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親しい者同士の自然会話における CN と JP の「命題確認の要求」の「ダロウ」使用 104

第 6 章 場面別に見た自然会話における CN の「ダロウ」の使用状況

6.2 親しい者同士の自然会話における CN の「ダロウ」の使用状況

6.2.2 親しい者同士の自然会話における CN と JP の各用法の「ダロウ」の使用

6.2.2.2 親しい者同士の自然会話における CN と JP の「命題確認の要求」の「ダロウ」使用 104

104 研究だろうな

(191) JPM03:まあ、まあ、土日とか、空いた時間とかで、まあ、別にそんな<あー>基 本父親が、メインで仕事をするだろうから

JPM04:あー、そういうこと?あっ、そういうこと?

JPM03:僕はフォローみたいな感じ<うん>代々そうなんだって、じいちゃんが メインでやってる時は<あーん>父親が先生やりながら、フォローして (192) JPF08:ぐるっとね<うん>そこら辺<うーん>で、まあ<うん>んー、そうだ

ね、だから、【地名】?でも、暑いよね、【地名】とか【地名】で JPF07:まあ、暑いって暑いね、晴れが多いやろうし

105 JPM01:え、民間も考えてるでしょう?

JPM02:えー、考えてないよ

6.2.2.3 親しい者同士の自然会話における CNと JP の「知識確認の要求」の「ダロウ」

使用

上記の表49から分かるように、CNでは「知識確認の要求」の「ダロウ」が「推量」の

「ダロウ」の次に多く使用されている。下の(196)(197)はCNの使用例である。

(196) CNF09:その時は、んー、両親のそばに、い、い、い、い、いるはず<いて、あ>

私もそのー、だから私は、んー、まず天津で就職して、んー、これから、

んー、自分の、んー、故郷へかえ、かえ、帰る<帰る>帰るつもりだ

CNF10:でも、【相手の名前】さんは一人っ子じゃないでしょう?<はい>そして<

はい>お姉さんと、弟も<いるいる>いるから、私は一人っ子なので、だか ら、んー<じゃ>負担、負担じゃなく、でも、たぶん、んー、その両親の老 後?<老後生活?>うん、分からない、もし、いい、ふるさとにかえ、かえ ると、んー、仕事はたぶん公務員しかいない、そういう選択は、日本に関す る仕事は、ないので

(197) CNF07:うん、でも、ざ、残業は当たり前のこと、かもしれません CNF08:はい、残業は、んー、に、日本の会社で、普通でしょ CNF07:はい、はい

CNF08:だから、慣れる にし、な、慣れるしかない

(196)(197)での「ダロウ」文の命題内容はいずれも相手との共通認識であり、話し手がそ れを前提として話し続けている。(196)(197)での「ダロウ」の使用はまったく違和感がなく、

自然である。CNに使用されている 9例の「知識確認の要求」の「ダロウ」は、ほとんど自 然であるが、下の(198)のような違和感を覚える1例がある。

(198) CNM10:最近ですね、あのー、んー、そつきょう(卒業)そろそろそつきょう(卒 業)し、そつ、そろそろそつきょう(卒業)するんですよね?<うん>あ のー、んー、私は、あのー、ほかの仕事もさがし、んー、探るんです、さ かる、さかるん、さかるんでしょう?さ、<仕事?>仕事、さかるんです CNM09:どんな仕事?

(198)で話し手(CNM10)は、自分が大学院入学試験の結果を待ちながら、仕事も探している

ということを「ダロウ」によって提示している。しかし、その情報は明らかに相手が知らな

106 いことであるため、相手に疑念を抱かせ、それを前提とする話も順調に進めることができな くなっている。

一方、JPの「知識確認の要求」の「ダロウ」の使用例を見ると、その命題内容はいずれも 下の(199)(200)のように相手との共通認識である。つまり、いずれも相手との共通認識を喚 起させるための発話である。

(199) JPM01:そう、なんか、一番嫌じゃない?レースって言うさ<うん>トップ層じ ゃなくて、後ろのほう

JPM02:まね、まね、えっ?でも、だって、ベネッセでしょ?また、出願した時に また違うじゃない?

JPM01:ままままま、確かに<なんか>四倍やばいよね、俺ら一点六倍じゃなんか (200) JPM09:いや、ぼう、なんや、クソ無職みたいにさ、その、趣味で作ったはずだっ ていうのが、二、三年後に黒歴史として出てくるかもしれんだよ<いやい やいやいやいや>こわえ<いやいやいや>こわえ

JPM10:いや、もう、だって、十年後の話でしょ、今からちゃんとやっとって、今 からって言うか<うん>やっとったらさ、あの-、あのー、もう、十年後 JPM09:出来上がるってか

6.2.2.4 親しい者同士の自然会話におけるCNとJPの「念押し確認用法」の「ダロウ」

使用

前述した表49から分かるように、CNでは「念押し確認用法」の「ダロウ」は1例しか使 用されていない。下の(201)はその使用例である。

(201) CNM05:いいえ、そ、それはない<うん、それはありません>あのー、でも、んー、

【人名】さんのお兄さんはもう結婚しました、私は【人名】さんを、んー、

あのー、んー、俺と一緒に日本で留学し、したらどう?とき、聞いたら CNM06:彼賛成していますか

CNM05:んー、ちょっと考えて<あー>と返事ました<彼は>あのー、んー、【人名】

さんのかぞ、家族は<うん、はい>んー、二人の兄弟<うん>がいますね、

あのー、んー、お兄さんはもう結婚した、んー、ご両親はもう心配ことは ありませんよね<はい>そして<彼の自分だけです>一緒に、一緒に、外 国で、んー、んー、げん、けん?あっ、広い世界を、見ることはいいよね

<はい>でしょう、んー、彼は、あのー、んー、か、外国で、あのー、ん ー、中国と<あー>本当に違いますと

(201)で話し手(CNM05)は自分の意見に同意を示した相手に対して、単独の「ダロウ」によ

107 ってもう一度確認し、自分の意見の正確さをアピールしている。この「ダロウ」の使用は自 然である。

JPの「念押し確認用法」の「ダロウ」を見ると、下の(202)のような単独の「ダロウ」も あれば、(203)のような相手の話を繰り返している「ダロウ」もある。

(202) JPM04:金沢は狭いと思わない?

JPM03:いや、んー、どうなんだろう、道?<あーん>道は、名古屋と比べたら<

あーん>んー、道そのものは、まあ確かに狭いね JPM04:あーん、でしょ

JPM03:うん、でも、 名古屋は、人、なんか、ゴミみたいにいっぱいいるから、

本当にいっぱいいる

(203) JPM08:だって、今、そー、なんか、なんだっけ、こないだ何しとったっけ?夏 休みとか、例えば、なんか、何した?

JPM07:夏休み?あー、夏休み JPM08:絵かくとか

JPM07:あー、俺はどっかのタイミングでホタルイカ狩りに行った

JPM08:音楽とか、ホタルイカ?そうそう、ホタルイカとか、さ、しゃけ?

JPM07:あー、しゃけ釣りに行ったね JPM08:行ったやろう?

JPM07:川にね

6.2.2.5 親しい者同士の自然会話におけるCNとJPの「不定推量」の「ダロウ」使用

上記の表49から分かるように、JPでは「不定推量」の「ダロウ」が比較的多く使用され ているが、CNでは1例しか使用されていない。下の(204)はCNの使用例である。

(204) CNM07:へえ<はい>でも、日本、でも、大学院に行くなら、日本語ですか、それ とも、別の専門?

CNM08:はい、別の専門にします CNM07:あー、そうなんですか

CNM08:中国は学前教育(中国語)、日本語はどう話すか分からないです<そうな

んですか>でも、んー、それ、なんでこの専門選んだろうか、それはよく わから、えー、それは、実は私が子供が好きで、ですからね

(204)では「ダロウ」の前の部分が「だ」が抜けて不自然であるが、話し手が自問自答す るような場面で使用しているため、「不定推量」の「ダロウ」として使用しても差し支えな いと思われる。つまり、「不定推量」の「ダロウ」自体の使用は不自然ではない。

108 JPの「不定推量」の使用例を見ると、下の(205)(206)のような「不定推量」の「単純ダロ ウ」もあれば、(207)(208)のような「複合ダロウ」もある。

(205) JPF08:あ、そう、十年後ね<うん>十年後だから、どこに、どこに<あ、そっ か、どこに>【地名】?

JPF07:うん、地元

JPF08:あーん、どうだろう、最初でも、実家おって<うんうんうん>その後、

なんか結婚がなんたらどうなるかわからんけど<あー、なるほどなるほ ど>とりあえず実家、かな

(206) JPF06:うん、なんか、最近聞いた話、名前忘れちゃったんだけど<うん>なんか、

日本企業が海外でする、なんか、だい、なんだろう、企業説明会みたいな

<うんうんうん>あるんやね、確か<うーん>なんか、この間、【人名】先 輩が<うん>アメリカそれ行ったらしくて<へー>なんか、そういうのが 参加したら<うんうんうん>一般企業、あ、こんなあるんやとか普通に面 白いよね<うんうん、そう>興味があるのがあるかもしれない

JPF05:うん、そう、ね、でも、なんか、一般企業もね、大変そうやね (207) JPF05:院いく?【相手の名前?】

JPF06:院行きたいけど JPF05:うん、まず就職する?

JPF06:そう、あっ、でも、どうだろうな、院行くかもしれないし、行かないか もしれない

(208) JPM04:うん、や、都市部の寺のほうが、なんか、まあ、いやらしい話、儲かるん じゃないか

JPM03:いやー、でも<うん>どうなんだろうね、たぶん<うん>田舎は<あー>

田舎は、田舎寺みないな感じで、田舎のほうが<あー>寺って大きいんだ って

JPM04:あっ、そう?

これらの例から分かるように、JPに使用されている「不定推量」の「ダロウ」には「か」

が抜けているものが多く、(207)(208)のような「な」「ね」と共起するものが多く見られる。

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