第 5 章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察
5.5 推定メカニズムの検証
5.5.2 メカニズムの検証結果
-123-
-124- 盛土立上り時の最大主応力𝜎𝜎1と最小
主応力𝜎𝜎3の関係は,無対策時には概ね 𝜎𝜎3= 0.2∙ 𝜎𝜎1の関係がある。しかし,敷金 網 を 敷 設 し た 場 合 に は 最 大 で𝜎𝜎3= 0.5∙ 𝜎𝜎1程度まで増大する。
また,敷金網を敷設した場合の最小 主応力𝜎𝜎3𝑚𝑚と無対策時の最小主応力𝜎𝜎3𝑛𝑛 を直接的に比較すると,図- 5.5.8のよ うに𝜎𝜎3𝑚𝑚= 1.0~2.5∙ 𝜎𝜎3𝑛𝑛の関係にあり,
敷 金 網 を 敷 設 す る と 最 小 主 応 力 が 増 大していることが明らかである。
図- 5.5.9に示す要素の応力経路を図
- 5.5.10に示した。
無対策時には直応力𝜎𝜎𝑛𝑛の小さな盛土 初 期 段 階 か ら 破 壊 包 絡 線 上 を た ど る
応力経路になっている。しかし,敷金網敷設時には盛土完了時あるいは盛土完了直前 まではせん断応力の発生は小さく,破壊包絡線からは遠い位置にある。すなわち,盛 土完了直前まではせん断破壊も引張破壊も発生していないことが確認された。
0 10 20 30
0 10 20 30 40 50 60
𝜎𝜎3(kN/m2)
𝜎𝜎1(kN/m2) 無対策時
敷金網あり
図- 5.5.7 最大主応力𝜎𝜎1と最小主応力𝜎𝜎3の関係(盛土立上り時)
0 5 10 15 20 25
0 5 10 15 20 25
敷金網設敷設時の𝜎𝜎3m((kN/m2)
無対策(敷金網なし)時の𝜎𝜎3n(kN/m2)
図- 5.5.8 無対策時と敷金網を敷設した場合の
最小主応力の比較(盛土立上り時)
-125-
敷金網 (Beam)
要素① 要素② 要素③
図- 5.5.9 応力経路を示す要素位置図
0 10 20 30 40 50
0 10 20 30 40 50
τmax (kN/m2)
σn (kN/m2) 無対策時 敷金網敷設時
0 10 20 30 40 50
0 10 20 30 40 50
τmax (kN/m2)
σn (kN/m2) 無対策時 敷金網敷設時
0 10 20 30 40 50
0 10 20 30 40 50
τmax (kN/m2)
σn (kN/m2) 無対策時 敷金網敷設時
(b) 要素② (a) 要素①
(c) 要素③
最大せん断応力 𝜏𝜏𝑚𝑚𝑚𝑚𝑥𝑥 =𝜎𝜎1− 𝜎𝜎3 2 cos𝜙𝜙 直応力 𝜎𝜎𝑛𝑛=𝜎𝜎1+𝜎𝜎3
2 −𝜎𝜎1− 𝜎𝜎3 2 sin𝜙𝜙 破壊包絡線 𝜏𝜏=𝑐𝑐+𝜎𝜎tan𝜙𝜙
図- 5.5.10 無対策時と敷金網を敷設した場合の応力経路の違い
2.5
11.4
-126-
最後に,図- 5.5.11 に盛土法尻および側方地盤の水平変位量を示した。無対策時は 盛土法尻で 18cm 程度の水平変位が生じていたが,敷金網を敷設することにより,盛 土法尻で 6cm程度と 1/3 程度まで低減している。また,盛土法尻から5m離れた位置 で も 無 対 策 時 に は 16cm 程 度 の 水 平 変 位 が あ っ た が , 敷 金 網 を 敷 設 す る こ と に よ り 10cm 程度まで低減している。
このことから,敷金網を敷設することにより盛土法尻および側方地盤の水平変位が 低減されることも確認できた。
以上より,敷金網による盛土法尻および側方地盤の水平変位低減メカニズムとして 考えられた以下の点が検証された。そして,敷金網に挟まれた地盤内に敷金網を敷設 しない場合に比べて大きな最小主応力𝜎𝜎3が発生し,結果的にせん断破壊あるいは引張 破壊も生じないために,盛土本来の変形特性が維持され,敷金網を敷設しない場合に 比べて盛土法尻の水平変位が低減するというメカニズムが検証できた。
・ 敷金網に挟まれた敷金網に挟まれた地盤内の最小主応力𝜎𝜎3が敷金網を敷設しな い 場合に比べて 1.0~2.5 倍程度増加することが確認できた。
・ その結果として,盛土載荷中にはせん断破壊も引張破壊も生じないことが確認で きた。
・ 盛土法尻の水平変位が 18cmから 6cm低減することが確認できた。
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
0 10 20 30 40 50
水平変位量(cm)
盛土のり尻からの距離(m)
無対策時 敷金網敷設時
図- 5.5.11 盛土法尻および側方地盤の水平変位量
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