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薪流通システムの構築について

第 7 章 木質バイオマス活用方針とプロジェクトの検討

8.5 薪流通システムの構築について

村内において、未利用の木質資源を有効に活用する手段として、林業の活性化と二酸化炭素排出 削減、地域経済の活性化を目指した村内における薪流通システム構築についての検討を行います。

8.5.1 薪利用に関する調査 (1) 現在の薪利用について

村内での薪流通システムの構築にあたって、現在、薪を利用している家庭(5 軒)にご協力をいた だき、薪利用に関するアンケート調査を行いました。

① 火起こし、灰処理等の作業者

実際に、火起こしや灰処理の作業を行っている年齢層は、64 歳までの方が行っている家庭が 2 導入支援

環境教育 普及啓発 家庭

教育施設 観光施設 ストーブ導入

二酸化炭素 排出削減

檜原村新エネルギー詳細ビジョン 第 8 章 木質バイオマス導入基本計画

② 薪の入手方法

各家庭における薪の入手方法は、自分の山から調達する家庭が多くを占め、その他近くの山から の調達や、村内から購入、仕事で出た材の利用している家庭もあります。

薪の入手

0 1 2 3 4 5

自分の山 近くの山 村内購入 村外購入 村内譲渡 その他

図 8-7 薪の入手方法

③ 薪使用機器

薪を利用した機器のうち、薪ボイラーを利用している家庭が3 軒、薪ストーブを利用している家庭 が2 軒ありました。その他では、薪風呂を利用している家庭があります。ストーブは暖房、ボイラーは 風呂や給湯に使用されています。

使用機器

0 1 2 3 4

薪ストーブ ペレットストーブ 薪ボイラー ペレットボイラー その他

図 8-8 薪使用機器

④ よかった点・困った点

薪燃料を利用して、よかった点・困った点についての意見を伺ったところ、以下のような意見が挙 がりました。

表 8-22 よかった点・困った点

よかった 困った

燃料調達 ・燃料代の軽減、材の有効利用

・費用がかからないこと

・薪を集めるのが大変

・薪にするまでの手間が大変

・火持ちの良い広葉樹林材が少ない 機器利用 ・薪ストーブは安くなった ・薪を燃やしたり、お湯が出るまでの

時間、手間が大変なこと

・ペレットストーブは高すぎ その他 ・入り心地がいい

・家全体があたたまる

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第 8 章 木質バイオマス導入基本計画 いい点としては、自己調達している方が多いため、燃料費の削減につながるという意見が挙げら れました。また、困った点としては、薪を利用する手間がかかるといった意見が多く出されています。

また、その他としては、「心地いい」や「家全体があたたまる」といった意見がありました。

⑤ その他の意見

またその他、薪利用について、以下のような意見がありました。

‹ 利便性だけを追求するのであれば現状の石油やプロパンガスでしょうが、昔と違った次元で 考えていくことが必要でしょう。よって村としても機器の購入にあたっては支援策を取って頂 くことが必要だと思います。薪ストーブの村をPRすれば、他自治体や市民への波及効果は 大きいと思います。そのことで二酸化炭素の削減に繋がれば願ったり叶ったりです。

‹ たまたま薪が家にあるので薪ボイラーを使用しているが、一般的な家庭ではコストや手間が 難しいと思います。

‹ ペレットストーブにしたいが、燃料のペレット単価が高すぎる。

現在、薪を利用している家庭においては、薪の利用について、手間が大変な面があるものの、薪 の持つよさも認識している傾向が見られました。

(2) 今後の薪利用について

今後の薪利用について、村民がどのように考えているか、村内在住の役場職員を対象に意向調査 を行いました。アンケート回答者数は、9名となっています。

① 薪の利用意向

アンケート回答者の中には薪利用者はおらず、今後の薪利用の意向については、「利用したいと 思う」と回答した人が3名、「利用したいと思わない」と回答した人が6名となっています。

表 8-23 今後の薪利用意向 今後の利用 回答数 割合

思う 3 33.3%

思わない 6 66.7%

合計 9 100.0%

② 木質バイオマスへの転換

灯油換算にしてどの程度の価格であれば、木質バイオマスに燃料を転換したいと思うかという問 には、以下のような回答が挙がっています。

表 8-24 木質バイオマスへの燃料切り替えを考える価格 薪の入手 回答数 割合

60円/L以下 1 11.1%

80円/L以下 4 44.4%

100円/L以下 0 0.0%

120円/L以下 0 0.0%

切り替えない 2 22.2%

無回答 2 22.2%

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えを考えるという回答です。

③ 薪ステーション方式について

村内で木材を加工し薪を製造し、各家庭へ供給するための方法として、「薪ステーション」方式を 想定し、この利用についての質問を行いました。「薪ステーション」は薪の原料となる材木を集め、加 工し、保管する場所です。

図 8-9 薪ステーションによる薪流通イメージ

「薪ステーション」というシステムを通じて、どのような方法が最も利用しやすいかの意向調査を行 いました。

「薪ステーション」の運営方法としては、「1.民間業者等への委託」、「2.利用者による自主管理」の 2種類を想定し、また、薪の入手方法についても、「1.業者による配達」、「2.利用者自らステーション へ引き取りに行く」の2種類を想定しました。これらの条件を整理すると、以下のA~Dの内容となり ます。

‹ A. 加工は委託。薪は各家庭へ配達。

‹ B. 加工は委託。薪は利用者が引取。

‹ C. 加工も引取も、利用者が行う。

‹ D. 自身の山で薪を調達し(自己調達)、自身で利用する(自己消費)。

この 4 種類の薪調達方法について、利用意向を行ったところ、A を選択する人が最も多いという 結果になりました。

現在、薪を利用していない方については、ある程度の条件が整わないと、薪を利用することは考 えにくいという傾向が見られます。今後、村内で家庭に向けて薪を流通させていくためには、二酸化 炭素の排出削減や環境負荷の低減、また村内資源の活用といった観点からも、薪利用のメリットを アピールしていく必要があると考えられます。

8.5.2薪の供給コスト

薪の集積所兼利用箇所(薪ステーション)として「数馬の湯」を設定し、村内で伐採実施時に発生す

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第 8 章 木質バイオマス導入基本計画 る土場残材をトラックで「数馬の湯」へ輸送し、そこで薪製造を行い、村内各所に薪を輸送配達した場 合の薪製造単価を試算しました。

その結果、薪製造価格は12 円/kgとなり、「8.3木質ボイラー導入システムの検討」で求めた20 円/

kgの採算分岐点を8円下回る結果となりました。

表 8-25 原木調達コスト

項目 単価 単位 備考

原木の山からの搬出費用 (ア) 1,000 円/m3 トラックへの積込量のみ 搬出した原木の輸送費用 (イ) 3,000 円/m3 村内伐採箇所から、数馬の

湯まで輸送 原木調達コスト合計 (ウ)=(ア)+(イ) 4,000 円/m3

原木生重量1tあたりの調達コスト (エ)=(ウ)/0.64 6,250 円/生重量t

薪の輸送コスト (オ) 2,000 円/生重量t 数馬の湯から村内一円 表 8-26 薪製造条件

項目 数値 単位 備考

薪(スギ)の比重(製造直後) 0.64 生重量t/m3 含水率50%WB 薪製造能力 1.5 m3/h

一日の稼働時間 5 h/日

一日の薪製造量 4.8 t/日 含水率50%WB、かさ比重0.64 t/m3 一時間あたりの薪製造量(生重量) 0.96 生重量t/h 含水率50%WB、かさ比重0.64 t/m3 一時間あたりの薪製造量(乾燥重量) 0.68 乾燥重量t/h 含水率30 %WB、かさ比重0.5t/m3

【資料:「日本住宅」木材技術センター】

表 8-27 薪製造コスト

薪製造量(生重量t) 100

上記の量を製造するのに必要な 年間の薪割り機稼働時間 147

機械価格 円 (a) 3,750,000

耐用年数 年 (a)0 10

年間作業日数 日 (b)1 29

1日あたり実働時間 時間 (b)2 5

年間使用時間 時間 (b)=(b)1*(b)2 147 償却時間 時間 (c)=(a)0*(b) 1,471

整備・修理費率 (d) 0

整備・修理費 円/時 (e)=(d)*(c) 15

燃料消費量 L/時 (f) 3

燃料(軽油)単価 円/L (g) 145

燃料費 円/時 (h) 435

普通作業人数 人 (i) 1

人件費 円/時 (j) 1,500

減価償却費 円/時 (k)=(a)/(c) 2,550 時間費用合計 円 (l)=(e)+(h)+(j)+(k) 4,500

年間費用合計 円/年 (m)=(b)*(l) 661,721

薪製造部分

薪製造コスト 円/生重量t (n)=(m)/年間薪製造量 6,617

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8.5.3 薪流通方法の構築

薪の流通規模や体制、価格等の設計を行うためには、薪の需要量を設定することが必要です。村 内にはすでに薪の製造・販売を行っている業者があるため、既存業者から薪を購入することも考えられ ます。また、薪の製造・運搬には人手が必要であるため、作業を行う人員や組織が必要になります。さ らに、薪の利用量を増加させるためには薪ボイラーや薪ストーブ等の燃焼機器の普及も同時に行う必 要があります。さらに、ソフト的な村の取り組みと合わせた方法を考えていく必要もあります。

(1) 薪の融通ネットワークの構築

薪の流通には、以下に示す 3 種の流通形態があり、市場経済を介すものとそうではないものに大 別できます。市場経済を介すものが、バイオマス資源の供給者(一次生産者、流通者)、需要者(消 費者)間による市場経済に乗る「売る・買う」といった形態であり、「あげる/もらう」・「(一緒に)集める・つ くる」といった市場経済に乗らないものは、「取引」「融通」といった形態になります。

村内での薪の入手方法には、「自給:自ら作る」「譲渡:他人から貰う」「購入:業者から買う」の 3 パ ターンが考えられます。村民の意向としては、これらのうち「購入:業者から買う」という方法を選択する 方が多いという結果になっています。ただし、現在薪を利用している方については、「自給:自ら作る」

という方がほとんどです。

現在の状況や、村民の意向を鑑みつつ、檜原村においてどのような薪の流通形態が成り立つかど うか、検討を行っていく必要があります。

売る

あげ

集める

・つくる

ヤマ側 供給者

マチ側 需要者

買う

もらう

飲食店

観光 施設 温浴 施設

製材所

卸売店 小売

オンライン

ショップ NPO

融通

バイオマス バイオマス

バイオマス バイオマス

バイオマス バイオマス

お金 お金

チップ ペレット

木炭

古材

森林組合

NPO

木工品

個人 交流等

共同作業、

交流等 交流等

【資料:「日本の森林を育てる薪炭利用キャンペーン」提供資料】

図 8-10 薪炭の流通形態 (2)檜原村の薪流通方法

檜原村において考えられる、薪の流通方法を以下に示します。薪のエネルギー利用のみならず、

薪を使ったイベントによる森林・林業への普及啓発など、村の取り組みと合わせた流通方法を構築し、

薪利用による地域活性化につなげることが重要となります。