐶2=𝛿𝛿𝑥𝑥⁄𝑆𝑆を縦軸にプロットし,合わせて道路土工に示される曲線を重ねて示した。ま た,敷金網を敷設しない場合,すなわち無対策時の解析結果も合わせて示した。
図- 6.3.11では,図- 6.3.10 で示したように盛土高や軟弱地盤層厚の違いによってば
らばらに見えた側方地盤の水平変位𝛿𝛿𝑥𝑥と盛土法尻からの距離𝑥𝑥の関係も,盛土中央の最 終沈下量𝑆𝑆と軟弱地盤層厚𝐻𝐻を用いることにより,プロットがある傾向に収束する。
特に,盛土法尻に近い𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ が 0.1 付近では盛土高や軟弱地盤層厚に係らず𝐶𝐶2は 0.04~ 0.05程度の値となる。なお,盛土高の低い 1.5mのケースでは𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ =0.2~0.3の範囲で他 のケースよりも𝐶𝐶2が小さい。盛土中央の沈下量が小さいことに影響しているものと推察 される。一方,軟弱地盤層厚 H=4.7m のケースについてみると,𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ =0.2~1.0 程度の 範囲で他のケースよりも𝐶𝐶2が小さくなる。軟弱地盤層厚が薄い場合においても盛土高が 低い場合と同様,最終沈下量が小さいため側方地盤の水平変位量も少ないことが影響し ているものと推察される。
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
0 0.5 1 1.5 2
係数C2
盛土のり尻からの距離𝑥𝑥と軟弱地盤層厚Hの比𝑥𝑥/ H 無対策(敷金網なし)
盛土高2.5m,H=9.8m(基本ケース) 盛土高1.5m,H=9.8m
盛土高2.5m,H=4.7m 盛土高2.5m,H=15.5m 盛土高2.5m,H=21.7m 道路土工
金網の線径ϕ2.6mm
図- 6.3.11 盛土高や軟弱地盤層厚の違いによる𝑥𝑥 𝐻𝐻⁄ と𝐶𝐶2の関係
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