第4章 FASTele の性能評価
4.1 装着試験
4.1.2 装着試験の結果
装着試験の結果(装着時間)をFig.4.2に示す. FASTele を患者役被験者に 装着出来なかった装着者は見られなかった.やせ型体型に対する FAST全 4 部 位の合計装着時間は,193±58 sec (range 135-251 sec) ,中肉中背型体型に対 するFAST全4部位の合計装着時間は,216±54 sec (range 162-270 sec),太り 型体型に対するFAST全4部位の合計装着時間は,256±63 sec (range 193-319
sec) であった.以上より,平均で約4分程度,最大でも約5分程度の比較的短
い時間で,全4部位に装着が完了できることが確認できた.
また,太り型体型に対する装着時間とやせ型体型に対する装着時間には,p <
0.01 で有意差を認めた.さらに,太り型体型に対する装着時間と中肉中背型に 対する装着時間には,p < 0.05で有意差を認めた.
つづいて,装着試験の結果(装着位置)をTable 4.2, 4.3に示す.やせ型体型の FAST全4部位に対する最大装着位置誤差は,2.5 [cm],中肉中背型体型のFAST 全4部位に対する最大装着位置誤差は,4.8 [cm],太り型体型のFAST全4部位 に対する最大装着位置誤差は,3.7 [cm],であった.また,目標装着位置と実際 の装着位置の最大誤差は,FAST1,4 において 2.7[cm],FAST2,3 において
4.8[cm]であり,FAST2,3における装着位置誤差は,FAST1,4 より大きいこ
とが確認された.
Fig.4.1 Attaching position and procedures
Normal height and build
Fig.4.2 The time taken to attach in each body type (N = 9)
Table 4.2 Attaching position by examinees, FAST1, FAST4 (maximum gap) 0
50 100 150 200 250 300 350
Attaching time sec
FAST4 FAST3 FAST2 FAST1
Slender Overweight
* p<0.05
** p<0.01
*
**
4.1.3 考察
4.1.2で示した結果から,FASTeleを装着される被験者の体型は,装着時間の
差異に統計学的に違いを発生させることがわかる.特に,被装着者の体型が大 きくなるほどに,装着にようする時間は増大していく.これは,装着時にコル セットベルトを患者背面に回しこむ必要があり,太り型の患者の場合には若干 巻きつけにくかったことが原因として挙げられる.一方,全体型を通して,
FAST4における装着時間が,他の部位と比較して長いことが確認できる.これ
は,背面を通す必要のあるコルセットベルトの運用上,FAST4おいて臀部を持 ち上げるという作業が要求され,その負担が装着時間の増大を引き起こしてい るものと考えられる.しかしながら,平均で約 4 分程度,最大でも約 5 分程度 で装着可能であるという結果より,実際の運用上においては特に重大な問題と はなりにくい.またこれらの考察から得られた知見を基に,今後装着方法の更 なる改良を行うことで,十分に装着時間の短縮を期待できると考えられる.
一方,FAST2,3 における装着位置誤差は,FAST1,4 における装着位置誤 差と比較して大きかったが,全体型,全 FAST 部位における最大装着位置誤差
は,4.8 [cm]であり,これは医師による遠隔操作により十分プローブの位置補正
が可能である範囲内である.さらに,乳頭線およびへそを通る正中線をランド マークとすることで,FASTele は被装着者の体型に依らず,装着が可能であっ たことも確認された.
以上より,より医療の知識に長けた救急隊員による装着時には,これ以上に 精確かつ迅速にFASTele を患者に装着できることが期待されるため,本システ ムの装着性は,実際の運用場面に相当する装着性を有していると考えられる.
Table 4.3 Attaching position by examinees, FAST2, FAST3 (maximum gap)