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敷金網に生じた引張力の評価

第 3 章 施工事例に基づく敷金網の引張特性の評価

3.3 動態観測結果と考察

3.3.2 敷金網に生じた引張力の評価

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-55- 2) 放置期間中の本体盛土中央部の引張力発現特性

放置期間中の盛土形状は,押え盛土まで施工した状態であり,図- 3.3.4の盛土模式 図の着色部である。本体盛土中央に比べて押え盛土部分の盛土高が 50cm 高い状況で ある。そのため,本体盛土施工直前の沈下形状は,押え盛土部の方が本体盛土中央部 よりも沈下量が多くなっている。

本体盛土中央部の G5 地点では,敷金網の上に盛土が載っていない状況であるにも 関わらず,最大 6kN/mの引張力が計測されている。これは,本体盛土中央の沈下量が 周囲に比べて少ないため,両側に敷金網が引っ張られるように張力が発生したためと 考えられる。一方,盛土法肩の G6 地点では引張力がほとんど生じていない。普通に 考えれば盛土法肩においても,盛土中央と同様に押え盛土部の沈下に引っ張られるよ うに引張力が発生すると推察される。原因としては,敷金網敷設時の網目の余裕(遊 び)が大きかったため,あるいは金網同士が密着するほどの変位が生じず,結果とし て引張力が計測されなかったためと解釈できる。同様の現象は林ら 4)によっても示さ れている。具体的には,安定対策として敷金網を用いた場合に,盛土初期段階では引 張力が計測されず,ある程度まで盛土が立上がった後から引張力が発生し,その後は 盛土高の増大に伴って引張力も増大する,という計測結果が得られている。林らはこ の現象を敷金網敷設時の「遊び」という表現で説明している。

3) 放置期間中の本体盛土法尻の引張力発現特性

本体盛土法尻の G7 地点では放置期間中に 4kN/m の引張力が計測されている。G7 地点では,敷金網の上に盛土が 50cm 載った状態であり,図- 3.3.4の沈下形状図から 明らかなように,沈下に伴い引張力が作用したものと推察される。このとき,押え盛 土中央の G8 地点についても沈下が生じていることから引張力が作用しているはずで あるが,観測結果ではほとんど引張力は計測されていない。この原因としても敷金網 敷設時の「遊び」が考えられる。

4) 本体盛土施工開始以降の引張力発現特性

図- 3.3.3(a)より,本体盛土中央部では本体盛土開始以降,それまで発生していた引

張力が減少し続け,本体盛土施工完了と同時期にほぼ引張力が作用していない状態が

図- 3.3.4 敷金網敷設後の沈下形状

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

-40 -20 0 20 40 60

敷金網敷設後の沈下量m)

盛土中心からの距離(m)

本体盛土施工直前 本体盛土施工中(H=5.0m) 本体盛土完了時(H=8.0m)

本体盛土完了後6ヶ月 本体盛土完了後2.7年 地表面変位杭

地表面沈下板

本体盛土 仮設盛土 押え盛土

張力測定位置(ひずみゲージ)

G5 G7 G8

20m 10

0

G6

敷金網

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現れている。これは放置期間中の現象とは逆で,本体盛土施工直前は,図- 3.3.5の模 式図に示すように,本体盛土中央部の敷金網は両側の押え盛土に引っ張られていたが,

本体盛土荷重によって徐々に本体盛土中央部の沈下量が増大したためと考えられる。

すなわち,押え盛土部の沈下量増分よりも本体盛土中央部の沈下量増分が大きくなる ことにより,押え盛土部との不同沈下が解消されたことが引張力の減少の大きな要因 と推察される。なお,図- 3.3.5から明らかなように,本体盛土完了後2.7 年時点では,

本体盛土中央部の方が押え盛土部よりも沈下量が大きくなり,押え盛土部との沈下量 差は放置期間中(本体盛土施工直前)の差よりも大きくなっている。このため, 本体 盛土施工完了後は引張力が再度大きく計測されてもおかしくないはずである。しかし,

図- 3.3.3 (a)では本体盛土完了後もほとんど引張力が計測されていない。これは,本体

盛土中央部の沈下に伴い,その周囲の敷金網が盛土中央部に引き込まれることによっ て敷金網の網目に余裕(遊び)が生じ,不同沈下に伴う引張力とうまくキャンセルし た結果と考えられる。次に,その他の地点についてみると,図- 3.3.3 (c)の本体盛土法 尻部では本体盛土施工開始と同時に 2kN/m 引張力が低下した後,再度 4kN/m程度引 張力が増大し,盛土完了後もほぼ同程度の引張力が作用し続けている。本体盛土施工 初期に引張力が減少しているのは,図- 3.3.3 (a)の本体盛土中央で引張力が減少する理 由と同じく,押え盛土部に比べて沈下増分が多くなり,放置期間中の引張力がキャン セルされたものと考えられる。そして,その後は,沈下に伴い,再度引張力が増大し ている。なお,図- 3.3.3の(b)図(本体盛土法肩),(d)図(本体盛土法尻)では放置期 間中と同様に引張力が計測されていない。

図- 3.3.5 本体盛土施工直前と施工中の沈下形状模式図

押え盛土 本体盛土(施工前)

本体盛土施工直前の沈下形状

押え盛土 本体盛土

本体盛土施工直前の沈下形状

本体盛土中央部に比べて、押え盛土部の方が沈下量が大

本体盛土施工中の沈下形状

本体盛土中央部の沈下量増分が押え盛土部よりも卓越 不同沈下の解消に伴い、盛土中央部の引張力も減少

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