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軟弱地盤対策としての敷金網工法の変形抑制効果に 関する研究

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

軟弱地盤対策としての敷金網工法の変形抑制効果に 関する研究

白井, 康夫

http://hdl.handle.net/2324/2236210

出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

軟弱地盤対策としての

敷金網工法の変形抑制効果に関する研究

平成 30 年 12 月

白 井 康 夫

(3)

目 次

第 1章 序 論 ... 1

1.1 本研究の目的と背景 ... 1

1.2 本論文の内容と構成 ... 5

参考文献 ... 8

第 2章 敷網工法に関する既往の研究 ... 9

2.1 はじめに ... 9

2.2 軟弱地盤対策工法としての敷金網工法の位置づけ... 10

2.2.1 設計実務で用いられている敷金網工法 ... 10

2.2.2 「設計要領」による敷網工法の設計 ... 12

2.2.3 「道路土工指針」による敷設材の補強工法の設計 ... 15

2.2.4 まとめ ... 17

2.3 ジオテキスタイルに関する研究 ... 19

2.3.1 ジオテキスタイルの引張補強効果について ... 19

2.3.2 ジオテキスタイルの拘束効果に関する研究 ... 22

2.3.3 まとめ ... 27

2.4 敷金網に関する研究 ... 29

2.4.1 ひし形金網について ... 29

2.4.2 敷金網の拘束効果 ... 31

2.4.3 まとめ ... 37

2.5 まとめと課題の整理 ... 38

参考文献 ... 41

第 3章 施工事例に基づく敷金網の引張特性の評価 ... 43

3.1 はじめに ... 43

3.2 対象地盤と設計・施工の概要 ... 44

3.2.1 対象地盤の特性 ... 44

3.2.2 設計施工概要 ... 45

(4)

3.2.3 敷金網の材料特性 ... 49

3.3 動態観測結果と考察 ... 51

3.3.1 沈下及び水平変位 ... 51

3.3.2 敷金網に生じた引張力の評価 ... 54

3.4 本章のまとめ ... 57

参考文献 ... 58

第 4章 室内土槽実験による敷金網の変形抑制効果 ... 59

4.1 はじめに ... 59

4.2 実験概要 ... 60

4.2.1 実験装置 ... 60

4.2.2 模擬地盤材料と土槽作成方法 ... 61

4.2.3 敷金網の模擬材料 ... 63

4.2.4 変位の測定方法 ... 64

4.2.5 実験方法・条件 ... 65

4.3 実験結果 ... 66

4.3.1 各ケースの変位 ... 66

4.3.2 水平変位抑制効果に関する考察 ... 70

4.4 本章の結論 ... 72

参考文献 ... 73

第 5章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察 ... 74

5.1 はじめに ... 74

5.2 側方地盤の変形要因の考察 ... 75

5.2.1 盛土施工時の軟弱地盤の変形と側方変位の発生メカニズム ... 75

5.2.2 敷金網による側方地盤の変形抑制要因の抽出 ... 77

5.3 二次元弾塑性 FEM 解析による抵抗要因の分析 ... 79

5.3.1 検証条件 ... 79

5.3.2 検証結果 ... 87

5.3.3 検証結果のまとめ ... 111

5.4 水平変位の抑制メカニズムの推定 ... 114

5.5 推定メカニズムの検証 ... 117

5.5.1 メカニズム検証条件 ... 117

5.5.2 メカニズムの検証結果 ... 123

(5)

5.6 本章の結論 ... 127

参考文献 ... 129

第 6章 水平変位低減を目的とした敷金網工法の設計手法の提案 ... 130

6.1 はじめに ... 130

6.2 設計手法の考え方 ... 131

6.3 水平変位低減対策を目的とした敷金網工のチャートの検討 ... 134

6.3.1 解析条件 ... 134

6.3.2 解析結果 ... 140

6.3.3 設計チャートの決定 ... 144

6.4 まとめ ... 145

参考文献 ... 148

第 7章 総 括 ... 149

謝 辞 ... 152

(6)

-1-

第 1 章 序 論

1.1 本研究の目的と背景

九州の有明海沿岸一帯には,有明粘土として有名な超軟弱な粘性土地盤が広く分布 する 1)。有明粘土のような軟弱な沖積粘土地盤上に盛土等の土構造物を構築すると , 盛土本体や基礎地盤の沈下とともに,盛土法尻や側方地盤の水平,鉛直方向への変形 が生じ,問題となる。特に,盛土の建設用地に田畑や他の構造物が隣接するような条 件下で施工を行う場合には周辺地盤が大きく変形し,家屋や水路等の構造物に亀裂が 生じる場合や,水田が沈下して水が張れなくなるなど,問題が生じる。以前は田畑等 に対する変形は許容されてきたが,近年では公共投資の減少とともにインフラ整備,

土木に対する批判的な見解が高まり,また,調達制度の改革,少子高齢化による労働 力不足,熟練技術者(民間),熟練管理者(行政)の離職により田畑への迅速な補修工 事が不可能となっていることが背景にある。このような場合,図- 1.1.1に示すように 盛土直下の軟弱地盤を深層混合処理工法により固化して沈下を低減し,さらに周辺地 盤に生じる水平変位を低減するため,基礎地盤表層を浅層改良により固化する,ある いは盛土底面にジオテキスタイルを敷設するといった敷網工法が採用されている。 浅 層改良による固化により,水平変位を数 mmにまで抑えられる場合もあるが,地盤材 料の不均一性に起因する施工品質の問題や,引張抵抗に対する弱さなどから,ひび割 れが発生して対策効果が得られないケースも生じている。さらに,費用はジオテキス タイルの数倍と経済性では不利となる。一方,ジオテキスタイルは表層混合処理工法 に比べると工場製品であることから品質が担保され,経済性にも優れる。しかし,盛 土と一体となって変形して抵抗するため,10cm 前後の水平変位が許容できる場合に 用いられている。盛土と対象構造物あるいは水田等との間に数 mの管理用道路がある など,盛土法尻から対象構造物まで,ある程度の離れがある場合にジオテキスタイル が優位となる。

軟弱粘土

盛土

浅層改良

改良杭

図- 1.1.1 一般的な軟弱地盤対策

(7)

-2-

表- 1.1.1 軟弱地盤対策工法の例2)

分類 主な工法 材料 目的

表層処理工法

表層排水工法 マット材,シート等 表層処理

敷設材工法 同 上 表層補強

表層改良工法 石灰,セメント等 浅層改良

置換工法 掘削置換工法

盛土自重置換工法 砂,礫等の良質材 地盤改良

押え盛土工法 押え盛土工法

緩斜面工法 盛土材と同じ 盛土構造改良

緩速載荷工法 漸増載荷工法

段階載荷工法 - 盛土速度制御

載荷重工法 盛土荷重載荷工法

真空圧密工法等 - 地盤改良

(圧密促進)

敷網工法

敷金網工法 ひし形金網 盛土補強

ジオシンセティックス工法

ジオテキスタイル

ジオメンブレン 盛土補強 ジオコンポジット バ ー チ カ ル ド

レーン工法

サンドドレーン工法 カードボードドレーン工法

砂 や プ ラ ス チ ッ ク カ ードボード等

地盤改良

(圧密促進)

コ ン パ ク シ ョ ンパイル工法

サンドコンパクションパイル工法 グラベルコンパクションパイル工法

砂 砕石等

地盤改良

(せん断抵抗増加)

深 層 混 合 処 理 工法

DJM工法

CDM工法等

セメント

セメントミルク等

地盤改良

(固 化 ,科 学 的 安 定 処 理) 軽量盛土工法 FCB工法

EPS工法等

気泡モルタル等

発泡スチロール等 上載荷重の低減

表- 1.1.1 に示すように,ジオテキスタイルを盛土底面に敷設する工法は敷網工法 2)

と呼ばれ,材料である高分子材料の引張抵抗によりすべり対策としての設計手法が確 立されている 3),4)。しかし,敷網工法にはすべり対策としてだけでなく,に示すよう に,ジオテキスタイルを盛土底面に盛土材を数十 cm の間隔で挟むように敷設するこ とで,引張抵抗だけでなく補強土工法 5

同 様 に 拘 束 効 果 に よ る 変 形 抑 制 効 果 6),7) があると考えられる。敷網工法の一種であ る 敷 金 網 工 法 が 採 用 さ れ た 新 北 九 州 空 港 の道路盛土工事では,盛土底面に 30cmの 間 隔 で 2 枚 の敷 金 網 を 敷設 し て 施 工さ れ ており,盛土側方地盤の水平変位が低減さ れたという報告がある 6)。敷金網の材料は

写真- 1.1.1に示すひし形金網(ラス金網:

軟弱粘土

盛土

敷金網

改良杭

図- 1.1.2 側方変形対策としての敷金網

工の概念図

(8)

-3- 日本工業規格 JIS G3552)と呼ばれるもの

で,写真- 1.1.2に示すφ2~5mmの鉄線

(素線)が図- 1.1.3のように 20~75mm の 網 目で 編 ま れ たも の で あ り, 網 目 は 盛 土 材 の粒 径 に 比 べて は る か に大 き く , ジ オ テ キ ス タ イ ル の 網 目 ( 多 く の 場 合 10mm 以下)に比べても大きい。このよ う な 材料 が 引 張 抵抗 だ け で 水平 変 位 の 抑 制 に 寄与 す る こ とは 考 え 難 く, 盛 土 材 と 一 体 とな っ て 変 形す る こ と によ り 盛 土 底 面 の 広が り , す なわ ち 盛 土 側方 地 盤 の 変 形抑制につながっていると考えられる。

し か し な が ら , こ の 工 法 は 施 工 実 績 や 変 位 抑制 効 果 に 関し て の 報 告は あ る も の

3),4),その補強メカニズム・設計手法に

関 し ては 十 分 な 検討 が な さ れて い な い の が現状で あ り,盛土 の 側方変位 量 の予測 や側方変 位 対策とし て の設計手 法 は存在 しない。 ま た,盛土 に よる軟弱 地 盤の側 方変形に 関 しては簡 易 的な予測 手 法が提 案されているものの,数 cm 程度の変形 を詳細に 検 討する手 法 としては 有 限要素 解析(FEM)が用いられているのが現状 である。

軟弱地盤上に盛土を施工する場合,図- 1.1.4 に 示 す よ う に 施 工 中 は せ ん 断 変 形 が卓越す る ため盛土 側 方に水平 変 位が生

じ,施工完了後は圧密沈下が卓越して側方地盤の水平変位は盛土側に引き込まれるよ うに発生する。有明粘土地盤上に盛土を構築する際には,沈下対策が必要不可欠であ る。そのため,有明粘土地盤で高盛土を行う場合,必ずと言って良いほど深層混合処

写真- 1.1.1 ひし形金網(ラス金網)

盛土

沈下

隆起

(

)

盛土時のせん断変形 盛土後の圧密変形 沈下

盛土 周辺地盤の沈下

図- 1.1.4 盛土によるせん変形と圧密変形

40mm

写真- 1.1.2 ひし形金網の素線

網 目 の 寸 法

網 目 の 寸 法 列 線

角度

長 さ

長 さ

図- 1.1.3 ひし形金網の寸法

(9)

-4-

理等の沈下対策が行われる。この場合,残留沈下量は僅かであり,盛土後の引込み沈 下,側方地盤の盛土側への水平変位はほとんど発生しない。したがって,施工中に発 生する盛土外側への水平変位だけを低減できればよいので,水平変位低減対策は施工 時の仮設として扱ってよい問題となる。しかし前述のように,敷金網による水平変位 抑制効果のメカニズムが明らかでなく,設計手法も確立されていないことから,この 工法が用いられることは少なく,高価で品質的にも不安の残る浅層改良工法が採用さ れることがほとんどである。敷金網工法は浅層改良工法に比べると 1/10 以下の安価 な工法であり,施工性もよく,熟練技術者の技量も必要とせず,また極めて短時間で の施工が可能となる。そのため,敷金網工法の水平変位抑制メカニズムを明らかにし , 設計手法を確立することは,工法自体の普及に加え,現在の財政難,少子高齢化によ る労働力不足といった社会情勢にも合致した望まれる技術の一つである。

このような背景のもと,本研究は敷金網による盛土のり尻周辺の側方地盤の水平変 位低減効果を地盤工学的に明らかにすること,さらに水平変位低減対策としての敷金 網を用いた軟弱地盤対策工法の設計手法を提案することを目的とした。

(10)

-5- 1.2 本論文の内容と構成

本論文は下図の 7章から構成されており,各章の内容を概説する。

敷金網の水平変位抑制効果の検証 第 1 章 序論

・研究の背景と目的および構成

第 2章 敷網工法に関する既往の研究

・ 軟弱地盤対策工法としての敷金網工法の位置付け

・ ジオテキスタイルの拘束効果

・ 短繊維混合土の拘束効果

・ 敷金網の引抜き試験による拘束効果

・ 土のうの理論

・ 敷金網を変形抑制対策として用いるための課題の抽出

第 3章 施工事例に基づく敷金網 の引張特性の評価

・ 試験盛土の概要

・ 動態観測結果のまとめ

・ 敷金網の張力の評価

第 4章 室内土槽実験による敷金網の 変形抑制効果

・ 土槽実験の概要

・ 変形抑制効果の検証

・ 敷設材の張力と変形抑制効果の検討

第 5章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察

・ 盛土法尻周辺地盤の水平変位発生メカニズムの考察

・ 側方変位の発生に抵抗する要因の抽出

・ 二次元弾塑性 FEM解析による抵抗要因の分析

・ 水平変位抑制メカニズムの推察

・ 変形抑制メカニズムの解析的検証

第 6章 水平変位低減を目的とした敷金網工法の設計手法の提案

・ 盛土中央の沈下量,盛土法尻の水平変位を指標とした敷金網 の敷設間隔を決定するための設計手法の提案

第 7 章 総括

・6 章までのまとめと今後の課題

図- 1.2.1 本論文の構成

(11)

-6- 第1章 序論

第 1章では,本研究の背景と目的および構成を示す。

第2章 敷網工法に関する既往の研究

第 2章では,敷網工法および補強土や土のうに作用する拘束効果に関する既往の研 究を整理することで,引張抵抗単独での考え方やジオテキスタイルの拘束効果の考え 方から,敷金網工法の変形抑制メカニズムを明らかにするための課題を明確にする。

また,ジオテキスタイルや敷金網のような連続体ではなくても,短繊維を混合した砂 でも補強効果が得られる研究結果を整理し,引張抵抗とは直接的には関係しない拘束 効果の存在を示す。さらに,敷金網の引き抜き試験の研究成果を整理し,敷金網工法 の変形抑制メカニズムをジオテキスタイル等の補強土と同じ拘束効果を用いて説明を 試みる。

第3章 施工事例に基づく敷金網の引張特性の評価

第 3 章では,新北九州空港での施工事例を整理し,盛土法尻で計測された水平変位 等の動態観測結果を用いて敷金網による変形抑制効果を示す。また,敷金網の引張力 測定結果および各種動態観測結果から引張特性を評価することにより引張抵抗だけで なく,拘束効果による変形抑制効果が存在する可能性について言及する。

第4章 室内土槽実験による敷金網の変形抑制効果

第 4 章では,金網およびポリエチレンネットを用いて室内土槽実験を行い,敷金網 を敷設した場合と敷設しない場合の盛土法尻の水平変位を比較し,敷金網の変形抑制 効果について検証する。また,敷金網が 1枚だけの場合と 2枚の場合でその効果はど の程度異なるのか比較実験を行う。すなわち,敷金網 1 枚だけの場合は,変形抑制効 果は敷金網自体の引張力による影響が大きいと考える一方で,盛土を挟むように敷金 網を 2 枚敷設することにより引張力以外にも拘束効果が発揮され,水平変位の低減が 大きくなることを実験的に検証する。さらに敷金網による変形抑制効果が引張力だけ ではないことを検証するため,敷設時に緩みの生じるポリエチレンネットを敷金網に 模して実験することにより,水平変位の抑制効果が発揮されることを検証する。

第5章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察

第 5 章では,敷金網による盛土側方地盤の水平変位の抑制メカニズムを明らかにす るため,まずは有明粘土のような軟弱な地盤の強度・変形特性を考慮できる構成式を 用いた二次元弾塑性 FEM解析を行い,水平変位に抵抗する要因の分析を行う。次に,

分析結果に基づいて水平変位の抑制メカニズムを推定し,二次元弾塑性 FEM 解析に より,推定したメカニズムの妥当性を検証する。具体的には,水平変位に抵抗する要 因分析の結果から,敷金網を敷設しない場合には,盛土底面に引張破壊が生じて盛土 本来の変形特性が発揮されず,盛土底面が側方に広がることにより側方地盤の水平変

(12)

-7-

位が発生することを明らかにしている。一方,敷金網を敷設した場合には,敷金網に 挟まれた地盤内に敷金網を敷設しない場合に比べて大きな最小主応力が発生すること を突き止め,それによって盛土底面が水平方向に広がるのを抑制しているものと推察 した。この最小主応力の増大をダイレタンシー特性や土のうの理論を用いることによ り理論的に示すとともに,最小主応力の増大によって盛土底面には大きなせん断応力 は作用せず,せん断破壊も引張破壊も生じないことから側方地盤の水平変位が低減さ れることが敷金網による水平変位の抑制メカニズムと推察した。さらに,それを検証 するために,実際の地盤調査結果,土質試験結果を反映させた二次元弾塑性 FEM 解 析を行いメカニズムの妥当性を示している。

第6章 水平変位低減を目的とした敷金網工法の設計手法の提案

第 6章では,盛土法尻および側方地盤の水平変位低減を目的とした敷金網工法の設 計手法を,精度よりも簡便さ,使いやすさを優先し,広く一般的に用いられるような ものとすることを考え,道路土工軟弱地盤対策工指針と同様に,盛土中央の沈下量と 軟弱地盤層厚の関係から敷金網を敷設した場合の側方地盤の水平変位量を求める 設計 手法を提案する。具体的には,道路土工軟弱地盤対策工指針の簡易式と同様に, 盛土 中央の沈下量と盛土側方地盤の水平変位量の関係チャートを用いることとし,敷金網 を敷設した場合のチャートを作成するため,二次元弾塑性 FEM 解析により盛土中央 の沈下量が変化するように盛土高や軟弱地盤層厚を変化させてチャートの作成を行 う。

第7章 総括

第 7 章では,本論文で得られた結果を総括し,これを受けて今後の課題と展望を整 理する。

(13)

-8- 参考文献

1) Hino, T., Igaya, Y., Chai, J.-C., Jia, R., Shirai, Y., Tanaka, J. ;Properties of soft clays in the Saga plain with respect to embankment construction, International Symposium and Exhibition on Geotechnical and Geosynthetics Engineering, pp.167~177, 2010

2) (株)高速道路総合技術研究所;設計要領第一集土工編 第 5章軟弱地盤上の盛土,

p.5-77,2015

3) 株式会社高速道路総合技術研究所;設計要領第一集土工編 第 5章軟弱地盤上の盛 土,pp.5-85~5-87,2015

4) 社団法人日本道路協会;道路土工 軟弱地盤対策工指針,pp.344~347,2012.8.

5) 社団法人日本道路協会;道路土工 カルバート工指針,2010.4.

6) 白井康夫,安福規之,落合英俊,田上裕;施工事例による軟弱地盤対策としての敷 金網の変形抑制効果に関する検討,地盤工学ジャーナル, 8巻 1号,pp.143~154, 2013

7) 白井康夫,安福規之,大嶺聖,小林泰三,吉田昌史;室内・現場実験による軟弱地 盤対策としての敷金網の変形抑制効果に関する検討,第 55回地盤工学シンポジウ ム論文集,pp.111~118,2010.11.

(14)

-9-

第 2 章 敷網工法に関する既往の研究

2.1 はじめに

本章では敷金網工法が軟弱地盤対策工法としてどのような位置づけにあるかを整理 し,本研究の必要性を明らかにする。

次に,敷網工法および補強土や土のうに作用する拘束効果に関する既往の研究を整 理することで,引張抵抗単独での考え方やジオテキスタイルの拘束効果の考え方から,

敷金網工法の変形抑制メカニズムを明らかにするための課題を明確にする。また ,ジ オテキスタイルや敷金網のような連続体ではなく,短繊維を混合した砂でも補強効果 が得られる研究結果を整理し,引張抵抗とは直接的には関係しない拘束効果が存在す ることを示す。

さらに,補強土の拘束効果と同様の考えに基づき実施された敷金網の引き抜き試験 の研究成果を整理し,敷金網工法の変形抑制メカニズムをジオテキスタイル等の補強 土と同じ拘束効果を用いて説明を試みる。

(15)

-10-

2.2 軟弱地盤対策工法としての敷金網工法の位置づけ

本節では,軟弱地盤対策工法としての「敷金網工法」の位置付けを明らかにし ,本 研究の必要性を明らかにする。

2.2.1 設計実務で用いられている敷金網工法

表- 2.2.1に示すように,本研究のテーマとしている「敷金網工法」は,設計実務で

扱われている軟弱地盤対策工法のなかでは,「敷網工法」に位置づけられる。

「設計要領」1)において,「敷網工法」は以下のように位置づけられており,表層処 理工法に分類される「敷設材工法」とは明確に区分されている。

敷網工法(敷金網工法,ジオシンセティックス工法)1

「盛土底面に引張補強材を敷設し,すべり破壊に抵抗するものである。材料はひ し形金網や高強度ジオシンセティックスが使われている。大掛かりな施工機械を 必要とせず,施工機械のトラフィカビリティ確保にも機能する。ひし形金網を用 いた敷金網工法については,盛土の拘束効果を考慮した設計法がある。」

表層処理工法(表層排水工法,敷設材工法,表層改良工法)1

「地盤の表面にマット材,ネット等を敷き広げたり,地盤の浅層部を石灰やセメ ントで固化したりすることにより,軟弱地盤対策工や盛土の施工に必要な重機械 のトラフィカビリティを良好にすることを目的とする。・・・(中略)・・・。敷設 工法は荷重を均等に支持し,地盤の支持力を向上させるとともに,マット材のめ り込み防止の役割も果たす。」

なお,「道路土工指針 軟弱地盤対策工指針」2)では,「敷網工法」と同様の定義で「補 強材の敷設工法」として示されているが,敷金網という文字の記載は見当たらず,ジ オテキスタイルを用いた場合の支持力算定式が示されているだけである。

補強材の敷設工法 2

「 盛 土 等 の 本 工 事 の 前 の 仮 設 工 事 と し て 主 に サ ン ド マ ッ ト の 下 に 補 強 材 を 敷 設 し,敷設する材料の引張力を利用して施工機械のトラフィカビリティを確保する とともに,施工初期の段階で盛土荷重を均等に支持して地盤の局所的な沈下及び 側方変位を減じ,支持力の確保を図ることを目的としている。敷設材としては,

古くから,そだ,竹枠等が用いられてきたが,入手の難易性および施工の迅速性 当の面から,近年ではジオテキスタイル等が用いられている。

(16)

-11-

以上のように,「敷金網工法」を含む「敷網工法」は,トラフィカビリティの確保,

盛土の支持力確保,安定性確保を目的とした軟弱地盤対策工法であり,盛土法尻の側 方変位を抑制するための対策としての設計手法は示されていない。

表- 2.2.1 軟弱地盤対策工法の例2)

分類 主な工法 材料 目的

表層処理工法

表層排水工法 マット材,シート等 表層処理

敷設材工法 同 上 表層補強

表層改良工法 石灰,セメント等 浅層改良

置換工法 掘削置換工法

盛土自重置換工法 砂,礫等の良質材 地盤改良

押え盛土工法 押え盛土工法

緩斜面工法 盛土材と同じ 盛土構造改良

緩速載荷工法 漸増載荷工法

段階載荷工法 - 盛土速度制御

載荷重工法 盛土荷重載荷工法

真空圧密工法等 - 地盤改良

(圧密促進)

敷網工法

敷金網工法 ひし形金網 盛土補強

ジオシンセティックス工法

ジオテキスタイル

ジオメンブレン 盛土補強 ジオコンポジット バ ー チ カ ル ド

レーン工法

サンドドレーン工法 カードボードドレーン工法

砂 や プ ラ ス チ ッ ク カ ードボード等

地盤改良

(圧密促進)

コ ン パ ク シ ョ ンパイル工法

サンドコンパクションパイル工法 グラベルコンパクションパイル工法

砂 砕石等

地盤改良

(せん断抵抗増加)

深 層 混 合 処 理 工法

DJM工法

CDM工法等

セメント

セメントミルク等

地盤改良

(固 化 ,科 学 的 安 定 処 理) 軽量盛土工法 FCB工法

EPS工法等

気泡モルタル等

発泡スチロール等 上載荷重の低減

(17)

-12-

2.2.2 「設計要領」による敷網工法の設計

高速道路総合技術研究所「設計要領」3)に示されている敷金網工法の設計,施工につ いて整理する。

(1) 工法の概要

敷網工法は,金網等の引張補強材を盛土下部に敷設することにより,すべりに抵抗 するとともに,施工機械等のトラフィカビリティの向上を計ることを目的に用いる。

図- 2.2.1に示すように,敷網工法は,押え盛土だけでは盛土本体の安定が確保でき

ない場合,すべり破壊に抵抗するモーメントの不足分を金網等の引張力で補足してい る事例が多い。

敷設材には,古くからそだや竹枠等が用いられてきたが,現在ではひし形金網,ジ オシンセティックス等の材料が用いられている。

これまでの実績によると,軟弱地盤上における盛土の特性や経済性などから, ひし 形金網が多く用いられているが,腐食環境下の場合や将来にわたって補強効果を保持 する必要がある場合などには,ジオシンセティックスが用いられている。

敷金網を用いる場合には,将来的な補強効果が期待できないという課題が明らかに なった。

(2) 設計方法

「敷金網工法」の設計は,円弧すべり法による安定計算時に所用の安全率を満たさ ない場合に,敷金網の引張抵抗力 Tおよび敷金網が盛土を拘束する見かけのせん断抵 抗角𝜙𝜙(盛土材が粘性土の場合は 4°,砂質土の場合は 9°,礫質土の場合は15°)を考慮す ることで行うことが示されている。

具体的には,所定の目標安全率を満足しない場合,その不足分に対して金網による 補強効果を検討し,引張強さ,材料種別,敷設段数等を算定する。

計算式は,次ページのとおりである(図- 2.2.2参照)。なお,ひし形金網以外の材料 を用いる場合には,「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」4)等 の設計法に準じる。

図- 2.2.1 敷金網工法の施工例

(18)

-13- 𝐹𝐹𝑠𝑠=𝑀𝑀𝑟𝑟+𝑛𝑛 ∙ 𝑅𝑅 ∙ 𝑇𝑇+𝑅𝑅 ∙ ∑(𝜎𝜎𝑣𝑣𝑣𝑣∙tan𝜙𝜙 ∙ 𝐿𝐿)

𝑀𝑀𝑑𝑑 2.2.1 ここに,𝐹𝐹𝑠𝑠 :安全率

𝑀𝑀𝑑𝑑 :すべりモーメント(kNm/m) 𝑀𝑀𝑟𝑟 :抵抗モーメント(kNm/m) 𝑅𝑅 :すべり円弧半径(m) 𝑛𝑛 :敷金網段数(段)

𝑇𝑇 :敷金網 1段の単位幅あたりの引張抵抗力(kN/m・段)

𝜎𝜎𝑣𝑣𝑣𝑣 :i段目の敷金網の盛土上載荷重(kN/m2

𝜙𝜙 :敷金網が盛土を拘束する見かけのせん断抵抗角(盛土材が粘性土 の場合は 4°,砂質土の場合は 9°,礫質土の場合は 15°)(度)

𝐿𝐿 :上載荷重の有効幅(m)で,L=12/H(m)

図- 2.2.2 盛土上載荷重の取り方

図- 2.2.3 全盛土高と有効載荷幅の関係

(19)

-14- (3) 敷金網の引張抵抗力

敷金網の引張抵抗力は,「JIS G 3552 ひし形金網」に基づき,次式により求める。

𝑇𝑇=�2∙𝜋𝜋

4∙ 𝑑𝑑2∙ 𝜎𝜎 ∙cos 42.5° × 1000��(2∙ 𝑙𝑙 ∙sin 42.5°) 2.2.2

ここに, 𝑇𝑇 :敷金網の引張抵抗力(N/m) 𝑑𝑑 :材料の径(mm)

𝜎𝜎 :素線の引張強度(N/mm2) 𝑙𝑙 :網目寸法(mm)

(4) 設計施工上の留意点

・ 敷設段数が 2 段以上となる場合は,強度の異なる敷金網を組み合わせると,一部 の敷金網に応力が集中し,期待した効果が得られない場合があるため,強度の異 なるものを組み合わせてはならない。

・ 一般には盛土全幅に敷設する場合が多いが,全幅敷設しない場合には「ジオテキ スタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」4)により定着長の検討を行う。

・ 敷金網の敷設段数が複数段となる場合は,各々の敷金網に均等に補強効果を受け 持たせるため,敷設間隔は 50~60cm 程度以内とする。

(20)

-15-

2.2.3 「道路土工指針」による敷設材の補強工法の設計

日本道路協会「道路土工 軟弱地盤対策工指針」3)に示されている補強材の敷設工法 の設計,施工について整理する。

(1) 工法の概要

敷設工法は,盛土等の本工事の前の仮設工事として主にサンドマットの下に補強材 を敷設し,敷設する材料の引張力を利用して施工機械のトラフィカビリティを確保す るとともに,施工初期の段階で盛土荷重を均等に支持して地盤の局部的な沈下及び側 方変位を減じ,支持力の確保を図ることを目的としている。

敷設材としては,古くから,そだ,竹枠等が用いられてきたが,入手の難易性及び 施工の迅速性等の面から,近年ではジオテキスタイル等が用いられている。

なお,敷設工法は,仮設工事としてトラフィカビリティの確保とともに,供用時に おいても圧密沈下による盛土材の緩みを抑制することで,地震時の盛土材の液状化に よる被害を軽減する効果が期待できる,と記載されている。

(2) 設計方法

設計要領の円弧すべりによる設計方法とは異なり,施工機械の重量や盛土荷重等の 安定性を極限支持力を算定することにより,必要な敷設材の引張強度を求めるもので ある。

支持力算定式としては,「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル」

5)に基づき,下式が示されている。なお,ひし形金網に関する記述はない。

𝑞𝑞𝑑𝑑 =𝛼𝛼 ∙ 𝑐𝑐 ∙ 𝑁𝑁𝑐𝑐+𝑇𝑇 �2 sin𝜃𝜃 𝐵𝐵 +𝑁𝑁𝑞𝑞

𝑟𝑟2�+𝛾𝛾 ∙ 𝐷𝐷∙ 𝑁𝑁𝑞𝑞 2.2.3 ここに,𝑞𝑞𝑑𝑑 :極限支持力(kN/m2

𝛼𝛼 :形状係数

𝑐𝑐 :粘土地盤の粘着力(kN/m2) 𝑁𝑁𝑐𝑐,𝑁𝑁𝑞𝑞 :支持力係数

𝑇𝑇 :敷設材の引張強度(kN/m2) 𝛾𝛾𝑡𝑡 :地盤の単位体積重量(kN/m3

𝐷𝐷𝑓𝑓 :ジオテキスタイルのめり込み量(m)(図- 2.2.4参照)

𝑟𝑟 :載荷重領域近傍の地盤の変状を近似的に円とみなした時の仮想半 径(m)

𝜃𝜃 :ジオテキスタイルとの傾斜角 𝐵𝐵 :載荷幅(m)

図- 2.2.4 ジオテキスタイルの変形モデル概念図

(21)

-16- (3) 設計施工上の留意点

盛土材のまき出し,材料に関する留意点,敷設材の接合を十分な強度を有するよう に結合するように記載されているのみであり,敷設段数や敷設間隔等に関する記述は ない。

(22)

-17-

2.2.4 まとめ

本項では,軟弱地盤対策工法としての「敷金網工法」の位置付けを明らかにし ,本 研究の必要性を明らかにするため, 設計実務で用いられている「設計要領」1)およ び

「道路土工指針」2)による,設計手法を整理した。その結果は以下に示すとおりである。

「敷金網工法」を含む「敷網工法」は,トラフィカビリティの確保,盛土の支持力 確保,安定性確保を目的とした対策工法であり,盛土法尻の側方変位を抑制するため の対策としての設計手法は確立されていない。

ただし,敷金網工法を用いた円弧すべり解析では,敷金網が盛土を拘束する見かけ のせん断抵抗角が考慮されており,敷金網の拘束効果のヒントとなりえる。

したがって,本研究で「敷金網工法」の側方変位対策の効果を示し,メカニズムを 明らかにするとともに,設計手法を提案することは有意義なことと考えられる。

・ 「敷金網工法」は,盛土底面に引張補強材を敷設し,すべり破壊に抵抗する「敷 網工法」のうち,引張補強材として「ひし形金網」を用いた工法である。

・ 引張補強材に高強度のジオシンセティックスが用いられた場合には ,「ジオシン セティックス工法」と呼ばれ,「敷金網工法」とともにトラフィカビリティの向 上にも用いられている。

・ 「道路土工指針」2)では,「敷網工法」と同様の対策工法として「補強材の敷設工 法」と呼ばれる工法が示されているが,「敷金網」という文字の記載はない。

・ 「敷金網工法」の設計は,円弧すべり法による安定計算時に所用の安全率を満た さない場合に,敷金網の引張抵抗力 T および敷金網が盛土を拘束する見かけの せん断抵抗角𝜙𝜙(盛土材が粘性土の場合は 4°,砂質土の場合は 9°,礫質土の場合は 15°)を考慮することで行う。

𝑇𝑇=�2∙𝜋𝜋

4∙ 𝑑𝑑2∙ 𝜎𝜎 ∙cos 42.5° × 1000��(2∙ 𝑙𝑙 ∙sin 42.5°) 2.2.4 ここに, 𝑇𝑇 :敷金網の引張抵抗力(N/m)

𝑑𝑑 :材料の径(mm)

𝜎𝜎 :素線の引張強度(N/mm2) 𝑙𝑙 :網目寸法(mm)

・ 道路土工指針 2)による「補強材の敷設工法」の設計は,敷設材(ジオテキスタイ ル)の引張強度およびめり込み沈下量を考慮した極限支持力算定式として示され ており,安定対策,変形対策に関する記載はない。

・ すなわち,現状での設計実務に用いる「敷金網工法」は安定対策として成立して いるのみであり,「変形対策」としての「敷金網工法」は確立されていない。

・ なお,「道路土工指針」2)では「補強材の敷設工法」は仮設として扱われているが,

「設計要領」3)では特にその記載はない。軟弱地盤および盛土は,施工時が最も 不安定であり,将来金網が腐食する頃には地盤が十分に強度増加しているためで あるが,腐食環境下の場合や将来にわたって補強効果を保持する必要がある場合

(23)

-18-

などにはジオシンセティックスが用いられているとの記載があり,敷金網は長期 にわたる補強効果は期待できない課題が残る。

(24)

-19- 2.3 ジオテキスタイルに関する研究

本研究では,敷金網にもジオテキスタイルと同様の拘束効果があると考えており , ここでは,まずジオテキスタイルについての引張補強効果に関する研究成果を整理し たのち,ジオテキスタイルの拘束効果に関する研究成果について整理した。

2.3.1 ジオテキスタイルの引張補強効果について

ジオテキスタイルの引張補強効果と排水補強効果を組み合わせた補強土工法の設計 法として,財)土木研究センター発行の「ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・

施工マニュアル」4) (以降,マニュアルと称す)がある。このマニュアルは,昭和 63 年度から平成 2 年度にかけて建設省土木研究所と民間企業とのあいだで行われた「ジ オテキスタイルを用いた補強土の合理的な設計法に関する共同研究」の成果が取りま とめられたものであり,平成 5 年に初版が発行され,その後数回の改訂を経て 2013 年の現行版が発行されている。2.2節で整理した「設計要領」3)や「道路土工軟弱地盤 対策工指針」2)でもしばしば引用されている。

ここでは,補強土の設計法の原点となるジオテキスタイルと土の摩擦特性評価法お よび軟弱地盤上にジオテキスタイルを敷設した場合の支持力評価法について紹介する。

(1) ジオテキスタイルと土の摩擦特性評価法

右図に示すように,補強土の設計においてはジオテ キ ス タ イ ル が 抵 抗 領 域 か ら 引 き 抜 け な い よ う に す べ り面より奥に十分な定着長をとる必要があり,この定 着長 Le を求めるのに下式が用いられている 5)。式中 の𝑐𝑐,𝜙𝜙は,図- 2.3.2に示す引抜き試験あるいは一面 せん断試験により求めることができる 6

*) tan

* ( 2

*

2τ σv φ*

s s

e c

T F T

L F

= +

= 2.3.1

図- 2.3.1 補強盛土における

定着長5)

(25)

-20- (2) ジオテキスタイルによる支持力増加機構

軟弱地盤上に盛土を行う場合には,盛土自体の安定と沈下のみならず,建設機械の 作業性が問題となり,その対策として高引張強さ,低伸度,高耐久性を有するジオテ キスタイルが利用されている。その働きは,上載圧を均等に分散させて作用応力の集 中を減少させるとともに,ジオテキスタイルのせん断抵抗によって盛土の安定性を高 め,不同沈下を防止することである。

ただし,いずれの働きについてもジオテキスタイルの引張力のみが考慮されており,

拘束効果については言及されていない。以下,ジオテキスタイルによる支持力増加機 構を示す。

図- 2.3.3はジオテキスタイルを敷設した地盤の支持力機構として考えられている幾

つかの効果が示されている。これらの効果はそれぞれ独立して発揮されるものではな く,相互に関係していると考えられるため,設計上はある程度の割り切りが行われて いる。

上記効果が発揮された場合の支持力計算方法として,Terzaghiの支持力理論による 方法,地盤係数法・ケーブル理論法 7),版理論による方法 8)などが提案されているが,

本マニュアル9)ではTerzaghiの支持力理論を基本として山内ら10)が提案した2.3.2式 が用いられている。この式は図- 2.3.3の①ハンモック効果,②地盤隆起抑制効果,③ 根入れ効果が考慮されたものである。

図- 2.3.2 引抜き試験と一面せん断試験6

図- 2.3.3 ジオテキスタイル敷設地盤の変形と応力9)

(26)

-21- 𝑞𝑞𝑑𝑑=𝛼𝛼𝑐𝑐𝑁𝑁𝑐𝑐+2𝑇𝑇sin𝜃𝜃

𝐵𝐵 +𝑇𝑇

𝑟𝑟 𝑁𝑁𝑞𝑞+𝛾𝛾𝐷𝐷𝑓𝑓𝑁𝑁𝑞𝑞 2.3.2

なお,𝐷𝐷𝑓𝑓,𝜃𝜃,𝑟𝑟は設計上重要なパラメータでありながらも未知のパラメータであり,

現場実験値や室内模型実験などにより経験的に決められているのが現状である。

図- 2.3.5 安定時の地盤の変形形状(西林らによる)11)

図- 2.3.4 支持力算定式の概念図9)

(27)

-22-

2.3.2 ジオテキスタイルの拘束効果に関する研究

ジオテキスタイルの拘束効果に関する研究として,狭義のジオテキスタイルである ジオグリッドの拘束効果に関する研究成果を整理する。

ジオグリッドの拘束効果はすべり面上の垂直応力を増加させる効果と考え,補強土 のせん断強度に反映させる検討が行われている。また,一方でジオグリッドの拘束効 果は,土のダイレタンシーを抑制することによって発揮される効果でもあるとし ,拘 束効果とダイレタンシー特性の関連性が研究されている。ここでは,土-ジオグリッ ド系補強土の拘束効果とその評価に関する研究成果を整理する。

(1) 補強土壁における土圧の発現特性と拘束効果 拘束効果の存在を明確にするために,

図- 2.3.6 に示す補強土擁壁を想定した室

内模型実験が行われている 12)。擁壁に作 用 す る 土 圧 は , 補 強 材 の 敷 設 枚 数 や 補 強 材 の 分 割 数 に 応 じ て 変 化 す る 。 擁 壁 に 作 用 す る 土 圧 を 軽 減 さ せ る 効 果 と し て 補 強 効 果 を 考 え , こ の 土 圧 の 軽 減 効 果 を 考 察 す る こ と で 拘 束 効 果 の 存 在 を 明 ら か に し ている。

具 体 的 に は , 引 張 補 強 効 果 は 補 強 材 に 作用する引張力に起因することから,補強 材 を 裁 断 す る こ と で 引 張 補 強 効 果 を 段 階 的 に 減 少 さ せ る 試 験 を 行 っ て い る 。 図-

2.3.7 のように,壁面水平土圧と壁面回転

角 の関 係 よ り ,補 強 効 果 を⊿P/P0 と定 義 し,この補強効果を補強材の全長 L に対 す る 分 割 し た 補 強 材 の 単 位 長 さ ⊿L の 比

⊿L/L との関係として図- 2.3.8 のように 整理している。⊿L/Lの減少によって引張 補 強 効 果 も 減 少 し て お り , ⊿L/L =0.1~ 0.2 程度で収束する傾向がみられる。これ を考慮して,物理的概念として⊿L/L =0で の補強効果を外挿して求めると,引張補強 効果以外の効果を得ることができる。この 効果がいわゆる拘束効果⊿Pc/P0 によるも のと判断している。摸式的に拘束効果と引 張補強効 果 の関係を 描 くと図- 2.3.9 のよ うになり,全補強効果⊿Pall/Pnは引張補強

図- 2.3.6 補強土擁壁を想定した二次元

積層体モデル試験装置

図- 2.3.7 壁面土圧と壁面回転角の関係

図- 2.3.8 補強材分割数と土圧軽減量

の変化

(28)

-23- 効果⊿Pt/Pn と拘束効 果⊿Pc/Pn の和として 示される。

ま た , 個 別 要 素 法 に よ る 補 強 土 の 二 軸 圧 縮 試 験 の 解 析 結 果 か ら , 補 強 効 果 が 発 揮 で きる最低限の補強材長が,最大粒子径の2倍 程度であることも示されている。

(2) 土-ジオグリット系補強土のせん断強さの発現特性と拘束効果

河村ら 13),14)は,図- 2.3.10 に示す補強

土 構 造 物 の 一 部 分 を 想 定 し た す べ り 面 設 定型せん断試験装置を用いて土-ジオグリ ッ ト 系 補 強 土 の 補 強 効 果 は , ジ オ グ リ ッ ド に 発 生 す る 引 張 力 に 起 因 す る 効 果 と 拘 束 効 果 の 和 と し て 表 せ る こ と を 示 し , 拘 束 効 果 を 摩 擦 係 数 の 増 分 と し て 評 価 す る 算 定 式 を 提 案 し て い る 。 実 験 結 果 を 摸 式 的に示したものが図- 2.3.11である。無補 強 土 の 場 合 は , 原 点 を 通 り 傾 き がtan𝜙𝜙の 破 壊 包 絡 線 と な る 一 方 , 補 強 土 の 場 合 は 引 張 補 強 効 果 に よ る 見 掛 け の 粘 着 力 成 分 𝑐𝑐𝑇𝑇を 有 す る 傾 き がtan𝜙𝜙よ り も 大 き な 包 絡 線 と な る 。 一 般 的 な 補 強 土 の 考 え 方 に よ る と 補 強 効 果 は 引 張 補 強 効 果 に よ る 見 か け の 粘 着 力𝑐𝑐𝑇𝑇の み で 表 わ さ れ る こ と か ら , 破 壊 包 絡 線 は 無 補 強 土 の そ れ と 平 行 な 包 絡 線 に な る は ず で あ り , 補 強 土 の 場 合の この 傾 きの 増加 分 が拘 束効 果 であ る としている。

こ の拘 束 効果 を補 強 土の 安定 性 評価 に 導入するため,次式の提案を行っており,

図- 2.3.12 に示すよう な摩擦係数 の増分

とし て拘 束 効果 を表 現 する こと で ,地 盤 物性値と関連付けたり,実問題(安定性評 価) へ適 用 する 上で 自 由度 が広 が る結 果 となった。

図- 2.3.10 せん断試験時の想定地盤

図- 2.3.11 実験結果の摸式図

図- 2.3.12 せん断強さに基づく拘束効果

と引張補強効果

図- 2.3.9 補強効果に含まれる引張補強

効果と拘束効果の摸式図

ΔP/Pn

(29)

-24- 無補強土のせん断強さ𝜏𝜏0

𝜏𝜏0=𝜎𝜎𝑛𝑛tan𝜙𝜙 2.3.3

補強土のせん断強さ τR: 𝜏𝜏𝑅𝑅 =𝜏𝜏0+𝑇𝑇

𝐿𝐿(cos𝛼𝛼+ sin𝛼𝛼tan𝜙𝜙) +𝛽𝛽 ∙ 𝜎𝜎𝑛𝑛∙tan𝜙𝜙 2.3.4

このとき,図- 2.3.12で示した切片𝑐𝑐𝑇𝑇(見かけの粘着力)とは以下の関係にあること が実験的に確認されている。

𝑐𝑐𝑇𝑇 =𝑇𝑇

𝐿𝐿(cos𝛼𝛼+ sin𝛼𝛼tan𝜙𝜙) 2.3.5

この拘束効果は,ジオグリッドを敷設することにより周辺土塊が効果的に拘束され ることで発揮されるものであり,上式において𝛽𝛽tan𝜙𝜙は摩擦係数の増加ととらえるこ ともできるし,𝛽𝛽𝜎𝜎𝑛𝑛に着目すれば見かけの拘束圧増分として捉えられ,また,𝛽𝛽𝜎𝜎𝑛𝑛tan𝜙𝜙 と考えればせん断強さの増加として捉えることもできる。

また,摩擦係数の増分𝛽𝛽tan𝜙𝜙 は図- 2.3.13 に示すように土の内部摩擦角φ と補強材 の形状の違いを表わす形状係数 R(単位面積あたりに土に接触する目合いの側面積 :

𝑅𝑅 = 2𝑡𝑡(1⁄𝐵𝐵+ 1⁄𝐿𝐿),t:ジオグリッドの厚さ,B:横目合,L:縦目合)に依存すること

が示されており,拘束効果の程度は,密度の違い,すなわち,補強土のダイレタンシ ー特性に依存し,また,補強材の形状の影響を受けることを示している。

ここに,

𝜙𝜙 :内部摩擦角

𝜎𝜎𝑛𝑛 :すべり面上の垂直応力 𝑇𝑇 :ジオグリッドの引張力 𝐿𝐿 :すべり面の長さ

𝛼𝛼 :ジオグリッドとすべり面のなす角 𝛽𝛽 :拘束効果パラメータ

図- 2.3.13 補強材の形状の違いと拘束効果

R L

(cm) B (cm) t

(cm) 0.57 0.89 0.94 0.13 0.42 2.97 0.83 0.06 0.19 1.78 0.94 0.13

(30)

-25- (3) ダイレタンシーと関連付けた拘束効果

安福ら 15)は,土‐ジオグリッド系補強土のせん断時に消費されるエネルギー式を考 察することで,ダイレタンシー特性と関連付けた拘束効果を表す指標(拘束効果パラ メータ)の算定法を提案している。この算定式は,土のダイレタンシー角と内部摩擦 角のみの関数として与えられる特色をもっている。

具体的には,図- 2.3.14 のような単純せん断モードを仮定し,垂直応力σnが作用し た状態でせん断応力τが加わる場合のせん断ひずみ増分を𝑑𝑑𝛾𝛾𝑥𝑥𝑥𝑥,鉛直ひずみ増分を𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥

とし,土要素が外力によってなされる仕事増分がせん断変形に起因する土粒子の摩擦 作用やダイレタンシーなどによって消散される補強土における内部仕事の消散式と等 価と仮定し,下式のように土-ジオグリッド系補強土の平均的なストレス・ダイレタン シー関係を導いている。

𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥

𝑑𝑑𝛾𝛾𝑥𝑥𝑥𝑥=tan2𝜙𝜙𝑐𝑐 − �𝜏𝜏 𝜎𝜎� �𝑛𝑛 2

2�𝜏𝜏 𝜎𝜎� �𝑛𝑛 2.3.6

ここに,𝜙𝜙c:限界状態における土の内部摩擦角

そして,拘束効果による見かけの垂直応力増分を直接的に考慮した内部仕事の消散 式を考え,拘束効果パラメータ𝛽𝛽を導入したストレス・ダイレタンシー関係として下式 を提案している。

𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥

𝑑𝑑𝛾𝛾𝑥𝑥𝑥𝑥= (1 +𝛽𝛽) tan𝜙𝜙𝑐𝑐 − �𝜏𝜏 𝜎𝜎� �𝑛𝑛 2.3.7(a) 𝛽𝛽=�1 +�tan𝜓𝜓

tan𝜙𝜙𝑐𝑐2−1 2.3.7(b) ここに,𝜓𝜓:ダイレタンシー角(図- 2.3.14参照)

図- 2.3.14 単純せん断モードでの補強土要素のダイレタンシー

(31)

-26- (4) 短繊維混合土の補強効果

安福ら 16)は,三木ら 17)の行った短繊維混合土の三軸圧縮試験結果から,短繊維の引 張補強効果以外の拘束効果が発揮されていることを指摘している。

三木ら 17)は,長さ 6.4cmに切断した短繊維をランダムに混合した供試体を作成し,

三軸圧縮試験を行っている。供試体の直径は 10cm,高さは20cm であり,短繊維の混 合割合を変えて試験を行っている。

図- 2.3.15は,短繊維の混合割合と内

部摩擦角𝜙𝜙および粘着力c の関係を示し たものである。短繊維の混合割合の増加 とともに,内部摩擦角,粘着力ともに増 加していることがわかる。

この結果をもとに安福らは,短繊維混 合土の破壊包絡線を𝜏𝜏 − 𝜎𝜎𝑛𝑛関係として概

念的に図- 2.3.16のように表現した。

この図は,図- 2.3.12の土-ジオグリッ ド系の補強効果と同様に表現できること を示唆している。

すなわち,短繊維の引張効果ととも に,短繊維が土塊の動きを拘束する効 果を含めて,引張補強効果以外の効果 が発揮されていると推察されている。

図- 2.3.15 短繊維混合率と𝜙𝜙,c

図- 2.3.16 三木らの実験結果による𝜏𝜏-𝜎𝜎𝑛𝑛関係 の模式図(短繊維混合土)

(32)

-27-

2.3.3 まとめ

本研究では,敷金網にもジオテキスタイルと同様の拘束効果があると考えており , ここでは,まずジオテキスタイルについての引張補強効果に関する研究成果を整理し たのち,ジオテキスタイルの拘束効果に関する研究成果について整理した。

(1) ジオテキスタイルの引張補強効果

ジオテキスタイルの引張補強効果を整理するため,ジオテキスタイルと土の摩擦特 性の評価およびジオテキスタイルによる支持力増加機構に関する研究成果を整理した。

しかし,これらは引張力のみが考慮されたものであり,拘束効果については得るもの がなかった。ただし,ジオテキスタイルの土と摩擦特性の評価方法は,土と敷金網の 摩擦特性の評価に通じるものがあると考えられる。

(2) ジオテキスタイルの拘束効果

ジオテキスタイルの拘束効果とその評価法を整理するため,狭義のジオテキスタイ ルであるジオグリッドの拘束効果に関する研究成果を整理した。

土-ジオグリッド系補強土の補強効果は,ジオグリッドに発生する引張力に起因す る効果と拘束効果の和として表せることを一連のせん断試験の結果に基づいて示され ており,具体的に,拘束効果を摩擦係数の増分として評価する算定式が提案されてい る。この拘束効果は,ジオグリッドを敷設することにより周辺土塊が効果的に拘束さ れることで発揮されるものであり,摩擦係数の増加と捉えることも,せん断強さの増 加,あるいは拘束圧の増加と捉えることもできる。

さらに,拘束効果をダイレタンシー特性と関連付け,拘束効果を表す指標(拘束効 果パラメータ)を土のダイレタンシー角と内部摩擦角のみの関数として与える算定式 が提案されている。

補強土のせん断強さ τR: 𝜏𝜏𝑅𝑅 =𝜏𝜏0+𝑇𝑇

𝐿𝐿(cos𝛼𝛼+ sin𝛼𝛼tan𝜙𝜙) +𝛽𝛽 ∙ 𝜎𝜎𝑛𝑛∙tan𝜙𝜙 2.3.8(a)

ここに,𝜏𝜏0:無補強土のせん断強さ(𝜏𝜏0=𝜎𝜎𝑛𝑛tan𝜙𝜙),𝜙𝜙:内部摩擦角,𝜎𝜎𝑛𝑛:すべり面 上の垂直応力,𝑇𝑇:ジオグリッドの引張力,𝐿𝐿:すべり面の長さ,𝛼𝛼:ジオグリッドとす べり面のなす角,𝛽𝛽:拘束効果パラメータ,𝜓𝜓:ダイレタンシー角,𝜙𝜙c:限界状態にお ける土の内部摩擦角

𝛽𝛽=�1 +�tan𝜓𝜓

tan𝜙𝜙𝑐𝑐2−1 2.3.8(b)

引 張 力 に 起 因 す る 効 果 拘 束 効 果

(33)

-28- (3) 短繊維混合土の補強効果

短繊維混合土の三軸試験結果から,短繊維が土塊の動きを拘束する効果を含めて引 張補強効果以外の効果が発揮されていることが指摘されている。

すなわち,ジオテキスタイルのような面的に連続したものでなくても,引張力以外 の拘束効果が存在することを示しており,敷金網のような盛土材の粒径に対して数十 倍も大きな編み目の敷設材においても,短繊維混合土が土塊として一体的に挙動する ように,金網で挟むことによって土塊が一体的に挙動して拘束効果が発揮する可能性 を示唆している。

(34)

-29- 2.4 敷金網に関する研究

2.4.1 ひし形金網について

本研究で取り扱う敷金網とは特に亜鉛めっき鉄線製のひし形金網のことを指す。ひ し形金網は写真- 2.4.1のような,らせん状に成形された素線を編みこむことで網目が ひし形になるように組み合わせたものである(写真- 2.4.2 参照)。亜鉛めっき鉄線以 外の素線の材料として合成樹脂被覆鉄線,着色塗装亜鉛めっき鉄線,アルミ被覆銅線,

アルミ合金線,亜鉛めっき銅線,ステンレス銅線などがある。ひし形金網は一般フェ ンスや養殖網,落石防止工などの幅広い用途で用いられている。材料としての特徴と して,高い衝撃吸収性,斜面や凹凸地形への追従性,材料の多様性から様々な現場へ の適用性,折りたたむことによる高い可搬性,施工後のメンテナンス性などが挙げら れる。

ひし形金網の規格は JIS G3552 に定められており,その各部の寸法は図- 2.4.1 の ように定義されている。またひし形金網の線径および網目の組み合わせを表- 2.4.1に 示す。用途に合わせて素線の材質や線径・網目の組み合わせを決定し,発注する。ま

た,図- 2.4.2の様にひし形金網の端末部を処理することにより網目の大きさが 40mm

以下となる場合でも比較的容易に移動および施工することが可能である。

写真- 2.4.1 素線

写真- 2.4.2 ひし形金網

(35)

-30-

表- 2.4.1 ひし形金網の網目と線形の組み合わせ

線径/網目 20 25 32 40 50 56 63 75

2.0

2.6

3.2

4.0

5.0

○は z種, c種, およびv種に適用する。

但し,●はz種, c種のみに適用し v種には適用しない

z,c,v種 の 違 い はJISG3552に 示 す よ う に 製 造 方 法 等 の 違 い で あ る

図- 2.4.2 ひし形金網の端部の処理方法

網 目 の 寸 法

網 目 の 寸 法 列 線

角度

長 さ

長 さ

図- 2.4.1 ひし形金網の寸法

(36)

-31-

2.4.2 敷金網の拘束効果

敷金網の拘束効果に関する研究は少ないが,吉田ら 18),19),20)の土中引抜き試験によ る拘束効果に関する研究がある。

(1) 敷金網の土中引抜き抵抗の評価 吉田ら18)は,敷金網と土との 摩擦特性を調べるため,地盤工 学会基準「ジオシンセティック ス の 土 中 引 抜 き 試 験 方 法 」

(JGS 0942-2009)21)により,

敷 金 網 の 土 中 引 抜 き 試 験 を 行 っ た 。 試 験 は 図- 2.4.3, 写 真- 2.4.3 に 示 す よ う な 引 抜 き 試 験 機 を 使 用 し た 。 引 抜 き 土 槽 は幅 40cm,長さ 60cm,高さ 20cm であり,上下に2 分割で きる。土槽上部には空気圧によ り 任 意 の 垂 直 応 力 を 載 荷 で き る。土試料には乾燥状態の豊浦 砂 を 空 中 落 下 法 に よ り 相 対 密

土 Dr=80%で作成した。試験は

表- 2.4.2に示すように線径・網

目の異なる 5 種の敷金網(写真

- 2.4.4参照)を用いて垂直応力

を変えて 3 回ずつ実施した。引 抜き速度は1mm/minの一定速 度である。

変位計

変位計 金網

ロードセル

スクリュー ジャッキ

土槽

60cm

10cm 10cm 土槽

ラバーバッグ エアーレギュレーター

ワイヤー

図- 2.4.3 引抜き試験装置の概略図

60cm

写真- 2.4.3 引抜き試験装置

土中部 引抜き方向

金網変位

1 2 3 4 5 6

つかみ具

60cm

図- 2.4.4 金網変位の測定点

(φ2.0×56mm の例)

表- 2.4.2 試験ケース一覧表

線径φ(mm) 網目(mm) 敷設枚数

56 10 15 30

40 25

3.2 56

4.0 56

2.0 56 2(間隔10cm)

垂直応力(kPa) 2.0

1

10 20 40

(37)

-32-

(a) 𝜙𝜙2.0×56mm (b) 𝜙𝜙2.0×40mm

(c) 𝜙𝜙2.0×25mm (d) 𝜙𝜙3.2×56mm

(e) 𝜙𝜙4.0×56mm

写真- 2.4.4 試験に用いた敷金網

図 - 4.3.5 は金網を敷設しない場合( Case1 )と金網を敷設した場合( Case2 , Case3 )
図 - 5.3.13 盛土立上り時の変形図

参照

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