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第4章  雨水幹線の整備

第2節  下水道事業の費用

1 建設費

 国庫補助金や市債(企業債)、受益者負担金は管渠や終末処理場、汚水ポ ンプ場などの施設の建設に充てるための財源で、汚水を処理する費用や管渠 の維持などにかかる費用と別に考えられ、この国庫補助金や市債が増えるこ とは、管渠の整備等の建設にかかわる投資が増えて、下水道整備が進むこと になる。

 平成に入り、国庫補助金や市債の伸びが示す通り、下水道整備は急ピッチ で進むことになった。下水道事業が始まってから27年が経ち、公共下水道事 業(汚水)にも目処がつき始め、市内全域の下水道整備を目指していた時期 である。まず昭和63年度から流域関連公共下水道事業に着手すると、平成2 年(1990)には山形市排水処理基本構想を策定し、市内各地域の環境を考え ての整備を始め、翌平成3年度からは観光地や市街地より離れた地域の下水 道整備を行うため特定環境保全公共下水道事業を開始した。

 この時期の公共下水道事業(単独)の汚水管渠建設費の推移をみると、

昭和60年度から62年度にかけて総額56億2,039万円の整備をおこなったのが ピークで、平成5年度に10億7,870万円の整備があったものの、それ以降の 投資は減少した。この年度の管渠整備延長距離は補助管も含め45.418㎞、う ち公共下水道(単独)は認可計画の約231.1㎞に対して整備延長は252.1㎞と 計画範囲をすでに超えていた。一方、流域関連公共下水道は計画の52.2%、

222.1㎞、特定環境保全公共下水道は計画の36.8%、16.6kmしか整備されてい なかった。このように平成5年度以降、管渠整備の主軸は公共下水道事業(単 独)から流域関連公共下水道事業と特定環境保全公共下水道事業にシフトし ていった。

 この2つの事業は、汚水処理を周辺自治体と共同で行う事業(第1章参照)

であるため、非常に長い口径の大きい管渠整備や、その長い管渠のためのポ ンプ場の建設、また急勾配での特別な管渠整備が必要となった。平成25年度

第2節 下水道事業の費用

までの汚水管渠建設費の総額は、公共下水道事業が合計200億3,086万円に対 して、流域関連公共下水道事業は1,286億3,406万円と約6倍であった。

 工区数でみてみると、平成4年度は合計で182工区(延長39,236m)であっ たのが、平成11年度に整備した管渠工区は全部で582工区(延長67,078m)、

うち公共下水道と流域関連公共下水道は492工区で特定環境保全公共下水道 工区は90工区であった。以後、年間400工区ほどの工事を行い、平成16年度 の662工区(延長48,480m)を境に減少、平成20年度は公共、流域関連が462 工区で特定環境保全が106工区の合計568工区(33.074m)で整備が行われ、

整備面積は95.7%となった。

 短期間に、これまでにないほどの投資で下水道整備を行ったことがわかる。

表5−2−1 建設事業費の推移汚水(公共、流域、特環)

 これに対して雨水整備の状況をみると、雨水は昭和45年度からはじまり、

認可区域で公共下水道、流域関連、特定環境保全と分かれているものの、汚 水と違って、必要なところのみの整備としてきたため、グラフの線が激しく 上下している。当時の投資のメインはどうしても汚水であった。

第5章第2節

表5−2−2 建設事業費の推移雨水(公共、流域、特環)

 浄化センターは、施設の処理能力や設備の老朽化の問題があるため、計画 的に整備が行われた。昭和54年度〜57年度の増加は、浄化センター管理棟建 設、平成17〜19年度の増加は浄化センターの設備の更新や改築工事によるも のである。流域関連公共下水道事業では七浦ポンプ場の建設費が発生した。

この七浦ポンプ場の完成で、市内北東部の鈴川地域の管渠整備が進み、同地 区の水洗化ができるようになった。

表5−2−3 浄化センターの建設費

表5−2−2 建設事業費の推移雨水(公共、流域、特環)

 浄化センターは、施設の処理能力や設備の老朽化の問題があるため、計画 的に整備が行われた。昭和54年度〜57年度の増加は、浄化センター管理棟建 設、平成17〜19年度の増加は浄化センターの設備の更新や改築工事によるも のである。流域関連公共下水道事業では七浦ポンプ場の建設費が発生した。

この七浦ポンプ場の完成で、市内北東部の鈴川地域の管渠整備が進み、同地 区の水洗化ができるようになった。

表5−2−3 浄化センターの建設費

2 維持管理費

 建設費は平成20年度から急激に減少するが、それに対して増えるのが、維 持管理費である。維持管理費は平成6年度に10億9,416万円に達し、初めて 10億円を突破した。平成17年度には17億1,625万円、平成24年度に19億4,645 万円となり、その後横ばい状態が続いている。管渠の整備が済み、下水道を 利用する家庭が多くなったため流入する汚水の量が増え始め、汚水を処理す る維持管理費が徐々に増えていった。

表5−2−4 維持管理費と建設費の推移

 維持管理費の財源は、下水道使用料と繰入金によって賄われる。汚水私費 といわれる所以である。逆に汚水処理の費用が下水道料金に反映されるた め、汚水処理を効率的に行えば、下水道使用料を低く抑えることができる。

山形市の下水道使用料は、平成10年(1998)4月以降は据え置きされている。

(第7章第1節参照)

 上水道の使用水量と下水道使用料金は連動しており、家庭や事業所で使用 された水道水は、下水道へ流れる。そのため使用された水道水の量と汚水の 量はほぼ等しいはずであるが、実際は水道水が使われた以上に汚水が流れ込 む。この余分な汚水は、老朽化した管渠などから流れ込むことが多い。そう した不明水を取り除き、効率的に汚水処理を行う意味でも管渠やマンホール の維持管理は重要になっている。

第5章第2節

※ マイナス・シーリングとは、予算編成時に各省とも前年度の概算要求を一定の比率で抑えることで全体総額 を抑えるというもの

1 経済情勢の低迷と下水道財源への影響

 昭和53年(1978)に発生した第2次オイルショックが、日本経済に大きな 影を落とし始めたのは昭和55年(1980)頃。それまで日本のGDPは毎年5%

台で伸びてきたが急落し、昭和58年度には3.7%になった。この景気の状況 で国の税収は減り始め、マイナス・シーリングとなった。建設省の下水道 事業の予算は他の事業の予算と同じように抑えられ、昭和56年度は1兆8,349 億円だったが、翌57年度は1,252億円の減、それが昭和59年度まで続く。昭 和61年度になってようやく昭和56年度の額を上回る状態であった。建設省は 下水道整備五箇年計画を立てているが、予算の増加を計上するものの実施額 が下回る結果となっていた。

 当時の山形市の下水道事業は、浄化センターの汚泥処理のための設備の整 備(第3章第1節)や昭和53年(1978)から前明石処理場の建設が始まり(第 8章第3節)、昭和57年(1982)から浄化センターの管理棟建設が始まるなど、

終末処理場への投資が予定されていた。

 一方、管渠整備は昭和58年度から流域下水道事業がスタートしたばかり で、特に流域幹線の管渠工事は直径1.8mにもなる大型の管渠を埋設しなけ ればならず、大規模な工事で期間がかかり建設費が嵩む。こうした理由から、

山形市では下水道整備に大型の予算を計上していたが、その財源の一つであ る国庫補助金の補助率は、平成4年度に暫定の補助率となり率が下がった。

山形市の下水道事業を推進して行くには、この幹線管渠の整備が進まない限 り、平成20年度の目標は達成できない。是が非でも整備を進めていくために は、市債(企業債)を発行して、下水道事業への投資を続けなくてはならな かった。