第 4 章 室内土槽実験による敷金網の変形抑制効果
4.2 実験概要
4.2.1 実験装置
室内模型実験に用いた浅層・深層地盤改良評価装置の写真を写真- 4.2.1,概略図を
図- 4.2.1 に示す。土槽の大きさは内寸が幅 95cm×高さ 55cm(模擬軟弱地盤の厚さ
38cm)×奥行き 30cm である 1),2),3)。土槽の前面はアクリル板でできており,変形状 態を目視で確認することができる。土槽の内面には壁面摩擦を低減させるため, テフ ロンシートを張り付けたのちに,シリコングリースを塗布する。
載荷は装置上部に設置したベロフラム式エアシリンダーを用いて,応力制御の条件 で行う。ベロフラムエアシリンダーは全部で 8 基が設置されており,後述する軟弱地 盤を模擬したカオリンの圧密時には 8基すべてを用いて,盛土載荷実験時は 2 基のベ ロフラムエアシリンダーを用いて載荷する。2 基のベロフラムエアシリンダーに対し て 1 枚の載荷板を固定して用いる。載荷板の大きさは幅 20cm,長さ 30cm である。
載荷圧は 1 基のベロフラムエアシリンダーに取り付けてある,ロードセルで測定して いる。
写真- 4.2.1 実験装置 図- 4.2.1 土槽の概略図
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4.2.2 模擬地盤材料と土槽作成方法
軟 弱 地 盤 を 模 擬 す る 材 料 に は カ オ リ ン を 用 い た 。 カ オ リ ン の 物 性 値 を 以 下 の 表-
4.2.1 に,粒径加積曲線を図- 4.2.2 に示す。これらのカオリンの特性は粘土質の軟弱
地盤の土質に近く,また取り扱いが容易であることから,本実験に用いる材料として 適している。
模 擬 軟 弱 地 盤 の 作 成 方 法 は カ オ リ ン を 初 期 含 水 比 80%に 調 節 し て ス ラ リ ー 状 に 練 り返したものを初期層厚が 50cm になるように土槽に投入する。土槽に投入したカオ リンの上に土槽の断面積とほぼ同じ面積である圧密用の載荷板(幅 95×奥行き30cm,
質量 12.3kg)を乗せ載荷する。初期圧密は載荷圧 20 kN/m2(3段階で載荷),上下両
面排水条件で行った。第 1 段階はベロフラムシリンダーを用いずに,圧密用の載荷板 の自重(載荷圧 p=0.7 kN/m2)で圧密させる。第 2段階で 10 kN/m2,第 3 段階で 20 kN/m2の圧力で載荷する。実験ごとに新しく模擬軟弱地盤を作成するがどのケースで も圧密終了時点で,カオリンの層厚は 38cm 程度,含水比は50%程度になった。
表- 4.2.1 カオリンの物性値
土粒子の密度 𝜌𝜌𝑠𝑠 (g/cm3)
液性限界 𝑊𝑊𝐿𝐿 (%)
塑性限界 𝑊𝑊𝑝𝑝 (%)
塑性指数 𝐼𝐼𝑝𝑝
初期含水比 𝑤𝑤0 (%)
圧密後含水比 𝑤𝑤 (%)
2.745 45.7 31.6 14.1 80 50
図- 4.2.2 実験に用いたカオリンの粒径加積曲線
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盛土を模擬する材料にはまさ土を用いた。模型盛土に用いたまさ土は粒径を 850µm 以下,75µm以上に調整した。粒径を 850µm以下にした理由は土槽の大きさ及び後述 する敷金網を模した金網の線形を考慮すると,粒径の大きな土粒子が含まれることは 不適切であると考えたからである。また,粒径を 75µm 以上にした理由は,75µm 以 下のような微小な土粒子は飛散しやすく実験間の材料の均一性が損なわれる可能性が あると判断したためである。使用するまさ土の物性値は土粒子密度が 2.680 g/cm3, 最適含水比が wopt=11.4%である。粒径加積曲線を図- 4.2.3 に示す。模擬盛土の寸法 は,土槽の幅が 95cm と狭いことから,土槽の大きさとバランスを考慮して,土槽の 底面の幅は 30cm とし側方地盤を盛土の左右に法尻から 30cm 程度確保できるように した。盛土の底面幅を 30cmにした場合に,現場における一般的な盛土の法勾配が 1: 1.5~1.8 程度であることから,模擬盛土の法勾配をこの範囲に合わせるには,盛土の 高さは 7cmが限界であり,この時上面の幅は 10cm となる。
盛土は含水比 10%に調整したまさ土を,上記の盛土の寸法に合わせてアルミ板とア クリル棒で作成した型枠内に 1~2cm 程度まき出し,それをコテで締固めながら盛土 を作成した。層状に高さが 7cmほどになるまで盛り,盛土上面の幅が 10cm となるよ うに成型するとともに,載荷荷重が均等に分布するように面を水平とするために水準 器で確認しながら整えた。このようにして作成した盛土の締固め度は平均で Dr=63%
であった。
表- 4.2.2 まさ土の物性値
土粒子の密度 𝜌𝜌𝑠𝑠 (g/cm3)
自然含水比 𝑤𝑤𝑛𝑛 (%)
最適含水比 𝑤𝑤𝑜𝑜𝑝𝑝𝑡𝑡 (%)
最大乾燥密度 𝜌𝜌𝑑𝑑𝑚𝑚𝑚𝑚𝑥𝑥(g/cm3)
平均締固め度 𝐷𝐷𝑟𝑟 (%)
2.680 13.8 11.4 1.771 63
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10 100
通過質量百分率(%)
粒径(mm)
図- 4.2.3 盛土材に用いたまさ土の粒径加積曲線
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4.2.3 敷金網の模擬材料
敷金網を模擬する網には金網とポリエチレン製の網の 2種類を用いた(写真- 4.2.2)。
表- 4.2.3にこれらの線径と網目の大きさを示す。実施工に用いられている敷金網は線
径 2mm,網目 25mm以上である。これらの網は盛土底面の面積(30cm×30cm)に合わ せて切断して敷設した。
表- 4.2.3 金網とポリエチレンネットの線径と網目
金網 ポリエチレンネット
線形(mm) 0.7 1.5
網目(mm) 12.9 23.6
(a) 金網
(b) ポリエチレンネット
写真- 4.2.2 敷金網を模擬する材料
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4.2.4 変位の測定方法
盛土の鉛直変位は図- 4.2.4のように変位計と沈下板を用いて上下面の 2か所で測定 した。盛土法尻と周辺地盤の水平変位は画像処理システム XV-1000(図- 4.2.5)を用 いて測定した。画像処理システムは処理装置,CCDカメラ,モニターから構成されて おり,実験装置の天板に固定した CCD カメラで土槽の左側を上面から撮影したモノ クロ画像(640×480 ピクセル, 30 万画素)を自動で処理する。処理装置は 640×480 の X-Y座標上で,画像中に含まれる物
体の位置を認識する。載荷実験ではこ の座標データを得て,画面上の 1 ピク セ ル あ た り の 移 動 量 を 変 位(mm)に 換 算して変位を求める。変位の測定点は
図- 4.2.6に示すように,法尻について
は 5点,周辺地盤については法尻から 5,10,15cm 離れた地点を各 3点ずつ 測定した。この周辺地盤の測定点は法 尻の測定点の 5点のうち3点の延長方 向に配置し,この測線はお互いに 5cm ずつ離れている。
図- 4.2.4 盛土上面と下面の鉛直変位の測定
図- 4.2.5 法尻及び周辺地盤の水平変位の測
定装置
図- 4.2.6 水平変位の測定点
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4.2.5 実験方法・条件
実験は表- 4.2.4に示すように,敷金網の条件を変えて 4回実施した。4つの実験ケ
ースは,Case1が敷金網を敷設しない場合,Case2が盛土底面に金網を 1枚敷設した
場合,Case3 が金網を盛土底面とその上に 2cm の間隔で 2 枚敷設した場合であり,
Case4は同じくポリエチレンネットを盛土底面に 1枚敷設した場合である。
実験盛土への載荷は 5 kN/m2を 1ステップとする荷重制御の条件で行った。1 ステ ップの荷重を 1 分間維持してから,次の載荷段階に移行する。載荷は盛土の変形の様 子を見ながら,40 kN/m2程度を目安に行った。
表- 4.2.4 実験条件の一覧
実験ケース 実験条件 備考
Case1 網無し 敷金網を敷設しない
Case2 金網 1枚 盛土底面に金網を 1枚敷設
Case3 金網 2枚 盛土底面とその上に 2cm の間
隔で 2 枚敷設
Case4 ポリエチレンネット1枚 盛土底面に 1 枚敷設
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