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第6章  普及率の向上対策

第2節  融資あっ旋制度の変更

1 水洗便所等改造資金貸付制度

 公共下水道の普及促進の大きな柱として、水洗トイレへの改造資金の融資 がある。山形市では公共下水道の供用が始まる昭和40年(1965)7月に、

5万円を限度とした山形市水洗便所等改造資金貸付条例を制定した。貸付対 象は既設の便所を水洗式に改造するための便器、洗浄用具及び排水管の新設 である。限度額は5万円で、利率は日歩1銭8厘(年利6.57%)とし、うち 日歩四厘(年利1.46%)は市が利子補給することとした。なお償還は30月以 内元利均等となっている。

 ところが、この条例が制定された翌年、早々と限度額5万円では、改造資 金が不足していることが明らかになった。当時の施工費について、広報やま がた(昭和41年9月11日付)に次のような記事が掲載されている。

 「土間で格別障害物が無い場合、便所、大・小便と風呂場、台所を含めま して、汚水マスから奥行15mと仮定しまして約8万1千円とみています。水 道工事に1万円ぐらい、そのほかタイル張りなどでもかかり増しが考えられ ます。」

 山形市では供用直後の利用率の低迷は、貸付限度額がネックになっている と見て、昭和41年(1966)7月に倍額の10万円に引き上げた。さらに目覚ま しい高度経済成長の時代にあって、昭和47年(1972)には限度額が20万円と なり、さらに便所1ヵ所増すごとに6万円加算に引き上げられた。利率は年 5%で、償還は48月回に延長された。この条例は昭和49年(1974)4月の融 資あっ旋制度に引き継がれるまで、公共下水道利用促進の大きな柱として活 用されてきた。

2 水洗便所等改造資金融資あっ旋制度

 水洗トイレの改造資金の融資は、金額の増大に加え、貸出件数も増大した ことにより変更を余儀なくされていった。昭和47年(1972)に、限度額を20

第2節 融資あっ旋制度の変更

万円に引き上げると同時に、従来の基金による貸出から、一定額を市内の金 融機関に貸出し、そこから利用者に貸出す方式へ改定された。この制度を利 用できる金融機関は、山形銀行、山形相互銀行、殖産相互銀行、荘内銀行、

山形庶民信用組合の5つであった。翌昭和48年度には、単年度の貸付額で 7,000万円を超える規模となり、資金調達を市内の金融機関に求めざるを得 ない状況になっていった。

 昭和49年(1974)4月に、山形市は水洗便所等貸付条例を廃止し、代わっ て「山形市水洗便所等改造資金融資あっ旋要綱」を制定した。これは、利用 希望者に対し、資金の融資をあっ旋し、その利子の一部を補給するという内 容であった。これを利用できる金融機関は先述した5金融機関に、山形信用 金庫を加えた6金融機関であった。融資限度額は20万円と便所が1ヵ所増え ると6万円が加算される。協定金利年8.4%で、利子補給は3.4%。

 昭和51年(1976)には限度額が25万円に引上げられ、協定金利は年8.88%、

利子補給3.88%となっている。以下限度額の改正を見ていくと、昭和56年

(1981)に35万円、昭和58年(1983)35万円に便所1ヵ所につき7万円の加 算措置、協定利率8%。昭和62年(1987)に50万円に加算措置10万円、協定 利率6.8%。平成5年(1993)に、このあっ旋制度の名称が「山形市下水道 利用資金」に改まり、平成6年7月から、限度額100万円、償還期間60月以 内となった。平成10年に限度額150万円となり、これが制度最後の改正となっ た。

 利用者の利便性を高めるために取扱金融機関も増加した。昭和62年(1987)

に山形市農業協同組合、昭和63年(1988)山形県労働金庫、山形農業協同組 合、平成8年に米沢信用金庫が加わり、あわせて10金融機関となった。その 後の金融機関合併などを経て、平成27年度には山形銀行、きらやか銀行、荘 内銀行、山形信用金庫、山形市農業協同組合、山形農業協同組合、東北労働 金庫、米沢信用金庫の8つの金融機関となる。

 このあっ旋制度では、貸出金利について市当局と金融機関が話し合って協 定金利を定めた。そのもとになるのは市中金利、なかでも長期プライムレー トであった。平成元年(1989)から長期プライムレートの上昇が激しく、平 成元年の協定金利は6%であったが、翌年には7.8%まで上昇し協定利率と の差が大きくなった。金融機関からは協定金利を長期プライレートに連動し て金利決定するように申し入れがあった。金融機関との協議のなかで平成2 年(1990)9月から協定利率を7%とすることにして、平成3年(1991)か

第6章第2節

※ 利子の全額補給で利用促進を図る観点から、議会で早期着工を促そうという論議が高まり、1年以内に着工 した人が全額利子補給されることになった。

ら連動方式がとられることになった。この方式は、変更の基準日を2月1日 と8月1日とし、基準日の長期プライムレートに0.2%の事務費を加えて利 率とし、翌月の3月と9月から実施することになった。

 一方利子補給は、下水道利用促進の観点から、「無利子制度」が昭和57年

(1982)3月から設けられた。処理すべき日から3年以内に工事完了は無利 子、3年を経過した工事には3%の利子補給となった。平成6年(1994)に なると、供用開始から1年以内に工事完了は全額補給、1年を超え3年以 内に工事完了は2%を超える部分を利子補給、供用を開始してから3年を経 過して工事完了は5%を超える部分を利子補給に変わった。この改定は平成 8年度供用開始分から実施された。さらに、より利用しやすい制度をめざし、

平成13年(2001)3月に供給開始から3年以内工事完了に全額利子補給、平 成17年(2005)4月には償還期間が7年に延長された。

 平成20年(2008)4月には、供給開始から3年以内とした期限を5年以内 に延長、下水道接続工事にあわせて施工する便所や浴室、台所(流し台を含 むユニット関連のみ)等の水回り工事、同年8月にはエコキュートを含む給 湯設備工事も対象となった。便器、洗浄用具、排水管の新設から始まった融 資対象がここまでに広がったことは、市民生活の質の向上をうかがわせる。

そして、平成22年(2010)には、供用開始からの期間も撤廃されすべての未 利用者が融資斡旋を受けられるようになった。

 昭和40年(1965)から始まった水洗便所改造資金の融資制度は、さまざま 変更を遂げて現在に至っているが、利用者の数を見ていきたい。

(表6−2−3参照)

 限度額が25万円に引き上げられた昭和51年(1976)の利用者は、下水道接 続件数1,154件に対し308件であった。それ以降、昭和61年(1986)まで、約 200件またはそれ以下の件数で推移したが、翌年の62年(1987)に利用者が 下水道接続件数989件中341件となると、その後、順調に件数は伸びていった。

平成5年(1994)に一時的に伸び悩むが、平成6年(1995)に限度額が100 万円まで引き上げられると利用者が急増し、平成7年(1996)には利用者は 965件となり、過去最高を記録した。昭和51年の件数の3倍となり、下水道 接続件数も2,951件に達した。

 下水道の利用率が平成6年度に50%を超えており、利用件数は平成7年を ピークに減り始める。利用率が高まれば、それに反比例して件数、融資額も 減少していくのは当然の成り行きであり、平成26年(2014)は17件となり、

※ 利子の全額補給で利用促進を図る観点から、議会で早期着工を促そうという論議が高まり、1年以内に着工 した人が全額利子補給されることになった。

ら連動方式がとられることになった。この方式は、変更の基準日を2月1日 と8月1日とし、基準日の長期プライムレートに0.2%の事務費を加えて利 率とし、翌月の3月と9月から実施することになった。

 一方利子補給は、下水道利用促進の観点から、「無利子制度」が昭和57年

(1982)3月から設けられた。処理すべき日から3年以内に工事完了は無利 子、3年を経過した工事には3%の利子補給となった。平成6年(1994)に なると、供用開始から1年以内に工事完了は全額補給、1年を超え3年以 内に工事完了は2%を超える部分を利子補給、供用を開始してから3年を経 過して工事完了は5%を超える部分を利子補給に変わった。この改定は平成 8年度供用開始分から実施された。さらに、より利用しやすい制度をめざし、

平成13年(2001)3月に供給開始から3年以内工事完了に全額利子補給、平 成17年(2005)4月には償還期間が7年に延長された。

 平成20年(2008)4月には、供給開始から3年以内とした期限を5年以内 に延長、下水道接続工事にあわせて施工する便所や浴室、台所(流し台を含 むユニット関連のみ)等の水回り工事、同年8月にはエコキュートを含む給 湯設備工事も対象となった。便器、洗浄用具、排水管の新設から始まった融 資対象がここまでに広がったことは、市民生活の質の向上をうかがわせる。

そして、平成22年(2010)には、供用開始からの期間も撤廃されすべての未 利用者が融資斡旋を受けられるようになった。

 昭和40年(1965)から始まった水洗便所改造資金の融資制度は、さまざま 変更を遂げて現在に至っているが、利用者の数を見ていきたい。

(表6−2−3参照)

 限度額が25万円に引き上げられた昭和51年(1976)の利用者は、下水道接 続件数1,154件に対し308件であった。それ以降、昭和61年(1986)まで、約 200件またはそれ以下の件数で推移したが、翌年の62年(1987)に利用者が 下水道接続件数989件中341件となると、その後、順調に件数は伸びていった。

平成5年(1994)に一時的に伸び悩むが、平成6年(1995)に限度額が100 万円まで引き上げられると利用者が急増し、平成7年(1996)には利用者は 965件となり、過去最高を記録した。昭和51年の件数の3倍となり、下水道 接続件数も2,951件に達した。

 下水道の利用率が平成6年度に50%を超えており、利用件数は平成7年を ピークに減り始める。利用率が高まれば、それに反比例して件数、融資額も 減少していくのは当然の成り行きであり、平成26年(2014)は17件となり、

下水道利用率は91.1%となっている。

表6−2−3 設備件数と幹旋金額と融資件数

第6章第2節