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側方地盤の変形要因の考察

第 5 章 変形抑制効果のメカニズムに関する考察

5.2 側方地盤の変形要因の考察

5.2.1 盛土施工時の軟弱地盤の変形と側方変位の発生メカニズム

軟弱地盤上に盛土を瞬間的に載荷すると,図- 5.2.1に示すように盛土直下の軟弱地 盤は真下に向かって沈下し,盛土法肩付近は斜め下方外側に向かって変形する。そし て,法尻付近では側方外側かつ上向き(隆起)に変形する。

しかし,図- 5.2.2に示すように盛土底面に複数枚の敷金網を敷くと,盛土法尻およ び側方地盤の水平変位を抑制(低減)する効果があると考えられる。

そこで,その抑制メカニズムを考察するにあたり,逆に盛土底面が側方に広がる要 因を考察し,それに抵抗する変形抑制要因を抽出することとした。

側方地盤への 押出し、隆起 盛土底面の沈下・

側方への押広げ

軟弱地盤

盛土

図- 5.2.1 無処理時の軟弱地盤の変位

軟弱地盤

盛土

側方地盤への 押出し、隆起の低減 盛土底面の沈下・

押広げの低減 敷金網

図- 5.2.2 敷金網を敷設した場合の軟弱地盤の変位

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軟弱地盤上に盛土を瞬間的に載荷すると,図- 5.2.3 (b)のように,軟弱地盤の沈下,

せん断変形に伴い,盛土底部は側方に引っ張られるような形で変形する。

このとき,沈下だけが生じるのであれば,盛土中央部 b 点の沈下が盛土法尻 a 点,

c 点の沈下よりも卓越するため,盛土法尻は図- 5.2.3 (c)のように盛土中央付近に向か って変形する。しかし,実際には軟弱地盤はせん断変形するため,(b)図のように盛土 底面は外側に向かって側方変位が発生する。

これは,せん断変形と圧密沈下のどちらが卓越するか,すなわち軟弱地盤の透水性 や変形特性と施工速度の関係によって変ってくるが,多くの場合,圧密の進行よりも 施工速度の方が速いため,せん断変形が卓越して図- 5.2.3 (b)のように a 点,c 点は外 側に向かって変形する。

このときの盛土底部(弧 a-b-c)に着目すると,b点は真下に沈下し,c 点は側方に 変形するため,弧 a-b-cは延びるように引張力が生じている。

盛土材は,一般的に砂質土であり,引張力に対する抵抗力はほとんど期待できない。

そのため,盛土底面は軟弱地盤の側方への変位に追随して側方に延びるように変形す ることになる。

(a) 盛土前 (b) 瞬間盛土時 (c) 沈下のみ生じた場合

図- 5.2.3 無処理時の軟弱地盤の変形

a b c a

b c a

b c

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5.2.2 敷金網による側方地盤の変形抑制要因の抽出

5.2.1 で示したように,軟弱地盤上に盛土を構築すると,軟弱地盤の沈下,せん断

変形により盛土法尻は側方に変形し,盛土底部には外側に延びるような引張力が作用 する。

このとき,軟弱地盤対策として多く用いられているセメント系改良材を軟弱地盤と 混合して軟弱地盤表層を固化する浅層改良をイメージしてみる。

浅層 改 良版 が完 全 な剛 体で あ れば ,盛 土 中央 部も 盛 土法 尻も 同 じ沈 下量 と なる が , 実際には浅層改良版もたわむため,図- 5.2.4 (a)のように盛土中央部 b 点の沈下量は 法尻 c 点よりも大きくなり,c 点の側方への水平変位も生じる。無処理時の(b)と比較 すると,盛土中央 b点の沈下量は減少し,盛土法尻 c 点の沈下量は大きくなり,水平 変位は小さくなる。

これと同様に,図- 5.2.5(a)に示すように盛土底部に敷金網を 2枚敷設することによ り,敷金網に挟まれた地盤にも浅層改良版と同じ効果があるのではないかと推察され る。

すなわち,浅層改良版のように,敷金網に挟まれた地盤に版状効果が生まれ,その 版の下記に示すような効果により,側方地盤の水平変位が抑制(低減)されるのでは ないかと推察した。

版状効果として,水平変位の抑制要因となる効果をすべて抽出し,次節でその効果 を一つずつ検証することとした。

(a) 浅層改良時 (b) 無処理時

図- 5.2.4 軟弱地盤の変形(浅層改良時)

(a) 敷金網敷設 (b) 無処理時

図- 5.2.5 軟弱地盤の変形(敷金網敷設時)

a b c a

b c

浅層改良版

a b c

敷金網

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① 変形係数𝐸𝐸の増大

→ 版状効果により,変形係数が増大することによって,盛土底部が延びること なく,側方地盤の水平変位が低減する(仮説 1)。

② せん断抵抗の増大(粘着力𝑐𝑐 )

→ 版状効果により,せん断抵抗が増大し,盛土底部のせん断変形を抑制するこ とにより,盛土側方地盤の水平変位が低減する(仮説2)。このときのせん断 抵抗の増大は,せん断抵抗角φではなく,粘着力 c の増大と推察している。

③ 引張抵抗の発揮(引張力𝑞𝑞𝑡𝑡

→ 版状効果により,引張抵抗が発揮され,盛土底部が軟弱地盤の側方への変形 に抵抗して,側方地盤の水平変位が低減する(仮説 3)。

④ ポアソン比𝜈𝜈の効果

→ 版状効果により,ポアソン比が低下して盛土底面が側方に延びる変形に抵抗 する(仮説 4)。一般的に,地盤のポアソン比は𝜈𝜈=0.33 程度であるが,コン クリートやしらす(特殊土)のように,ポアソン比が𝜈𝜈=0.1~0.2 程度に変化 することを仮定した。

⑤ せん断抵抗,引張抵抗両者の増大効果(粘着力𝑐𝑐,引張力𝑞𝑞𝑡𝑡

→ 版状効果により,せん断抵抗が増大し,また引張抵抗が発揮されることによ り,盛土底部が軟弱地盤の側方への変形に抵抗して,側方地盤の水平変位が 低減する(仮説5)。一般に,粘着力が増大すると,引張力も増大することか ら,このような仮説を立てた。

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