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第 9 章 結論

9.3 今後の課題

本研究は日本語のモダリティの代表的な存在である「ダロウ」に焦点を当て、自然会話デ ータを利用し、JPの使用状況と比較して、CNの「ダロウ」の使用上の問題点を明らかにし た上で、その問題点が発生する原因及びその解決方法を検討した。

但し、本研究では、『新編日語』を使用しているCNのみを対象にしたため、研究結果を一 般化するのは難しいかもしれない。今後データを増やして検証する必要がある。また、本研

158 究での提案に従って指導したCNの縦断的なデータを収集し、習得状況を分析するなど、時 間をかけた考察をすることを、今後の課題としてあげておく。さらに、日本語の「ダロウ」

というモダリティ表現における中国語からの影響についても十分に考察できなかった。中 国語による会話と日本語による会話の話題の展開や談話構造等の観点から分析することも 今後の課題とする。

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謝 辞

本研究を遂行し、論文をまとめるに当たり、様々な方々にお世話になりました。

まず、本研究の過程において、終始温かいご指導とご鞭撻を賜り、親身なご助言と力強い 励ましをいただいた主指導の深澤のぞみ先生に、心より感謝を申し上げます。金沢大学と北 京師範大学二重学位プログラムでの修士課程の時に先生と出会い、日本語教授法の授業を 聴講させていただき、日本語教育学に興味を持ち始めました。博士後期課程に進学後、日本 語教育学に疎い私に、日本語教育学の理論や調査の仕方などについて、ご多忙中にもかかわ らず、1つ1つ時間をかけて教えてくださいました。長期にわたり、貴重なご指導いただき、

心より感謝を申し上げます。

また、日本語学や日中比較研究の基礎をご指導賜った修士時代の主指導、北京師範大学外 国語言文学学院元教授翟東娜先生、金沢大学人間社会環境研究科元教授大瀧幸子先生にも 心より感謝を申し上げます。

そして、副指導の金沢大学人間社会環境研究科教授加藤和夫先生、同教授髙山知明先生に も修士時代からお世話になり、いつも有益なご助言をいただきました。加藤先生には、デー タ分類の妥当性や研究の方向性などをご指導いただきました。研究に行き詰ったとき、常に 温かく見守っていただきました。髙山先生には、日本語学だけでなく、非常に多角な観点か らご教示をいただきました。審査を引き受けていただきました金沢大学人間社会環境研究 科教授西嶋義憲先生、同教授山本洋先生にも、心から感謝申し上げます。日本語教育の枠を こえ、幅広い視点からご丁寧なご指導ご助言をいただくことができました。

さらに、金沢大学人間社会環境研究科大江元貴先生、金沢大学経済学類宮崎悦子先生にも 大変お世話になりました。大江先生ご自身も多忙で大変な時期であったにもかかわらず、幾 度なくお時間を割いていただき、研究の内容について私が見落としていた重要な点を鋭く 且つ具体的な例を交えながらご指導いただきました。宮崎悦子先生には日本語会話文字起 こしデータのネイティブチェックに関して、大変ご支援いただきました。ここに記して、先 生方に心より感謝を申し上げます。

本研究の過程において、深澤ゼミの皆さんにもお世話になりました。毎回のゼミで皆さん と様々なことについてディスカッションできるのが楽しみでした。皆さんと共に研究の道 を歩めて、本当に良かったと思っております。

また、特定を避けるため、お名前をいちいちあげることができませんが、本研究の各調査 にご協力いただいた日本の 3つの大学の学生、中国華北地区 6 つの大学の先生や学生に、

深く感謝を申し上げます。皆さんのご協力なくして、本研究は存在しませんでした。

論文の作成に当たり、金沢大学の学生、阿部愛沙大氏にはご多忙中にもかかわらず、原稿 の最終見直しをしていただきました。

最後に、いつも応援してくれた両親、妹、ずっと支えてくれて、ともに研究の道を歩んで いる妻、趙東玲に感謝の気持ちを捧げます。

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