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水平変位の抑制メカニズムの推定

第 5 章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察

5.4 水平変位の抑制メカニズムの推定

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-115- ただし,(𝐾𝐾0≦ 𝛼𝛼 ∙ 𝐾𝐾0 ≦ 𝐾𝐾𝑝𝑝

1≤ α ≤ 1 + sin𝜙𝜙

(1−sin𝜙𝜙)2 5.4.1(b) 𝜙𝜙は 盛 土 材 の せ ん 断 抵 抗 角 で あ る 。 式

5.4.1 は図- 5.4.2に示す松岡ら 6)の理論に 基づいている。松岡ら 6)は,モールクーロ ン の 破 壊 基 準 ( 主 応 力𝜎𝜎1𝑓𝑓と𝜎𝜎3𝑓𝑓に は𝜎𝜎1𝑓𝑓 = 𝐾𝐾𝑝𝑝∙ 𝜎𝜎3𝑓𝑓の 関 係 が 成 り 立 つ ) よ り 式5.4.2を 導いている。さらに,破壊状態に至るまで の 変 形 過 程 を 表 現 す る た め に , 受 働 土 圧 係 数𝐾𝐾𝑝𝑝に 代 え て𝛼𝛼𝐾𝐾0を 導 入 し 前 述 の 式

5.4.1(a)が導かれている。

𝜎𝜎1𝑓𝑓 =𝐾𝐾𝑝𝑝�𝜎𝜎3𝑓𝑓+2𝑇𝑇

𝑑𝑑� 5.4.2

しかし,5.2.1 盛土施工時の軟弱地盤の

変形と側方変位の発生メカニズムで示した ように,軟弱地盤上に盛土を構築した際に 盛土法尻が変形するのは,軟弱地盤自体の 変形に起因するものであり,軟弱地盤が変 形することによって盛土底面が外側に引張 られるためである。

このように考えると,図- 5.4.2の底面に は軟弱地盤が敷金網の底面を外側に引張る 力𝑇𝑇𝑜𝑜が作用す ることにな り, 敷金網 の張力 を𝑇𝑇𝑣𝑣として図を書き直すと,図- 5.4.3 のよ うに表現できる,

この関係から,破壊状態を考慮して式5.4.2を書き直すと,

𝜎𝜎1𝑓𝑓 =𝐾𝐾𝑝𝑝�𝜎𝜎3𝑓𝑓+2𝑇𝑇𝑣𝑣

𝑑𝑑 − 𝑇𝑇𝑜𝑜� 5.4.3

となる。

また,最大主応力𝜎𝜎1の増加ではなく,最小主応力𝜎𝜎3の増加として式5.4.3を変形する と,下式が導かれる。

𝜎𝜎3𝑓𝑓=𝜎𝜎1𝑓𝑓 𝐾𝐾𝑝𝑝 −2𝑇𝑇𝑣𝑣

𝑑𝑑 +𝑇𝑇𝑜𝑜 5.4.4 ここで,上 式の破壊状 態に至るま での変形過 程を表現す るために𝐾𝐾𝑝𝑝に 代えて𝛼𝛼𝐾𝐾0を 導入すると次式で表せる。𝛼𝛼は盛土の応力状態を表現するパラメータである。

図- 5.4.2敷金網に挟まれた地盤の応力状態

B d

敷金網の張力

図- 5.4.3 外力𝑇𝑇𝑜𝑜を考慮した敷金網に挟まれ

た地盤の応力状態 𝜎𝜎3f 𝜎𝜎03=2𝑇𝑇𝑣𝑣

𝑑𝑑 − 𝑇𝑇𝑜𝑜

-116- 𝜎𝜎3= 𝜎𝜎1

𝛼𝛼𝐾𝐾0−2𝑇𝑇𝑣𝑣

𝑑𝑑 +𝑇𝑇𝑜𝑜 5.4.5(a) ここに,𝐾𝐾0:静止土圧係数, 𝑇𝑇𝑣𝑣:敷金網の張力 (kN/m), 𝑇𝑇𝑜𝑜:軟弱地盤が盛土底面を 引張る力 (kN/m),d:敷金網の敷設間隔 (m)

ただし,

1≤ α ≤ 1 + sin𝜙𝜙

(1−sin𝜙𝜙)2 5.4.5(b) 𝛼𝛼の最小値では静止土圧状態,最大値では受働土圧状態を表現している(𝐾𝐾0≦ 𝛼𝛼 ∙ 𝐾𝐾0≦ 𝐾𝐾𝑝𝑝)。

なお,軟弱地盤が盛土底面を引張る力𝑇𝑇𝑜𝑜は,定量的に表すことは難しいが,最大で も軟弱地盤の最大せん断応力で決まるので,一般的に施工初期段階で𝑇𝑇𝑜𝑜=𝜏𝜏𝑚𝑚𝑚𝑚𝑥𝑥=𝑐𝑐0=

10kN/m2程度であり,圧密の進行とともに増大していく。

この式は,敷金網に挟まれた地盤が土のうのように変形を拘束されているため ,側 方に広がろうとしてもそれを拘束する𝜎𝜎3が発生する,という考え方ができる。さらに,

側方に変形しようとダイレーションを起こすが,周囲を拘束されているため,ダイレ ーションを生じさせないだけの𝜎𝜎3が発生するということでも説明できる。

ここで,吉田 5)は敷金網の拘束効果を最大主応力𝜎𝜎1の増分と考え,さらにそれを変 形係数の増分として整理した。そのため,その効果は敷金網を敷設した場合と敷設し ない場合で 2 割程度の変形係数の増大しか考慮できなかった。

しかし,最小主応力𝜎𝜎3の増大として考えると,図- 5.4.1 を参考に最大主応力を𝜎𝜎1

40kN/m2とし,以下の仮定条件で試算すると,静止土圧状態で𝜎𝜎3=30 kN/m2,破壊時,

受働土圧状態(𝐾𝐾𝑝𝑝=3と仮定)で,𝜎𝜎3=−17 kN/m2となる。

仮定条件)

・ 軟弱地盤が盛土底面を引張る力𝑇𝑇𝑜𝑜を 10 kN/m2

・ 盛土材のせん断抵抗角を𝜙𝜙 = 30°,

・ 敷 金 網 に 作 用 す る 引 張 力𝑇𝑇𝑣𝑣を第 3 章の 施 工 事 例 で 計 測 さ れ た 最 大 値 程 度 𝑇𝑇𝑣𝑣=10kN/m2

・ 敷金網の敷設間隔を 0.5m と仮定した。

図-5.4.1をみると,水平変位を固定した条件での𝜎𝜎3は 30kN/m2程度であることから,

静止土圧状態に近いことも合わせて式の妥当性が証明できる。

ただし,実際の敷金網の効果は破壊状態とこの静止土圧状態との間にあることから,

それを定量的に示すことは現時点では難しい。

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